はじめに
「就労継続支援B型は、週に何日通わなければいけないのだろうか」「体調が不安定なので、毎日通えるか心配」「自分のペースで通いたいけど、それは可能なのだろうか」——B型事業所の利用を検討している方から、通所頻度についての質問をよく聞きます。
就労継続支援B型の大きな特徴の一つは、利用者一人ひとりの状況に合わせて、柔軟に通所頻度を調整できることです。週1日から始めて徐々に増やしたり、体調に応じて日数を減らしたり、自分のペースで無理なく利用できます。
本記事では、B型事業所の通所頻度について、平均的な日数、頻度を決める際の考え方、頻度と工賃の関係、そして無理なく続けるためのポイントまで、詳しく解説していきます。
通所頻度の基本
決まった頻度はない
利用者によって自由 B型事業所には、「必ず週○日通わなければならない」という決まりはありません。利用者一人ひとりの状況に合わせて、柔軟に設定できます。
個別支援計画で決める 通所頻度は、個別支援計画の中で、本人の希望や状況を踏まえて決められます。
変更も可能 一度決めた頻度も、状況に応じて変更することができます。
最低利用頻度
週1日からでもOK 多くのB型事業所では、週1日からでも利用可能です。
1日の最短時間 事業所によって異なりますが、1日1〜2時間からでも利用できる事業所もあります。
段階的な増加 最初は少なく始めて、徐々に増やしていくことができます。
最大利用頻度
週5〜6日が一般的な上限 多くの事業所は、週5〜6日営業しています。
月曜日〜土曜日 一般的には、日曜日と祝日は休みです。
フルタイム利用 週5日、1日6時間程度が「フルタイム」とされることが多いです。
平均的な通所頻度
全体の平均
週3〜4日が多い 多くの利用者は、週3〜4日程度通所しています。
1日の平均時間 1日あたり4〜6時間程度の利用が一般的です。
月の利用日数 月に12〜18日程度が平均的です。
障害種別による傾向
精神障害
- 週2〜3日からスタート
- 体調の波に合わせて調整
- 徐々に増やしていく
身体障害
- 体力に応じて週3〜5日
- 比較的安定した通所が可能
知的障害
- 週4〜5日の安定した通所
- 生活リズムの維持を重視
発達障害
- 週2〜4日が多い
- 疲れやすさに配慮
これらはあくまで傾向 個人差が大きく、障害の種類だけでは決まりません。
年齢による傾向
若年層(20〜30代)
- 週4〜5日の利用が多い
- 将来の就労を見据えて
- 体力もある程度ある
中年層(40〜50代)
- 週3〜4日が多い
- 体力や生活状況に応じて
高齢層(60代以上)
- 週2〜3日が多い
- 体力に配慮
- 無理のないペース
利用期間による変化
利用開始時
- 週1〜2日からスタート
- 慣れるまでは少なめに
慣れてきた頃(3〜6ヶ月後)
- 週3〜4日に増加
- 生活リズムが整う
長期利用者(1年以上)
- 週3〜5日で安定
- 自分に合ったペースを確立
通所頻度を決める際の考え方
1. 体力・体調を最優先
無理のない範囲で 通所や作業で疲れすぎて、体調を崩しては意味がありません。
考慮すべきポイント
- 通所にかかる体力
- 作業中の疲労度
- 帰宅後の疲れ
- 翌日への影響
- 休養日の必要性
体力の目安
- 通所しても翌日に疲れが残らない
- 休日に十分回復できる
- 生活に支障が出ない
2. 障害特性に合わせる
精神障害の場合
- 体調の波がある
- 無理をすると悪化しやすい
- ストレス管理が重要
推奨される頻度 最初は週1〜2日から、様子を見ながら徐々に増やす
発達障害の場合
- 疲れやすい
- 感覚過敏がある場合も
- ルーティンが大切
推奨される頻度 週2〜4日で、決まった曜日に通うとリズムが作りやすい
知的障害の場合
- 生活リズムの維持が重要
- 規則正しい通所が効果的
推奨される頻度 週4〜5日の安定した通所
3. 生活リズムを考慮
現在の生活リズム
- 朝起きられるか
- 昼夜逆転していないか
- 規則正しい生活ができているか
目標とする生活リズム B型を通じて、どのような生活リズムを作りたいか考えます。
