はじめに
就労継続支援B型事業所を探している時、インターネットで見つけた情報が古くて困った経験はありませんか。ホームページの更新日が何年も前、掲載されている写真が明らかに古い、電話番号が変わっている、記載されている作業内容が現在は行われていない、工賃の情報が数年前のまま——こうした「情報の古さ」は、事業所選びにおいて大きな障害となります。
福祉サービス事業所の情報は、一般企業のウェブサイトに比べて更新頻度が低い傾向にあります。人手不足や予算の制約などから、ホームページの更新が後回しにされてしまうケースも少なくありません。しかし、古い情報に基づいて事業所を選ぶと、期待と現実のギャップが生じ、ミスマッチにつながる可能性があります。
本記事では、なぜB型事業所の情報が古くなりがちなのか、古い情報の見分け方、最新情報を得るための具体的な方法、そして情報が古い時の対処法を、詳しく解説していきます。
なぜB型事業所の情報が古くなりがちなのか
1. 人手不足
更新する余裕がない 多くのB型事業所は、利用者支援に人手を割いており、ホームページ更新まで手が回らないことがあります。
専門スタッフがいない ホームページ更新を担当する専門スタッフがおらず、支援員が片手間で対応していることもあります。
ITスキルの不足 ホームページの更新方法が分からない、難しいと感じているスタッフもいます。
2. 予算の制約
更新費用がない 外部業者にホームページ更新を依頼する費用が確保できないことがあります。
優先順位が低い 限られた予算の中で、利用者支援が優先され、広報活動は後回しになりがちです。
3. 緊急性の認識不足
「いつか更新しよう」 「今すぐ更新しなくても大丈夫」と考え、後回しにしているうちに、古い情報が放置されます。
問い合わせがあれば対応すればいい 「電話で問い合わせがあれば、その時に正しい情報を伝えればいい」と考えている事業所もあります。
4. 情報の変化
サービス内容の変化 作業内容、工賃、スケジュールなどが変更されても、ホームページが更新されないことがあります。
スタッフの入れ替わり 支援員が入れ替わっても、ホームページの情報が更新されないことがあります。
コロナ禍の影響 コロナ禍で一時的に変更されたサービス内容が、そのままホームページに残っていることもあります。
5. そもそもホームページがない
ホームページ自体がない事業所も 小規模な事業所では、ホームページ自体がない場合もあります。
紙のパンフレットのみ ホームページがなく、紙のパンフレットのみで広報している事業所もあります。
古い情報の見分け方
【ホームページで確認】
1. 更新日時をチェック
- 「最終更新日」が記載されているか確認
- 1年以上前なら、情報が古い可能性が高い
- 更新日時の記載がない場合も要注意
2. お知らせ・ブログの日付
- 最新のお知らせやブログ記事の日付を確認
- 1年以上更新されていない場合、他の情報も古い可能性
3. 写真の質と雰囲気
- 画質が粗い、古いデジカメで撮影したような写真は古い可能性
- 写っている人の服装や髪型が古く見える
- 施設の設備が古そう(パソコンのモニターがブラウン管など)
4. イベント情報
- 「○年○月のイベント」など、過去の日付のイベント情報が残っている
- 「募集中」となっているが、日付が過去
5. 工賃情報
- 「○年度の平均工賃」など、年度が古い
- 「参考:○年度実績」と注釈があるか確認
6. デザインの古さ
- ホームページのデザインが古い(Flash使用、フレーム分割など)
- スマホ対応していない
- リンク切れが多い
7. SNSとの連動
- SNS(Twitter、Facebook、Instagram)のリンクがあるか
- SNSは更新されているか
- SNSの最終投稿日を確認
8. Googleマップの口コミ
- Googleマップで事業所を検索
- 口コミの日付を確認
- 「閉業」などの情報がないか確認
【外部サイトで確認】
9. WAM NETの情報
- WAM NETで事業所を検索
- 情報提供日を確認
- ホームページの情報と照合
10. 市区町村のリスト
- 市区町村が公開している事業所リストを確認
- リストの更新日を確認
- 事業所名、住所、電話番号が一致するか確認
11. 求人情報
- 求人サイトで事業所名を検索
- 最近求人を出しているか(最近出していれば、運営は活発)
- 求人情報に記載されている事業内容と、ホームページの情報が一致するか
【電話で確認】
12. 電話番号が通じるか
- ホームページの電話番号に電話してみる
