転職後でも諦めない障害年金の遡及請求の方法と注意点

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障害者枠で転職した方、これから転職を考えている方の中には、自分も障害年金の対象になるのではないか、過去にさかのぼって請求できると聞いた、転職してからでも遡及請求できるのか、こうした関心や疑問を持っている方は少なくありません。

障害年金は、要件を満たせば過去にさかのぼって最大5年分まで請求できる可能性がある制度ですが、手続きが複雑で、書類の準備に時間がかかり、専門知識も必要です。 転職活動と並行して年金請求を進めることは負担が大きいですが、認められれば大きな経済的支えとなります。

ここでは、障害年金の基本、遡及請求の仕組み、転職後でも請求できる理由、具体的な手続き、注意点、利用できる支援について解説していきます。

障害年金の基本

まず、障害年金の基本を整理しておきましょう。

障害年金は、病気やケガで生活や仕事に支障がある方が受け取れる公的年金制度です。 20歳以上で要件を満たせば、年齢にかかわらず受給できます。

障害年金には、障害基礎年金と障害厚生年金の二種類があります。 障害基礎年金は、国民年金加入中、20歳前、60歳から65歳までの間に初診日がある方が対象です。 障害厚生年金は、厚生年金加入中に初診日がある方が対象で、障害基礎年金に上乗せされる形で支給されます。

対象となる障がいは、幅広くあります。 精神疾患(うつ病、双極性障害、統合失調症、不安障害、発達障害など)、身体障害、内部障害(心臓、腎臓、肝臓、糖尿病など)、知的障害、難病など、ほぼあらゆる障がいが対象となり得ます。

受給には、複数の要件を満たす必要があります。 初診日要件、保険料納付要件、障害認定日要件、障害状態の要件の4つが基本です。

障害年金の金額は、等級や加入していた年金制度によって異なります。 障害基礎年金1級は月額約8万円、2級は月額約6万5千円が目安です。 障害厚生年金は、これに上乗せされ、加入期間と給与に応じて金額が決まります。

障害者手帳と障害年金は、別の制度です。 障害者手帳を持っていても、年金が自動的に支給されるわけではありません。 年金を受給するには、別途請求手続きが必要です。

これらの基本を理解した上で、遡及請求について見ていきましょう。

遡及請求の仕組み

遡及請求は、障害認定日にさかのぼって障害年金を請求する方法です。

障害認定日は、初診日から1年6カ月経過した日、または1年6カ月以内に症状が固定した日です。 この日に障害等級に該当する状態であれば、その時点から年金を受給できる可能性があります。

しかし、障害認定日に請求しなかった場合、後から認定日にさかのぼって請求することができます。 これが遡及請求と呼ばれる手続きです。

遡及請求が認められると、認定日から請求日までの分が、まとめて支給されます。 最大5年分まで受け取ることができ、数百万円の一時金になることもあります。

ただし、時効があります。 請求月から数えて5年以上前の年金は、消滅時効により受け取れません。

たとえば、障害認定日から10年経って遡及請求した場合、過去5年分は受け取れますが、それ以前の5年分は受け取れません。

遡及請求が認められるためには、障害認定日時点での障害状態を証明する必要があります。 当時の診断書、カルテ、医療記録などが、重要な証拠となります。

遡及請求と同時に、現在の状態での請求も行います。 事後重症請求と呼ばれる、現在の状態での請求と組み合わせることで、過去から現在まで継続的な受給が可能になります。

転職後でも遡及請求できる理由

転職後でも遡及請求できる理由を、整理しておきましょう。

障害年金の請求は、転職とは関係ない手続きです。 今の勤務先がどこかではなく、初診日にどの年金制度に加入していたかが重要となります。

初診日の年金制度で、受給する年金の種類が決まります。 初診日に厚生年金加入中なら障害厚生年金、国民年金加入中なら障害基礎年金です。

転職しても、初診日の事実は変わりません。 過去に厚生年金加入中に発症していれば、現在違う会社で働いていても、障害厚生年金の対象となります。

働きながら障害年金を受給することは、可能です。 受給の要件に、就労していないことは含まれていません。 ただし、障害厚生年金3級は、原則として労働制限が前提となります。

