はじめに
東京都内には数多くのB型就労支援事業所がありますが、「どこを選べばいいのかわからない」「自分に合った事業所を見つけたい」と悩む方は少なくありません。
本記事では、東京都内でB型就労支援事業所を探す際の選び方、探し方、見学時のチェックポイント、そして事業所選びで重視すべきポイントについて詳しく解説します。
B型就労支援とは(基本のおさらい)
基本的な仕組み
就労継続支援B型事業所は、一般企業での就労が困難な障害のある方に、働く場を提供し、就労に必要な知識や能力の向上を図るサービスです。
主な特徴
- 雇用契約を結ばない
- 工賃として報酬を受け取る(月平均1〜2万円程度)
- 柔軟な働き方が可能
- 体調に合わせた通所ができる
- 様々な作業内容がある
対象者
- 就労経験があるが、年齢や体力面で一般企業での就労が困難な方
- 就労移行支援を利用したが、企業就労に至らなかった方
- 就労継続支援A型の利用が困難な方
- その他、就労の機会を通じて生産活動の知識・能力の向上が期待される方
東京都内のB型事業所の特徴
数と分布
事業所数 東京都内には約1,000か所以上のB型就労支援事業所があります(2024年時点)。
地域別の特徴
- 23区内 事業所数が多く、選択肢が豊富
- 多摩地域 地域密着型の事業所が多い
- 交通の便 駅近の事業所も多いが、送迎サービスがある事業所も
作業内容の多様性
東京都内のB型事業所は、作業内容が非常に多様です。
主な作業種別
- IT・パソコン作業
- デザイン、Web制作
- 軽作業(組み立て、検品、梱包など)
- 清掃業務
- 飲食(カフェ運営、弁当製造など)
- 農作業・園芸
- クリエイティブ(アート、手工芸など)
- データ入力・事務作業
- リサイクル業務
工賃の水準
東京都の平均工賃 月額約16,000〜18,000円程度(全国平均より高め)
事業所による差
- 高いところ 月額3万円以上
- 低いところ 月額数千円
- 時給換算 100円〜500円程度
B型事業所の選び方
1. 作業内容で選ぶ
自分の興味・関心に合わせる 興味のある作業内容の事業所を選ぶと、継続しやすくなります。
得意なことを活かす
- パソコンが得意→IT系作業
- 細かい作業が得意→軽作業、手工芸
- 人と関わるのが好き→飲食、販売
- 体を動かしたい→農作業、清掃
将来の目標との関連 一般就労を目指す場合は、希望する職種に近い作業内容の事業所を選びましょう。
2. 工賃で選ぶ
工賃の重要性 生活費の一部として、工賃は重要な収入源です。
注意点
- 工賃の高さだけで選ばない
- 作業の負担度合いと工賃のバランスを考える
- 自分の体調や能力で無理なく稼げるか
工賃を確認する方法
- 事業所のホームページ
- 見学時に質問
- WAM NET(福祉医療機構)のサイトで公開情報を確認
3. 場所・通いやすさで選ぶ
通所のしやすさ 継続して通うためには、アクセスの良さが重要です。
チェックポイント
- 自宅からの距離・時間
- 最寄り駅からの距離
- 送迎サービスの有無
- バリアフリー対応
送迎サービス 多くの事業所で送迎サービスを提供しています。範囲や時間を確認しましょう。
4. 雰囲気・人間関係で選ぶ
職場環境の重要性 毎日通う場所なので、雰囲気が合うかどうかは非常に重要です。
確認方法
- 見学・体験利用
- 利用者の表情や様子
- スタッフの対応
- 事業所全体の雰囲気
人数規模
- 小規模(10人程度) アットホーム、きめ細かい支援
- 中規模(20〜30人) バランスが良い
- 大規模(40人以上) 多様な人との交流、設備が充実
5. 支援内容で選ぶ
個別支援計画 一人ひとりに合わせた支援計画を作成しているか。
スタッフの質と数
- 職員配置基準(利用者10人に対し職員1人以上)を上回る配置か
- 専門資格を持つスタッフ(精神保健福祉士、社会福祉士など)がいるか
相談体制
- 定期的な面談があるか
- 困った時にすぐ相談できるか
- 生活面の相談にも乗ってくれるか
一般就労への支援 将来的に一般就労を目指す場合、就労支援の実績や体制があるか。