- つながらない場合、情報が古い可能性
13. 住所が正しいか
- Googleマップで住所を確認
- ストリートビューで外観を確認
- 建物が存在するか、看板があるか
最新情報を得るための具体的な方法
方法1: 直接電話する(最も確実)
電話が最も確実 古い情報に惑わされないための最も確実な方法は、直接電話することです。
電話で確認すべきこと
- 事業所は現在も運営しているか
- 見学は可能か
- 作業内容(ホームページの情報は正しいか)
- 通所日時と時間
- 工賃(平均額、計算方法)
- 定員と現在の利用者数(空きがあるか)
- 送迎サービスの有無
- 体験利用の可否
- 見学の予約方法
電話のかけ方
「お忙しいところ申し訳ありません。
就労継続支援B型の利用を検討している○○と申します。
ホームページを見たのですが、いくつか確認したいことがありまして、
今お時間よろしいでしょうか?」
メモを取る 電話で聞いた情報は、必ずメモを取りましょう。
方法2: メールで問い合わせる
電話が苦手な方 電話が苦手な方は、メールで問い合わせることもできます。
メールの例
件名:就労継続支援B型の利用について(見学希望)
○○事業所 ご担当者様
お世話になります。
就労継続支援B型の利用を検討している○○と申します。
貴事業所のホームページを拝見し、興味を持ちました。
つきましては、以下の点についてお教えいただけますでしょうか。
1. 現在、利用者の受け入れは可能でしょうか(定員の空き状況)
2. 主な作業内容を教えてください
3. 平均工賃(月額)を教えてください
4. 送迎サービスはありますでしょうか
5. 見学・体験利用は可能でしょうか
お忙しいところ恐れ入りますが、ご回答いただけますと幸いです。
よろしくお願いいたします。
○○(あなたの名前)
電話番号:xxx-xxxx-xxxx
返信がない場合 1週間経っても返信がない場合は、電話で確認しましょう。
方法3: 相談支援事業所を通じて確認する
相談支援専門員に頼む 相談支援事業所の担当者に、最新情報を確認してもらいましょう。
メリット
- 相談支援専門員は事業所と連携しており、最新情報を持っていることが多い
- あなたに代わって詳しく聞いてくれる
- 複数の事業所の情報を比較して教えてくれる
依頼の仕方 「○○事業所に興味があるのですが、ホームページの情報が古そうで。最新情報を確認していただけますか?」
方法4: 市区町村の窓口で確認する
障害福祉課で確認 市区町村の障害福祉課で、最新の事業所リストをもらいましょう。
確認できること
- 事業所の基本情報(名称、住所、電話番号、定員)
- 最新の事業所リスト
- 新しく開設した事業所、閉鎖した事業所の情報
メリット
- 公的機関の情報なので、信頼性が高い
- リストは定期的に更新される
方法5: WAM NETで確認する
WAM NETとは 独立行政法人福祉医療機構が運営する、福祉・保健・医療の総合情報サイトです。
検索方法
WAM NET → 障害者福祉 → 事業所を探す
→ 都道府県・市区町村を選択
→ 就労継続支援B型を選択
確認できること
- 事業所の基本情報
- サービス内容
- 事業所の評価情報(第三者評価を受けている場合)
- 情報提供日(更新日)
注意点 WAM NETの情報も、必ずしも最新とは限りません。「情報提供日」を確認しましょう。
方法6: 見学に行く(最終確認)
百聞は一見に如かず 最終的には、実際に見学に行くことが最も確実です。
見学で確認
- ホームページの写真と現実が一致するか
- 記載されている作業内容を実際に行っているか
- 支援員の人数は適切か
- 施設は清潔か
- 利用者は楽しそうか
古い情報との違い 見学時に「ホームページでは○○と書いてありましたが、現在も同じですか?」と確認しましょう。
方法7: SNSをチェックする
SNSは更新頻度が高い ホームページは古くても、SNS(Twitter、Facebook、Instagram)は更新されていることがあります。
確認方法
- 事業所名で検索
- 「#事業所名」で検索
- 最新の投稿を確認
確認できること
- 日々の活動の様子
- イベント情報
- 利用者の作品
- スタッフの雰囲気
注意点 SNSの情報も、公式アカウントかどうか確認しましょう。
方法8: 口コミサイト・Googleマップを確認
Googleマップの口コミ Googleマップで事業所を検索し、口コミを確認しましょう。
確認できること
- 最近の利用者・家族の評価