段階的な調整 生活リズムが乱れている場合は、少ない日数から始めて、徐々にリズムを整えていきます。
4. 他の予定との兼ね合い
通院
- 定期的な通院日
- 予約の取りやすさ
- 通院日を避けた通所
家庭の事情
- 育児や介護
- 家族の送迎が必要な場合
- 家事との両立
他のサービス利用
- デイケア
- 地域活動支援センター
- 訪問看護
5. 工賃の目標
生活費の補助 どのくらいの工賃が必要か考えます。
工賃と通所頻度の関係
- 週1日 月3,000〜5,000円程度
- 週2日 月6,000〜10,000円程度
- 週3日 月10,000〜15,000円程度
- 週4日 月15,000〜20,000円程度
- 週5日 月20,000〜25,000円以上
あくまで目安 事業所や作業内容、時間によって大きく異なります。
6. 将来の目標
一般就労を目指す場合 週4〜5日の通所で、就労に必要な体力やリズムを身につけます。
社会参加が目的の場合 週2〜3日でも十分意味があります。
居場所としての利用 週1〜2日の利用でも、社会とのつながりを保てます。
7. 事業所の方針
事業所によって推奨頻度が異なる
- 週3日以上を推奨する事業所
- 週1日からOKの事業所
- 体調に応じて柔軟に対応する事業所
見学時に確認 「週1日から利用できますか?」と確認しましょう。
通所頻度の具体例
パターン1 週1日から始める
こんな方に適している
- 長期間引きこもっていた
- 体力に不安がある
- 外出することに慣れていない
- まずは様子を見たい
スケジュール例
月 休み
火 B型(2時間)
水 休み
木 休み
金 休み
土 休み
日 休み
メリット
- 無理なく始められる
- 徐々に慣れていける
- 負担が少ない
デメリット
- 工賃が少ない
- 生活リズムが作りにくい
- スキル習得に時間がかかる
増やし方 3ヶ月〜半年後、慣れてきたら週2日に増やす
パターン2 週2日・隔日利用
こんな方に適している
- 適度なペースで通いたい
- 疲れやすい
- 他の予定もある
- 通院が多い
スケジュール例
月 休み
火 B型(3時間)
水 休み
木 B型(3時間)
金 休み
土 休み
日 休み
メリット
- 休息日が確保できる
- 疲労が蓄積しにくい
- 他の予定と両立しやすい
デメリット
- 工賃はそれほど多くない
- 連続性がやや弱い
工賃の目安 月6,000〜10,000円程度
パターン3 週3日・定期的利用
こんな方に適している
- ある程度体力がある
- 生活リズムを整えたい
- 工賃も少し増やしたい
- バランスの良い通所をしたい
スケジュール例A(隔日型)
月 B型(4時間)
火 休み
水 B型(4時間)
木 休み
金 B型(4時間)
土 休み
日 休み
スケジュール例B(連続型)
月 休み
火 B型(4時間)
水 B型(4時間)
木 B型(4時間)
金 休み
土 休み
日 休み
メリット
- 生活リズムが整いやすい
- 適度な工賃が得られる
- 仕事と休息のバランスが良い
- 最も人気のあるパターン
工賃の目安 月10,000〜15,000円程度
パターン4 週4日・積極的利用
こんな方に適している
- 体力がある
- 将来の就労を見据えている
- しっかり工賃を得たい
- 社会参加を積極的にしたい
スケジュール例
月 B型(5時間)
火 B型(5時間)
水 休み(通院など)
木 B型(5時間)
金 B型(5時間)
土 休み
日 休み
メリット
- しっかりとした工賃
- 就労に近いリズム
- スキルが身につきやすい
- 充実感がある
デメリット
- 疲労が蓄積しやすい
- 体調管理が重要
工賃の目安 月15,000〜20,000円程度
パターン5 週5日・フルタイム利用
こんな方に適している
- 体力が十分ある
- 一般就労を目指している
- 最大限の工賃を得たい
- 規則正しい生活を送りたい
スケジュール例
月 B型(6時間)
火 B型(6時間)
水 B型(6時間)
木 B型(6時間)
金 B型(6時間)
土 休み
日 休み
メリット
- 工賃が最も多い
- 就労に必要な体力とリズムが身につく
