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障がいのある方が職場で働くなかで、パワーハラスメント、いわゆるパワハラに直面することがあります。 障がい特性を理由とした不当な扱いや、過度な業務指示、人格を否定する言動など、内容はさまざまです。 こうしたトラブルに対しては、障害者差別解消法をはじめとする法律や、各種の相談窓口を活用することで、適切な対応を取ることができます。 ここでは、職場でのパワハラの実態から、障害者差別解消法の使い方、転職時に確認したいポイントまでをわかりやすく解説します。
職場で起こりうるパワハラとは
パワハラとは、職場で優位な立場にある人が、業務上の必要な範囲を超えた言動によって、相手に身体的、精神的な苦痛を与えたり、職場環境を悪化させたりする行為を指します。 2020年に施行された改正労働施策総合推進法、いわゆるパワハラ防止法によって、企業にはパワハラ防止のための措置を講じる法的義務が課されています。
パワハラには、いくつかの代表的なタイプがあります。 身体的な攻撃、精神的な攻撃、人間関係からの切り離し、過大な要求、過小な要求、個の侵害という6つの類型に分類されることが一般的です。
障がいのある方が特に直面しやすいのが、過大な要求と過小な要求、そして個の侵害です。
過大な要求の例としては、明らかに無理な業務量を押し付ける、配慮が必要な内容を無視して通常通りの成果を求める、合理的配慮の要望を拒否したうえで責任を追及するといった行為があります。
過小な要求の例としては、能力に見合わない単純作業ばかりを与え続ける、新しい業務を任せない、本人の意欲を踏みにじる発言を繰り返すといった行為が含まれます。 障がいがあることを理由に、本人の可能性を狭めるような扱いがこれに該当します。
個の侵害の例としては、障がい特性や通院の状況について必要以上に詮索する、医療情報を本人の同意なく他の社員に話す、プライバシーに踏み込む発言を繰り返すなどがあります。
精神的な攻撃も無視できません。 障がいを揶揄するような発言、できないことを過剰に責める言動、人前で叱責する行為などは、本人の尊厳を深く傷つけます。
これらは個別の出来事として見ると小さく感じられることもありますが、繰り返されることで深刻な心身のダメージにつながります。
障害者差別解消法とは何か
障害者差別解消法は、2016年に施行され、2024年4月に改正法が施行された、障がいのある方への差別を禁止し、合理的配慮の提供を求める法律です。 正式名称は障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律といいます。
この法律には、ふたつの大きな柱があります。
ひとつめは、不当な差別的取扱いの禁止です。 障がいを理由として、サービスの提供を拒否したり、条件を付けたり、不利な扱いをすることが禁じられています。 雇用の場面でも、障がいを理由とした採用拒否、配置や昇進の差別、給与の差別などは法律で禁止されています。
ふたつめは、合理的配慮の提供義務です。 障がいのある方から配慮の申し出があった場合、企業や行政機関は、過重な負担にならない範囲で必要な調整をおこなう義務があります。 2024年4月の改正により、これまで努力義務であった民間企業にも、合理的配慮の提供が法的義務として課されることになりました。
職場におけるパワハラが、障がいに起因する差別的取扱いや、必要な合理的配慮の拒否に該当する場合、この法律に基づいて対応を求めることができます。 障がいのある方の権利を守る重要な法的根拠として、知っておく価値のある法律です。
差別解消法とパワハラ防止法の関係
職場でのトラブルに対応する際、障害者差別解消法とパワハラ防止法は、いずれも重要な根拠となります。 それぞれの法律の役割を整理しておきましょう。
パワハラ防止法は、職場でのあらゆるパワーハラスメントに対する企業の防止義務を定めた法律です。 障がいの有無を問わず、すべての労働者を対象としています。 企業は、相談窓口の設置、就業規則への明記、研修の実施など、パワハラを防ぐための措置を講じる義務を負っています。
障害者差別解消法は、障がいに関連する差別や、合理的配慮の不提供に対する法的根拠を定めた法律です。 雇用の場面では、障害者雇用促進法も同様の規定を設けており、ふたつの法律が重なる形で障がい者の権利を守っています。
職場でのパワハラが、障がい特性を理由としたものや、合理的配慮の拒否を伴うものである場合、両方の法律を根拠に対応を求めることができます。 たとえば、合理的配慮を申し出たにもかかわらず、それを理由に上司から叱責された場合や、障がい特性を揶揄する発言を繰り返された場合などは、両法の趣旨に反する行為として、強い根拠を持って改善を求められます。
法律を組み合わせて活用することで、自分の権利をより確実に守ることができるのです。
相談できる窓口を知っておく
職場でパワハラに遭った場合、社内外にさまざまな相談窓口があります。 それぞれの特徴を知り、状況に応じて使い分けることが大切です。
社内の相談窓口は、最も身近な選択肢です。 人事部、コンプライアンス窓口、ハラスメント相談窓口、健康管理室など、企業によってさまざまな名称で設置されています。 パワハラ防止法によって、企業には相談窓口を設ける義務があるため、規模の大きい企業であれば必ず存在します。 ただし、社内の窓口は加害者と近い立場の人が対応する場合もあるため、相談内容が漏れる不安がある場合は、外部の窓口を選ぶ選択肢もあります。
労働局や労働基準監督署は、公的な相談窓口として頼れる存在です。 各都道府県の労働局に設置されている総合労働相談コーナーでは、パワハラを含む幅広い労働問題について無料で相談できます。 電話、対面、メールでの相談に対応しており、匿名での相談も可能です。 必要に応じて、企業への助言指導、紛争解決のあっせんなどの支援も受けられます。