6. 設備・環境で選ぶ
作業環境
- 作業スペースの広さ
- 換気、照明、空調
- 作業道具や機材の充実度
- 休憩スペース
その他の設備
- 食堂(昼食提供の有無)
- トイレ(バリアフリー)
- 更衣室、ロッカー
- 相談室
7. 勤務時間・日数の柔軟性で選ぶ
体調に合わせた働き方 B型の大きなメリットは、柔軟な働き方ができることです。
確認ポイント
- 週何日から通所可能か
- 1日何時間から可能か
- 遅刻・早退への対応
- 急な休みへの対応
- 通所時間の調整は可能か
標準的な勤務時間 多くの事業所 週4〜5日、1日4〜6時間程度
8. 事業所の安定性で選ぶ
運営の安定性 長く通うためには、事業所が安定して運営されていることが重要です。
確認方法
- 運営年数(長い方が安定している傾向)
- 運営法人の規模や実績
- 複数の事業所を運営しているか
- 利用者数(定員に対する充足率)
東京都内の特色あるB型事業所の例
IT・クリエイティブ系
特徴
- Webデザイン、プログラミング、動画編集など
- パソコンスキルが身につく
- 比較的高工賃
- IT企業への就労移行実績がある事業所も
向いている人
- パソコン作業が好き・得意
- クリエイティブな仕事がしたい
- IT業界への就労を目指している
主な地域 渋谷区、新宿区、千代田区など都心部に多い
カフェ・飲食系
特徴
- カフェや飲食店を運営
- 接客、調理、製造などの業務
- 地域との交流がある
- 一般客が利用できる店舗運営
向いている人
- 人と接するのが好き
- 飲食業に興味がある
- 調理や製菓に関心がある
主な地域 23区内各地、商店街や駅周辺
農作業・園芸系
特徴
- 農作物の栽培、収穫
- 園芸作業
- 自然の中で働ける
- 体を動かす作業
向いている人
- 農業に興味がある
- 屋外で働きたい
- 体を動かしたい
主な地域 多摩地域、世田谷区、練馬区など
アート・手工芸系
特徴
- アート作品の制作
- 手工芸品の製作・販売
- クリエイティブな活動
- 作品展示や販売会
向いている人
- ものづくりが好き
- 芸術的な活動に興味がある
- 自分のペースで作業したい
主な地域 23区内各地
軽作業系
特徴
- 組み立て、検品、梱包など
- 企業からの受託作業
- 基本的な作業スキルが身につく
- 比較的始めやすい
向いている人
- 単純作業が向いている
- 細かい作業が得意
- 初めてB型を利用する
主な地域 都内全域に幅広く存在
B型事業所の探し方
1. インターネットで探す
WAM NET(福祉医療機構)
- 全国の障害福祉サービス事業所を検索できる公式サイト
- 地域、サービス種別で絞り込み可能
- 事業所の基本情報、工賃などが確認できる
東京都福祉保健局のサイト 東京都内の事業所リストが確認できます。
事業所の公式サイト 作業内容、雰囲気、工賃、送迎などの詳細情報が得られます。
口コミサイト・SNS 実際の利用者の声が参考になることがあります(ただし、個人の感想であることに注意)。
2. 相談支援事業所に相談
相談支援専門員のサポート
- 本人の状況や希望に合った事業所を紹介
- 見学や体験利用の調整
- 申請手続きのサポート
- サービス等利用計画の作成
メリット 専門家の視点からアドバイスがもらえ、複数の事業所を比較検討できます。
3. 市区町村の障害福祉課に相談
窓口での相談
- 地域の事業所の情報提供
- 申請方法の説明
- 利用までの流れの案内
4. ハローワーク(障害者窓口)
職業相談 就労を目指している場合、ハローワークでも事業所の情報が得られます。
5. 障害者就業・生活支援センター
総合的なサポート 就労だけでなく、生活面も含めた総合的な相談ができます。
6. 患者会・当事者会
体験談を聞く 同じ障害を持つ方の体験談やおすすめ情報が得られることがあります。
7. 医療機関・デイケア
主治医やスタッフに相談 精神科デイケアなどに通っている場合、スタッフから情報が得られることがあります。
見学・体験利用のポイント
見学時のチェックリスト
作業内容
- どんな作業をしているか
- 自分にできそうか
