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障害者の転職と椅子の持ち込み|職場で許可を得る方法と合理的配慮
長時間のデスクワークでは、椅子が体に合っているかどうかが、腰痛や疲労、仕事への集中力に大きく影響します。障害や病気の特性によっては、職場に備え付けられた椅子では負担が大きく、自分専用の椅子を持ち込みたいと考える方もいるでしょう。
では、障害のある方が就職・転職する際、自分に合った椅子を職場に持ち込むことはできるのでしょうか。
2024年4月からは、民間事業者にも合理的配慮の提供が義務付けられています。ただし、希望が必ずそのまま認められるわけではなく、職場の状況を踏まえた話し合いが必要です。
この記事では、椅子の持ち込みが必要となる理由や合理的配慮の考え方、職場で許可を得る方法、転職活動で確認したいポイントを解説します。
第1章 自分専用の椅子が必要になる理由
職場で自分専用の椅子を使いたい理由は、人によって異なります。重要なのは、単なる好みではなく、身体の状態や障害特性によって仕事に支障が生じているかどうかです。
例えば、腰痛や脊椎の疾患がある方は、座面の高さや背もたれの形状によって、痛みや疲労の程度が変わることがあります。
身体障害のある方にとっては、座面の高さや肘掛けの位置、車椅子からの移乗のしやすさなども重要です。感覚過敏のある方は、座面の硬さや素材が集中力に影響することもあります。
慢性的な痛みや疲労を抱える方にとっても、身体への負担を軽減できる椅子は、安定して働き続けるための助けになります。
このように、椅子の選択は仕事のしやすさや就労の継続に関わる問題です。自分に合った椅子を使うことは、無理なく働くための環境づくりの一つといえるでしょう。
第2章 椅子の持ち込みは合理的配慮の対象になる?
障害のある方が職場で必要な配慮を求める際に知っておきたいのが、「合理的配慮」という考え方です。
雇用の分野では、障害者雇用促進法に基づき、事業主には障害のある労働者の職業生活上の支障を改善するため、必要な措置を講じることが求められています。また、障害者差別解消法では、2024年4月から民間事業者にも合理的配慮の提供が義務化されました。
椅子の持ち込みも、障害による仕事上の支障を軽減するために必要であれば、合理的配慮として検討される可能性があります。
ただし、持ち込みが無条件に認められるわけではありません。椅子の大きさが通路を塞ぐ場合や、安全上の問題がある場合などは、別の方法を検討する必要があります。
大切なのは、本人と企業が対話を重ね、必要性と職場の事情を踏まえて対応を検討することです。希望がそのまま通らない場合でも、代替案を含めて相談しましょう。
第3章 職場で椅子の持ち込み許可を得る方法
椅子の持ち込みを希望する場合は、必要性を整理し、具体的な情報を準備してから相談すると、企業側も判断しやすくなります。
① 現在の椅子で困っていることを整理する
「腰が痛くなる」「一定時間座ると疲労が強くなる」など、具体的な問題を書き出しましょう。
② 専用の椅子を使う目的を明確にする
身体への負担を減らし、業務に集中できる時間を確保したいなど、使用によって期待できる改善を説明します。
③ 椅子の情報を準備する
製品の写真、寸法、重量、価格、キャスターの仕様などをまとめます。安全性や設置スペースについても説明できると、相談が進めやすくなります。
④ 人事担当者や上司に相談する
直属の上司、人事部門、障害者雇用の担当者などに希望を伝えます。口頭だけでなく、必要に応じてメールや書面で申請すると、相談内容を記録に残せます。
⑤ 必要に応じて医師の意見を活用する
主治医に相談し、椅子の使用が必要な理由や推奨される条件について意見を求める方法もあります。診断書や意見書が必ず必要とは限りませんが、医学的な説明を補う資料として役立つ場合があります。
相談時には、次のように伝えるとよいでしょう。
「身体の状態により、現在の椅子では長時間の業務で痛みや疲労が強くなることがあります。安定して働き続けるため、身体に合った椅子の使用を希望しています。製品情報も提出できますので、持ち込みについてご相談させていただけないでしょうか」
第4章 会社が難色を示した場合の対処法
椅子の持ち込みを相談しても、会社から難色を示されることがあります。その場合は、まず理由を確認しましょう。
例えば、通路の幅や避難経路、床への影響、保管場所などが問題であれば、別の椅子や設置場所を検討できる可能性があります。
また、必ずしも椅子全体を持ち込む必要はありません。座面クッションや腰部サポートの使用、会社が用意する椅子の変更、机の高さの調整などでも、身体への負担を軽減できる場合があります。
購入費用を本人と会社のどちらが負担するかについても、配慮の内容や職場の状況によって異なります。購入してから相談するのではなく、事前に費用負担や使用条件を確認しておくと安心です。
合意した場合は、使用する椅子、設置場所、利用開始日などをメールで記録しておくと、後から認識の違いが生じるのを防ぎやすくなります。
第5章 転職活動ではいつ相談すればよい?
