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銀行に預けたまま、長い間使っていない普通預金。
実は、個人の普通預金も、一定の条件を満たすと「休眠預金」となり、NPOなどの公益活動を支える資金として活用されることがあります。
この仕組みが「休眠預金等活用制度」です。
社会課題の解決に取り組む団体にとって、休眠預金を活用した助成金は重要な資金源の一つです。
一方で、預金者の大切な財産を原資とするからこそ、資金の使い道を明確にし、不正や不適切な管理を防ぐことが欠かせません。

この記事では、休眠預金等活用制度の仕組みから、不正防止の取り組み、助成を受ける団体に求められる管理体制まで、分かりやすく解説します。
休眠預金等活用制度とはどのような仕組みか

休眠預金とは、銀行などの金融機関に預けられたまま、10年以上にわたって入出金などの取引がない預金のことです。
対象には、個人が日常的に利用する普通預金や定期預金なども含まれます。
2009年1月1日以降に最後の異動があった預金などのうち、その後10年以上取引がないものが対象となり、休眠預金等活用法に基づいて、民間の公益活動に活用される仕組みになっています。
休眠預金になっても、預金者は原則として払い戻しを受けることができます。
預金者の権利を守りながら、長期間使われていない預金を社会課題の解決に役立てることが制度の目的です。
資金は、NPO法人など公益活動を担う団体に対し、助成・融資・出資といった形で提供されます。
個人や企業が金融機関に預けたまま長期間使っていないお金が、子どもや若者の支援、生活困窮者の支援、地域活性化などに取り組む団体の活動を支える資金として活用されるのです。
なぜ助成金の不正や不適切な管理が問題になるのか

休眠預金は、もともと預金者に帰属する財産です。
公益のために活用されるからこそ、資金の使い道には高い透明性と説明責任が求められます。
しかし、助成金の管理にはさまざまなリスクがあります。
例えば、申請時に提出した計画と実際の事業内容が大きく異なっていたり、経費の使い道が不明確になっていたりするケースです。
こうした問題は、休眠預金活用事業に限らず、公的な助成制度全般に共通する課題といえます。
不正受給や不適切な会計処理が発覚すると、助成制度そのものへの信頼が損なわれ、本来支援を必要としている団体にも影響が及ぶ可能性があります。
そのため、資金を提供する側だけでなく、受け取る団体にも適切な管理体制が求められます。
休眠預金活用制度ではどのように不正を防いでいるのか

休眠預金等活用制度には、資金が適切に使われるよう、事業の審査や実施状況の確認、監査などの仕組みが設けられています。
制度の中核を担うのが、一般財団法人日本民間公益活動連携機構(JANPIA)です。JANPIAは、休眠預金等活用法に基づき、内閣総理大臣から指定を受けた「指定活用団体」として制度を運営しています。
JANPIAでは、事業の公募・審査から、実施中の伴走支援、社会的インパクト評価、ガバナンス・コンプライアンス体制の整備、情報公開、事業終了後の監査まで、さまざまな段階で確認を行います。
助成金を交付して終わりにするのではなく、事業の開始から終了後まで、資金の使い道や活動の進捗を確認する仕組みが整えられている点が特徴です。
助成を受ける団体に求められる管理体制

休眠預金を活用した助成を受ける団体には、資金の適切な管理だけでなく、組織全体のガバナンスやコンプライアンス体制の整備も求められます。
ガバナンスとは、組織が適切に運営されるための管理や監督の仕組みです。
コンプライアンスは、法令やルールを守り、社会的な責任を果たすことを意味します。
大切なのは、事業を実施する力だけでなく、資金を適切に管理し、その使い道をきちんと説明できる組織基盤を整えることです。
支援の対象には、事業の計画づくりやネットワーク形成だけでなく、組織運営や資金管理の体制づくりも含まれています。
小規模なNPOにとっては、こうした体制を一から整えることが負担になる場合もあります。
しかし、活動支援団体などによる伴走支援を活用しながら、組織の規模や実情に応じて、段階的に管理体制を強化していくことも可能です。
助成金を扱う団体が注意したいポイント

助成金の不適切な管理を防ぐためには、日頃からの会計処理や組織内の確認体制が重要です。
まず、助成金の使い道を事業計画や予算書と照らし合わせ、支出の内容を正確に記録することが基本となります。
領収書や契約書などの証拠となる書類を整理し、いつでも支出の根拠を説明できる状態にしておくことが大切です。
また、資金管理を一人の担当者に任せきりにせず、複数人で確認する仕組みを整えることも重要です。
複数人で確認することで、不適切な処理を発見しやすくなるだけでなく、担当者に負担が集中することも防げます。
さらに、事業の進捗や資金の使い道について、定期的に助成元などへ報告することも、組織の透明性を高めることにつながります。
「記録を残す」「複数人で確認する」「定期的に報告する」という基本を徹底することが、不正や不適切な管理を防ぐ第一歩です。
不適切な事案が発覚した場合の影響

助成金の不適切な使用や、申請時の計画と実際の事業内容との大きな食い違いが発覚した場合、助成の停止や資金の返還を求められる可能性があります。
影響は金銭面だけにとどまりません。
団体の社会的信用が損なわれれば、今後の助成金の申請や寄付による資金調達にも影響が及ぶおそれがあります。
福祉分野で活動する団体の場合、支援を必要とする利用者やその家族との信頼関係にも関わります。
不適切な資金管理は、団体の活動継続そのものを揺るがしかねない問題です。
だからこそ、問題が起きてから対応するのではなく、日頃から予防する仕組みを整えておくことが重要です。
困ったときの相談先

休眠預金活用事業の申請や助成金の管理について分からないことがある場合は、JANPIAや各地域の資金分配団体に相談することができます。
ガバナンスやコンプライアンス体制の構築に不安がある場合は、活動支援団体による伴走支援を活用する方法もあります。
専門的なアドバイスを受けながら、団体の実情に合った管理体制を整えていくことが大切です。
不安や疑問を抱えたままにせず、早い段階で相談することが、適切な資金管理と組織運営につながります。
まとめ
休眠預金は、決して自分とは関係のない特別な制度ではありません。銀行に預けたまま長い間使っていない普通預金や定期預金も、一定の条件を満たすと休眠預金となり、民間の公益活動などに活用されることがあります。
ただし、預金者は所定の手続きをすれば、休眠預金となったお金を引き出すことができます。
この制度は、使われなくなった預金を社会のために役立てる仕組みですが、そのお金を預かり、事業に活用する団体には、預金者から託された大切なお金を適切に管理し、支援を必要とする人や地域のために責任を持って使うことが求められます。
不正や不適切な管理が起きれば、支援を受ける人だけでなく、制度そのものへの信頼も損なわれてしまいます。
今回の問題をきっかけに、まずは自分や家族の使っていない口座がないか確認してみることも大切です。
そして、社会のために使われるお金が、誰によって、どのように管理され、誰のために役立てられているのか。
その仕組みや責任について関心を持つことが、安心してお金を預け、社会を支える制度を守る第一歩になります。

