はじめに
就労継続支援B型事業所を利用するためには、「受給者証(障害福祉サービス受給者証)」が必要です。しかし、「受給者証がない」「受給者証の取得方法が分からない」「受給者証がないとB型を利用できないのか」と悩んでいる方がいらっしゃいます。
受給者証がなければ、B型事業所を利用することはできません。受給者証は、障害福祉サービスを利用するための「許可証」のようなもので、これがなければ、事業所と契約することも、サービスを受けることもできません。
しかし、受給者証は、正しい手順を踏めば、誰でも取得できます。障害者手帳がなくても、医師の診断書があれば取得可能です。手続きは少し複雑ですが、市区町村の窓口や相談支援専門員のサポートを受けながら進めれば、必ず取得できます。
本記事では、受給者証がない理由、受給者証の取得方法、取得にかかる期間、必要な書類、障害者手帳との違い、そして受給者証取得の注意点まで、詳しく解説していきます。
受給者証がない理由
理由1: 受給者証の存在を知らなかった
最も多い理由 「B型を利用するには受給者証が必要」ということを、そもそも知らなかった。
誤解: 「障害者手帳があればB型を利用できる」と誤解していた。
実際: 障害者手帳と受給者証は別物です。受給者証が必要です。
理由2: 申請していない
手続きをしていない 受給者証が必要なことは知っていたが、まだ申請していない。
理由:
- 手続きが面倒
- 何から始めればいいか分からない
- 時間がない
- 先延ばしにしていた
理由3: 申請中
審査待ち 受給者証を申請したが、まだ交付されていない。
期間: 申請から交付まで、通常1〜3週間かかります。
状況: 「申請中」の状態で、「受給者証がない」という状況です。
理由4: 過去に持っていたが期限切れ
更新していない 以前は受給者証を持っていたが、期限が切れて、更新していない。
期限: 受給者証には有効期限があります(通常1年間)。
失効: 期限が切れると、受給者証は失効します。
理由5: 障害者手帳と混同している
別物 受給者証と障害者手帳を混同している。
誤解: 「障害者手帳を持っているから、受給者証も持っている」と誤解している。
実際: 障害者手帳と受給者証は全く別の書類です。
理由6: 申請が却下された
稀なケース 申請したが、却下された。
理由:
- 必要な書類が揃っていなかった
- 障害の程度が基準を満たしていないと判断された(稀)
- 他のサービスが優先と判断された
再申請: 却下された理由を確認し、再申請できます。
理由7: 他のサービスの受給者証を持っている
別サービス 他の障害福祉サービス(例:就労移行支援、生活介護など)の受給者証を持っているが、B型の受給者証は持っていない。
誤解: 「受給者証は1枚あれば、どのサービスにも使える」と誤解している。
実際: 受給者証には、利用できるサービスの種類が記載されています。B型を利用するには、「就労継続支援B型」が記載された受給者証が必要です。
理由8: 引っ越しで失効
転居 他の市区町村から引っ越してきて、受給者証が失効した。
理由: 受給者証は、発行した市区町村でのみ有効です。
手続き: 新しい市区町村で、改めて受給者証を申請する必要があります。
理由9: サービスを中断していた
長期の中断 以前B型を利用していたが、長期間中断し、受給者証の期限が切れた。
再開: 再びB型を利用したい場合、受給者証を再度取得する必要があります。
理由10: 取得方法が分からない
情報不足 受給者証が必要なことは知っているが、どうやって取得すればいいか分からない。
サポート不足: 相談支援専門員などのサポートを受けていない。
受給者証とは
受給者証の正式名称
正式名称 「障害福祉サービス受給者証」が正式名称です。
略称: 「受給者証」と呼ばれることが多いです。
受給者証の役割
障害福祉サービスを利用するための証明書 受給者証は、障害福祉サービスを利用する資格があることを証明する書類です。
記載内容:
- 利用者の氏名、住所、生年月日
- 障害の種類
- 利用できるサービスの種類(例:就労継続支援B型)
- 支給量(週何日、月何日利用できるか)
- 支給決定期間(有効期限)
- 利用者負担上限月額
受給者証の形状
カードまたは紙 市区町村によって、カード型または紙型があります。
サイズ:
- カード型:クレジットカードサイズ
- 紙型:A5サイズ程度
携帯: 事業所に通所する際、携帯する必要はありませんが、契約時に提示が必要です。
受給者証の有効期限
通常1年間 受給者証の有効期限は、通常1年間です。
更新: 期限が切れる前に、更新の手続きが必要です。
自動更新ではない: 自動更新されないため、自分で更新手続きをする必要があります。
障害者手帳との違い