労働組合に加入している場合は、組合への相談も有効な手段です。 社内に労働組合がない場合や、加入していない場合でも、個人で加入できるユニオンや業種別の労働組合があります。 組合員として団体交渉を申し入れることで、企業との交渉を組織的に進められます。
障害者就業生活支援センターは、障がいのある方の就労を生活面も含めて支援する公的機関です。 パワハラに関する相談だけでなく、職場との調整、転職に向けた支援、生活面のサポートまで、長期的に寄り添ってくれます。
障害者差別解消法に基づく相談窓口も活用できます。 内閣府や各自治体に、差別解消法に関する相談窓口が設けられており、合理的配慮の不提供や差別的取扱いについて相談できます。
法的なサポートが必要な場合は、弁護士への相談も選択肢です。 法テラスでは、無料法律相談や、収入に応じた弁護士費用立替制度を利用できます。 障がいのある方の労働問題に詳しい弁護士もおり、障害者差別解消法やパワハラ防止法に基づく対応を進めてくれます。
主治医や産業医にも、相談する価値があります。 心身の不調が出ている場合は、医療機関での診断書を取得することで、休職や業務調整の根拠資料として活用できます。
パワハラに直面したときの対応手順
万が一、職場でパワハラを受けた場合、冷静に手順を踏んで対応することが大切です。
まず、事実を記録に残すことから始めましょう。 いつ、どこで、誰から、どのような言動を受けたかを、日付とともにメモに残します。 メール、チャット、録音、写真など、証拠となる資料があれば保存しておきます。 記録は、後で相談や対応を進める際の重要な根拠となります。
次に、信頼できる人に話を聞いてもらいましょう。 家族、友人、支援員、主治医など、安心して話せる相手にまず気持ちを共有することで、自分の状況を客観的に整理できます。 ひとりで抱え込むと、判断が極端になりがちです。
そのうえで、適切な相談窓口にアプローチします。 社内の窓口に相談しにくい場合は、労働局や障害者就業生活支援センターなど、外部の窓口を優先しましょう。 複数の窓口に同時に相談することもできます。
医療機関の受診も忘れずに進めましょう。 心身の不調があれば、早めに主治医や心療内科で相談し、必要であれば診断書を取得してもらいます。 診断書は、休職や配置転換、業務調整を求める際の重要な資料となります。
状況に応じて、休職や配置転換を検討することも選択肢です。 心身が深刻な状態にある場合、無理に出勤を続けるよりも、一定期間休んで治療に専念することが、長期的な回復につながります。 休職制度の利用や、別の部署への配置転換を、人事部や産業医と相談しましょう。
これらの対応で改善が見られない場合や、職場との関係修復が困難な場合は、転職を視野に入れる勇気を持つことも大切です。 無理に同じ職場にとどまることが、自分の心身を傷つけ続ける結果になることもあります。
転職時にパワハラリスクを下げる視点
過去にパワハラを経験した方や、これから転職を考える方は、パワハラリスクの低い企業を選ぶ視点を持つことが大切です。
企業の取り組み姿勢を確認することが、最も重要なポイントです。 ハラスメント防止規程の有無、研修の実施状況、相談窓口の体制など、企業がパワハラ防止にどれだけ本気で取り組んでいるかを見極めましょう。 採用ページやサステナビリティレポートに、具体的な取り組み内容が掲載されている企業は、健全な職場文化を持っている可能性が高いです。
DE&Iへの取り組みも、判断材料になります。 ダイバーシティを推進し、多様な人材を尊重する文化のある企業は、障がいのある方への配慮も丁寧におこなう傾向があります。 DE&Iを掲げるだけでなく、具体的な数値や事例を公開している企業を選びましょう。
定着率や離職率も確認したい要素です。 社員の定着率が高い企業は、職場環境に大きな問題がない可能性が高いです。 逆に、頻繁に求人を出している企業や、離職率の高い企業は、人間関係や労働環境に課題を抱えている可能性があるため、慎重に判断しましょう。
口コミサイトの情報も参考になります。 社員や元社員の声を複数読むことで、企業の実態が見えてきます。 ただし、口コミは個人の主観も含まれるため、極端な内容に振り回されず、全体的な傾向を読み取ることが大切です。
面接時には、ハラスメント対策について率直に質問することをおすすめします。 回答が具体的で、事例を交えて説明してくれる企業は、現場での運用も期待できます。 逆に、抽象的な答えしか返ってこない企業は、形だけの対策にとどまっている可能性があります。
障がい者専門の転職エージェントの活用も、安心できる職場選びの大きな助けになります。 担当者は、過去の利用者からの情報を踏まえて、健全な職場文化のある企業を紹介してくれます。 入社後のフォローも継続的に受けられるため、トラブルが起きた際にも相談できる安心感があります。
まとめ
職場でのパワハラは、障がいのある方の心身に深刻な影響を与える問題です。 障害者差別解消法、パワハラ防止法、障害者雇用促進法など、複数の法律によって障がいのある方の権利は守られています。 事実を記録し、社内外の相談窓口、医療機関、専門家を活用して、適切な対応を進めていきましょう。 転職時には、企業のハラスメント対策やDE&Iへの取り組み、定着率などを確認し、健全な職場文化のある企業を選ぶことが大切です。 ひとりで抱え込まず、周囲のサポートを得ながら、自分の心身を守る選択を取っていきましょう。
なお、職場の悩みが深刻になり、つらい気持ちが強くなったときは、ひとりで抱え込まず専門機関に相談してください。 よりそいホットラインや、いのちの電話など、24時間対応の窓口も利用できます。 あなたの安全と健康が、何より大切な財産です。