転職活動中も、請求は進められます。 請求手続きと転職活動は、別の手続きです。

障害者枠での転職に、障害年金の受給は影響しません。 むしろ、年金受給がある方が、経済的に余裕を持って転職活動ができます。

転職後の方が、請求しやすい場合もあります。 新しい職場でのストレスが少ない時期、業務に余裕がある時期に、書類準備を進められます。

ただし、初診日が前職在職中、または前職退職後の場合、当時のことを覚えている関係者の情報も大切な証拠となります。 時間が経つほど証拠を集めにくくなるため、早めに動くことをおすすめします。

遡及請求の主な要件

遡及請求の主な要件を見ていきましょう。

初診日要件は、最も基本的な要件です。 障害の原因となった病気やケガで、初めて医師の診察を受けた日が明確である必要があります。

初診日の特定は、診療録の保存期間の問題で、しばしば困難になります。 カルテの保存義務は5年ですが、それ以前のものは廃棄されていることもあります。

初診日を証明できない場合、第三者証明、健康診断記録、医療記録の関連性などで補強します。 専門家の力を借りることで、初診日を証明できることもあります。

保険料納付要件も、重要です。 初診日の前々月までの被保険者期間のうち、3分の2以上の期間で保険料を納付または免除されていることが必要です。

または、特例として、初診日が令和8年4月1日前にある場合、初診日の前々月までの直近1年間に保険料の未納がなければ要件を満たします。

障害認定日要件は、認定日に障害等級に該当する状態であることです。 当時の診断書で、障害等級に該当する状態を証明します。

障害状態の要件は、認定基準に該当する障害状態にあることです。 精神疾患、身体障害、内部障害など、それぞれの認定基準があります。

これらの要件をすべて満たすことが、遡及請求の前提となります。

要件を満たすかどうかの判断は、専門家でないと難しい部分があります。 社会保険労務士、年金事務所、無料相談窓口などで確認することが大切です。

遡及請求の手続きの流れ

遡及請求の手続きの流れを、段階的に見ていきましょう。

第一段階は、初診日の特定と証明書類の準備です。 受診状況等証明書を、初診を受けた医療機関に依頼します。 カルテが残っていない場合、第三者証明など別の方法を検討します。

第二段階は、診断書の取得です。 障害認定日時点の診断書と、現在の診断書の二通が必要です。 認定日時点の診断書は、当時の医療機関に依頼して、過去の状態について記載してもらいます。

第三段階は、病歴・就労状況等申立書の作成です。 発症から現在までの病歴、生活状況、就労状況などを、本人が記入する書類です。 詳細で具体的に書くことが、認定のポイントとなります。

第四段階は、その他の書類の準備です。 年金手帳、戸籍謄本、住民票、銀行口座情報など、必要な書類を揃えます。

第五段階は、年金事務所への提出です。 お住まいの地域の年金事務所、または市区町村の年金担当窓口に、書類一式を提出します。

第六段階は、審査です。 日本年金機構が、提出された書類をもとに審査を行います。 審査期間は通常3カ月から6カ月程度です。

第七段階は、結果の通知です。 支給決定、不支給決定、または等級の決定が、書面で通知されます。

支給決定の場合、決定後の翌月から年金が支給されます。 遡及分は、決定後にまとめて支給されます。

不支給または等級に不満がある場合、審査請求、再審査請求という不服申立て手続きがあります。

認定日時点の診断書の取得

認定日時点の診断書の取得は、遡及請求の最大の難関です。

カルテが残っているかが、最初の確認ポイントです。 診療録の法定保存期間は5年ですが、医療機関によってはそれ以上保存している場合もあります。

当時通院していた医療機関に、カルテの保存状況を問い合わせます。 カルテがあれば、当時の状態を記載した診断書を依頼できます。

カルテがない場合、対処法を考えます。 当時の処方箋、検査結果、入院記録、医療機関同士のやり取りの記録などを、可能な限り集めます。

医師の変更や医療機関の廃院も、よくある問題です。 当時の担当医が異動していても、医療機関に記録が残っていれば作成できることがあります。

診断書作成は、原則として現在の主治医ではなく、当時診療していた医師に依頼します。 ただし、当時の医師に作成依頼が難しい場合、現在の主治医が過去の記録をもとに作成することも、状況により可能な場合があります。