障害者の転職では、入社後のミスマッチを防ぐため、必要な配慮をいつ伝えるかも重要です。
椅子の持ち込みが働くうえで欠かせない条件であれば、可能な範囲で早めに相談することをおすすめします。入社後に設置スペースや社内ルールの問題が判明する事態を防ぎやすくなるためです。
面接では、障害の説明だけでなく、「どのような環境であれば能力を発揮できるか」という視点で伝えましょう。
例えば、「長時間の座位による身体への負担を軽減するため、専用の椅子を使用できる環境を希望しています」と説明できます。
ただし、必要な配慮を伝えるタイミングや範囲は、本人の状況や希望によって異なります。無理のない範囲で相談し、入社前に対応可能な条件を確認しておくことが大切です。
第6章 配慮に取り組む企業を見極めるポイント
転職先を選ぶ際は、給与や仕事内容だけでなく、障害への理解や職場環境にも目を向けましょう。
企業の採用ページなどで、障害者雇用の実績や配慮の相談窓口、入社後のフォロー体制を確認します。
参考になる制度の一つが、厚生労働省の「もにす認定制度」です。障害者雇用の促進や安定に関する取り組みが優良な中小事業主を認定する制度で、企業選びの参考になります。ただし、認定を受けているからといって、個別の希望が必ず認められるわけではありません。
可能であれば職場見学を申し込み、デスクの高さや通路の広さ、椅子の種類などを確認しましょう。人事担当者に、必要な配慮について具体的に質問することも有効です。
在宅勤務やテレワークが可能な求人も選択肢になります。自宅で使い慣れた椅子を利用できれば、職場への持ち込みに関する問題を減らせる場合があります。ただし、在宅勤務の可否や設備に関する条件は、企業ごとに確認が必要です。
第7章 相談先を知っておこう
会社と話し合っても十分な対応が得られず、仕事を続けるうえで支障が残る場合は、一人で抱え込まずに相談先を活用しましょう。
社内の相談窓口や人事担当者のほか、産業医や産業保健スタッフに相談できる場合があります。
外部の支援機関としては、ハローワークの専門援助窓口や地域障害者職業センターなどが挙げられます。職場での配慮や就労継続について、状況に応じた助言を得られる可能性があります。
相談する際は、困っていること、希望する配慮、会社との話し合いの経緯を整理しておくと、状況を説明しやすくなります。
まとめ
障害のある方にとって、自分の身体に合った椅子を使えることは、痛みや疲労を軽減し、安定して働き続けるための重要な条件になる場合があります。
椅子の持ち込みは、合理的配慮として検討される可能性がありますが、必ず認められるわけではありません。必要性や製品情報を整理し、企業と具体的に話し合うことが大切です。
転職活動では、必要な配慮を早めに相談するとともに、職場見学や企業の障害者雇用への取り組みも確認しましょう。持ち込みが難しい場合でも、椅子の変更やクッションの使用、在宅勤務など、別の方法で解決できる可能性があります。
自分の身体に合った環境を整えることは、わがままではありません。 無理なく働き続けるために必要な条件を整理し、自分に合った職場と働き方を見つけていきましょう。

