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合理的配慮は、障害者雇用促進法、障害者差別解消法で企業に義務付けられている制度ですが、実態として「配慮を拒否される」「対応してもらえない」と感じる方は少なくありません。
「企業はどこまで配慮する義務があるのか」
「拒否されたら、どう対応すればいいか」
「過重な負担という言い訳は、本当か」
「配慮の交渉で、自分の権利を守りたい」
と考える方は多いものです。
合理的配慮には、企業が拒否できる「過重な負担」のラインがありますが、これは曖昧な範囲ではなく、具体的な判断基準があります。
本記事では、合理的配慮の法的根拠、企業が拒否できないライン、交渉の方法について整理します。
合理的配慮の法的根拠
合理的配慮の法的根拠を整理します。
障害者雇用促進法では、事業主に合理的配慮の提供義務があります。
第36条の2、第36条の3で、募集、採用時、および雇用後の合理的配慮の提供が、明確に義務付けられています。
障害者差別解消法では、行政機関、事業者の合理的配慮の提供義務、または努力義務が定められています。
2024年4月の改正で、民間事業者の合理的配慮の提供が、努力義務から法的義務に変わりました。
合理的配慮とは、障害者と健常者の機会均等を確保するために、業務遂行に必要な調整、変更、措置を提供することです。
具体的には、業務量の調整、勤務時間の柔軟性、通院のための休暇、業務指示の文書化、休憩時間の確保、リモートワーク、フレックスタイム制、専用の設備、椅子、骨伝導イヤホンの使用許可など、多様な配慮があります。
合理的配慮は、本人の意思、希望に基づいて提供されることが原則です。
企業が一方的に決めるのではなく、本人との対話、相互理解の上で、合意されます。
企業が拒否できないライン
企業が合理的配慮を拒否できないラインを整理します。
ライン1、業務遂行に必要な配慮の、提供義務。
業務を遂行するために必要な配慮、いわゆる業務指示の文書化、業務マニュアルの整備、通院のための休暇、業務量の調整などは、原則として提供する義務があります。
これらを「面倒だから」「特別扱いはできない」と拒否することは、合理的配慮の不提供に該当します。
ライン2、医学的根拠のある配慮の、提供義務。
主治医の意見書、診断書で医学的に必要と認められる配慮は、企業は原則として拒否できません。
「業務を遂行するために、こんな配慮が必要」と医師が示している配慮を、企業が一方的に拒否することは、合理的配慮の不提供となります。
ライン3、合理的配慮の提供のための、対話義務。
企業は、配慮の希望に対して、本人との対話を行う義務があります。
「対話なしで一方的に拒否する」「希望を聞かずに配慮を限定する」ことは、合理的配慮の対話義務違反となります。
ライン4、ハラスメントの防止義務。
障害を理由とした差別、ハラスメント、いじめは、明確に禁止されています。
合理的配慮を求めたことを理由に、評価を下げる、不利益な扱いをする、ハラスメントを行うことは、違法です。
ライン5、書面での合意の、誠実な履行義務。
雇用条件通知書、合理的配慮の合意書で約束された配慮を、企業は誠実に履行する義務があります。
「合意したけれど、実際は配慮していない」ことは、契約違反、合理的配慮の不提供となります。
過重な負担の判断基準
「過重な負担」と判断される範囲を整理します。
合理的配慮の提供義務には、「事業活動に与える影響の程度」「実現困難度」「費用、負担の程度」「企業の規模」「企業の財務状況」「公的支援の有無」などを総合的に勘案して、「過重な負担となる場合」は提供の義務がない、という例外があります。
ただし、これは「企業が好きに判断できる」範囲ではなく、客観的な基準があります。
例外1、業務の根幹を、変更するような配慮。
業務そのものを成り立たなくする配慮、いわゆる業務の中核機能を失うほどの大幅な変更は、過重な負担と判断される可能性があります。
例外2、極めて高額な設備投資。
数百万円、数千万円規模の設備投資が必要な配慮で、企業の財務状況に大きな影響を与える場合、過重な負担と判断される可能性があります。