診断書の作成費用は、医療機関により異なります。 1通5000円から1万円程度が一般的です。 高い場合は、2万円から3万円かかることもあります。

書類が揃わなくても、諦めないことが大切です。 社会保険労務士に相談することで、別の証拠書類で補強する方法を提案してもらえることがあります。

病歴就労状況等申立書の書き方

病歴・就労状況等申立書は、遡及請求の重要な書類です。

発症から現在までの病歴を、時系列で詳しく書きます。 いつ症状が現れたか、何科を受診したか、どのような治療を受けたか、症状の変化などを記入します。

期間ごとに区切って書くことが、基本です。 3年程度の期間ごとに区切り、それぞれの期間の状況を詳述します。

具体的な症状を、書きます。 眠れない、食欲がない、人と会えないなどの抽象的な表現だけでなく、具体的にどのような困りごとがあったかを書きます。

日常生活での困りごとも、詳しく書きます。 入浴、食事、外出、家事、買い物、対人交流などの面で、どう支障があったかを書きます。

就労状況も、詳しく書きます。 休職、退職、転職、勤務時間の短縮、配慮を受けながらの就労など、就労に関する事実を記入します。

家族や周囲の支援も、書きます。 家族の援助、福祉サービスの利用、ヘルパーの導入など、支援が必要だったことを伝えます。

ありのまま、実態を書きます。 良く見せようとせず、悪く書きすぎず、実際の困難を正直に書くことが大切です。

書き慣れていない方は、専門家のサポートを受けることをおすすめします。 社会保険労務士、無料相談窓口の担当者などが、書き方をアドバイスしてくれます。

注意点1 時効と早期着手の重要性

遡及請求には、時効があることに注意が必要です。

請求月から5年以上前の年金は、消滅時効により受け取れません。 発症から長期間経っている方は、特に早期着手が大切です。

たとえば、10年前に障害状態になった方が遡及請求した場合、5年分しか受け取れません。 さらに長く待てば、受け取れる金額が減っていきます。

書類準備にも、時間がかかります。 カルテの取り寄せ、医師との調整、診断書の作成依頼など、数カ月かかることが普通です。

医療機関の廃院、医師の異動なども、時間が経つほどリスクが高まります。 現在通院している医療機関がいつまであるかは、誰にも分かりません。

転職活動の合間に、少しずつ進めることが現実的です。 一気にやろうとすると、体調を崩します。

専門家への相談は、早い段階で行うことをおすすめします。 最初の相談で、自分の状況での見通しが見えてきます。

注意点2 不支給リスクと再請求

遡及請求は、認められないリスクもあります。

不支給の理由として、いくつかのパターンがあります。 初診日が証明できない、保険料納付要件を満たさない、認定日時点の障害状態が等級に該当しないなどです。

不支給だった場合、審査請求という不服申立てができます。 決定通知から3カ月以内に、地方厚生局の社会保険審査官に申立てを行います。

審査請求でも認められない場合、再審査請求があります。 社会保険審査会に対して、2カ月以内に申立てを行います。

それでも認められない場合、訴訟という選択肢もあります。 ただし、訴訟は時間と費用がかかるため、慎重な検討が必要です。

遡及請求が認められなくても、事後重症請求(現在の状態での請求)が認められることもあります。 今の状態が障害等級に該当するなら、今から受給を開始できます。

最初の請求が不支給でも、状態が悪化した場合、再請求が可能です。 症状の悪化を証明する診断書などで、新たに請求できます。

不支給という結果に落ち込んだとしても、選択肢は残されています。 専門家と一緒に、次の手を検討することが大切です。

注意点3 メンタルへの負担

遡及請求の手続きは、精神的な負担が大きいことを知っておきましょう。

過去の症状や生活を、詳しく書く作業が辛い場合があります。 病歴・就労状況等申立書の作成中に、当時の苦しさが蘇ることがあります。

審査結果を待つ期間も、ストレスとなります。 3カ月から6カ月の審査期間中、結果が気になり続けます。

医療機関とのやり取りも、消耗します。 過去の医療機関への連絡、書類の依頼、料金の支払いなどが、続きます。

主治医と相談しながら、進めることが大切です。 自分の体調と相談しながら、無理のないペースで進めましょう。

