人的資本経営における障害者雇用の評価が企業選びにどう影響するか

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人的資本経営、ESG、サステナビリティ、こうした言葉を耳にする機会が増えてきました。

特に二〇二三年三月から、上場企業に対して人的資本に関する情報開示が義務化され、企業の人材戦略が投資家や社会から注目されるようになっています。

その中で、障害者雇用の取り組みも、人的資本経営の重要な評価項目として位置づけられつつあります。

これは、障害を抱えながら働く方、障害者雇用枠での就職を目指す方、就労移行支援を利用している方、こうした方々にとって、自分の将来を考える上で知っておきたい大切なテーマです。

「人的資本経営って何」「障害者雇用とどう関係するの」「どの企業を選べばいいの」、こうした疑問を持つ方も多いはずです。

この記事では、人的資本経営における障害者雇用の評価が今どうなっているのか、企業選びにどう活かせるのか、当事者として知っておきたいポイントをお伝えしていきます。

人的資本経営とは何か

人的資本経営は、人材を「コスト」ではなく「投資」として捉え、企業価値を高める経営手法です。

従来の経営では、人件費は削減すべきコストとして扱われてきました。

しかし人的資本経営では、社員の能力開発、働きやすい環境整備、多様性の確保、こうしたものに投資することで、企業の長期的な競争力を高めるという考え方を取ります。

この考え方は、二〇二〇年に経済産業省が発表した「人材版伊藤レポート」をきっかけに、日本でも本格的に広がりました。

二〇二三年三月期からは、上場企業に対して有価証券報告書での人的資本情報の開示が義務化されました。

人的資本投資、人材育成方針、社内環境整備方針、多様性に関する指標、こうしたものを開示する必要があります。

投資家は、これらの情報をもとに企業の価値を判断するようになりました。

社員の働きやすさ、多様性、人材育成、こうしたものに投資する企業は、長期的に成長する可能性が高いと評価されるようになっています。

逆に、人材を使い捨てにする企業、多様性を軽視する企業、こうしたところは投資家からも消費者からも厳しい目で見られる時代になりました。

障害者雇用が人的資本経営で評価される理由

人的資本経営の中で、障害者雇用は重要な評価項目の一つとして位置づけられています。

その理由はいくつかあります。

一つ目の理由は、多様性とインクルージョンの観点です。

人的資本経営では、性別、年齢、国籍、障害の有無、こうした多様な人材を受け入れ、それぞれの能力を活かす職場が高く評価されます。

障害者雇用は、この多様性の取り組みの中で重要な位置を占めています。

異なる視点や経験を持つ人材が集まることで、企業の創造性や問題解決能力が高まることが、複数の研究で示されています。

二つ目の理由は、社会的責任への対応です。

ESG投資、SDGs、こうした観点から、企業の社会的責任が問われる時代になっています。

障害者雇用への取り組みは、企業の社会的責任を示す指標として、投資家や消費者から注目されています。

三つ目の理由は、人材獲得競争での優位性です。

少子高齢化が進む中、企業は多様な人材を確保する必要に迫られています。

障害者を含む多様な人材を受け入れる企業文化を持つことは、優秀な人材を確保するための重要な要素になっています。

四つ目の理由は、組織の柔軟性と適応力です。

障害のある社員が働きやすい職場を作るためには、業務の見直し、職場環境の整備、柔軟な働き方の導入、こうした取り組みが必要になります。

これらの取り組みは、結果として全社員にとって働きやすい職場を作ることにつながり、組織全体の柔軟性と適応力を高めます。

五つ目の理由は、リスク管理の観点です。

法定雇用率を達成できない企業は、納付金の支払い、企業名の公表、こうしたリスクを抱えます。

代行ビジネスのような形式的な雇用が社会的批判を浴びる時代では、実質的な障害者雇用に取り組むことがリスク管理にもつながります。

これらの理由から、障害者雇用は人的資本経営の中で重要な評価項目として扱われるようになっています。

どのような指標で評価されるのか

人的資本経営における障害者雇用の評価は、いくつかの具体的な指標で行われます。

最も基本的な指標は、法定雇用率の達成度です。