全く別物 受給者証と障害者手帳は、全く別の書類です。
障害者手帳:
- 障害があることを証明する書類
- 交通機関の割引、税金の減免などに使用
- 一度取得すれば、基本的に永続的(更新は必要)
受給者証:
- 障害福祉サービスを利用する資格を証明する書類
- B型などのサービスを利用するために必要
- 有効期限があり(通常1年)、定期的な更新が必要
両方必要: B型を利用するには、障害者手帳(または診断書)と受給者証の両方が必要です。
受給者証の取得方法
取得の流れ(標準的な手順)
全体の流れ 受給者証の取得には、以下のステップがあります。
ステップ1: 相談 市区町村の障害福祉課、または相談支援事業所に相談します。
ステップ2: 必要書類の準備 必要な書類を準備します。
ステップ3: サービス等利用計画の作成 相談支援専門員に依頼、またはセルフプランで作成します。
ステップ4: 申請 市区町村の窓口に、必要書類を提出します。
ステップ5: 調査(障害支援区分認定が必要な場合) ※B型は通常不要ですが、一部のケースで必要です。
ステップ6: 審査 市区町村が審査します。
ステップ7: 受給者証の交付 審査が通れば、受給者証が交付されます。
ステップ8: 事業所と契約 受給者証を持って、事業所と利用契約を結びます。
詳細な手順
ステップ1: 市区町村の障害福祉課に相談
まず窓口へ 市区町村役所の障害福祉課(名称は自治体によって異なる)に行き、「B型を利用したいので、受給者証を取得したい」と相談します。
相談内容:
- B型を利用したいこと
- 受給者証の取得方法
- 必要な書類
- 手続きの流れ
案内: 職員が、手続きの流れと必要書類を案内してくれます。
ステップ2: 必要書類の準備
一般的な必要書類 必要な書類は、市区町村によって異なりますが、一般的には以下の通りです。
1. 申請書 「障害福祉サービス支給申請書」などの名称です。窓口でもらえます。
2. 障害者手帳のコピー(または診断書)
- **障害者手帳を持っている場合:**手帳のコピー
- **障害者手帳を持っていない場合:**医師の診断書
診断書について:
- 精神障害、知的障害、身体障害など、障害があることを証明する診断書
- 主治医に依頼して作成してもらいます
- 費用は数千円程度(自費)
- 作成に1〜2週間かかることがあります
3. サービス等利用計画案
- 相談支援専門員が作成
- またはセルフプラン(自分で作成)
4. マイナンバー関連書類
- マイナンバーカード(または通知カード+身分証明書)
- マイナンバーの提供に同意する書類
5. 印鑑 認印でOKです(シャチハタ不可の自治体もあります)。
6. その他 自治体によって、その他の書類が必要なことがあります。事前に確認しましょう。
ステップ3: サービス等利用計画の作成
相談支援専門員に依頼(推奨) 相談支援専門員に、「サービス等利用計画案」の作成を依頼します。
依頼方法:
- 市区町村から相談支援事業所のリストをもらう
- 相談支援事業所に電話して、依頼する
- 面談して、計画を作成してもらう
費用: 利用者負担は原則無料です。
セルフプラン 相談支援専門員が見つからない場合、自分で計画を作成(セルフプラン)することもできます。
ステップ4: 市区町村の窓口に申請
書類を提出 必要書類を揃えて、市区町村の障害福祉課に提出します。
窓口での確認: 職員が書類を確認し、不備があれば指摘してくれます。
受付: 書類が受理されれば、受付完了です。
控え: 申請書の控えをもらいましょう。
ステップ5: 審査
市区町村が審査 市区町村が、申請内容を審査します。
審査内容:
- 障害があるか(診断書や障害者手帳で確認)
- B型の利用が適切か
- サービス等利用計画は適切か
期間: 通常1〜3週間程度かかります。
障害支援区分認定(B型は通常不要) B型の場合、通常は障害支援区分認定は不要です。ただし、一部のケース(50歳未満で就労移行支援等を利用したことがない場合など)では、認定が必要なことがあります。
ステップ6: 受給者証の交付
郵送または窓口 審査が通れば、受給者証が交付されます。
受け取り方法:
- 郵送で自宅に届く
- または、窓口で受け取る
内容確認: 受給者証を受け取ったら、内容を確認しましょう。
- サービスの種類:「就労継続支援B型」と記載されているか
- 支給量:週何日、月何日利用できるか
- 支給決定期間:有効期限
誤りがあれば: 誤りがあれば、すぐに市区町村に連絡しましょう。
ステップ7: 事業所と契約
受給者証を持参 受給者証を持って、利用したいB型事業所に行きます。
契約: 重要事項説明書を確認し、利用契約書にサインします。
利用開始: 契約が完了すれば、B型の利用を開始できます。