専門家のサポートを、活用します。 社会保険労務士に依頼することで、自分の負担を大幅に減らせます。

家族や信頼できる人に、状況を共有します。 一人で抱え込まず、サポートを受けながら進めることが大切です。

時には休息を取り、心の余裕を保ちます。 書類作成を一時的にストップして、休む期間を作ることも有効です。

精神保健福祉センター、カウンセラー、自助グループなどの支援も活用します。 心の負担を分かち合える場を持つことが、大切です。

専門家への依頼

遡及請求は、専門家への依頼を強くおすすめします。

社会保険労務士は、年金請求のプロフェッショナルです。 書類作成、医師との連携、不服申立てなど、幅広くサポートしてくれます。

障害年金専門の社会保険労務士も、多くあります。 インターネット検索、紹介サイト、口コミなどで、専門家を見つけられます。

料金体系は、社労士により異なります。 着手金、成功報酬、書類作成費用などの組み合わせが一般的です。

成功報酬型を採用している社労士が多くあります。 受給が認められた場合のみ、初回入金額の数カ月分を報酬として支払う形式です。

無料相談を実施している社労士事務所も、多くあります。 最初は無料相談で、自分の状況での見通しを聞くことから始められます。

社労士選びでは、障害年金の実績と、自分との相性を見ます。 何件の障害年金請求を扱ってきたか、どのような症状の方を支援してきたかを確認します。

法テラスを通じた相談も、選択肢の一つです。 収入が一定以下の方は、無料で社会保険労務士や弁護士に相談できる場合があります。

専門家への依頼は、コストはかかりますが、認定の可能性を高め、自分の負担を減らす効果があります。

利用できる支援機関

障害年金の請求で利用できる支援機関を紹介します。

年金事務所は、最も基本的な相談窓口です。 請求書類の入手、書き方の説明、提出などができます。

街角の年金相談センターも、利用できる窓口です。 全国に設置されており、年金全般の相談ができます。

市区町村の年金担当窓口でも、相談できます。 特に国民年金加入中の方は、市役所の窓口を活用できます。

社会保険労務士は、年金請求の専門家です。 障害年金専門の社労士に依頼することで、認定率が高まる可能性があります。

法テラスは、法律相談の公的機関です。 収入が一定以下の方は、無料で相談できる場合があります。

障害者団体や難病団体の中には、年金請求のサポートをしているところもあります。 当事者団体ならではのノウハウを持っていることがあります。

主治医やソーシャルワーカーも、相談相手となります。 特に大病院のソーシャルワーカーは、年金請求のサポート経験が豊富です。

NPO法人や年金相談団体も、活用できます。 障害年金相談を専門に行っている団体があります。

精神保健福祉センターでは、生活全般の相談ができます。 年金請求の心の負担についても、相談できます。

無料相談会も、定期的に開催されています。 社労士会、弁護士会、自治体などが、年金相談会を実施しています。

まとめ

障害年金の遡及請求は、障害認定日にさかのぼって過去5年分まで請求できる制度で、転職後でも初診日に厚生年金加入中だった場合は障害厚生年金の対象となり、転職活動と並行して請求手続きを進められます。 遡及請求の手続きは、初診日の特定と証明、認定日時点と現在の二通の診断書取得、病歴就労状況等申立書の作成、年金事務所への提出という流れで進み、審査期間は通常3カ月から6カ月程度です。 認定日時点の診断書取得が最大の難関で、カルテの保存期間や医療機関の廃院などの問題に直面することがあり、時効により請求月から5年以上前の年金は受け取れないため早期着手が大切です。 不支給リスクや精神的な負担も大きいため、社会保険労務士などの専門家への依頼を検討し、書類作成や医師との連携、不服申立てなどをサポートしてもらうことで、認定の可能性を高め自分の負担を減らせます。 年金事務所、街角の年金相談センター、社会保険労務士、法テラス、障害者団体、主治医やソーシャルワーカーなどを活用しながら、自分のペースで無理せず請求手続きを進めていきましょう。

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