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うつ病、双極性障害、不安障害、適応障害、発達障害などの精神障害を抱えながら、障害を職場に開示せずに一般雇用枠で働くクローズ就労を続けている方は少なくありません。 偏見を避けたい、給与水準を維持したい、キャリアを諦めたくない、こうした理由でクローズ就労を選んでいるものの、配慮を受けられない環境で無理を続けることに限界を感じている方も多いでしょう。 体調が悪化しているのに休めない、症状を隠すストレスで疲弊している、いつバレるかという不安が消えない、このような状況が続くと、心身が深刻なダメージを受けることになります。 ここでは、精神障害でクローズ就労を続けることに限界を感じたときの選択肢、オープン就労への切り替え、休職や転職の判断、利用できる支援について詳しく解説していきます。
クローズ就労とは
まず、クローズ就労について整理しておきましょう。
クローズ就労とは、精神障害や発達障害などの障害を職場に開示せず、一般雇用枠で働くことを指します。 障害者手帳を持っていても使用せず、健常者と同じ条件で雇用される働き方です。
オープン就労は、障害を職場に開示して働く形態を指します。 障害者雇用枠での就労、または一般雇用枠でも障害を伝えた上で配慮を受けながら働く形が含まれます。
クローズ就労を選ぶ理由は、人それぞれです。 障害への偏見や差別を避けたい、評価に影響することを恐れる、給与水準が高い一般雇用枠で働きたい、自分の障害を受け入れたくない、過去の開示で嫌な経験をしたなど、様々な背景があります。
クローズ就労には、メリットとデメリットの両方があります。 メリットとして、選べる職場の幅が広い、給与水準が比較的高い、健常者と同じ扱いを受けられる、偏見を受けにくいといった点があります。 デメリットとして、合理的配慮を受けられない、症状を隠すストレスがある、通院や服薬が制限される、症状が悪化しやすい、急な体調不良に対応しにくいといった点があります。
精神障害がある方の多くが、最初はクローズ就労を選ぶ傾向にあります。 しかし、無理を続けることで限界を迎え、休職や退職に至るケースも少なくありません。
クローズ就労で限界を感じるサイン
クローズ就労を続けていて、限界が近づいているサインを知っておきましょう。
身体症状の悪化が、最も分かりやすいサインです。 慢性的な疲労、不眠、食欲不振、頭痛、消化器症状、動悸、めまいなどが続いている場合、心身が悲鳴を上げています。 休日になっても症状が改善しない場合は、特に深刻な状態です。
精神症状の悪化も、見逃せないサインです。 出勤前の強い不安、職場のことを考えると涙が出る、上司や同僚の顔を見るのが辛い、職場のメールを見るのが怖いといった状態が続いている場合、限界に近づいています。
業務パフォーマンスの低下も、サインの一つです。 集中力が続かない、ミスが増える、決断ができない、簡単な業務に時間がかかるようになるといった変化が見られたら、症状が悪化している可能性があります。
行動の変化にも注意が必要です。 お酒の量が増える、過食や拒食が出る、自傷行為に走る、衝動的な行動が増える、人と会うのが億劫になるなど、いつもと違う行動パターンが現れることがあります。
服薬や通院の管理が難しくなっていることも、サインです。 仕事を優先して通院を後回しにする、職場で薬を飲みにくい、症状を伝える時間が取れないといった状態は、治療の継続を妨げます。
職場での孤立感が深まっていることもあります。 誰にも本当のことを話せない、信頼できる人がいない、自分の居場所がないと感じている場合、心理的な負担が大きくなっています。
希死念慮や自殺念慮が浮かぶことがあれば、極めて深刻な状態です。 消えてしまいたい、生きている価値がない、死んでしまえば楽になるといった考えが頭から離れない場合は、すぐに対処が必要です。
これらのサインが複数当てはまる場合は、現状を変えるための行動を起こす時期です。
我慢を続けることのリスク
クローズ就労で無理を続けることのリスクを、冷静に理解しておきましょう。
精神症状の深刻な悪化が、最も大きなリスクです。 慢性的なストレス下に置かれることで、もともとの精神障害が悪化し、回復が困難になることがあります。 新たな症状の出現、薬の効きが悪くなる、回復期と悪化期を繰り返す状態に陥ることもあります。
新たな精神疾患の発症リスクもあります。 うつ病の方が不安障害を併発する、適応障害がうつ病に発展する、PTSDを発症するなど、症状の複雑化が起こることがあります。
身体疾患の発症リスクも高まります。 高血圧、糖尿病、心疾患、消化器疾患、自己免疫疾患など、ストレスが関連する身体疾患を発症する可能性が高まります。
