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戦後日本の貧困支援の歴史に興味があるのに「戦後から現代に至るまでの日本の貧困支援制度がどのように発展してきたか知りたい」「戦後の貧困支援の歴史が現代の生活困窮支援制度に与えた影響を理解したい」という方はいらっしゃいませんか。戦後日本の貧困支援の歴史を理解することで現代の生活困窮支援制度の成り立ちと課題への理解が深まります。本記事では戦後日本の貧困支援の歴史と現代への影響をわかりやすく解説します。
戦後直後の貧困状況と緊急支援
戦後直後の日本の貧困状況と緊急支援の概要を理解しておくことが重要です。
1945年の終戦直後の日本は空襲による都市の壊滅的な被害、食糧不足、大量の失業者と引き揚げ者の帰還など未曾有の貧困状況に直面していました。浮浪者や孤児があふれる都市部での混乱が深刻な社会問題となっていました。
連合国軍最高司令官総司令部の指令のもとで緊急の救済措置として1945年に生活困窮者緊急生活援護要綱が制定されました。食糧、衣料、住居などの緊急支援が行われましたが当時の日本政府の財政基盤は極めて脆弱であり支援の規模と質は限定的なものにとどまりました。
戦争孤児への対応も緊急の課題のひとつでした。親を失った子どもたちへの施設支援と教育機会の確保が緊急の社会的課題として取り上げられました。
生活保護法の成立と意義
1950年に制定された生活保護法が戦後日本の貧困支援において果たした重要な役割があります。
1946年に旧生活保護法が制定されて国家による最低限の生活保障という概念が法制度として確立されました。1950年には現行の生活保護法が制定されて生存権を保障した日本国憲法第25条の理念を具体化した制度として整備されました。
生活保護法は生活扶助、住宅扶助、教育扶助、医療扶助、介護扶助、出産扶助、生業扶助、葬祭扶助という8つの扶助から構成されており生活全般にわたる包括的な支援制度として設計されました。
補足性の原理として資産と能力の活用を先に行ったうえで最低生活費に不足する部分を公的扶助で補うという考え方が制度の基本原則として位置づけられました。
高度経済成長期における貧困支援の変化
1950年代後半から1970年代にかけての高度経済成長期における貧困支援の変化を理解しておくことが重要です。
高度経済成長によって国民全体の生活水準が向上する中で生活保護受給者数は一時的に減少する傾向がみられました。経済成長による雇用の拡大が貧困問題の緩和に寄与したとされています。
一方で経済成長の恩恵を受けにくい高齢者、障がい者、母子世帯など特定の層の貧困問題が顕在化しました。これらの層への支援を強化するための制度整備が進められました。
1960年代には国民皆保険と国民皆年金が実現して社会保険制度の基盤が整備されました。社会保険制度の拡充が貧困の予防という観点から重要な役割を果たすことになりました。
1970年代から1980年代の福祉の時代と見直し
1970年代から1980年代にかけての福祉政策の展開と見直しを理解しておくことが重要です。
1973年は福祉元年と呼ばれ老人医療費の無料化など社会保障制度の大幅な拡充が行われました。しかし同年のオイルショックによる経済の停滞とその後の財政悪化が福祉拡充路線の見直しを迫ることになりました。
1980年代には日本型福祉社会論が提唱されて自助と家族相互扶助を重視する方向への政策転換が図られました。行政による福祉サービスの縮小と民間への移譲が進められた時期でもあります。
バブル崩壊後の貧困問題の深刻化
1990年代のバブル崩壊後に深刻化した貧困問題とその対応があります。
1990年代から2000年代にかけてのバブル崩壊と長期的な経済停滞によって失業率が上昇して生活保護受給者数が増加に転じました。非正規雇用の拡大によってセーフティネットから漏れやすい不安定な就労層が増加したことが新たな貧困問題として顕在化しました。
1990年代後半から2000年代にかけてホームレス問題が社会的な注目を集めました。2002年にはホームレスの自立の支援等に関する特別措置法が制定されてホームレスへの自立支援が制度化されました。
ワーキングプアという概念が広まり働いているにもかかわらず貧困状態に陥っている層への支援が重要な政策課題として認識されるようになりました。
2008年のリーマンショックと貧困支援の転換
2008年のリーマンショックが日本の貧困支援に与えた影響があります。
リーマンショックによる急激な雇用情勢の悪化で非正規労働者の大量解雇が発生しました。製造業を中心とした派遣切りが社会問題となり年越し派遣村が設置されて住居と仕事を失った方々への緊急支援が行われたことは日本の貧困問題への社会的な関心を大きく高める契機となりました。
この経験を踏まえて既存の生活保護制度だけでは対応が難しい就労困難者への支援の必要性が認識されて新たな支援制度の設計につながりました。
生活困窮者自立支援法の制定
2015年に施行された生活困窮者自立支援法が戦後の貧困支援の歴史における重要な転換点となりました。
生活困窮者自立支援法は生活保護に至る前の段階での包括的な支援を提供することを目的として制定されました。自立相談支援、住居確保給付金、就労準備支援、家計改善支援など複数の支援メニューを組み合わせた包括的な支援体制が整備されました。
生活困窮者自立支援制度は従来の生活保護制度が対応できなかった就労困難者や社会的な孤立を抱えた方々への早期介入と包括的な支援を可能にした点で戦後の貧困支援の歴史における重要な制度的進展のひとつとして位置づけられています。
現代の貧困支援の課題と展望
現代の日本の貧困支援が抱える主な課題と展望があります。
生活保護の捕捉率の低さが依然として重要な課題のひとつです。受給資格があるにもかかわらず生活保護を申請していない方が多いとされており申請へのハードルの低減と情報提供の充実が重要な課題として残っています。
子どもの貧困問題への対応が現代の重要な政策課題のひとつです。2013年に制定された子どもの貧困対策の推進に関する法律に基づいた取り組みが進められていますが教育格差と貧困の世代間連鎖への対処が引き続き重要な課題となっています。
孤独と社会的孤立への対処が新たな貧困支援の課題として認識されるようになっています。経済的な困窮だけでなく社会的なつながりの欠如が生活困難を深刻化させるという認識から包括的な支援体制の整備が求められています。
戦後日本の貧困支援は緊急の戦後復興支援から生活保護法の制定、高度経済成長期の制度拡充、バブル崩壊後の新たな貧困問題への対応、生活困窮者自立支援法の制定という歴史的な変遷をたどってきました。
経済的な支援だけでなく就労支援と社会参加への包括的な支援体制の整備という方向性は戦後の歴史から学んだ重要な知見のひとつとして現代の生活困窮支援制度に引き継がれています。
