障害者雇用でeラーニングを受ける時の配慮|相談できること・伝え方を解説

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社内研修やコンプライアンス研修をeラーニングで受ける機会は増えています。しかし、「動画の音声だけでは内容を理解しにくい」「画面の文字が読みづらい」「長時間の受講で集中が続かない」「キーボードだけで操作できず、先に進めない」といった困りごとを抱える方もいるでしょう。

eラーニングの受講に困難があるからといって、研修への参加を諦める必要はありません。大切なのは、どの画面や操作で困るのか、どのような方法なら学びやすいのかを具体的に整理し、上司や人事へ相談することです。この記事では、障害者雇用でeラーニングを受講する際に相談できる配慮の例と、伝え方を解説します。

eラーニングで困っても、受講を諦める前に相談しよう

eラーニングは自分のペースで受講できる一方、動画、音声、画面操作、理解度テスト、受講期限など、複数の要素が含まれます。困りごとの原因は人によって異なります。聴覚に障害があるため音声情報を受け取りにくい場合もあれば、視覚の特性で小さな文字や色の区別が難しい場合、発達障害・精神障害などの特性により長時間の集中や情報量の多い画面が負担になる場合もあります。

厚生労働省は、雇用分野における障害者への差別禁止と、過重な負担にならない範囲での合理的配慮の提供義務を案内しています。[1] eラーニングの受講でも、本人がどのような場面で困るかを伝え、代替手段や受講方法を相談することが、働くための環境を整える第一歩になります。

相談することは、「研修を受けたくない」という意味ではありません。内容を正確に理解し、必要な研修を受けられるようにするための確認です。締切直前ではなく、研修の案内を受け取った段階で早めに相談しましょう。

eラーニングで相談できる配慮の例

利用している研修システムの機能や研修内容によって、対応できることは異なります。以下は、困りごとに応じて相談できる可能性がある工夫の例です。

困りやすい場面相談できる工夫の例確認したいこと
動画の音声が聞き取りにくい字幕、文字起こし、研修資料、要点をまとめたテキスト字幕の有無、資料を事前・事後に共有できるか
文字や画面が見えにくい拡大表示、資料のデータ提供、読み上げ機能との相性の確認画面拡大・キーボード操作に対応しているか
情報量が多く理解しにくい受講を短い単位に分ける、要点の事前説明、質問時間動画の再生速度、一時停止、繰り返し視聴ができるか
長時間の受講で疲労が強い休憩を挟む、受講日を分ける、期限を相談する一度に受ける必要があるか、受講履歴が保存されるか
テストや操作でつまずく操作説明、別の提出方法、担当者による補助代替の受講・確認方法を用意できるか

厚生労働省は、ウェブコンテンツについて、高齢者・障害者が支障なく利用できるようアクセシビリティの確保・向上に取り組む方針を示しています。[2] ただし、すべてのeラーニングシステムに同じ機能があるわけではありません。機能の有無を確認したうえで、資料の提供や別途の説明など、利用できる方法を一緒に考えることが現実的です。

相談前に整理したい4つのこと

「eラーニングが苦手です」とだけ伝えると、相手はどのような支援が必要か判断しにくい場合があります。相談する前に、次の4点をメモしておきましょう。

  1. 受講する研修の内容:研修名、受講期限、動画・資料・テストの有無、想定される受講時間を確認します。
  2. 困る場面:音声、字幕、文字の大きさ、操作、集中、テストなど、実際に困る箇所を具体化します。
  3. 自分でできる工夫:イヤホンを使う、画面を拡大する、メモを取る、短い時間に分けるなど、すでに試せることを整理します。
  4. 希望する方法:資料の事前共有、字幕、受講期限の相談、質問時間、代替手段など、必要な支援を一つか二つに絞ります。

例えば、「動画が見づらい」ではなく、「画面内の小さな文字を読むのに時間がかかるため、スライド資料をPDFまたはテキストで事前に確認したい」と伝えると、相談内容が明確になります。また、「90分続けて受講すると集中が難しいため、30分ずつに分けて受講したい」のように、時間の目安も添えると調整しやすくなります。

上司・人事へ伝える時の進め方

eラーニングの案内が届いたら、まず直属の上司または研修担当者に相談先を確認します。研修の締切や受講方法を把握したうえで、困る場面と希望する工夫を伝えましょう。

相談は、次の順で進めると分かりやすくなります。

  1. 研修を受ける意思があることを伝える。
  2. 受講時に困る場面を具体的に説明する。
  3. 希望する方法を一つ提案する。
  4. 利用できる機能や代替手段、担当者を一緒に確認する。

一度の相談で最適な方法が決まらないこともあります。その場合は、最初に一部を試し、「この方法で内容を理解できたか」「期限内に受講できそうか」を確認してから、必要に応じて追加の相談を行います。受講の進み具合や困りごとを早めに共有すると、締切間際のトラブルを防ぎやすくなります。

相談に使える例文

「案内いただいたeラーニングを受講したいと考えています。動画の音声だけでは内容の理解に時間がかかるため、字幕または資料を確認できる方法があるか、教えていただけますか。」

「画面内の文字を読むのに時間がかかるため、研修資料を事前にデータで確認できると助かります。資料の共有や、内容を確認するための質問時間をお願いすることは可能でしょうか。」

「長時間続けて受講すると集中が続きにくいため、研修を30分ずつに分けて進めたいです。受講履歴が保存されるか、期限内に分割して受講できるかを確認させてください。」

伝える時は、障害名を詳しく説明するよりも、研修のどの部分で困るか、どの方法なら参加しやすいかを中心に話すと、相手も対応を考えやすくなります。

配慮後も受講しづらい時の対応

資料を受け取っても理解が進まない、字幕があっても内容を追いにくい、操作ができないなど、最初の工夫で解決しないこともあります。その場合は、「どの画面で止まったか」「どの説明が分かりにくかったか」「どの程度受講できたか」を記録し、再度相談しましょう。

上司だけで解決が難しい時は、人事、研修担当、障害者雇用の担当者、社内の情報システム部門など、関係する担当者に相談先を広げる方法もあります。研修の目的を満たすために、資料での学習、個別説明、別の確認方法などを検討できる場合があります。

相談した内容と決まったことは、メールやチャットで簡単に残しておくと安心です。研修の受講方法は、次回以降の社内研修でも役立つことがあります。自分に合った学び方を共有することは、継続して働き、成長するための環境づくりにつながります。

まとめ:eラーニングの配慮は「理解して参加する」ための相談

障害者雇用でeラーニングを受講する際は、字幕や資料、画面操作、受講時間、質問方法などについて相談できる可能性があります。まずは、どの場面で困るのか、どのような方法なら理解しやすいのかを具体的に整理しましょう。

利用できる機能や代替手段は会社や研修システムによって異なりますが、受講を諦める前に上司・人事・研修担当へ相談することが大切です。早めに伝え、試しながら調整することで、必要な研修を自分に合った方法で受けやすくなります。

参考文献

  1. 厚生労働省「雇用分野における障害者への差別禁止・合理的配慮」
  2. 厚生労働省「アクセシビリティについて」
いろとりどり編集部

この記事の監修・運営

就労継続支援B型 いろとりどり編集部

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