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韓国の生活保護制度に関心があるのに「韓国で生活保護の扶養義務が廃止または緩和された経緯と内容を知りたい」「韓国の扶養義務廃止が日本の生活保護制度の議論にどのような影響を与えるか理解したい」という方はいらっしゃいませんか。
韓国の生活保護制度における扶養義務の見直しは日本の生活保護制度の課題を考えるうえでも重要な参考事例のひとつです。本記事では韓国の生活保護制度における扶養義務廃止の動向と日本への示唆をわかりやすく解説します。
韓国の生活保護制度の基本的な仕組み
韓国の生活保護制度の基本的な仕組みを理解しておくことが重要です。
韓国の生活保護制度は国民基礎生活保障制度と呼ばれており2000年に制定された国民基礎生活保障法に基づいて運用されています。
生活扶助、医療扶助、住宅扶助、教育扶助など複数の給付から構成されており日本の生活保護制度と類似した構造を持っています。
韓国の国民基礎生活保障制度は制定当初から扶養義務者基準という制度が設けられており受給申請者に扶養能力のある家族がいる場合は受給資格が認められないという厳しい要件が設定されていました。
この扶養義務者基準が実質的なセーフティネットの機能を著しく制限するとして長年にわたって批判されてきました。
扶養義務者基準が引き起こした問題
韓国の扶養義務者基準が引き起こした深刻な問題を理解しておくことが重要です。
扶養義務者基準によって受給資格があるにもかかわらず支援を受けられない方が多数存在するという問題が生じました。
家族がいるというだけで実際には扶養を受けていないにもかかわらず受給資格が認められないケースが多く発生しました。
家族関係が断絶していたり疎遠な関係にあったりする場合でも扶養義務者の存在だけで受給が認められないという問題が深刻な社会問題として認識されました。
2014年に起きた松坡区の母娘死亡事件は韓国社会に大きな衝撃を与えました。
経済的な困窮により母親と2人の娘が亡くなったこの事件では扶養義務者基準によって生活保護の受給資格が認められなかった可能性が指摘されて制度改革を求める世論が高まりました。
韓国での扶養義務者基準の段階的な廃止
韓国での扶養義務者基準の段階的な廃止の経緯を理解しておくことが重要です。
2015年の法改正によって国民基礎生活保障制度が生活扶助、医療扶助、住宅扶助、教育扶助の個別給付制度に再編されました。
この再編によって各給付ごとに受給要件が設定されることになり一部の給付では扶養義務者基準が緩和されました。
2018年には住宅扶助と教育扶助において扶養義務者基準が廃止されました。これによって扶養義務者がいても住居と教育に関する支援を受けやすくなりました。
2021年には生活扶助と医療扶助においても扶養義務者基準が大幅に緩和されました。
扶養義務者が一定の収入以下の場合や扶養義務者に障がいがある場合などを除いて扶養義務者基準が適用されなくなる方向への改革が進められました。
扶養義務者基準廃止の効果
韓国での扶養義務者基準廃止が与えた効果を理解しておくことが重要です。
受給者数の増加が廃止の主な効果のひとつです。
扶養義務者基準の緩和と廃止によってこれまで受給資格があるにもかかわらず支援を受けられなかった方々が制度を利用できるようになりました。
制度の捕捉率の向上も重要な効果のひとつです。
支援が必要な方に実際に支援が届くという社会保障制度の本来の機能が改善されることで貧困の深刻化を防ぐ効果が期待されています。
申請へのハードルの低下も重要な効果のひとつです。
家族に知られることへの懸念から申請を躊躇していた方が申請しやすくなったという効果が報告されています。
日本の扶養照会制度との比較
韓国の扶養義務者基準廃止と日本の生活保護制度における扶養照会制度との比較を理解しておくことが重要です。
日本の生活保護制度では申請者に扶養義務者がいる場合に福祉事務所が扶養義務者に対して扶養の可能性を照会する扶養照会という手続きが行われます。
この扶養照会が家族への周知を恐れた申請への躊躇につながっているという批判が長年にわたって続いています。
日本では2021年に厚生労働省が扶養照会の運用を見直して明らかに扶養能力がない場合や関係が断絶している場合は照会を行わないという方針が示されました。
ただし扶養照会の制度自体は維持されており韓国のような扶養義務者基準の廃止には至っていません。
韓国の改革の経験は日本での扶養照会制度の見直しと生活保護の申請しやすい環境の整備についての議論において重要な参考事例のひとつとなっています。
韓国の改革が日本の生活保護議論に与える示唆
韓国の扶養義務者基準廃止が日本の生活保護制度をめぐる議論に与える示唆があります。
扶養義務の要件が制度の捕捉率を著しく低下させるという問題は日韓共通の課題のひとつです。
韓国での改革がもたらした受給者数の増加と制度の捕捉率向上という効果は日本での議論においても重要な参考事例となります。
家族関係の多様化と核家族化が進む現代社会において扶養義務を前提とした制度設計の見直しが必要であるという認識が両国で共有されつつあることも重要な共通点のひとつです。
制度改革に伴う財政への影響と社会的なセーフティネットの強化という観点のバランスをどのように取るかが両国共通の課題として残っています。
扶養義務と生活保護に関する日本の現状と課題
日本の生活保護制度における扶養義務に関連した現状と課題を理解しておくことが重要です。
日本では生活保護の捕捉率が欧米や韓国と比べて著しく低いとされており支援が必要な方に制度が届いていないという問題が指摘されています。
扶養照会への懸念以外にも生活保護への社会的なスティグマ、申請窓口での水際作戦と呼ばれる申請抑制、制度への情報アクセスの困難さなど複合的な要因が捕捉率の低さにつながっているとされています。
韓国の改革事例を参考にしながら日本でも申請しやすい制度設計と運用の改善が重要な政策課題として議論されています。
韓国の国民基礎生活保障制度における扶養義務者基準の段階的な廃止は松坡区の母娘死亡事件を契機として高まった制度改革への世論を背景に2015年の制度再編から2021年の大幅緩和へと段階的に実現しました。
韓国の改革がもたらした制度の捕捉率向上という効果は日本の扶養照会制度の見直しと生活保護の申請しやすい環境の整備についての議論において重要な示唆を提供しています。
