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外見からは気づかれにくい内部障害を抱えながら働く方にとって、毎日の通勤は大きな課題のひとつです。 特に満員電車での移動、優先席の利用、座席をめぐる気まずい場面など、見えにくい障がいゆえの困難が日々のストレスとなることがあります。 ここでは、内部障害の基本的な理解から、通勤を少しでも楽にする工夫、職場や転職活動で考えたい視点までをわかりやすく解説します。
内部障害とはどのような障がいか
内部障害とは、身体の内側にある臓器や機能の障がいを指します。 身体障害者福祉法では、次のような種類が認定されており、それぞれが内部障害として位置づけられています。
心臓機能障害は、心臓の働きが弱まる状態で、人工弁の埋め込みや心臓ペースメーカーの装着が必要な方も含まれます。 腎臓機能障害は、人工透析を受けている方が代表的で、定期的な治療と生活管理が欠かせません。 呼吸器機能障害は、肺や気管の機能が低下している状態で、在宅酸素療法を受けている方もいます。 ぼうこうまたは直腸機能障害は、人工肛門や人工膀胱、いわゆるオストメイトの方が該当します。 小腸機能障害、肝臓機能障害、ヒト免疫不全ウイルスによる免疫機能障害なども、内部障害に含まれます。
これらの障がいに共通する特徴は、外見からは気づきにくいという点です。 車椅子や白杖のような明確なサインがなく、健常者と同じように見えるため、社会的に理解されにくい困難が生まれやすい障がいといえます。
内部障害のある方は、息切れしやすい、長時間立っているのがつらい、トイレの位置を確認しておく必要がある、感染症に弱い、定期的な通院や治療が必要など、それぞれ特有の生活上の困難を抱えています。 こうした困難は表に出にくいため、周囲の理解を得ることが大きな課題となります。
通勤がつらい背景
内部障害のある方にとって、通勤時間が一日のなかで最もつらい時間になることは少なくありません。 背景にはいくつもの要因があります。
満員電車での立ち続けることが、心身に大きな負担をかけます。 心臓や呼吸器の機能が低下している方にとって、長時間の立位は息切れや動悸、めまいを引き起こすことがあります。 ぎゅうぎゅう詰めの車内で身動きが取れない状態は、ストレスや体調悪化の引き金になります。
座席の確保が難しい現実があります。 朝の通勤時間帯は、座席をめぐる競争が激しく、多くの場合は立ったまま長距離を移動することになります。 優先席の前まで到達できたとしても、すでに健常者が座っているケースが多く、声をかけにくい雰囲気が漂っていることもあります。
優先席をめぐる気まずさも、大きな悩みです。 内部障害のある方は外見からはわかりにくいため、優先席に座ろうとすると周囲から白い目で見られる、お年寄りや妊婦に席を譲るべきだと無言の圧力を感じる、注意される経験をしたことがあるという方も少なくありません。 ヘルプマークを身につけていても、内部障害への理解が浸透していない現状では、誤解を受けることがあります。
体調の波への対応も難しい点です。 出勤時は調子が良くても、車内の暑さ、人混み、長時間の移動などで急に体調が悪化することがあります。 途中下車してトイレや休憩を取りたいときに、満員電車では身動きが取れず、症状が悪化する場面もあります。
定期的な通院との両立も、課題のひとつです。 人工透析、定期検査、薬の処方など、医療機関への通院が欠かせない方は、通勤と通院の負担が重なることで、慢性的な疲労を抱えやすくなります。
通勤を楽にする工夫
通勤の負担を完全になくすことは難しくても、いくつかの工夫を組み合わせることで、毎日の負担を大きく軽減できます。
時間帯をずらすことは、最も効果的な工夫のひとつです。 ピーク時間を避けて早めに出勤したり、遅めの時間帯にずらしたりすることで、満員電車を避けて座席を確保しやすくなります。 時差通勤やフレックスタイム制度を活用できる職場であれば、自分の体調と相談しながら通勤時間を選べます。
各駅停車を利用する方法も有効です。 急行や快速は混雑しやすいですが、各駅停車は比較的すいていることがあり、座席に座れる確率が高まります。 所要時間は長くなりますが、無理に立ち続けるよりも、座って移動するほうが体への負担が少ない場合があります。
始発駅を活用するのもおすすめです。 自宅から始発駅まで少し戻る形になっても、確実に座って通勤できるメリットは大きいです。 住む場所を選ぶ際の視点として、始発駅の近くを意識する方もいます。
