統合失調症の陽性症状とは何か…症状の特徴と治療、生活への影響

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統合失調症にはいくつかの症状の種類がありますが、そのなかでも陽性症状と呼ばれる症状は、本来存在しないはずの体験が加わってくるという特徴を持つものです。幻覚や妄想といった陽性症状は本人にとって非常にリアルに感じられ、深刻な苦痛と混乱をもたらします。この記事では、統合失調症の陽性症状の特徴と治療、生活への影響について解説します。

統合失調症とはどういう疾患か

統合失調症は思考、知覚、感情、行動といった精神機能の広範な領域に影響を及ぼす疾患です。世界人口の約一パーセントに発症するとされており、決して珍しい疾患ではありません。

統合失調症の症状は大きく陽性症状、陰性症状、認知機能障害の三つに分類されます。陽性症状は本来存在しないはずの体験や行動が加わってくる症状、陰性症状は本来あるはずの機能が失われる症状、認知機能障害は記憶力や注意力、判断力等の認知機能が低下する症状です。

この記事では陽性症状に焦点を当てて解説します。

陽性症状とはどういうものか

陽性症状という名称は症状が加わってくるという意味であり、良い悪いという意味ではありません。陽性症状は健康な状態では経験しないような体験が新たに生じる症状です。

陽性症状は急性期に最も顕著にあらわれることが多く、適切な治療によって改善しやすい症状でもあります。一方で治療が遅れたり中断されたりすることで症状が再燃することがあります。

統合失調症の陽性症状の種類

幻覚

幻覚は実際には存在しない刺激を知覚する症状です。統合失調症において最も多い幻覚は幻聴であり、実際には誰も話していないのに声が聞こえるという体験です。

幻聴の内容としては、自分の行動や考えに対してコメントする声、自分に命令を下す声、自分の悪口を言う声、複数の声が互いに会話している声といったものが多く見られます。

幻聴は本人にとって非常にリアルに聞こえるため、実際に誰かが話しかけていると信じていることがあります。声の内容が脅迫的であったり批判的であったりする場合、本人は強い恐怖と苦痛を感じることがあります。

幻視、幻臭、幻触といった視覚、嗅覚、触覚に関わる幻覚が生じることもありますが、幻聴ほど頻繁ではありません。

妄想

妄想は現実とは異なる強固な誤った信念を持ち続ける症状です。周囲がいくら否定しても、また状況証拠がどれだけあっても、その信念を変えることができないことが妄想の特徴です。

統合失調症に多く見られる妄想の種類として以下のようなものがあります。

被害妄想は誰かに監視されている、追われている、嫌がらせを受けている、毒を盛られているという信念です。統合失調症で最も多く見られる妄想のひとつです。

関係妄想はテレビや新聞の内容が自分に向けたメッセージである、周囲の人の言動が全て自分と関係していると信じる妄想です。

誇大妄想は自分が特別な使命を持つ人物である、特別な能力や才能を持っていると信じる妄想です。

思考伝播は自分の考えが他の人に筒抜けになって伝わってしまうという体験です。

思考吹入は他の人や何かによって考えを頭の中に入れられているという体験です。

思考奪取は自分の考えが何かに盗まれているという体験です。

させられ体験または作為体験は自分の行動や感情が外部の力によってコントロールされているという体験です。

解体した思考と会話

思考の流れが乱れ、話の筋道が追えなくなる状態です。話が脈絡なく飛ぶ、話の中に論理的なつながりがない、言葉が意味をなさない形でつなぎ合わされるといった形で現れます。

本人は意味のある話をしているつもりでも、聞いている側には理解できない内容になってしまうことがあります。

解体した行動

目的や状況に合わない行動をとる症状です。突然大声で叫ぶ、状況にそぐわない行動をとる、衣服を乱雑に着る、食事をとらずに同じ場所にいつまでもいるといった形で現れることがあります。

緊張病性の症状

緊張病は全く動かなくなる緊張病性昏迷や、逆に目的のない過剰な活動、特定の姿勢を長時間保ち続けるといった運動に関連した症状が含まれます。緊張病性の症状は重篤な場合は医療的な緊急対応が必要となることがあります。

陽性症状が本人に与える影響

陽性症状は本人に非常に大きな苦痛と混乱をもたらします。

幻聴が続く場合、批判的または脅迫的な内容の声に絶えずさらされることで強い恐怖と消耗が生じます。声に従うよう命じられることで危険な行動をとってしまうリスクも生じることがあります。

被害妄想がある場合、家族や支援者を含む周囲の全ての人が自分の敵であるという信念から孤立し、助けを求めることが困難になります。

思考の乱れがある場合、日常的なコミュニケーションや社会生活が著しく困難になります。

陽性症状がある状態では現実の認識が大きく歪んでいるため、自分が病気であるという認識を持つことが難しい場合があります。この病識の欠如が治療への抵抗につながることがあります。

陽性症状の原因とメカニズム

統合失調症の陽性症状の背景には脳内の神経伝達物質、特にドパミンの過剰な活性化が関係していると考えられています。ドパミンが過剰に活性化することで、本来重要でない刺激に対して過度に意味を付与するようになり、幻覚や妄想が生じやすくなるという理論があります。