職場での重大なミスや事故のリスクもあります。 集中力の低下、判断力の鈍化、注意力の散漫などにより、重大な業務上のミスや事故を引き起こすことがあります。
人間関係の悪化も、無理を続けることで生じます。 イライラしやすくなる、感情のコントロールが難しくなる、人間関係を維持する余裕がなくなるなど、職場や私生活での人間関係に影響が出ます。
家族や大切な人を巻き込むことになります。 体調不良で家族の負担が増える、八つ当たりしてしまう、子育てや家事ができなくなるなど、家族の生活にも影響を及ぼします。
最悪の場合、自殺企図に至ることもあります。 追い詰められた状態が長く続くと、命を絶つことしか選択肢がないように感じてしまう瞬間が訪れることがあります。
これらのリスクを考えると、限界を感じている状態で無理を続けることは、自分にも周囲にも大きな損失をもたらします。
オープン就労への切り替え
クローズ就労からオープン就労への切り替えは、検討すべき選択肢です。
オープン就労に切り替えるメリットは多くあります。 合理的配慮を求められる、通院や服薬の管理がしやすくなる、症状を隠すストレスから解放される、いつバレるかという不安がなくなる、長期的に働き続けやすくなるなど、心身の負担が大きく軽減されます。
精神障害者保健福祉手帳の取得が、オープン就労への第一歩です。 うつ病、双極性障害、不安障害、統合失調症、発達障害などが手帳の対象となります。 医師の診断書、申請書類、写真などを用意して、お住まいの市区町村窓口で申請します。
手帳を取得することで、障害者雇用枠での就労が可能となります。 入社時から障害について伝えた上で雇用関係を結べるため、配慮を受けやすい環境で働けます。
オープン就労には、いくつかの形態があります。 障害者雇用枠での転職、現在の職場での開示、特例子会社への就職など、自分の状況に合った形を選べます。
切り替えのデメリットも理解しておきましょう。 給与水準が下がる可能性がある、職種の選択肢が狭まる、偏見を受けるリスクがある、キャリアパスが限定されることがあるなど、考慮すべき点もあります。
ただし、これらのデメリットは、長期的に働き続けることで解消される可能性があります。 障害者雇用でも経験を積んでスキルアップすることで、給与アップや昇進が可能となる企業が増えています。
現在の職場で開示する選択
転職する前に、現在の職場で障害を開示することも、選択肢として検討する価値があります。
開示するメリットは、転職のリスクを避けられることです。 今の会社で働き続けながら、合理的配慮を受けて状況を改善できる可能性があります。
開示する相手を慎重に選びましょう。 最初は信頼できる上司、人事担当者、産業医など、限られた人にだけ伝える方が安全です。 すべての同僚に伝える必要はありません。
産業医面談を活用することが、有効な方法です。 産業医には守秘義務があり、本人の同意なく情報が職場に伝わることはありません。 医学的な観点から、現在の職場環境が健康に害を与えていることを、産業医を通じて職場に伝えてもらえます。
開示する際は、ポジティブな伝え方を心がけましょう。 できないことを並べるのではなく、こんな配慮があれば力を発揮できますという姿勢で伝えます。
具体的な配慮の要望を伝えることも大切です。 通院のための半休、業務量の調整、休憩時間の確保、テレワークの活用など、自分が必要とする配慮を、明確に伝えましょう。
医師の診断書を提示することで、説得力が増します。 主治医に、現在の症状、必要な配慮内容について記載した診断書を作成してもらうことができます。
開示後の反応は様々です。 理解を示してくれる職場もあれば、否定的な反応を示す職場もあります。 反応によって、その後の対応を判断していくことになります。
開示しても状況が改善しない、もしくは差別的な扱いを受けるようになった場合は、転職を視野に入れる必要があります。
休職という選択肢
オープン就労への切り替えや転職を考える前に、まず休職することも検討する価値があります。
休職のメリットは、すぐに退職せずに心身を回復できることです。 雇用関係を維持したまま、治療と回復に専念できます。 休職中も社会保険に加入し続けられるため、医療費の負担も軽減されます。
休職を取得するためには、主治医の診断書が必要となります。 医師に現在の状況を相談し、休職が必要と判断されれば、診断書を発行してもらえます。
傷病手当金が、休職中の経済的な支えとなります。 健康保険に加入していた方は、最長1年6カ月の間、給与の3分の2程度が支給されます。 精神疾患も対象となるため、うつ病や適応障害などで休職する場合も活用できます。
休職期間中は、治療と回復に専念することが大切です。 主治医の指示に従って通院し、必要な治療を受けながら、心身の回復を図ります。 仕事のことを考えすぎず、まずは休むことに専念しましょう。