取得にかかる期間
標準的な期間
全体で1〜2ヶ月 必要書類の準備から受給者証の交付まで、全体で1〜2ヶ月程度かかります。
内訳:
- 診断書の取得(手帳がない場合):1〜2週間
- サービス等利用計画の作成:1〜2週間
- 申請から交付:1〜3週間
早めるコツ
コツ1: 早めに動く 手続きには時間がかかるため、早めに動きましょう。
コツ2: 書類を同時並行で準備 診断書の依頼、相談支援専門員への依頼など、同時並行で進めましょう。
コツ3: 不備をなくす 書類の不備があると、再提出が必要になり、時間がかかります。窓口で事前に確認しましょう。
コツ4: 相談支援専門員を活用 相談支援専門員に依頼すれば、スムーズに進みます。
急ぐ場合
事情を伝える 「すぐに利用開始したい」という事情があれば、市区町村に伝えましょう。
対応: 市区町村によっては、優先的に処理してくれることがあります。
暫定支給決定(一部の自治体) 一部の自治体では、「暫定支給決定」という制度があり、受給者証の交付前に一時的に利用開始できることがあります。確認してみましょう。
障害者手帳がない場合
手帳なしでも受給者証は取得できる
診断書があればOK 障害者手帳がなくても、医師の診断書があれば、受給者証を取得できます。
診断書の内容:
- 障害名(例:うつ病、統合失調症、発達障害など)
- 障害の程度
- 日常生活や就労への影響
診断書の取得方法
主治医に依頼 通院先の主治医に、「B型を利用したいので、診断書を書いてください」と依頼します。
書式: 市区町村指定の書式がある場合があります。事前に市区町村に確認し、書式をもらいましょう。
費用: 診断書の作成費用は、通常数千円(3,000円〜5,000円程度)です。自費です。
期間: 診断書の作成には、1〜2週間かかることがあります。
手帳取得も検討
メリットが多い 障害者手帳を取得すると、様々なメリットがあります。
メリット:
- 交通機関の割引
- 税金の減免
- 公共施設の利用料減免
- NHK受信料の減免
- 携帯電話料金の割引
- 医療費の助成(自治体による)
取得の検討: 受給者証と並行して、障害者手帳の取得も検討しましょう。
受給者証取得の注意点
注意点1: 取得しないとB型を利用できない
絶対に必要 受給者証がなければ、B型事業所を利用することはできません。
例外なし: どんなに事業所が受け入れたくても、受給者証がなければ契約できません。
注意点2: 時間がかかる
余裕を持って 受給者証の取得には、1〜2ヶ月かかります。余裕を持って手続きを始めましょう。
すぐには利用できない: 「明日からB型を利用したい」は無理です。
注意点3: 書類の不備に注意
確認を徹底 書類に不備があると、再提出が必要になり、時間がかかります。
窓口で確認: 提出前に、窓口で書類を確認してもらいましょう。
注意点4: 有効期限がある
1年で期限切れ 受給者証は、通常1年で期限が切れます。
更新手続き: 期限が切れる前に、更新手続きが必要です。
忘れずに: 更新を忘れると、サービスが利用できなくなります。
注意点5: 引っ越し時は再申請
転居したら 他の市区町村に引っ越した場合、新しい市区町村で受給者証を再度取得する必要があります。
手続き: 引っ越したら、すぐに新しい市区町村の障害福祉課に相談しましょう。
注意点6: サービスの種類に注意
記載内容を確認 受給者証には、利用できるサービスの種類が記載されています。
確認: 「就労継続支援B型」と記載されているか確認しましょう。
他のサービス: 他のサービス(例:就労移行支援)の受給者証を持っていても、B型は利用できません。
注意点7: 支給量に注意
利用日数の上限 受給者証には、「支給量」(月何日利用できるか)が記載されています。
確認: 自分が希望する日数が、支給量として認められているか確認しましょう。
例:
- 希望:週5日(月20日)
- 支給量:月15日 → 週5日は無理
変更: 支給量が足りない場合、変更申請ができます。
注意点8: 利用者負担
自己負担が発生することがある 受給者証には、「利用者負担上限月額」が記載されています。
上限額: 所得に応じて、0円〜37,200円の範囲で設定されます。
多くの人は0円: 生活保護受給者、市町村民税非課税世帯などは、0円です。
注意点9: 相談支援専門員の活用
一人で悩まない 受給者証の取得手続きは複雑です。一人で悩まず、相談支援専門員を活用しましょう。
代行: 相談支援専門員が、多くの手続きを代行してくれます。
注意点10: 分からないことは聞く
遠慮しない 分からないことは、市区町村の窓口に遠慮せず聞きましょう。
親切: 職員は、親切に教えてくれます。
よくある質問(FAQ)
Q1: 受給者証がないと、B型を利用できませんか?