二〇二六年現在の民間企業の法定雇用率は二・七パーセントで、これを達成しているかどうかが最も分かりやすい指標になります。

ただし、最近では単に達成しているだけでなく、どのような形で達成しているかも重要視されています。

二つ目の指標は、雇用形態の質です。

正社員として雇用されているか、契約社員やパートタイムが中心か、こうした雇用形態の内訳が評価されます。

正社員比率が高い企業は、安定的で実質的な障害者雇用を行っていると評価されます。

三つ目の指標は、職種の多様性です。

障害のある社員が担当する業務が、単純作業に限定されているか、専門的な業務にも従事しているか、こうしたことが評価されます。

事務職、技術職、専門職、管理職、こうした多様な職種に障害者が配置されている企業は、実質的なインクルージョンを実践していると評価されます。

四つ目の指標は、定着率と平均勤続年数です。

障害者を採用しても、すぐに離職してしまうようでは意味がありません。

長く働き続けられる職場環境を整えているかが、定着率や勤続年数で評価されます。

五つ目の指標は、キャリアアップの機会です。

障害のある社員が昇進、昇給、新しい職務への挑戦、こうした機会を得られているかが評価されます。

管理職に障害者がいるか、能力に応じた評価制度があるか、こうしたことが見られます。

六つ目の指標は、合理的配慮の充実度です。

障害特性に応じた配慮、柔軟な勤務時間、リモートワーク、医療機関への配慮、こうした合理的配慮の充実度が評価されます。

七つ目の指標は、組織文化と社員意識です。

障害のある社員が職場で受け入れられているか、他の社員の理解があるか、こうした組織文化も重要な評価対象です。

社員向けの研修、啓発活動、コミュニケーションの仕組み、こうしたものが見られます。

これらの指標が、有価証券報告書、サステナビリティレポート、統合報告書、こうした企業の公開情報の中で報告されています。

企業の取り組みを見極める方法

障害を抱える方が就職活動をする際、企業の人的資本経営における障害者雇用への取り組みを見極めることが、長期的に働ける職場選びにつながります。

最初にチェックしたいのは、企業の有価証券報告書です。

上場企業は、人的資本情報を有価証券報告書で開示する義務があります。

EDINETという金融庁のサイトで無料で閲覧できます。

ここに、障害者雇用率、雇用している障害者の人数、こうした基本的なデータが記載されています。

二つ目に確認したいのは、サステナビリティレポートや統合報告書です。

多くの大手企業は、人的資本や多様性に関する取り組みを詳細に説明する報告書を発行しています。

これらは企業のホームページから無料でダウンロードできます。

障害者雇用への具体的な取り組み、配慮の内容、こうした情報が記載されています。

三つ目に確認したいのは、第三者評価です。

DBJ健康経営格付、健康経営優良法人認定、こうした第三者からの評価を受けている企業は、人材への投資に積極的だと判断できます。

PRIDE指標という性的マイノリティに関する評価指標もあり、こうした多様性指標で高評価を受けている企業は、障害者雇用にも前向きな傾向があります。

四つ目に確認したいのは、特例子会社の有無です。

特例子会社は、障害者雇用に特化した子会社で、親会社の障害者雇用率に算入できる仕組みです。

ただし、特例子会社の質には差があり、本社業務と切り離された単純作業中心の会社もあれば、本社業務と密接に連携する実質的な会社もあります。

特例子会社で働く場合、その会社が独立した事業として成り立っているか、社員のキャリアアップの仕組みがあるか、こうした点を確認することが大切です。

五つ目に確認したいのは、口コミや当事者の声です。

OpenWork、転職会議、こうした口コミサイトには、障害者雇用に関する社員の声が掲載されていることがあります。

障害者雇用専門の転職エージェントからも、企業の実態について情報を得られます。

地域障害者職業センター、就労移行支援事業所、こうした支援機関は、地域の企業の実情を把握していることが多いものです。

支援員に「この企業の障害者雇用の評判はどうですか」と聞いてみることをおすすめします。

六つ目に確認したいのは、企業の障害者雇用に関する社員の発信です。

近年、障害を抱えながら働く社員自身がブログやSNSで発信することが増えています。