- 充実した日々
- スキル習得が早い
デメリット
- 体力的な負担が大きい
- 休息が重要
- 無理をすると体調を崩すリスク
工賃の目安 月20,000〜30,000円以上
パターン6 変則的な利用
こんな方に適している
- 体調の波が大きい
- 通院が不定期
- 家庭の事情で予定が変わりやすい
- 他のサービスと併用
スケジュール例(ある週)
月 B型(3時間)
火 休み(体調不良)
水 デイケア
木 B型(4時間)
金 休み(通院)
土 休み
日 休み
次の週
月 B型(4時間)
火 B型(3時間)
水 休み
木 B型(4時間)
金 B型(2時間)
土 休み
日 休み
メリット
- 柔軟に調整できる
- 体調に合わせられる
- 無理をしない
デメリット
- 生活リズムが作りにくい
- 工賃が不安定
- 事業所の理解が必要
通所頻度を無理なく続けるコツ
1. 自分のペースを守る
周りと比べない 他の利用者が週5日通っていても、自分は週2日でOK。比較する必要はありません。
無理をしない 「もっと頑張らなきゃ」と無理をすると、長続きしません。
自分の体調と相談 疲れたら休む、調子が良い時は少し頑張る、というメリハリが大切です。
2. 段階的に増やす
焦らない 最初から週5日を目指す必要はありません。
増やし方の例
- 最初の3ヶ月 週1日
- 次の3ヶ月 週2日
- 次の6ヶ月 週3日
- 1年後 週4日
ゆっくりで大丈夫 人によっては、週1日から週2日に増やすのに1年かかることもあります。それでOKです。
3. 休む日を大切にする
休息も仕事のうち 休む日は、ただ怠けているのではなく、次に働くための準備期間です。
休日の過ごし方
- 十分な睡眠
- 好きなことをする
- リラックスする
- 体調を整える
4. 定期的に見直す
3ヶ月に一度は見直し 体調や生活状況に応じて、通所頻度を見直しましょう。
支援員との面談 定期的な面談で、現在の頻度が適切か話し合います。
変更も柔軟に 「今月は体調が良くないので、来月は週2日に減らしたい」など、柔軟に調整できます。
5. 無理に増やさない
減らすことも選択肢 週4日通っていて疲れが溜まってきたら、週3日に減らすことも考えましょう。
「減らす=失敗」ではない 自分に合ったペースを見つけるための調整です。
6. 体調管理を徹底
睡眠 十分な睡眠時間を確保します。
食事 バランスの良い食事で体力を維持します。
ストレス管理 趣味やリラックスの時間を持ちます。
通院 定期的な通院を続けます。
7. 小さな目標を立てる
達成可能な目標
- 今月は欠席せずに週2日通う
- 来月は週3日に増やしてみる
- 3ヶ月後には4時間作業できるようになる
達成したら自分を褒める 小さな成功を積み重ねることが、モチベーション維持につながります。
8. 家族や支援者と共有
現状を共有 通所の様子、疲労度などを家族や支援者と共有します。
サポートを得る 「今週は疲れているから、送迎をお願いできる?」など、サポートを求めることも大切です。
通所頻度と工賃の関係
基本的な関係
頻度が増えれば工賃も増える 通所日数や時間が増えれば、一般的に工賃も増えます。
計算方法による違い
- 時給制 時間に比例
- 出来高制 作業量に比例
- 日給制 日数に比例
工賃のシミュレーション
前提条件
- 時給換算 150円
- 1日の作業時間 4時間
- 1日の工賃 600円
週1日の場合
- 月4日×600円=2,400円
週2日の場合
- 月8日×600円=4,800円
週3日の場合
- 月12日×600円=7,200円
週4日の場合
- 月16日×600円=9,600円
週5日の場合
- 月20日×600円=12,000円
注意 これはあくまで例です。実際の工賃は事業所によって大きく異なります。
工賃だけを目的にしない
工賃以上の価値
- 生活リズムの改善
- 社会とのつながり
- スキルの習得
- 自己肯定感の向上
- 居場所
健康が第一 工賃を増やすために無理をして体調を崩しては本末転倒です。
よくある質問(FAQ)
Q1 週1日だけの利用でも受け入れてもらえますか?