休職中に、今後の働き方を考える時間が持てます。 復職するか、転職するか、オープン就労に切り替えるかなど、冷静に判断するための時間が得られます。
休職を終えて復職する場合は、リハビリ出勤の制度を活用することが有効です。 徐々に勤務時間を増やしていく形で復職することで、無理なく仕事に戻れます。
復職時に、オープン就労に切り替えることもできます。 休職を機に、障害について開示し、配慮を受けながら働く形にシフトする選択肢です。
休職後に転職することも、可能です。 心身が回復してから、より自分に合った職場を探すことで、新しいスタートを切れます。
転職という選択肢
現在の職場で改善が望めない場合、転職を検討することが現実的な選択となります。
転職を考えるべきタイミングがあります。 現在の職場が改善する見込みがない、上司や人事との話し合いが進まない、心身の不調が続いている、ハラスメントを受けているなど、深刻な状況が長く続いている場合は、環境を変える時期です。
転職の準備は、心身が安定しているときに始めましょう。 追い詰められた状態で転職活動を始めると、判断を誤る可能性があります。 休職中、もしくは退職してから十分な休養を取った後に始めることをおすすめします。
オープン就労での転職を、視野に入れましょう。 これまでクローズで働いてきた経験から、オープンで配慮を受けながら働く方が長続きすることが多いものです。 精神障害者保健福祉手帳を取得し、障害者雇用枠での転職を検討してみましょう。
障害者専門の転職エージェントの活用が、効率的です。 DODAチャレンジ、アットジーピー、エージェントサーナ、ランスタッドチャレンジドなど、精神障害がある方の転職支援に経験豊富なエージェントがあります。 複数のエージェントに登録して、自分に合った求人を紹介してもらいましょう。
ハローワークの専門援助部門も、活用すべき相談先です。 障害者専門の相談員が、無料で求人紹介、応募書類の書き方指導、面接対策などをしてくれます。
転職先を選ぶ際は、精神障害への理解度を確認することが大切です。 精神障害者の雇用実績、合理的配慮の具体的内容、長期勤続率、産業医や産業カウンセラーの体制などを確認します。
テレワーク中心の職場も、有力な選択肢です。 通勤の負担、職場の人間関係、感覚過敏への対応など、多くの困難をテレワークが解決してくれます。
転職活動は焦らず、自分に合った職場を慎重に選ぶことが、長く働ける環境を見つける鍵となります。
経済的な備え
クローズ就労からの転換を考える際、経済的な備えも重要です。
緊急用の生活防衛資金を確保しておきましょう。 最低でも生活費の3カ月分、できれば6カ月分の貯金があると、安心して次のステップに進めます。
傷病手当金は、休職中の生活を支える基本的な制度です。 最長1年6カ月の間、給与の3分の2程度が支給されます。 退職後でも、一定の条件を満たせば継続して受給できます。
雇用保険の失業給付も、退職後の生活を支える制度です。 精神疾患による退職は、特定理由離職者として認められることがあり、給付日数が延長される場合があります。
障害年金は、精神疾患で日常生活や仕事に大きな支障がある場合に受給できる年金です。 うつ病、双極性障害、不安障害、PTSD、発達障害などが対象となります。 転職活動中や休職中の経済的な支えとなります。
自立支援医療制度は、精神疾患の治療費の自己負担を3割から1割に軽減する制度です。 継続的な通院や服薬が必要な方にとって、大きな助けとなります。
求職者支援制度は、雇用保険を受けられない方が職業訓練を受けながら月10万円の給付金を受け取れる制度です。 スキルアップしながら生活費を確保できる制度です。
生活保護も、最終的なセーフティネットとして存在します。 収入や貯金がなく生活が立ち行かない場合、福祉事務所で申請することができます。
これらの制度を組み合わせて活用することで、安心して次のステップに進めます。
自分に合った働き方を見つける
クローズ就労に限界を感じた後、自分に合った働き方を見つけるためのポイントを見ていきましょう。
自己分析を徹底的に行うことから始めます。 これまでの経験、得意なこと、苦手なこと、何を求めているのかを、丁寧に整理します。 クローズ就労で何が辛かったか、どんな配慮があれば働きやすいかも考えましょう。
主治医の意見を聞くことも大切です。 医学的な観点から、どんな働き方が向いているか、必要な配慮は何かを判断してもらいましょう。
業務範囲や責任の度合いを考えます。 高い責任を伴う仕事を続けたいのか、自分のペースで進められる仕事を求めるのか、自分の希望を明確にしましょう。