優先席を堂々と利用しましょう。 内部障害のある方は、優先席を利用する正当な権利があります。 ヘルプマークを身につけることで、周囲からの理解を得やすくなります。
ヘルプマークの活用は、外見からわかりにくい障がいの方にとって心強い味方です。 赤地に白い十字とハートのマークが描かれたタグで、各都道府県の窓口や駅などで無料で配布されています。 カバンに付けておくことで、座席を譲ってもらいやすくなったり、急な体調不良の際にサポートを得やすくなったりします。
休憩を組み込むことも大切です。 ノンストップで通勤するのではなく、途中の駅でホームに降りて深呼吸する、トイレに行く、椅子に座って休むなど、自分のペースで休憩を入れる工夫をしましょう。
冷暖房対策も意識しましょう。 車内は季節によって極端に暑かったり寒かったりするため、内部障害のある方には特に負担となります。 夏は冷房に対応できる軽い羽織もの、冬は通気性のある重ね着など、体温調節がしやすい服装を心がけましょう。
座席が見つからないときの選択肢として、駅員に相談する方法もあります。 体調が悪いときや、優先席をめぐって困った場合は、駅員に状況を伝えると、配慮を受けられることがあります。
通勤手段を見直す視点
電車通勤がどうしてもつらい場合は、通勤手段そのものを見直す視点も大切です。
バス通勤への切り替えを検討してみましょう。 電車よりも空いている時間帯が多い、座席に座れる確率が高い、揺れが緩やかなど、内部障害のある方には適している場合があります。
自家用車通勤が可能な職場であれば、有力な選択肢です。 自分のペースで移動でき、空調を自由に調整でき、急な体調変化にも対応しやすいというメリットがあります。 ただし、運転による疲労や、駐車場の確保といった課題もあるため、自分の状態と相談しながら判断しましょう。
タクシーや配車サービスの利用も、状況によっては有効です。 体調が特に悪い日、雨の日、夏や冬の極端な気候の日など、ピンポイントで利用することで、無理のない通勤を実現できます。 費用はかかりますが、健康を守るための投資として割り切る考え方もあります。
自転車通勤は、通勤距離が短い方にとって選択肢になります。 ただし、心臓や呼吸器に負担がかかる可能性があるため、医師と相談したうえで判断することが大切です。
最も負担を軽減できるのが、テレワークや在宅勤務という選択肢です。 通勤そのものをなくすことで、毎日の体への負担が劇的に減ります。 内部障害のある方にとって、在宅勤務は心身を守るための最も有効な働き方のひとつです。
職場に配慮を求めるコツ
内部障害と向き合いながら働くためには、職場に必要な配慮を求めることが大切です。 2024年4月から民間企業にも合理的配慮の提供が法的義務となっており、必要な配慮を求める権利が法律で守られています。
配慮を求めるときは、自分の状態を客観的に説明することが第一歩です。 どのような臓器の機能に困難があるか、どのような場面で支障が出やすいか、どのような工夫があれば業務を円滑に進められるかを、業務上の事実として伝えましょう。
通勤に関する配慮の例として、いくつかの選択肢が考えられます。 時差通勤の許可、フレックスタイム制度の利用、テレワーク勤務の導入、在宅勤務日の確保、通勤手段の柔軟な選択、通院日の調整、休憩時間の確保などです。
医師の意見書を活用することは、配慮を求める際の強い後押しになります。 内部障害は外見から見えにくいため、医学的な裏付けがあると職場の理解を得やすくなります。
産業医がいる職場であれば、定期的に相談する機会を持つこともおすすめです。 体調の変化、業務量の調整、通勤の負担などについて、専門的な助言を受けながら、職場との調整を進められます。
オストメイトの方は、職場のトイレ環境についても確認しておきたいポイントです。 オストメイト対応トイレがあるか、近隣の建物に利用できるトイレがあるかなど、入社前に確認しておくと安心です。
転職活動で考えたい視点
内部障害と向き合いながら転職を考える場合、いくつかの視点を持って活動を進めることが大切です。
通勤時間の短さを優先することが、何より重要です。 通勤負担は毎日積み重なるため、自宅から近い職場を選ぶことが、長期的な就労継続に直結します。 給与や仕事内容の魅力よりも、通勤時間を優先する判断が、結果的に自分の健康を守ることにつながります。
テレワーク中心の働き方を視野に入れましょう。 完全在宅勤務、週の大半を在宅勤務、月に数日のみ出社など、テレワークの度合いはさまざまです。 内部障害のある方にとって、通勤負担を最小限に抑えられる働き方は、最も有力な選択肢といえます。
