障害者雇用で社内異動・キャリアを相談する方法|希望を伝える前に整理したいこと

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「今の業務は続けられるが、もっと得意なことを活かしたい」「体調や障害特性に合う部署へ移りたい」「将来のキャリアを考えて、新しい仕事にも挑戦したい」と考えることがあります。障害者雇用で働いていると、採用時に決まった業務を続けるしかないと感じるかもしれません。しかし、社内異動や業務の広がりは、安定して働き続けることとキャリア形成の両方に関わる大切なテーマです。

一方で、社内異動は本人が希望すれば必ず実現するものではありません。会社の人員配置、募集状況、業務に必要なスキル、受け入れ先の体制などを踏まえて検討されます。だからこそ、希望を伝える前に、自分の強み、今の仕事で得た経験、必要な配慮、異動先で行いたい業務を整理し、会社と具体的に話し合うことが重要です。

障害者雇用でも社内異動・キャリア形成は相談できる

厚生労働省の障害者雇用対策基本方針では、障害者の雇用管理において、職業能力の開発・向上、業務の経験、困難又は高度な業務に従事する機会の提供など、キャリア形成にも配慮した適正な待遇に努める趣旨が示されています。[1] 障害者雇用においても、入社時の業務だけでなく、経験を積み、能力を伸ばす視点が大切です。

ただし、社内異動は「今の部署から離れたい」という希望だけで進めると、話し合いが難しくなる場合があります。現在の業務で困っていること、異動先で活かせる強み、異動後に必要な配慮を分けて伝えると、上司や人事も検討しやすくなります。

JEEDは、日々の声かけや作業日報による状況把握と、本人の特性に合わせた配置転換・勤務体制の変更を通じ、長く働けるよう職場全体でフォローする実践例を紹介しています。[2] 異動はキャリアアップだけでなく、業務とのミスマッチを見直し、定着につなげる選択肢にもなります。

社内異動を考え始めた時に整理したい4つのこと

異動を相談する前に、次の4つを整理しましょう。メモにしておくと、面談で自分の考えを伝えやすくなります。

整理すること考える内容伝え方の例
現在の仕事の振り返りできている業務、負担が大きい業務、工夫していること「データ確認は得意ですが、急な電話対応が続くと集中が途切れやすいです」
強みと経験正確性、専門知識、PCスキル、コミュニケーション、改善実績など「手順を整理し、入力ミスを減らす仕事にやりがいを感じます」
希望する業務やってみたい職種・部署、関心を持った理由、業務内容の理解「人事データの管理業務に関心があり、必要なスキルを学びたいです」
必要な配慮勤務時間、業務指示、環境、通勤、相談方法など「業務変更時は、最初に手順書と定期的な確認の時間があると進めやすいです」

現在の仕事に困りごとがある場合も、苦手な点だけを並べる必要はありません。「このような条件なら力を発揮しやすい」「この経験を次の仕事に活かしたい」と、前向きな形で整理することがポイントです。

希望部署・職種を調べる時のポイント

希望する部署が決まったら、仕事内容を具体的に理解しましょう。部署名だけで判断すると、実際の業務、繁忙期、会議の多さ、必要なスキル、働き方がイメージと異なることがあります。

可能であれば、上司や人事に次の点を確認します。

  • 日常的に担当する業務と、繁忙期に増える業務は何か。
  • 一人で進める仕事と、チームで行う仕事の割合はどの程度か。
  • 必要なPCスキル、資格、経験、研修はあるか。
  • 出社頻度、勤務時間、使用するツール、職場環境はどうなっているか。
  • 異動後に、どのような成果や役割が期待されるか。

部署見学、担当者との面談、短期間の業務体験が可能かを相談する方法もあります。実際の仕事を知ることで、自分の強みを活かせるか、必要な配慮をどのように伝えるべきかを考えやすくなります。

上司・人事と話し合う進め方

社内異動の相談は、まず直属の上司へ伝えるのが一般的です。会社の制度によっては、自己申告制度、キャリア面談、社内公募、異動希望調査などの機会があるため、人事へ確認しましょう。

面談では、現在の業務を否定するよりも、「今の業務で経験を積んだうえで、次はこのような仕事に挑戦したい」と伝えると、キャリアの話として共有しやすくなります。体調や障害特性が理由で異動を考えている場合は、業務上どのような困りごとがあり、どのような環境・業務なら働きやすいかを必要な範囲で説明します。

会社からすぐに異動可否の回答が出ないこともあります。希望部署に空きがない、必要なスキルの準備が必要、現在の部署で引継ぎが必要などの事情があるためです。その場合は、必要な研修、今の部署で経験しておくこと、次に話し合う時期を確認し、希望を具体的な行動につなげましょう。

異動前後で確認したい配慮と定着支援

異動が決まったら、仕事内容だけでなく、必要な配慮も改めて確認します。部署が変われば、上司、同僚、作業環境、会議の進め方、業務指示の方法も変わるためです。本人の同意を前提に、新しい上司や関係者へ共有する内容を整理しましょう。

特に確認したいのは、業務の優先順位をどう確認するか、手順書や研修をどう受けるか、質問する相手は誰か、定期面談をいつ行うかです。最初の数週間は、新しい仕事に慣れる時間を見込み、業務量や難易度を段階的に調整できるか相談しましょう。

異動後は、「異動できた」で終わりにせず、1か月後、3か月後などに振り返る機会を設けると安心です。業務内容が希望と合っているか、困っている作業はないか、配慮が機能しているかを確認し、必要に応じて見直します。

相談に使える例文

「今の業務で経験を積む中で、データ管理や手順整理の仕事に強みを感じています。今後のキャリアとして、関連する部署や業務に挑戦する機会について相談したいです。」

「現在の業務では、急な変更が重なると優先順位を整理しにくいことがあります。手順や業務の進め方が明確な仕事であれば、これまでの正確性を活かせると考えています。該当する部署があるか伺えますか。」

「異動を検討するにあたり、希望部署の業務内容や必要なスキルを知りたいです。可能であれば、担当者への相談や業務見学の機会をいただけますか。」

まとめ:社内異動をキャリアと定着の両方につなげよう

障害者雇用でも、社内異動やキャリア形成を相談することは可能です。希望する業務、現在の経験と強み、必要な配慮を整理し、会社の人員配置や業務要件を踏まえて話し合いましょう。

異動は、今の業務から逃げるためだけの選択肢ではありません。自分の力を活かせる仕事を見つけ、長く働き続けるためのキャリアの一歩にもなります。異動前後の業務と配慮を丁寧に確認し、定期的に振り返りながら働き方を整えていきましょう。

参考文献

  1. 厚生労働省「障害者雇用対策基本方針」
  2. 独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED)「ともに働く職場へ~事例から学ぶ 精神障害者雇用のポイント~」
いろとりどり編集部

この記事の監修・運営

就労継続支援B型 いろとりどり編集部

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