障害者雇用の通勤支援制度とは?会社・自治体に確認したい制度と相談方法

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障害者雇用で働くうえで、通勤は毎日の働きやすさを左右する大切な要素です。駅から職場までの移動が負担になる、混雑した時間帯の移動が難しい、車で通勤したいが駐車場の確保に困る、介助や支援が必要になるなど、困りごとは人によって異なります。

通勤の負担を減らすための制度や支援には、会社の通勤ルール・配慮、事業主が利用を検討する助成金、市区町村が実施する支援などがあります。ただし、対象者、実施主体、利用条件は同じではありません。この記事では、通勤支援を必要とする本人が、どこへ何を相談すればよいかを整理します。

障害者雇用で通勤に困りごとがある時、まず確認したいこと

制度を探す前に、通勤のどの場面で困っているかを具体的にしましょう。「通勤がつらい」だけでは、会社や支援機関も対応を考えにくいためです。自宅から最寄り駅、乗換、駅から職場、職場の入口までの経路を分けて考えると、相談内容を整理しやすくなります。

例えば、次のような項目を確認します。

  • 移動に時間がかかる区間、混雑や段差など負担になる場所はどこか。
  • 体調、障害特性、通院などにより、避けたい時間帯や必要な休憩があるか。
  • 公共交通機関、車、送迎、徒歩など、現在使っている移動手段と代替案は何か。
  • 駐車場、通勤手当、始業時刻、在宅勤務など、会社に確認したい事項は何か。

会社へ相談する際は、「安定して勤務を続けるために通勤方法を相談したい」と目的を伝えましょう。通勤に関する扱いは、雇用契約、就業規則、通勤手当の規程、職場の所在地などによって異なります。まずは上司や人事に、社内のルールと相談窓口を確認することが出発点になります。

通勤支援制度は「会社・事業主向け助成・自治体」で分けて考える

通勤支援という言葉には複数の仕組みが含まれます。本人が直接受け取る制度と考えてしまうと、相談先を間違えることがあります。以下の3つに分けて考えると分かりやすくなります。

区分主な内容最初の相談先
会社の通勤に関する扱い通勤手当、駐車場、勤務時間、通勤方法、相談体制など上司・人事・障害者雇用担当
事業主向け助成金事業主が通勤を容易にする措置を行う際の費用の一部を助成会社の担当者・JEED都道府県支部
市区町村の通勤・就労支援自治体が実施する重度障害者等への通勤・職場支援など居住地の障害福祉担当窓口

実際には、複数の方法を組み合わせて検討することもあります。例えば、会社と勤務時間・駐車場を相談しつつ、会社側では助成金の対象になる措置がないか確認する、居住地の自治体に実施している支援があるか確認するといった進め方です。

事業主向けの重度障害者等通勤対策助成金

JEEDの「重度障害者等通勤対策助成金」は、重度身体障害者、知的障害者、精神障害者又は通勤が特に困難と認められる身体障害者を雇い入れるか継続して雇用する事業主等が、通勤を容易にする措置を行う場合に、その費用の一部を助成するものです。

公式案内には、重度障害者等用住宅の賃借、指導員の配置、住宅手当、通勤用バス、通勤援助者、駐車場の賃借、通勤用自動車の購入、重度訪問介護サービス利用者等の通勤援助に関する助成金が掲載されています。[1] ただし、これは本人が個人で申請して直ちに利用する制度ではなく、事業主等が措置を行う際に検討する助成金です。

対象となるか、どの助成メニューが該当するか、申請前に必要な手続があるかは、個別の状況で異なります。本人から会社へ「通勤上の困りごとがあり、会社として利用できる制度があるか確認してほしい」と相談し、会社の担当者からJEEDの都道府県支部へ問い合わせてもらうとよいでしょう。

市区町村が実施する通勤・就労支援

厚生労働省は、雇用施策との連携による重度障害者等就労支援特別事業を案内しています。この事業は、企業が障害者雇用納付金制度に基づく助成金を活用しても支障が残る場合などに、市区町村が必要と認めた重度障害者等に対し、通勤や職場等における支援を行う仕組みです。

実施主体は市区町村です。そのため、全国で同じ内容の支援を受けられるわけではありません。居住地の自治体が事業を実施しているか、対象となる障害や働き方、利用手続、支援を受けられる場面を、障害福祉担当窓口で確認する必要があります。

通勤の支援を考える時は、会社の所在地だけでなく、居住地の市区町村にも相談先があることを覚えておきましょう。就労移行支援事業所、相談支援事業所、地域の障害者就業・生活支援センターを利用している場合は、相談先の整理を手伝ってもらえることもあります。

本人が会社へ相談する時の進め方

通勤に関する相談は、通勤が難しくなってから急に伝えるよりも、採用前、入社時、勤務先や勤務時間が変わる時など、早めに行うことが大切です。次の順で整理すると、話し合いが進めやすくなります。

  1. 通勤の現状を説明する。 利用する交通手段、通勤時間、負担になる区間を伝えます。
  2. 仕事への影響を伝える。 遅刻の不安、疲労、体調への影響など、安定勤務に関わる点を共有します。
  3. 希望する工夫を一つ提案する。 駐車場、勤務時間、通勤手当、在宅勤務の可否など、まず確認したいことを伝えます。
  4. 制度の相談先を確認する。 会社側で確認できる助成金や、居住地の自治体に確認すべき支援があるかを整理します。

制度は改定されることがあり、助成金には対象・要件・申請時期があります。記事や検索結果だけで利用可否を判断せず、申請・導入を検討する段階では、必ず最新の公式情報と窓口で確認してください。

相談に使える例文

「通勤について相談したいことがあります。現在の経路では駅から職場までの移動に負担があり、安定して勤務を続けるために、駐車場や勤務時間など会社で確認できる方法があるか伺いたいです。」

「通勤上の困りごとに関して、会社が利用を検討できる助成金や制度があるか確認していただくことは可能でしょうか。必要であれば、私も居住地の自治体に相談します。」

「居住地の自治体が行う通勤支援について確認したいです。会社側で共有した方がよい勤務条件や、相談窓口へ伝えるべき内容があれば教えてください。」

まとめ:通勤の困りごとは、制度と職場の両方に相談しよう

障害者雇用における通勤支援は、会社のルール、事業主向けの助成金、市区町村が実施する支援を分けて考えることが大切です。本人がまず行うことは、通勤のどの場面で困るのかを整理し、上司や人事へ早めに相談することです。

通勤の負担は、働き続けやすさに直結します。一人で抱え込まず、会社の担当者、JEEDの窓口、居住地の自治体や支援機関に、必要な確認を進めましょう。

参考文献

  1. 独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED)「重度障害者等通勤対策助成金」
  2. 厚生労働省「障害者の就労支援対策の状況」
いろとりどり編集部

この記事の監修・運営

就労継続支援B型 いろとりどり編集部

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