「企業名 障害者雇用 体験談」、こうした言葉で検索すると、リアルな働き方が見えてくることがあります。

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良い企業の特徴

人的資本経営で障害者雇用に真剣に取り組んでいる企業には、いくつかの共通する特徴があります。

一つ目の特徴は、トップのコミットメントです。

社長や役員が、障害者雇用や多様性の重要性を明確に発信している企業は、組織全体での取り組みも進んでいます。

統合報告書のトップメッセージ、株主総会での発言、こうしたところで多様性についての言及があるかを確認できます。

二つ目の特徴は、専門部署や担当者の存在です。

障害者雇用を担当する専門部署、ダイバーシティ推進室、こうした組織がある企業は、本格的に取り組んでいます。

三つ目の特徴は、合理的配慮の柔軟性です。

「うちは画一的にこの配慮しか提供しません」ではなく、「あなたの状況に応じて配慮を一緒に考えていきましょう」、こうした姿勢を持つ企業が良い企業です。

四つ目の特徴は、メンター制度やジョブコーチの活用です。

入社後の定着支援、業務上のサポート、こうした仕組みがある企業は、長く働ける可能性が高くなります。

五つ目の特徴は、キャリアパスの明確化です。

「障害者だからキャリアアップは難しい」ではなく、「障害者でも能力次第で昇進できる」、こうした方針を明確にしている企業が望ましいものです。

六つ目の特徴は、多様な働き方の選択肢です。

リモートワーク、時短勤務、フレックスタイム、こうした柔軟な働き方を選択できる企業は、障害特性に応じた働き方ができます。

七つ目の特徴は、社員研修の充実です。

障害理解、合理的配慮、ハラスメント防止、こうした研修を全社員に実施している企業は、職場全体の理解度が高い傾向があります。

これらの特徴をチェックリストとして使い、自分が応募を検討している企業を評価してみてください。

注意すべき企業の特徴

逆に、表面的には障害者雇用に取り組んでいるように見えても、実態が伴っていない企業もあります。

注意すべき特徴をいくつか紹介します。

一つ目の注意点は、代行ビジネスを利用している企業です。

法定雇用率は達成しているものの、雇用された障害者が契約企業のオフィスで働いていない場合、代行ビジネスの可能性があります。

応募する前に、勤務地と業務内容を必ず確認してください。

二つ目の注意点は、数字だけ達成している企業です。

法定雇用率は達成しているけれど、障害者の正社員比率が極端に低い、平均勤続年数が短い、こうした企業は実質的な雇用ができていない可能性があります。

三つ目の注意点は、単純作業に限定している企業です。

障害者の業務が清掃、軽作業、書類整理、こうした単純作業に限定されている企業は、能力を活かす機会を提供していない可能性があります。

特に、専門的なスキルや経験を持つ方にとっては、こうした職場は満足できる場所ではないかもしれません。

四つ目の注意点は、特例子会社が本社と切り離されている場合です。

特例子会社で働くことは悪いことではありませんが、本社業務と完全に切り離されていて、社員間の交流もないような場合、社会的孤立につながることがあります。

五つ目の注意点は、口コミでハラスメントの噂がある企業です。

「障害があることをからかわれた」「配慮を求めたら冷たい対応をされた」、こうした口コミがある企業は要注意です。

六つ目の注意点は、合理的配慮を「サービス」として捉えている企業です。

「うちはここまで配慮してあげています」、こうした上から目線の姿勢を持つ企業は、本当の意味でのインクルージョンが進んでいない可能性があります。

合理的配慮は法律で定められた企業の義務であり、「してあげる」ものではありません。

これらの特徴に注意しながら、企業を見極めていきましょう。

二〇二六年の最新動向

二〇二六年現在、人的資本経営における障害者雇用への評価は、さらに重視される方向に進んでいます。

二〇二六年からは、上場企業の有価証券報告書での人的資本情報開示の項目がさらに拡充されました。

障害者雇用に関する詳細な情報、定着率、キャリアアップの実績、こうしたデータの開示が求められるようになっています。

ISO三〇四一四という国際規格があり、人的資本の情報開示に関する国際標準として注目されています。

