「資格を取って再就職したいけど、お金がない」「失業中に手に職をつけたい」そんなとき、ハローワークの職業訓練制度を利用すれば、無料または低額で資格取得を目指すことができます。さらに、条件を満たせば訓練期間中に給付金を受け取ることも可能です。この記事では、ハローワークで利用できる職業訓練の種類、資格取得のための制度、申請方法、受けられる給付金について、詳しく解説していきます。
ハローワークの職業訓練とは
ハローワークの職業訓練(公的職業訓練)は、就職やキャリアアップを目指す人が、無料または低額で専門的なスキルや資格を習得できる制度です。
職業訓練の目的
- 失業者の早期再就職を支援する
- 在職者のスキルアップを図る
- 新しい職種への転職を支援する
- 資格取得を通じて就職の可能性を高める
職業訓練の種類
職業訓練は、対象者によって大きく2つに分かれます。
1. 公共職業訓練(離職者訓練)
雇用保険を受給している求職者(失業保険をもらっている人)が対象です。
2. 求職者支援訓練
雇用保険を受給できない求職者(失業保険をもらえない人)が対象です。
公共職業訓練(離職者訓練)
雇用保険を受給している人が利用できる訓練です。
対象者
- 雇用保険(失業保険)を受給中の求職者
- ハローワークで求職申込をしている人
- ハローワークから職業訓練が必要と認められた人
訓練期間
- 短期 3か月〜6か月
- 長期 1年〜2年(高度な専門知識を要するもの)
費用
受講料
- 原則無料
テキスト代・教材費
- 実費負担(数千円〜数万円程度)
取得できる主な資格
IT・情報処理系
- ITパスポート
- 基本情報技術者
- Webデザイン関連
- プログラミング関連
事務系
- 日商簿記(2級・3級)
- MOS(マイクロソフトオフィススペシャリスト)
- 医療事務
- 介護事務
医療・福祉系
- 介護職員初任者研修(旧ヘルパー2級)
- 介護福祉士実務者研修
- 登録販売者
- 調剤薬局事務
建設・技術系
- CAD利用技術者
- 電気工事士(第二種)
- 危険物取扱者
- フォークリフト運転技能
美容・サービス系
- ネイリスト技能検定
- エステティシャン
- ファイナンシャルプランナー
その他
- 宅地建物取引士
- 保育士
- 栄養士(一部の長期訓練)
受講中の給付
雇用保険(失業保険)の延長
訓練を受けている期間中は、雇用保険の給付日数が延長されます。つまり、訓練が終わるまで失業保険を受け取り続けることができます。
受講手当・通所手当
条件を満たせば、以下の手当が支給されます。
- 受講手当 日額500円(上限2万円)
- 通所手当 通所にかかる交通費(上限あり)
求職者支援訓練
雇用保険を受給できない求職者が利用できる訓練です。
対象者
- 雇用保険を受給できない求職者
- 雇用保険の受給が終了した人
- 雇用保険の受給資格がなかった人(自営業、フリーランス、専業主婦など)
- 学卒未就職者
- ハローワークで求職申込をしている人
- ハローワークから訓練が必要と認められた人
訓練期間
- 基礎コース 2か月〜4か月
- 実践コース 3か月〜6か月
費用
受講料
- 原則無料
テキスト代・教材費
- 実費負担(公共職業訓練と同様)
取得できる主な資格
公共職業訓練とほぼ同様の資格が取得できます。ただし、訓練期間が比較的短いため、短期間で取得できる資格が中心です。
職業訓練受講給付金
条件を満たせば、訓練期間中に給付金を受け取ることができます。
給付額
- 月額10万円
- 通所手当(交通費、上限あり)
- 寄宿手当(該当者のみ、月額10,700円)
支給条件
以下のすべてを満たす必要があります。
- 本人の収入が月8万円以下
- 世帯全体の収入が月25万円以下
- 世帯全体の金融資産が300万円以下
- 現在住んでいる場所以外に土地・建物を所有していない
- すべての訓練実施日に出席している(やむを得ない理由による欠席が8割以上出席に含まれる)
- 世帯の中に同時にこの給付金を受給している人がいない
- 過去3年以内に、偽りその他不正の行為により、特定の給付金の支給を受けたことがない
注意点
条件が厳しく、すべてを満たさないと受給できません。特に、出席率の要件が厳しいので注意が必要です。