A: はい、受給者証がないと利用できません。受給者証は、B型を利用するために必須の書類です。
Q2: 受給者証の取得にはどれくらい時間がかかりますか?
A: 必要書類の準備から交付まで、全体で1〜2ヶ月程度かかります。
Q3: 障害者手帳がなくても、受給者証は取得できますか?
A: はい、医師の診断書があれば取得できます。
Q4: 受給者証の取得費用はいくらですか?
A: 受給者証自体の取得費用は無料です。ただし、診断書の作成費用(手帳がない場合)は自費で、数千円かかります。
Q5: 受給者証に有効期限はありますか?
A: はい、通常1年間です。期限が切れる前に更新手続きが必要です。
Q6: 受給者証と障害者手帳は同じですか?
A: いいえ、全く別の書類です。障害者手帳は障害があることを証明する書類、受給者証は障害福祉サービスを利用する資格を証明する書類です。
Q7: 受給者証の申請は、どこでできますか?
A: 市区町村役所の障害福祉課で申請できます。
Q8: セルフプランで受給者証を取得できますか?
A: はい、相談支援専門員に依頼せず、自分でサービス等利用計画を作成(セルフプラン)して申請できます。
Q9: 受給者証を失くしました。どうすればいいですか?
A: 市区町村の障害福祉課に連絡し、再発行の手続きをしましょう。通常、数日で再発行されます。
Q10: 引っ越したら、受給者証はどうなりますか?
A: 他の市区町村に引っ越した場合、新しい市区町村で受給者証を再度取得する必要があります。
まとめ:受給者証は必須、でも取得は難しくない
B型事業所を利用するためには、受給者証が絶対に必要です。受給者証がなければ、どんなに事業所が受け入れたくても、利用することはできません。
しかし、受給者証の取得は、決して難しくありません。正しい手順を踏めば、誰でも取得できます。
大切なポイント
- 受給者証は必須 B型を利用するには、受給者証が絶対に必要です。
- 取得の流れを理解する 相談→書類準備→申請→審査→交付という流れです。
- 1〜2ヶ月かかる 余裕を持って手続きを始めましょう。
- 障害者手帳がなくてもOK 診断書があれば取得できます。
- 相談支援専門員を活用 一人で悩まず、専門家のサポートを受けましょう。
- 市区町村の窓口に相談 まずは、障害福祉課に相談しましょう。
- 必要書類を確認 申請書、診断書(または手帳)、サービス等利用計画、マイナンバー関連書類など。
- 書類の不備に注意 不備があると時間がかかります。窓口で確認しましょう。
- 有効期限がある 1年で期限が切れるため、更新を忘れずに。
- 分からないことは聞く 遠慮せず、窓口や相談支援専門員に聞きましょう。
あなたへのメッセージ
「受給者証がない」「取得方法が分からない」——その状況に不安を感じているあなたへ。
まず、安心してください。受給者証は、正しい手順を踏めば、誰でも取得できます。手続きは少し複雑に感じるかもしれませんが、市区町村の窓口や相談支援専門員のサポートを受けながら進めれば、必ず取得できます。
受給者証がなければ、B型事業所を利用することはできません。でも、裏を返せば、受給者証さえ取得すれば、B型を利用できるということです。受給者証は、あなたとB型をつなぐ「架け橋」です。
手続きには、1〜2ヶ月かかります。「すぐに利用したい」と焦る気持ちもあるでしょう。でも、この1〜2ヶ月は、あなたの将来のための大切な準備期間です。焦らず、一つひとつ、丁寧に進めていきましょう。
もし、「一人で手続きするのが不安」「何から始めればいいか分からない」と思うなら、相談支援専門員を頼ってください。彼らは、受給者証取得のプロです。必要書類の準備、サービス等利用計画の作成、市区町村とのやり取り——多くのことを代わりにやってくれます。一人で抱え込まないでください。
障害者手帳を持っていなくても、大丈夫です。医師の診断書があれば、受給者証を取得できます。主治医に「B型を利用したいので、診断書を書いてください」と相談してください。主治医は、きっと協力してくれます。
受給者証を取得する過程は、少し大変かもしれません。書類を集めたり、窓口に行ったり、待ったり——面倒に感じることもあるでしょう。でも、その先には、あなたの新しい生活が待っています。B型事業所という、あなたの居場所、働く場所、成長する場所が待っています。
あなたが、無事に受給者証を取得し、B型事業所での新しい生活を始められることを心から願っています。一歩ずつ、焦らず、でも諦めずに、進んでいきましょう。サポートしてくれる人がいます。あなたは一人ではありません。受給者証という「架け橋」を渡れば、新しい世界が開けます。その一歩を、勇気を持って踏み出してください。

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