障害者雇用で上司が変わった時の配慮の伝え方|引継ぎ・相談の進め方を解説

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障害者雇用で働いていて、直属の上司が異動・退職・昇進などで変わると、「これまで相談していた配慮は引き継がれるだろうか」「新しい上司にまた一から説明しなければならないのか」と不安になることがあります。仕事の進め方や相談相手が変わることは、障害の有無にかかわらず負担になりやすい出来事です。

特に、口頭での指示を文面でも確認している、通院と勤務を両立している、業務量を段階的に調整しているなど、日々の働き方に関わる配慮は、新しい上司との認識がずれると困りごとにつながる場合があります。大切なのは、障害に関する情報を必要以上に話すことではなく、仕事を進めるために必要な内容を整理し、本人が納得できる範囲で共有することです。

障害者雇用で上司が変わる時に不安になりやすいこと

上司が交代すると、これまでの仕事の進め方が変わる可能性があります。新しい上司が自分の担当業務や得意なことを十分に把握していない、配慮の背景を知らない、相談しやすいタイミングが分からないといった状況が起きやすいためです。

例えば、「指示を急に口頭で受けると優先順位を整理しにくい」「体調が悪い時は短時間の休憩が必要」「業務量を増やす際は事前の説明と試行期間がほしい」といった内容は、本人が安定して働くための具体的な工夫です。新しい上司がこれを知らなければ、以前は問題なくできていた仕事にも負担を感じることがあります。

JEEDが紹介する合理的配慮事例では、作業指示者の異動時に、本人の状況を把握しながら事業所と打合せを行い、職場定着を図った取組が紹介されています。[1] すべての会社に同じ対応があるわけではありませんが、上司交代を配慮事項の見直し・相談の機会と捉えることが大切です。

まず整理したい「新しい上司に伝えること」

引継ぎでは、障害名や診断の詳細ではなく、業務を進めるために必要な情報を中心に整理します。新しい上司へ伝える内容は、次の4つに分けると分かりやすくなります。

整理する内容伝える例伝える目的
担当業務と得意な進め方現在の業務、作業の手順、得意な業務、確認に時間がかかる作業役割と働き方を理解してもらう
必要な配慮指示を文面で確認する、優先順位を明確にする、休憩の相談をする日常業務で困りやすい場面を減らす
相談の方法相談しやすい連絡手段、急ぎの場合の連絡先、面談の頻度困った時に早めに相談できるようにする
見直したい時期1か月後の面談、業務変更後の振り返り、体調の変化があった時配慮が今も合っているか確認する

一度にすべてを説明しようとすると負担が大きくなります。まずは「今の業務を続ける上で特に重要なこと」を二つか三つに絞りましょう。例えば、業務の優先順位、指示の受け方、体調不良時の相談先を最初に共有し、必要に応じて後から補足する方法があります。

配慮事項の共有範囲は本人が決める

上司が変わったからといって、障害に関する情報を自動的にすべて共有する必要はありません。JEEDは、障害特性、配慮事項、本人の希望などを社内で共有する際には、共有する内容と範囲を本人の同意のもとで確認しておく必要があると案内しています。[2]

たとえば、配属先の上司には「業務指示をチャットでも確認できると進めやすい」と伝え、人事担当者には通院に関する相談もできるようにする、といった分け方が考えられます。何を誰に伝えるかは、本人が納得できる範囲で決めましょう。

共有の目的は、個人情報を詳しく説明することではなく、必要な配慮を実行できるようにすることです。「どのような配慮が必要か」「誰に相談できるか」が分かれば、診断名や過去の詳しい経緯まで共有しなくても、業務上の支援につながる場合があります。

新しい上司との初回面談で確認したい4項目

上司交代後に面談の機会があれば、次の4項目を確認してみましょう。面談時間が短い場合は、事前に確認したい内容をメモやメールで送っておくと、話がまとまりやすくなります。

  1. 現在の担当業務と優先順位:何を最優先に行うか、業務が追加された時に何を調整するかを確認します。
  2. 指示・報告の方法:口頭、メール、チャット、定例ミーティングなど、指示を理解しやすく、質問しやすい方法を相談します。
  3. 相談先と連絡方法:上司が不在の時の相談先、急ぎの時の連絡手段、体調面を相談する担当者を確認します。
  4. 振り返りの時期:上司交代後1か月程度を目安に、働き方や配慮が合っているかを確認する面談を設定します。

JEEDは、社内で支援を行う担当者について、その役割を本人に伝えることが必要であると説明しています。[2] 新しい上司だけでなく、人事担当者、障害者雇用担当者、同僚など、どのような役割の人に相談できるかを把握しておくと安心です。

相談・伝え方の例文

「着任されたばかりのお忙しい時期に恐縮ですが、現在の業務の進め方と、仕事を安定して行うためにお願いしている点について、10分ほど確認させていただけますか。」

「私は複数の依頼が重なると優先順位の判断に時間がかかることがあります。これまでは、急ぎの仕事がある時はチャットで期限を確認して進めていました。今後も同じ方法で相談してよいでしょうか。」

「体調面で相談が必要な時に、まずはどなたへ連絡すればよいか確認したいです。また、1か月後に今の進め方で問題がないか、振り返る機会をいただけますか。」

話す時は、「前の上司はこうしてくれた」と比較するよりも、「この方法だと仕事を正確に進めやすいです」「この点を確認できると安心して働けます」と、現在の業務に必要な理由を伝えると受け止められやすくなります。

引継ぎ後に配慮が機能しない時の対応

面談で伝えた内容が実行されない、以前より困りごとが増えた場合は、我慢を続けずにもう一度相談しましょう。その際は、「いつ、どの業務で、何が起きたか」「どのような影響が出たか」「どのような方法を試したいか」をメモにして伝えると、状況を共有しやすくなります。

例えば、「口頭の指示だけでは抜け漏れが出ることがあったため、依頼内容をチャットでも確認できるようにしたい」「上司が不在の日に相談先が分からず作業が止まったため、代わりの連絡先を決めたい」といった伝え方ができます。

直属の上司へ相談しにくい場合は、人事、障害者雇用の担当者、社内の相談窓口、外部の支援機関などにも相談先を広げましょう。相談内容と決まったことは、メールやチャットで簡単に記録しておくと、引継ぎ後の認識違いを防ぐ助けになります。

まとめ:上司交代は、配慮を「今の働き方」に合わせ直す機会

障害者雇用で上司が変わった時は、担当業務、必要な配慮、相談方法、見直し時期を整理し、早めに新しい上司と共有することが大切です。共有する情報は、本人の同意のもとで必要な範囲にとどめましょう。

上司交代は不安を感じやすい出来事ですが、これまでの配慮が今の業務にも合っているかを見直す機会でもあります。最初から完璧な引継ぎを目指す必要はありません。少しずつ話し合い、相談しやすい関係と働きやすい環境をつくっていきましょう。

参考文献

  1. 独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED)「精神障害者の事務職における合理的配慮事例」
  2. 独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED)「採用決定後の取組(労働条件、職務内容、社内支援担当者)」
いろとりどり編集部

この記事の監修・運営

就労継続支援B型 いろとりどり編集部

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