この規格に準拠した報告を行う日本企業も増えており、グローバル基準での評価が広がっています。

ESG投資の拡大も、企業の障害者雇用への取り組みを後押ししています。

機関投資家が、ESG評価を投資判断に組み込むようになり、多様性指標で低評価の企業からは投資が引き上げられる傾向があります。

この影響で、企業は障害者雇用を含む多様性への取り組みを強化せざるを得なくなっています。

リモートワーク技術の進化も、障害者雇用のあり方を変えています。

通勤が困難な障害者も、自宅から本社業務に直接関わることができるようになり、雇用機会が大きく広がっています。

メタバースやVR技術を活用した職場参加、AI技術を活用した業務支援、こうした新しい働き方も少しずつ広がっています。

代行ビジネスへの規制強化も進んでおり、実質的な障害者雇用への移行が加速しています。

これらの動向を踏まえると、二〇二六年以降は、形式的な雇用ではなく、本当に障害者の能力を活かす職場が増えていくことが期待できます。

自分のキャリアにどう活かすか

人的資本経営の動向は、障害を抱える方のキャリア選択にも大きな影響を与えます。

これをどう自分のキャリアに活かすか、いくつかの観点でお伝えします。

一つ目は、長期的な視点で企業を選ぶことです。

短期的な給与だけでなく、長期的に成長できる環境かどうかを重視してください。

人的資本経営に真剣に取り組む企業は、社員の成長を支援する仕組みを持っています。

二つ目は、自分のスキルアップに投資することです。

人的資本経営の時代では、社員一人ひとりの専門性や能力が重視されます。

ハローワークの職業訓練、就労移行支援、オンライン学習、こうしたものを活用してスキルを磨くことが、就職市場での価値を高めます。

三つ目は、自分の強みを言語化することです。

障害があっても、独自の視点、特定の能力、こうしたものを持っているはずです。

「障害者雇用枠だから採用される」ではなく、「能力があるから採用される」、こうした姿勢で就職活動に臨むことが大切です。

四つ目は、企業との対話を恐れないことです。

面接や入社後に、自分が必要とする配慮を明確に伝えることが大切です。

人的資本経営に取り組む企業は、こうした対話を歓迎します。

五つ目は、長期的なキャリアプランを持つことです。

最初の就職がゴールではなく、その先にどう成長していくかを考えてください。

転職、キャリアアップ、専門性の深化、こうした選択肢を視野に入れたキャリアプランが、長期的な満足につながります。

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心と体のケアを忘れずに

就職活動や働き方を考えることは、心身に大きな負担をかけることがあります。

メンタル面で疲弊している方は、主治医との相談を密にしてください。

通院費が心配な方は、自立支援医療制度を使えば医療費の自己負担を一割程度に軽減できます。

各自治体の精神保健福祉センターでは、無料で相談を受けられます。

夜中に強い苦しさを感じる時は、よりそいホットライン、いのちの電話、こうした二十四時間対応の電話相談窓口に連絡してください。

体の健康も大切です。

栄養バランスの取れた食事、適度な運動、十分な睡眠、こうした基本的な健康管理を意識してください。

まとめ

人的資本経営の広がりとともに、障害者雇用は企業価値の重要な評価項目になっています。

二〇二六年現在、上場企業は人的資本情報の開示が義務化され、障害者雇用の質も投資家から評価される時代になりました。

法定雇用率の達成度だけでなく、雇用形態、職種の多様性、定着率、キャリアアップの機会、合理的配慮の充実度、こうした指標で企業が評価されます。

有価証券報告書、サステナビリティレポート、第三者評価、口コミ、こうした情報源から、自分に合った企業を見極めていきましょう。

なお、もし今、精神的に追い詰められて死にたいといった気持ちが強く湧いている場合は、よりそいホットラインの「0120279338」やいのちの電話などの二十四時間対応の窓口に、どうか一度連絡してみてください。

あなたが今この瞬間を生き延びてくれることを、心から願っています。

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