ただし、障害者作業施設設置等助成金などの公的支援を活用できる場合、過重な負担とは判断されないことがあります。
例外3、組織全体の安全性を、損なう配慮。
職場の安全、他の社員の業務、顧客への影響などを、著しく損なう配慮は、過重な負担と判断される可能性があります。
例外4、複数の他の社員に、過度な負担を強いる配慮。
特定の社員の配慮のために、他の多くの社員の業務、生活に過度な負担を強いる場合、過重な負担と判断される可能性があります。
これらの「過重な負担」の判断は、客観的な根拠が必要です。
「面倒だから」「経営的に厳しいから」など、抽象的な理由での拒否は、認められません。
拒否されやすい配慮と対策
拒否されやすい配慮と、その対策を整理します。
拒否されやすい配慮1、フルリモートワーク。
「業務の性質上、対面が必要」「コミュニケーションが取れない」などの理由で、拒否されることがあります。
対策として、医学的な必要性、業務遂行が可能であることの実証、トライアルでの実施、部分的なリモートワークから始めるなどの提案を行います。
拒否されやすい配慮2、勤務時間の大幅な調整。
「業務スケジュールに合わない」「他の社員との連携が難しい」などの理由で、拒否されることがあります。
対策として、業務上の必要性を医学的に示す、コアタイムの設定、業務の引き継ぎ方法の整理などを提案します。
拒否されやすい配慮3、業務量の大幅な調整。
「業務目標が達成できない」「他の社員との公平性に欠ける」などの理由で、拒否されることがあります。
対策として、業務目標の見直し、評価基準の調整、長期的な貢献の視点での説明などを行います。
拒否されやすい配慮4、合理的配慮の見直し、追加。
「合意したから、変更はできない」と、見直しを拒否されることがあります。
対策として、症状の変化、業務の変化に応じた見直しの必要性を、医学的に示します。
定期面談での見直しを、書面で合意しておくことも重要です。
拒否されやすい配慮5、特別な設備、器具の購入。
「予算がない」「他の社員も使えない」などの理由で、拒否されることがあります。
対策として、障害者作業施設設置等助成金などの公的支援の活用を、提案します。
本人が個人で購入する選択肢も、検討します。
配慮を引き出す交渉の方法
配慮を引き出す交渉の方法を整理します。
方法1、書面で、配慮を求める。
口頭での希望だけでなく、メール、または書面で、配慮の必要性、医学的根拠、希望する具体的な内容を、明記します。
これにより、企業の対応も書面で残ることになり、後の交渉に活かせます。
方法2、医学的根拠を、明確に示す。
主治医の意見書、診断書を、活用します。
「業務遂行のために、こんな配慮が必要」という医学的な裏付けを、文書で示します。
方法3、業務上のメリットを、伝える。
「この配慮があれば、こんな貢献ができる」「業務効率が高まる」「長期就労が可能となる」など、企業にとってのメリットを伝えます。
方法4、産業医、保健師、ジョブコーチの支援を、活用する。
医療的、専門的な視点から、職場との交渉を支援してもらえます。
方法5、複数の選択肢を、提示する。
「Aの配慮が難しければ、Bの配慮はどうか」「全面実施が難しければ、部分実施から始めるのはどうか」と、柔軟な提案をします。
方法6、トライアル期間を、提案する。
「3か月間、試行的に実施してみたい」「効果を確認してから、本格実施にするのはどうか」と、企業の不安を軽減する提案をします。
方法7、定期的な見直しの仕組みを、合意する。
合理的配慮は、一度の合意で完了するものではありません。
「3か月後、6か月後、1年後に見直す」という仕組みを、合意します。
拒否された場合の対応
合理的配慮を拒否された場合の対応を整理します。
ステップ1、拒否の理由を、書面で求める。
口頭での拒否ではなく、書面、またはメールで、拒否の理由を明確にしてもらいます。
「なぜ拒否するのか」「過重な負担とはどのような根拠か」を、具体的に示してもらいます。
ステップ2、上司、人事、産業医に、相談する。
直属の上司、人事担当者、産業医、保健師、ジョブコーチに、状況を相談します。
組織内での対応を、求めます。
ステップ3、労働組合、または社員相談窓口を、活用する。