職業訓練の申し込み方法
職業訓練を受けるまでの流れを説明します。
ステップ1 ハローワークで求職申込
まず、最寄りのハローワークで求職申込を行います。
雇用保険を受給している場合は、受給手続きも済ませておきます。
ステップ2 職業相談
ハローワークの窓口で職業相談を受けます。
自分の希望する職種、取得したい資格、訓練の希望などを伝えましょう。
ステップ3 訓練コースを選ぶ
ハローワークで閲覧できる訓練コース一覧から、希望する訓練を選びます。
インターネットでも「ハロートレーニング」で検索すると、訓練情報を見ることができます。
ステップ4 受講申込書を提出
希望する訓練が決まったら、ハローワークで受講申込書を提出します。
必要書類(例)
- 受講申込書(ハローワークで記入)
- 雇用保険受給資格者証(該当者のみ)
- 写真(履歴書用サイズ)
- その他、訓練によって必要な書類
ステップ5 選考
訓練校によって選考が行われます。
選考方法
- 面接
- 筆記試験(簡単な学力テスト)
- 書類選考
人気の高いコースは倍率が高くなることもあります。
ステップ6 合格通知
合格すると、訓練校またはハローワークから通知が来ます。
ステップ7 訓練開始
指定された日時に訓練校へ通い始めます。
申込から開始までの期間
訓練開始の約1〜2か月前が申込期限になっていることが多いです。計画的に準備しましょう。
在職者向けの訓練
現在働いている人(在職者)向けの訓練制度もあります。
在職者訓練(スキルアップセミナー)
在職中の人が、仕事に必要な技能や知識を習得するための短期訓練です。
対象者
- 在職中の人
- 事業主から派遣された人
訓練期間
- 2日〜5日程度の短期間
費用
- 有料(数千円〜数万円程度)
内容
- CAD、溶接、電気工事、プログラミングなど、実務に直結するスキル
教育訓練給付制度
厚生労働大臣が指定する講座を受講し、修了した場合、受講費用の一部が支給される制度です。
一般教育訓練給付金
- 受講費用の20%(上限10万円)
特定一般教育訓練給付金
- 受講費用の40%(上限20万円)
- 速やかな再就職および早期のキャリア形成に資する教育訓練が対象
専門実践教育訓練給付金
- 受講費用の50%(上限年間40万円)
- 資格取得等し、就職した場合は70%(上限年間56万円)
- 看護師、美容師、調理師、保育士などの専門資格が対象
条件
- 雇用保険に一定期間加入している
- 離職後1年以内(一般教育訓練の場合)
詳しくはハローワークで確認してください。
職業訓練を受けるメリット
職業訓練を受けることには、多くのメリットがあります。
1. 無料または低額で学べる
通常なら数十万円かかる講座を、無料または低額で受講できます。
2. 資格取得ができる
就職に有利な資格を取得できます。
3. 給付金を受け取れる
条件を満たせば、訓練期間中に給付金を受け取りながら学べます。
4. 就職支援を受けられる
訓練期間中や修了後も、ハローワークや訓練校から就職支援を受けられます。
5. 再就職の可能性が高まる
スキルや資格を身につけることで、就職の選択肢が広がります。
6. 生活リズムが整う
毎日訓練校に通うことで、規則正しい生活リズムができます。
7. 仲間ができる
同じ目標を持つ仲間と出会い、励まし合うことができます。
職業訓練のデメリット・注意点
メリットばかりではなく、注意すべき点もあります。
1. 選考に落ちることがある
人気のコースは倍率が高く、落ちることもあります。
2. 出席率の要件が厳しい
欠席が多いと、給付金が受け取れなくなったり、訓練を修了できなくなったりします。
3. 就職活動が制限される
訓練期間中は、訓練に専念する必要があり、積極的な就職活動ができないこともあります。
4. 必ずしも就職できるわけではない
資格を取得しても、必ず就職できるとは限りません。
5. 訓練内容が期待と違うことも
実際に受けてみると、想像していた内容と違うこともあります。事前によく確認しましょう。
6. 若い人との年齢差
訓練生の年齢層は幅広く、年齢差を感じることもあります。
よくある質問(FAQ)
Q 年齢制限はある?
