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精神障がいを抱えながら子育てをしている方にとって、子どもの不登校は心身に大きな影響を与える出来事です。 仕事と家庭の両立に悩み、転職や働き方の見直しを考える方も少なくありません。 ここでは、不登校と精神障害が重なる状況での向き合い方から、両立しやすい働き方の選択肢、利用できる支援制度までをわかりやすく解説します。
子どもの不登校が増えている背景
近年、不登校の子どもは全国的に増加傾向にあります。 文部科学省の調査では、小中学校での不登校児童生徒数は年々増えており、過去最多を更新し続けている状況です。 高校生の不登校も同様に増えており、社会全体の課題となっています。
不登校の理由はさまざまです。 学校での人間関係の悩み、学業へのプレッシャー、感覚過敏や発達特性による負担、家庭環境の変化、新型コロナウイルス流行後の社会的な変化など、複数の要因が絡み合っているケースが多く見られます。
近年では、不登校を子どもの問題行動と捉えるのではなく、子どもの状態に応じた多様な学びを認める方向へと、社会の見方も変わってきました。 2017年に施行された教育機会確保法によって、フリースクールやオンライン学習など、学校以外の学びの場が積極的に認められるようになっています。
子どもが不登校になることは、本人だけでなく親にとっても大きな出来事です。 特に精神障害のある親にとっては、自分の体調管理と子どものケアを両立する難しさが、心身の負担となって表れることがあります。
精神障害のある親が直面しやすい悩み
子どもの不登校と自分の精神障害が重なるとき、親はさまざまな悩みに直面します。 共通して感じやすい困難を整理してみましょう。
まず、自責の念に駆られやすい点が挙げられます。 わたしの病気のせいで子どもがつらい思いをしているのではないか、もっとしっかりしていれば不登校にならなかったのではないかと、自分を責める気持ちが強くなることがあります。 こうした感情は、うつ症状や不安障害の悪化につながることもあります。
体力的な負担も大きな課題です。 不登校の子どもは、日中も家にいることが多くなります。 親が日中働いていると、子どもとどう関わるかという問題に向き合うことになりますし、在宅で仕事をする場合は、子どもの存在と業務の両立に悩むことになります。
精神面の負担として、孤立感を感じやすい点も挙げられます。 精神障害のある自分への偏見、不登校の子どもを持つ親への偏見が重なり、誰にも相談できないという感覚に陥ることがあります。 ママ友や近所の人との関わりを避けるようになり、社会的なつながりが薄れていくケースも見られます。
経済的な不安も無視できません。 子どものケアのために働く時間を減らさざるをえなかったり、フリースクールや家庭教師など、追加の費用が発生したりすることで、家計が圧迫されることがあります。 精神障害があると安定した雇用に就きにくい状況も重なり、経済面の不安が日々のストレスを高めます。
夫婦や家族との温度差も、悩みの種になります。 不登校への対応をめぐって意見が分かれたり、精神障害への理解が得られなかったりすると、家庭内のサポート体制が弱まり、ひとりで抱え込む状況が生まれます。
両立しやすい働き方の選択肢
子どものケアと自分の体調管理を両立するためには、働き方の見直しが大きな鍵になります。 代表的な選択肢を見ていきましょう。
在宅勤務やテレワークが可能な仕事は、最も有力な選択肢です。 通勤の負担がなく、子どもの様子を見守りながら働けるため、不登校の子どもがいる家庭に適した働き方です。 ITエンジニア、ウェブデザイナー、ライター、データ入力、カスタマーサポート、オンライン講師など、在宅で完結できる職種が増えており、選択肢が広がっています。
時短勤務やフレックスタイム制度のある職場も、両立しやすい環境です。 子どもの体調や気持ちに合わせて、朝の時間を子どものケアに充て、午後から働くといった柔軟な対応ができます。 精神障害による通院との両立にも、こうした制度は役立ちます。
パートタイムや派遣社員という選択肢も検討に値します。 正社員ほどの責任を負わず、自分の体調と家族の状況に合わせて勤務時間を調整できるため、両立の負担を抑えやすくなります。 時間に余裕を持ちながら、収入を得るバランスの取り方が可能です。
フリーランスやクラウドソーシングという働き方も、近年広がっています。 自分のペースで仕事を選び、納期さえ守れば作業時間を自由に決められるため、子どもの状況に合わせた働き方が実現します。 ライティング、デザイン、プログラミング、SNS運用代行など、得意分野を活かせる案件が豊富にあります。
就労継続支援B型は、雇用契約を結ばずに自分のペースで通える福祉サービスです。 体調や子どものケアを優先しながら、無理のない範囲で作業に取り組み、工賃を得ることができます。 精神障害のある方が安心して通える環境が整えられており、就労に向けた準備段階としても活用できます。
副業として小さく始める方法もあります。 本業を続けながら、空いた時間で副業を試してみることで、リスクを抑えながら新しい働き方を試せます。 副業の経験を積んだうえで、より柔軟な働き方への移行を検討することもできます。
転職を考えるときの準備
働き方を見直して転職を考える際は、いくつかのポイントを意識して準備を進めることが大切です。
まず、自分と家族の状況を整理することから始めましょう。 子どもの不登校の状況、自分の体調、家計の状況、家族のサポート体制などを一覧にまとめてみると、必要な働き方の条件が見えてきます。
