障害者雇用の通勤災害とは?対象となる通勤・事故後の対応・日頃の備えを解説

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通勤中に交通事故に遭った、駅や道路で転倒してけがをしたなど、出勤・退勤の途中には思いがけない事故が起こることがあります。障害者雇用で働いている場合でも、通勤中の事故について労災保険の対象となる可能性があるのか、どのように会社へ伝えればよいのか、不安に感じる方は少なくありません。

通勤災害は、障害者雇用だから特別な扱いになる制度ではありません。一方で、車通勤、送迎、介助・福祉サービスの利用、体調に合わせた通勤経路や勤務時間の調整などがある場合は、日頃から通勤の状況を会社と確認しておくことが役立ちます。この記事では、通勤災害の基本と、事故が起きた時の初動、障害者雇用での備えを解説します。

障害者雇用でも通勤災害の基本は同じ

通勤災害とは、労働者が通勤により被った負傷、疾病、障害又は死亡をいいます。[1] 障害者雇用で働く人についても、通勤災害に当たるかどうかは、通勤の目的、住居と就業場所との関係、経路や方法、事故時の状況などを踏まえて個別に確認されます。

ここで大切なのは、けがをしたら自分で「通勤災害に当たらない」と決めつけないことです。事故の状況によって扱いは異なるため、まずは安全確保と受診を優先し、会社へ連絡したうえで、必要な手続を確認しましょう。

なお、本記事は制度の一般的な解説です。個別の事故が通勤災害に該当するか、給付や手続がどうなるかは、会社や労働基準監督署などの公式窓口で確認してください。

通勤災害で確認される「通勤」とは

労災保険における通勤には、就業に関して行う移動として、住居と就業場所の往復、就業場所から他の就業場所への移動、住居と就業場所との往復に先行又は後続する住居間の移動が含まれます。[1] ただし、合理的な経路・方法による移動であることなどが前提になります。

確認されるポイント考え方の例
就業との関係出勤・退勤など、仕事に関連して行う移動かを確認する
住居と就業場所日常生活の拠点となる住居と、業務を開始・終了する場所との移動かを確認する
合理的な経路通常利用する経路、交通事情による迂回など、通勤のために合理的といえる経路かを確認する
合理的な方法徒歩、公共交通機関、自動車、自転車など、一般に認められる方法かを確認する

大阪労働局は、通常利用する経路が複数ある場合や、交通事情による迂回、通勤のためにやむを得ずとる経路も、合理的な経路となり得ると案内しています。[2] 一方、特段の理由なく著しく遠回りする場合などは、合理的な経路と認められないことがあります。

障害者雇用で、車や福祉サービス、送迎などを利用している場合も、通勤手段そのものだけで判断せず、実際の勤務条件や移動の状況を踏まえて確認することが必要です。個別の判断は、必ず会社や公式窓口へ相談しましょう。

逸脱・中断で注意したいこと

通勤の途中で、仕事や通勤と関係のない目的で経路を外れることを「逸脱」、経路上で通勤と関係のない行為をすることを「中断」といいます。逸脱・中断がある場合、その間とその後の移動は、原則として通勤とはされません。[1]

ただし、日常生活上必要な行為で、厚生労働省令で定められたものをやむを得ない事情により最小限の範囲で行う場合は、逸脱・中断している間を除き、合理的な経路に戻った後の移動は通勤となると案内されています。[2] 例として、日用品の購入、病院・診療所での診察や治療、一定の教育訓練、要介護家族の継続的な介護などが挙げられています。

通勤経路に通院、送迎、支援利用などが関わる場合は、自己判断で対象・対象外を決めないことが重要です。事故の前後に何をしていたか、どのような経路を通ったかを、事実に沿って会社へ伝えましょう。

障害者雇用で日頃から確認したい通勤の情報

通勤災害に備えることは、事故を前提にすることではありません。自分に合った通勤方法を安定して続けるために、会社と必要な情報を共有しておくことです。障害の詳細を広く伝える必要はありませんが、業務に必要な範囲で、次の内容を整理しておくと役立ちます。

  • 普段使う通勤経路と交通手段、悪天候や交通障害時の代替経路
  • 車・自転車・送迎・福祉サービスなど、利用する通勤手段の扱い
  • 通院や支援利用により、始業時刻・終業時刻の調整が必要になる可能性
  • 転居、配属変更、勤務地変更、在宅勤務の開始などで通勤条件が変わった時の相談先
  • 事故や遅延があった場合に会社へ連絡する方法と、緊急連絡先

特に、通勤経路や方法を会社と相談して変更した場合は、合意した内容をメールやチャットで簡単に残しておくと、後から確認しやすくなります。これは通勤災害の認定を約束するものではありませんが、日常の通勤状況を会社と共有するための記録になります。

通勤中に事故やけがが起きた時の初動

通勤中に事故やけがが起きた場合は、状況に応じて次の順で対応しましょう。

  1. 安全を確保する。 危険な場所から離れ、必要に応じて警察・救急へ連絡します。
  2. 医療機関を受診する。 痛みが軽くても、後から症状が出る場合があるため、必要な受診を検討します。
  3. 会社へ早めに連絡する。 事故の日時、場所、通勤中であること、受診の状況を伝えます。
  4. 事実を記録する。 利用した経路・交通手段、事故の状況、相手方や目撃者がいる場合の情報、受診内容などを記録します。
  5. 手続を確認する。 会社の担当者と、必要に応じて労働基準監督署等の公式窓口へ、労災保険の手続を確認します。

障害特性により連絡、移動、受診の支援が必要になることがある場合は、会社へ相談する時に「事故や体調不良で一人で対応しにくい時の連絡方法」も確認しておくと安心です。

会社への相談・確認に使える例文

「通勤中の事故や体調不良が起きた場合に備え、会社への連絡方法と相談先を確認したいです。普段利用している通勤経路と手段についても、必要な範囲で共有しておきたいと考えています。」

「通勤に利用する経路が変更になりました。安定して勤務を続けるため、変更後の通勤方法と、遅延・事故があった場合の連絡方法を確認させてください。」

「通勤中にけがをしました。日時、場所、利用していた経路と交通手段は以下のとおりです。受診の状況と今後必要な手続について、担当者に確認したいです。」

まとめ:通勤の状況を日頃から確認し、事故時は早めに連絡しよう

障害者雇用でも、通勤災害の基本的な考え方は同じです。通勤中の事故やけがが起きた時は、まず安全と受診を優先し、会社へ早めに連絡しましょう。通勤災害に該当するかどうかは個別に確認されるため、自己判断せず、必要な手続を公式窓口で確認することが大切です。

車、送迎、福祉サービス、勤務時間の調整など、通勤に関する事情がある場合は、日頃から会社と必要な情報を共有しておくと安心です。通勤経路や働き方が変わった時も、相談・記録・見直しを行い、安定して働ける環境を整えていきましょう。

参考文献

  1. 東京労働局「通勤災害について」
  2. 大阪労働局「通勤災害について」
いろとりどり編集部

この記事の監修・運営

就労継続支援B型 いろとりどり編集部

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