A 多くの事業所で受け入れています。ただし、事業所によっては「週2日以上」などの条件がある場合もあるので、見学時に確認しましょう。週1日から始めて、徐々に増やしていくことも可能です。
Q2 最初に決めた日数を変更できますか?
A できます。体調や生活状況に応じて、柔軟に変更可能です。支援員に相談して、個別支援計画を見直してもらいましょう。
Q3 体調によって毎週日数が変わっても大丈夫ですか?
A 大丈夫です。精神障害など、体調の波がある方の場合、週によって通所日数が変わることはよくあります。事業所に理解を求め、柔軟に対応してもらいましょう。
Q4 週5日通っている人と週1日の私では、扱いが違いますか?
A 適切な事業所であれば、通所日数による差別はありません。一人ひとりのペースが尊重されます。もし差別的な扱いを受けた場合は、相談支援専門員に相談しましょう。
Q5 通所日数が少ないと、スキルが身につかないのではないですか?
A 確かに、通所日数が多い方がスキル習得は早いですが、週1〜2日でも、継続することで確実にスキルは身につきます。大切なのは、自分のペースで無理なく続けることです。
Q6 急に体調が悪くなって休んだ場合、どうすればいいですか?
A 事業所に電話やメールで連絡しましょう。多くの事業所では、当日の朝の連絡でも問題ありません。体調不良での欠席は誰にでもあることです。
Q7 通所日数を増やしたいのですが、どのタイミングで増やせばいいですか?
A 以下のサインがあれば、増やすタイミングかもしれません。
- 現在の日数でも疲れが残らない
- もっと通いたいと思う
- 作業に余裕を感じる
- 生活リズムが安定している 支援員に相談して、段階的に増やしていきましょう。
Q8 他の利用者はどのくらい通っているのか聞いてもいいですか?
A 見学時に「利用者の方は、平均的に週何日くらい通所されていますか?」と聞くことは問題ありません。ただし、個々の利用者の情報はプライバシーなので、詳しくは教えてもらえません。
Q9 週3日と週4日で迷っています。どう決めればいいですか?
A まずは少ない方(週3日)から始めることをお勧めします。物足りなければ増やすことはいつでもできますが、最初から多くして疲れてしまうと、減らすことに抵抗を感じる場合があります。
Q10 将来、一般就労を目指しています。どのくらいの頻度で通うべきですか?
A 一般就労を目指す場合、最終的には週4〜5日、1日5〜6時間の利用が望ましいです。ただし、最初からこの頻度を目指す必要はありません。段階的に増やしていき、体力と就労リズムを身につけていきましょう。
まとめ 自分らしいペースで社会参加を
就労継続支援B型の通所頻度に、正解はありません。週1日でも、週5日でも、それぞれに意味があります。大切なのは、自分の体調や生活状況に合わせて、無理なく続けられるペースを見つけることです。
大切なポイント
- 自分のペースを守る 周りと比べず、自分に合った頻度で通いましょう。
- 段階的に調整する 最初は少なく、徐々に増やしていく方が続けやすいです。
- 柔軟に見直す 体調や状況に応じて、頻度を変更することは全く問題ありません。
- 休息も大切 休む日は、次に働くための準備期間です。
- 工賃だけを目的にしない 社会参加、生活リズムの改善、スキルの習得など、工賃以外の価値も大きいです。
- 無理をしない 体調を崩してしまっては意味がありません。健康第一です。
- 小さな目標を立てる 「今月は欠席せずに通う」など、達成可能な目標を立てましょう。
- サポートを活用する 支援員、相談支援専門員、家族などのサポートを積極的に活用しましょう。
就労継続支援B型は、あなたが社会とつながり、自分らしく生きるための場所です。週1日でも、そこに通うことで得られるものは計り知れません。焦らず、自分のペースで、少しずつ前に進んでいきましょう。
あなたが自分に合ったペースを見つけ、充実した日々を送れることを心から願っています。

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