- 施設の雰囲気
- スタッフの対応
- 注意点
注意点
- 口コミは主観的な意見なので、参考程度に
- 極端に良い評価、悪い評価は割り引いて考える
- 口コミの日付を確認(古い口コミは現状と異なる可能性)
方法9: 近隣の事業所に聞く
他の事業所に聞く 近隣の他のB型事業所に見学に行った際、「○○事業所はどんな感じですか?」と聞いてみることもできます。
メリット
- 事業所同士で情報を持っていることがある
- 利用者や家族からの評判を聞いていることもある
注意点
- 他の事業所の悪口を言う事業所には注意
- 客観的な情報として受け取る
方法10: 医療機関のソーシャルワーカーに聞く
通院先で聞く 通院している病院やクリニックのソーシャルワーカー(PSW)に聞いてみましょう。
メリット
- 医療機関は地域の福祉サービスと連携しており、最新情報を持っていることが多い
- あなたの状態に合った事業所を紹介してくれる
情報が古い事業所への対応
パターン1: 情報は古いが、事業所自体は良い
よくあるケース ホームページの更新が追いついていないだけで、実際の事業所は素晴らしいことがあります。
対応
- 古い情報に惑わされず、実際に見学する
- 電話やメールで最新情報を確認する
- 見学時に率直に「ホームページが古いようですが」と伝えてもOK
判断基準
- 事業所の運営自体はしっかりしているか
- 支援員の対応は丁寧か
- 利用者は楽しそうか
- 施設は清潔か
パターン2: 情報が古く、事業所自体も古い
危険なケース 情報が古いだけでなく、事業所の運営自体が停滞していることがあります。
見分け方
- 施設が老朽化している
- 支援員が疲弊している
- 利用者が減少している
- 新しい取り組みがない
対応
- 他の事業所も検討する
- 無理に選ばない
パターン3: ホームページがない
小規模事業所に多い 小規模な事業所では、ホームページ自体がないこともあります。
対応
- 電話で直接問い合わせる
- 相談支援専門員に情報を聞く
- 市区町村のリストを確認
- 実際に見学に行く
判断基準
- ホームページがないこと自体は、悪いことではない
- 実際の事業所の質で判断する
パターン4: 情報が古く、連絡がつかない
廃業・休業の可能性 電話がつながらない、メールの返信がない場合、廃業や休業の可能性があります。
確認方法
- 市区町村の窓口で確認
- WAM NETで確認
- Googleマップで「閉業」情報を確認
- 実際に現地に行ってみる
対応
- 無駄な時間を使わず、他の事業所を探す
古い情報を見つけた時の伝え方
事業所に伝える
建設的に伝える 「ホームページの情報が古いようですが、更新していただけると、もっと多くの方が利用しやすくなると思います」
具体的に指摘 「工賃の情報が○年度のままになっていますが、最新の情報を教えていただけますか?」
批判ではなく提案 「最新の活動の様子など、もっと知りたいです。SNSなどで発信されると嬉しいです」
市区町村に伝える
リストの情報が古い場合 「事業所リストの○○事業所の情報が古いようです。確認していただけますか?」
メリット
- 市区町村がリストを更新してくれる
- 他の利用希望者も正しい情報にアクセスできる
最新情報を得るためのチェックリスト
見学・問い合わせ時に、以下の項目を確認しましょう。
基本情報
- [ ] 事業所名(変更していないか)
- [ ] 住所(移転していないか)
- [ ] 電話番号(変更していないか)
- [ ] 営業日時(変更していないか)
サービス内容
- [ ] 作業内容(ホームページの情報は正しいか)
- [ ] 作業時間(変更していないか)
- [ ] 通所日数(柔軟性はあるか)
- [ ] 送迎サービス(範囲、時間)
工賃
- [ ] 平均工賃(月額、直近の実績)
- [ ] 工賃の計算方法
- [ ] 最低保障はあるか
定員
- [ ] 定員(変更していないか)
- [ ] 現在の利用者数
- [ ] 空きはあるか
支援員
- [ ] 支援員の人数
- [ ] 支援員の配置(作業中、休憩中)
- [ ] サービス管理責任者の有無
施設
- [ ] 施設の設備(リフォーム、改装の有無)
- [ ] バリアフリー対応
- [ ] 清潔さ
その他
- [ ] 見学・体験利用の可否
- [ ] 最近の変更点(コロナ対応、作業内容の変更など)
- [ ] 今後の予定(新しい取り組みなど)
よくある質問(FAQ)
Q1: ホームページの情報が3年前から更新されていません。この事業所は大丈夫でしょうか?