フレックスタイムや時差通勤が可能な職場を選ぶことも大切です。 ピーク時間を避けて出勤できるだけで、毎日の負担が大きく軽減されます。
合理的配慮への取り組みが進んでいる企業を優先しましょう。 障がい者雇用に積極的な企業、DE&Iを推進している企業、もにす認定を受けている企業など、配慮の文化が浸透している職場では、内部障害への理解も得やすい傾向にあります。
オフィス環境も確認しましょう。 休憩スペースの有無、オストメイト対応トイレ、空調の調整しやすさ、通院に配慮できる雰囲気など、内部障害のある方が安心して働ける環境かを見極めましょう。
職種選びの視点では、デスクワーク中心の仕事、自分のペースで進められる業務、感染症リスクの少ない職場などが、内部障害との両立に向いています。 ITエンジニア、ウェブデザイナー、ライター、データ分析、カスタマーサポート、事務職など、選択肢は多様です。
逆に、長時間の立ち仕事、重い荷物を運ぶ業務、感染症リスクの高い業務、屋外での作業が中心の業務などは、慎重に検討する必要があります。
利用できる制度と支援機関
内部障害のある方を支える制度や機関は、いくつもあります。
身体障害者手帳の取得は、各種の支援を受けるための基本となります。 内部障害に該当する場合、症状に応じた等級の手帳が交付され、税金の減免、公共料金の割引、医療費の助成、障害者雇用枠での就労など、さまざまな支援を受けられます。
障害年金も、就労や日常生活に支障がある場合の選択肢です。 内部障害によって日常生活や就労に著しい支障がある場合、障害基礎年金や障害厚生年金の受給対象となる可能性があります。
自立支援医療制度の更生医療を活用することで、心臓ペースメーカーの植え込み術、人工透析、人工関節置換術などの医療費負担を軽減できます。
特定疾患医療費助成制度の対象となる場合もあります。 難病に該当する内部障害は、医療費の自己負担額が軽減される制度を利用できます。
ハローワークの障がい者専門窓口、就労移行支援事業所、障害者就業生活支援センターなど、就労支援機関のサポートを受けられます。 障がい者専門の転職エージェントも、内部障害に配慮した職場の紹介を得意としています。
通院介助、訪問看護、ホームヘルパー派遣など、生活面の支援サービスも、症状に応じて利用できます。 お住まいの自治体の障害福祉課で相談してみましょう。
患者会や当事者団体も、つながりや情報交換の場として活用できます。 同じ障がいを持つ仲間との交流が、心の支えになることがあります。
周囲の理解を得るために
内部障害は見えにくい障がいだからこそ、周囲の理解を得るための工夫も大切です。
ヘルプマークの活用は、最も手軽で効果的な方法です。 カバンに付けるだけで、周囲に支援が必要な人であることを伝えられます。 通勤、外出、職場、医療機関など、さまざまな場面で活用できます。
職場では、必要な範囲で情報を共有しましょう。 全員に詳しく説明する必要はありませんが、直属の上司、人事担当者、産業医、信頼できる同僚などには、業務に関わる範囲で自分の状態を伝えておくと、いざというときに助けてもらいやすくなります。
家族や友人にも、自分の状態を丁寧に伝えましょう。 内部障害のつらさは、見た目からはわかりにくいため、近しい人にも誤解されることがあります。 正しく理解してもらうことが、心の支えと実際的な協力につながります。
まとめ
内部障害は、外見からはわかりにくい障がいだからこそ、通勤や職場で見えないつらさを抱えやすい障がいです。 時差通勤、テレワーク、優先席の活用、ヘルプマークの装着、通勤手段の見直しなど、取り入れられる工夫はたくさんあります。 職場には、必要な合理的配慮を求める権利が法的に保障されており、テレワーク、フレックスタイム、業務量の調整など、医師の意見書を活用しながら具体的な配慮を依頼していきましょう。 転職活動では、通勤時間の短さ、テレワークの可否、オフィス環境などを優先して職場を選ぶことが、長期的な就労継続に直結します。 身体障害者手帳、障害年金、自立支援医療、難病医療費助成など、利用できる制度を積極的に活用しましょう。 ハローワーク、就労移行支援事業所、障害者就業生活支援センター、患者会など、頼れる窓口を活用しながら、無理のないペースで自分らしい働き方を実現していきましょう。 あなたの体と心を守ることが、長く働き続けるための何より大切な基盤です。