社内の労働組合、または社員相談窓口がある場合、相談します。
ステップ4、労働局、または労働基準監督署に、相談する。
職場内での対応で改善しない場合、外部の公的機関に相談します。
労働局の総合労働相談コーナーは、無料で、合理的配慮の不提供についての相談を受け付けています。
助言指導、あっせんなどの対応をしてくれます。
ステップ5、ハローワーク、地域障害者職業センターに、相談する。
ジョブコーチの派遣、または企業への助言、指導を依頼できます。
ステップ6、障害者差別解消法に基づく、紛争解決手続きを利用する。
各都道府県、市区町村に設置された相談窓口、または合議体での調整、あっせん、調停などの手続きを利用できます。
ステップ7、弁護士、社会保険労務士に、相談する。
法的な対応、損害賠償、慰謝料請求などを、専門家に依頼できます。
法テラスを通じて、収入が一定以下の方は無料法律相談を利用できます。
ステップ8、訴訟、労働審判を、検討する。
最終的な対応として、訴訟、労働審判で、合理的配慮の不提供への損害賠償を求めることができます。
これは、長期間、エネルギーが必要な対応のため、慎重に判断します。
公的支援、助成金の活用
公的支援、助成金の活用を整理します。
障害者作業施設設置等助成金は、企業が障害者のために設備、器具などを購入する際の費用補助です。
これにより、企業の費用負担を軽減できます。
障害者介助等助成金は、職場での介助者、手話通訳者、要約筆記者などを雇用する企業への助成金です。
精神障害者等雇用安定奨励金は、精神障害者、発達障害者の雇用安定のための、企業への助成金です。
これらの助成金を活用することで、企業は経済的な負担を軽減できます。
「過重な負担だから配慮できない」と言われた時、「助成金の活用を提案できる」と伝えることで、対話の余地を作れます。
エージェント、ジョブコーチ、社会保険労務士などに、活用できる助成金の情報を相談します。
心のケアも大切に
合理的配慮の交渉、拒否への対応は、心の負担となります。
主治医、カウンセラーへの相談を続けます。
職場での悩み、ストレスを、専門家と整理します。
家族、信頼できる人との対話も、心の支えとなります。
当事者会、ピアサポートグループでも、同じような経験を持つ仲間と出会えます。
無理をしないことが、最も大切です。
体調が悪化している時は、休暇を取って療養します。
長期的な視点で、自分の人生を考えていきます。
まとめ
合理的配慮は、障害者雇用促進法、障害者差別解消法で企業に義務付けられています。
2024年4月から、民間事業者の合理的配慮提供が法的義務となりました。
企業が拒否できないラインとして、業務遂行に必要な配慮、医学的根拠のある配慮、対話義務、ハラスメント防止義務、書面合意の誠実な履行義務などがあります。
「過重な負担」の例外も、客観的な基準が必要で、「面倒だから」「経営的に厳しいから」など抽象的な理由での拒否は認められません。
拒否されやすい配慮として、フルリモートワーク、勤務時間の大幅調整、業務量の大幅調整、配慮の見直し、特別な設備購入などがあります。
書面での申請、医学的根拠の明示、業務上のメリットの提示、産業医、ジョブコーチの支援、複数選択肢の提案、トライアル期間、定期的な見直しなどの交渉方法があります。
拒否された場合、書面での理由要求、上司、人事、産業医への相談、労働組合、労働局、労働基準監督署への相談、ハローワーク、地域障害者職業センターへの相談、紛争解決手続き、弁護士、社会保険労務士、訴訟、労働審判などの対応があります。
障害者作業施設設置等助成金、障害者介助等助成金、精神障害者等雇用安定奨励金などの公的支援、助成金の活用も、有効です。
dodaチャレンジ、アットジーピー、サーナ、ランスタッドチャレンジド、LITALICOワークス、Manaby Worksなどの障害者専門エージェント、ハローワーク、地域障害者職業センター、就労移行支援事業所、主治医、カウンセラー、家族、当事者会、ジョブコーチなどのサポートを、組み合わせて活用します。
法テラスを利用すれば、収入が一定以下の方は無料法律相談を受けられます。
明るい未来は、必ずあなたの前に開かれています。