譲れない条件と妥協できる条件を分けて整理することも有効です。 通勤時間、勤務時間、給与、業務内容、テレワークの可否など、優先順位を明確にしておくと、求人を選ぶ際の判断軸がぶれません。
合理的配慮の希望もまとめておきましょう。 精神障害の特性に基づく配慮、子どもの状況に応じた柔軟な勤務、通院や面談への対応など、自分が必要としているサポートを具体的に言語化しておくと、面接でも伝えやすくなります。
家計の見直しも、転職前の大切な準備です。 収入が一時的に下がる可能性を考慮して、貯蓄や支出のバランスを確認しましょう。 失業給付や住居確保給付金など、利用できる公的支援も視野に入れておくと安心です。
利用できる支援制度
子どもの不登校と精神障害を抱える家庭が利用できる支援制度はいくつもあります。 ひとりで抱え込まず、利用できるサポートを積極的に活用しましょう。
教育委員会の教育支援センターは、不登校の子どもとその家庭を支援する公的な窓口です。 学校への復帰を急がず、子どものペースに合わせた学習支援や相談を受けられます。 親としての悩みを聞いてくれるスタッフがいることも、大きな支えになります。
スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーも、活用できる相談先です。 学校に常駐していなくても、定期的に相談できる仕組みが整っている場合があります。 親子それぞれの悩みを別々に聞いてくれることも多く、家庭全体のサポートが期待できます。
フリースクールや適応指導教室は、学校以外の学びの場として広がっています。 子どもが安心して過ごせる場所があることで、親も自分の時間や仕事の時間を確保しやすくなります。 自治体によっては利用料の補助を受けられる場合もあります。
オンライン学習サービスも、近年充実してきています。 家庭で自分のペースで学べる仕組みは、不登校の子どもにとって大きな選択肢です。 学習進度の見える化や、オンライン家庭教師との連携など、子どもの自律的な学びを支える環境が整いつつあります。
児童相談所や子ども家庭支援センターは、家庭の悩み全般を相談できる窓口です。 児童福祉に関する専門知識を持つスタッフが、子どもと家庭の状況に応じた支援を提案してくれます。
精神保健福祉センターや保健所は、精神障害のある親の相談先として利用できます。 自分の体調管理と子育ての両立について、専門スタッフからアドバイスを受けられます。
障害者就業生活支援センターは、就労と生活を一体的に支える機関です。 転職活動から職場での配慮、家庭との両立まで、長期的に寄り添ってくれる頼もしい存在です。
経済面の支援としては、就学援助、児童扶養手当、ひとり親家庭等医療費助成、自立支援医療制度などがあります。 所得に応じて利用できる制度が変わるため、お住まいの自治体で確認しましょう。
家庭内での過ごし方の工夫
仕事と子どものケアを両立するためには、家庭内での過ごし方にも工夫が必要です。
子どもとの距離感を意識することが、心の余裕につながります。 不登校だからといって常に寄り添わなければと考えると、親自身が消耗してしまいます。 子どもが自分の時間を持つこと、親も自分の時間を持つことを尊重し合う姿勢が、長い目で見て両者の支えになります。
家事の効率化も、心身の負担を減らすために役立ちます。 食事の宅配サービス、家事代行、自動掃除機など、利用できる便利な仕組みを取り入れることで、自分の時間を生み出せます。 子どもが家事に参加することも、本人の自立心を育てる機会になります。
休む時間を意識的に確保することも欠かせません。 精神障害のある方にとって、休息は治療の一部です。 誰にも気を遣わない時間、好きなことに没頭する時間を作ることで、心身が回復していきます。
家族や信頼できる人とのつながりを保つことも大切です。 無理に深い付き合いをする必要はありませんが、月に一度のメール、ときどきの電話など、ゆるやかなつながりが孤立を防ぎます。
子どもへの伝え方を考える
精神障害のある親として、子どもにどう自分のことを伝えるかは、悩むテーマのひとつです。 状況に応じて、年齢や理解度に合わせた伝え方を考えていきましょう。
子どもには、過剰に詳しい説明をする必要はありません。 お母さんは少し疲れやすい体質だから、調子が悪い日は休むね、お父さんも体調を整えるために通院しているよといった、シンプルな表現で十分です。
子どもが不登校になっている時期は、親の不調を子どもが自分のせいだと感じてしまうことがあります。 あなたのせいではないこと、家族みんなで一緒にゆっくり過ごす時期があってもよいことを、折に触れて伝える姿勢が大切です。
主治医や支援者の助言を借りることもおすすめです。 精神保健福祉センターやファミリーカウンセリングなど、家族全体をサポートしてくれる機関を活用することで、無理なく対話の機会を持てます。
まとめ
子どもの不登校と精神障害が重なる状況は、心身に大きな負担を生む場面です。 しかし、在宅勤務、時短勤務、フリーランス、就労継続支援B型など、自分と家族に合った働き方の選択肢は数多くあります。 教育支援センター、フリースクール、児童相談所、精神保健福祉センター、障害者就業生活支援センターなど、利用できる支援機関を積極的に活用しましょう。 ひとりで抱え込まず、家族や支援者とつながりながら、自分のペースで仕事と家庭の両立を目指していくことが大切です。 子どもにも自分自身にも、ゆっくりと回復する時間を許す姿勢が、長い目で見た幸せにつながります。
なお、家族の状況や自分の体調でつらい気持ちが強くなったときは、ひとりで抱え込まず専門機関に相談してください。 よりそいホットラインや、いのちの電話など、24時間対応の窓口も利用できます。 あなたとあなたの家族の心と体の健康が、何より大切な財産です。