職場環境への希望も整理します。 人間関係が穏やかな職場、明確なルールがある職場、テレワーク中心の職場、少人数の職場など、自分が働きやすい環境を考えます。
雇用形態の希望も明確にしましょう。 正社員にこだわるのか、契約社員やパートでもよいのか、フリーランスや業務委託も視野に入れるのかなど、選択肢を広げて考えます。
業界や職種の希望も整理します。 これまでの経験を活かせる業界、新しい分野に挑戦したい業界、自分の興味がある業界など、複数の選択肢を比較検討しましょう。
給与水準の希望も現実的に設定します。 クローズ就労からオープン就労に切り替える場合、給与が下がる可能性があります。 生活に必要な最低限の収入、希望する収入水準を明確にしておきましょう。
働く時間の希望も大切です。 フルタイムで働けるのか、短時間勤務が望ましいのか、週何日働くのが現実的かなど、自分の体調と相談しながら考えます。
これらの希望を整理することで、自分に合った働き方の方向性が見えてきます。
オープン就労に向いている職種
オープン就労での転職を考える際、精神障害がある方に向いている職種を見ていきましょう。
ITエンジニアやプログラマーは、テレワークとの相性が良く、自分のペースで進められる仕事として注目されています。 未経験から学べる職業訓練も増えており、新しい挑戦として選ぶ方も多くいます。
事務職は、安定して働きやすい職種です。 データ入力、書類管理、経理事務、人事事務など、座って取り組める業務が中心です。 これまでの事務経験があれば、即戦力として評価されます。
ライターや編集者も、自分のペースで進められる仕事です。 完全在宅で取り組める案件が多く、クラウドソーシングを通じて未経験から始めることもできます。
デザイナーやイラストレーターも、クリエイティブな仕事として人気があります。 自分の感性を活かせ、テレワークで完結することが多い職種です。
カスタマーサポートのチャット対応も、選択肢の一つです。 電話ではなくチャットでの対応に特化した求人もあり、対人ストレスが少ない仕事です。
ピアサポートや当事者の経験を活かす仕事も、独自のやりがいがある選択肢です。 精神保健福祉士、ピアサポーター、当事者の体験を発信するライターなど、自分の経験を社会に還元できる仕事です。
研究や分析の仕事も、知的好奇心を満たせる分野です。 データ分析、市場調査など、深く考えることが好きな方に向いています。
逆に、避けた方がよい職種もあります。 営業職、接客業、サービス業など対人ストレスが大きい仕事、ノルマや成果主義が厳しい職種、深夜勤務や交代勤務がある仕事は、精神障害がある方には負担が大きい傾向があります。
利用できる支援機関
クローズ就労に限界を感じている方が利用できる支援機関を知っておきましょう。
ハローワークの専門援助部門は、無料で利用できる相談窓口です。 障害者専門の相談員が、現在の職場の悩みから転職まで、幅広く相談に応じてくれます。
地域障害者職業センターでは、職業評価や職業準備支援を受けられます。 自分の障害特性と職業の適性について、専門的なアドバイスをもらえます。
就労移行支援事業所は、就職や転職に向けた総合的なサポートを提供します。 精神障害者保健福祉手帳を取得している方は、最長2年間利用できます。
障害者就業生活支援センターは、就労と生活の両面で支援を受けられる機関です。 お住まいの地域の窓口を活用しましょう。
精神保健福祉センターでは、精神保健全般に関する相談を受けられます。 無料で利用でき、職場の悩みや今後の働き方について相談できます。
主治医やカウンセラーへの相談も、継続することが大切です。 医療的なサポートと並行して、働き方の問題に取り組んでいきましょう。
社会保険労務士は、年金や労働問題に詳しい専門家です。 障害年金の申請、休職や退職に関する法的アドバイス、傷病手当金の手続きなどについて相談できます。
弁護士への相談も、選択肢の一つです。 ハラスメント、不当な扱い、退職に関する問題などについて、法的アドバイスを受けられます。 法テラスを利用すれば、収入が一定以下の方は無料で弁護士に相談できます。
当事者団体や自助グループも、頼れる存在です。 同じ立場の仲間と経験を分かち合うことで、新しい視点や勇気が得られます。
まとめ
クローズ就労で配慮を受けられない環境で無理を続けることは、精神障害の悪化、身体疾患の発症、最悪の場合は自殺企図にまでつながる深刻なリスクがあります。 身体症状の悪化、精神症状の悪化、業務パフォーマンスの低下などの限界のサインを感じたら、休職、現在の職場での開示、オープン就労への転職など、複数の選択肢を検討する時期です。 精神障害者保健福祉手帳の取得、傷病手当金や障害年金の活用、ハローワークや障害者専門の転職エージェントなどの支援機関を活用しながら、無理せず長く働ける環境を築いていきましょう。