A 基本的にありません。ただし、一部の訓練では年齢制限がある場合もあります。
Q 訓練期間中にアルバイトはできる?
A 雇用保険を受給している場合、アルバイトをすると失業保険の給付額が減額されたり、不正受給になったりすることがあります。必ずハローワークに相談してください。求職者支援訓練の場合も、収入条件があるため、アルバイトは慎重に検討する必要があります。
Q 訓練を途中でやめることはできる?
A できますが、給付金の返還を求められる場合があります。また、次回の訓練受講が制限されることもあります。
Q 訓練修了後、必ず就職しなければならない?
A 義務ではありませんが、就職に向けて努力することが求められます。訓練終了後も、ハローワークで就職活動を続けます。
Q 子どもがいても受講できる?
A 受講自体は可能ですが、訓練は平日の日中に行われるため、保育の手配が必要です。一部の訓練校では託児サービスがある場合もあります。
Q どんな訓練を選べばいい?
A 自分の希望する職種、興味のある分野、将来のキャリアプランに合わせて選びましょう。ハローワークの職業相談で、適性や希望を伝えて相談するのがおすすめです。
Q 訓練を受けても就職できなかったら?
A 訓練修了後も、ハローワークで引き続き就職支援を受けられます。また、別の訓練を受けることも可能です。
効果的な職業訓練の活用法
職業訓練を最大限に活用するためのポイントです。
1. 明確な目標を持つ
「この資格を取って、この職種に就く」という明確な目標を持ちましょう。
2. 積極的に学ぶ
受け身ではなく、積極的に質問したり、復習したりしましょう。
3. 仲間と協力する
同じクラスの仲間と情報交換したり、励まし合ったりしましょう。
4. 欠席しない
出席率は非常に重要です。体調管理に気をつけ、できるだけ欠席しないようにしましょう。
5. 就職活動も並行する
訓練期間中も、求人情報をチェックしたり、応募書類を準備したりしましょう。
6. 訓練校の就職支援を活用する
多くの訓練校には、就職支援の担当者がいます。積極的に相談しましょう。
7. 資格取得を確実に
訓練で学んだことを活かし、確実に資格を取得しましょう。
まとめ
ハローワークの職業訓練を活用すれば、無料または低額で資格取得を目指すことができます。
職業訓練の種類
- 公共職業訓練(雇用保険受給者向け)
- 求職者支援訓練(雇用保険を受給できない人向け)
- 在職者訓練(在職中の人向け)
取得できる主な資格
- IT・情報処理、事務、医療・福祉、建設・技術、美容・サービスなど多様
給付金
- 公共職業訓練 雇用保険の延長、受講手当、通所手当
- 求職者支援訓練 月額10万円(条件あり)、通所手当
申込の流れ
- ハローワークで求職申込
- 職業相談
- 訓練コースを選ぶ
- 受講申込書を提出
- 選考
- 訓練開始
重要なポイント
- 計画的に申し込む(開始の1〜2か月前)
- 出席率を保つ
- 明確な目標を持つ
- 積極的に学ぶ
失業中や転職を考えているなら、ハローワークの職業訓練は非常に有効な選択肢です。まずは最寄りのハローワークで相談してみましょう。
新しいスキルや資格を手に入れて、理想の仕事を手に入れる第一歩を踏み出してください。

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