グルタミン酸系の神経伝達の異常も関係しているとされており、統合失調症の神経生物学的なメカニズムの解明は現在も研究が進められています。

遺伝的な要因、出生前後の環境的な要因、強いストレス、薬物の使用等が発症リスクに影響することが知られています。

陽性症状の治療

抗精神病薬による薬物療法

陽性症状の治療の中心は抗精神病薬による薬物療法です。抗精神病薬はドパミンの過剰な活性化を抑えることで幻覚や妄想等の陽性症状を軽減する効果があります。

定型抗精神病薬としてハロペリドール等が従来から使用されてきましたが、副作用として錐体外路症状と呼ばれる手の震えや体の硬直が生じやすいという問題がありました。

非定型抗精神病薬はリスペリドン、オランザピン、クエチアピン、アリピプラゾール等があり、陽性症状への効果を保ちながら副作用が比較的少ないとされています。現在は非定型抗精神病薬が第一選択として使われることが多くなっています。

薬の効果が安定するまでに数週間から数か月かかることがあります。また陽性症状が改善した後も再発予防のために薬の継続が重要です。自己判断で薬をやめることは症状の再燃リスクを大幅に高めるため、必ず主治医と相談のうえで判断することが重要です。

長期作用型注射製剤の活用

内服薬を毎日飲み続けることが難しい場合、数週間から数か月に一度注射を打つことで薬の効果を維持できる長期作用型注射製剤が選択肢となります。飲み忘れによる再発リスクを減らすことができるため、安定した治療継続に有効です。

急性期の入院治療

陽性症状が激しく自分や周囲の安全が脅かされる状況では入院治療が必要になることがあります。入院中に薬の調整と集中的な観察が行われ、症状が落ち着いた後に外来での治療に移行します。

心理社会的な支援

薬物療法と並行して心理社会的な支援も重要です。

心理教育では統合失調症の特性、薬の重要性、ストレス管理、再発のサインへの気づき方について学びます。疾患への理解を深めることが治療への取り組みと再発予防に重要です。

認知行動療法は幻聴や妄想に対する反応の仕方を変え、症状による苦痛を和らげることを目指します。薬物療法と組み合わせることで効果が高まります。

デイケアや就労支援は症状が安定した後の社会参加と生活リズムの維持において重要な役割を果たします。

家族や周囲の人ができること

統合失調症の陽性症状がある方の家族や周囲の人にとって、適切な関わり方を知っておくことが重要です。

妄想の内容に同調したり全面的に否定したりすることは症状の悪化につながることがあります。妄想の内容に直接反論するのではなく、本人が感じている苦痛や恐怖に共感的に向き合うことが関係性を保ちながら支えるうえで重要です。

急性期に本人が治療を拒否する場合でも、主治医や支援機関に相談しながら適切なタイミングで医療につなげることが家族の重要な役割となります。

家族自身も精神的な負担が大きくなることがあります。家族会への参加や精神科医、ケースワーカーへの相談を通じて家族自身のサポートを受けることも重要です。

再発予防のために重要なこと

統合失調症の陽性症状は適切な治療によって改善しますが、再発リスクが高い疾患でもあります。再発を防ぐために以下のことが重要です。

薬を継続して飲み続けることが最も重要です。気分が安定しているときでも自己判断で薬をやめないことが再発予防の基本です。

定期的な通院を続けることで症状の変化に早めに対応することができます。

睡眠を十分に確保し生活リズムを整えることが再発リスクを下げる助けになります。睡眠不足や生活リズムの乱れは陽性症状の再燃につながりやすいことが知られています。

ストレスへの対処法を身につけることが重要です。強いストレスが再発のきっかけになることがあるため、自分なりのストレス解消法を持つことが大切です。

再発のサインに気づく力をつけることも重要です。睡眠が急に減る、考えがまとまりにくくなる、不安や緊張が高まるといった再発の前兆に早めに気づいて主治医に相談することで、大きな再発を防ぐことができます。

統合失調症と福祉制度

統合失調症の診断がある場合、精神障害者保健福祉手帳の取得が可能な場合があります。手帳を取得することで障害福祉サービスの利用、税制上の優遇、公共交通機関の割引等の支援を受けることができます。

自立支援医療制度を活用することで精神科通院にかかる医療費の自己負担を軽減することができます。

症状が安定した後の社会復帰に向けては就労移行支援事業所、就労継続支援事業所、地域活動支援センター等のサービスを活用することができます。

まとめ

統合失調症の陽性症状は幻覚、妄想、解体した思考と会話、解体した行動、緊張病性の症状といったものがあり、本来存在しないはずの体験や行動が加わってくるという特徴を持ちます。陽性症状は本人に深刻な苦痛と混乱をもたらしますが、抗精神病薬による薬物療法と心理社会的な支援によって改善することができます。薬の継続、定期的な通院、生活リズムの維持といった再発予防への取り組みが長期的な回復において重要です。一人で抱え込まず医療機関と支援機関のサポートを積極的に活用してください。

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