A: ホームページが更新されていないだけで、事業所自体は問題なく運営されていることもあります。電話で直接確認するか、見学に行って判断しましょう。ただし、連絡がつかない、見学を断られる場合は、注意が必要です。
Q2: WAM NETの情報と、ホームページの情報が違います。どちらが正しいのでしょうか?
A: 両方とも古い可能性があります。直接事業所に電話して、最新情報を確認しましょう。
Q3: 工賃の情報が5年前のものでした。今はもっと高いのでしょうか、低いのでしょうか?
A: 両方の可能性があります。工賃は変動するので、必ず最新の情報を確認しましょう。電話で「直近の平均工賃を教えてください」と聞きましょう。
Q4: ホームページがない事業所は、避けた方がいいですか?
A: 一概にそうとは言えません。小規模で地域密着型の良い事業所でも、ホームページがないことがあります。電話で問い合わせ、見学に行って判断しましょう。
Q5: 古い情報しかない事業所に「情報が古い」と伝えてもいいですか?
A: 伝えても構いませんが、批判的にならず、建設的に伝えましょう。「最新情報を教えていただけますか?」という聞き方が良いでしょう。
Q6: 電話で問い合わせたら、「ホームページを見てください」と言われました。でも情報が古いのですが。
A: 「ホームページを見ましたが、更新日が古いようで、現在の状況を教えていただきたいのですが」と伝えましょう。それでも教えてくれない場合は、対応に問題がある可能性があります。
Q7: 見学に行ったら、ホームページの写真と全然違いました。どうすればよかったですか?
A: 見学前に電話で「最近、施設の改装や作業内容の変更はありましたか?」と確認しておくと良いでしょう。見学時に違いを感じたら、率直に質問してOKです。
Q8: SNSは更新されているのに、ホームページは古いままです。どちらを信じればいいですか?
A: SNSの方が最新情報の可能性が高いですが、念のため電話で確認しましょう。SNSとホームページの両方を運営するのは手間がかかるため、SNSだけ更新している事業所は多いです。
Q9: 情報が古すぎて、どこに問い合わせればいいか分かりません。
A: まず市区町村の障害福祉課に連絡し、最新の事業所リストをもらいましょう。それでも分からない場合は、相談支援事業所に相談しましょう。
Q10: 最新情報を得るために、何から始めればいいですか?
A: まず、市区町村の障害福祉課または相談支援事業所に連絡しましょう。彼らは最新の情報を持っていることが多く、あなたに合った事業所を紹介してくれます。
まとめ:古い情報に惑わされず、最新情報を得よう
B型事業所の情報が古いことは、残念ながら珍しくありません。しかし、古い情報に惑わされず、最新情報を得る方法はあります。
大切なポイント
- 古い情報を見分ける 更新日、写真、デザインなどから、情報が古いか判断しましょう。
- 直接電話が最も確実 古い情報に惑わされないために、直接電話で確認するのが最も確実です。
- 複数の情報源を使う ホームページだけでなく、WAM NET、市区町村のリスト、SNS、口コミなど、複数の情報源を活用しましょう。
- 相談支援専門員を頼る 相談支援事業所の担当者に、最新情報を確認してもらいましょう。
- 見学で最終確認 最終的には、実際に見学に行って、自分の目で確認しましょう。
- 情報が古い=悪い事業所ではない ホームページの更新が追いついていないだけで、実際は良い事業所もあります。実際に見て判断しましょう。
- 連絡がつかない場合は要注意 電話がつながらない、メールの返信がない場合は、廃業や休業の可能性があります。無駄な時間を使わず、他を探しましょう。
- 建設的に伝える 古い情報を見つけたら、事業所や市区町村に建設的に伝えましょう。
あなたへのメッセージ
古い情報に出会って戸惑うことは、誰にでもあります。しかし、その戸惑いは、あなたが慎重に事業所を選ぼうとしている証拠です。
ホームページの情報が古いからといって、すぐにその事業所を候補から外す必要はありません。多くの場合、更新が追いついていないだけで、実際の事業所は素晴らしいことがあります。
大切なのは、古い情報に惑わされず、最新情報を自分で確認することです。電話をかける、メールを送る、相談支援専門員に聞く、見学に行く——これらの行動を通じて、古い情報の向こう側にある「現在の事業所の姿」を見つけてください。
情報収集は面倒に感じるかもしれませんが、この丁寧なプロセスが、あなたに本当に合った事業所を見つけるための鍵となります。
あなたが、古い情報に惑わされず、最新情報に基づいて、自分に合ったB型事業所を見つけられることを心から願っています。慎重に、そして前向きに、情報を集めていきましょう。あなたにぴったりの場所は、必ず見つかります。