- 興味が持てるか
利用者の様子
- 表情は明るいか
- 作業に集中しているか
- 休憩時の雰囲気
スタッフの対応
- 利用者への接し方
- 質問への回答は丁寧か
- 支援の様子
環境・設備
- 清潔さ
- 作業スペースの広さ
- 休憩スペース
- トイレなどの設備
雰囲気
- 全体的な雰囲気
- 自分に合いそうか
- 通い続けられそうか
質問すべきこと
基本情報
- 定員と現在の利用者数
- 利用者の年齢層、男女比
- 平均的な通所日数・時間
作業について
- 作業の種類と選択肢
- 作業の難易度
- ノルマの有無
- 作業時間と休憩時間
工賃について
- 平均工賃(月額・時間額)
- 工賃の幅(最低〜最高)
- 工賃の支払い時期・方法
- 工賃向上の取り組み
通所について
- 通所可能な日数・時間の最低ライン
- 送迎サービスの有無と範囲
- 遅刻・早退・欠席への対応
- 昼食の提供有無
支援について
- 個別支援計画の作成頻度
- 面談の頻度
- 相談体制
- 一般就労への支援
その他
- 利用料(自己負担額)
- 行事やイベント
- 体験利用の期間・方法
体験利用
期間 通常、数日〜2週間程度
確認ポイント
- 実際の作業を体験
- 自分の体力・能力で続けられるか
- 利用者やスタッフとの相性
- 1日のスケジュールの把握
複数の事業所を体験 可能であれば、複数の事業所を体験して比較しましょう。
利用開始までの流れ
1. 事業所の選定
見学・体験を経て、利用したい事業所を決めます。
2. 相談支援事業所への相談
サービス等利用計画案の作成を依頼します(セルフプランも可)。
3. 市区町村へ申請
必要書類
- 障害福祉サービス受給者証の申請書
- サービス等利用計画案
- 障害者手帳または医師の診断書
- その他、自治体が指定する書類
4. 認定調査(必要な場合)
サービスによっては、障害支援区分の認定が必要です(B型は原則不要)。
5. 支給決定
市区町村から支給決定通知と受給者証が交付されます。
6. 事業所と契約
受給者証を持って、事業所と利用契約を結びます。
7. 利用開始
サービス等利用計画に基づき、利用を開始します。
よくある質問
Q1. 東京都内で工賃が高い事業所はどこですか?
A. 具体的な事業所名は個々に確認が必要ですが、一般的にIT系やクリエイティブ系の事業所は工賃が高い傾向にあります。WAM NETで公開されている工賃情報を参考にしたり、直接事業所に問い合わせて確認しましょう。
Q2. 複数の事業所を掛け持ちできますか?
A. 原則として、B型事業所を複数同時に利用することはできません。ただし、自治体や状況によって例外もあるため、相談支援専門員や市区町村に確認してください。
Q3. 見学や体験利用は無料ですか?
A. 見学は基本的に無料です。体験利用も多くの場合無料ですが、場合によっては通常の利用料がかかることもあります。事前に確認しましょう。
Q4. 障害者手帳がないと利用できませんか?
A. 手帳がなくても、医師の診断書や自立支援医療受給者証があれば利用できる場合があります。まずは市区町村の窓口に相談してください。
Q5. 一般就労を目指していますが、B型を利用しても大丈夫ですか?
A. はい。B型を利用しながら、就労移行支援との併用や、B型から直接一般就労へ移行する方もいます。就労支援に力を入れている事業所を選ぶと良いでしょう。
Q6. 年齢制限はありますか?
A. 原則として18歳以上65歳未満ですが、65歳以降も継続利用が認められる場合があります。
Q7. すぐに利用を始められますか?
A. 事業所に空きがあり、申請手続きがスムーズに進めば、1〜2ヶ月程度で利用開始できることが多いです。ただし、人気のある事業所は待機期間が発生することもあります。
まとめ
東京都内には多様なB型就労支援事業所があり、自分に合った場所を見つけることが重要です。
事業所選びのポイント
- 作業内容(興味・関心、得意なこと)
- 工賃(生活費として重要だが、それだけで選ばない)
- 通いやすさ(継続のしやすさ)
- 雰囲気・人間関係(見学・体験で確認)
- 支援体制(個別支援、相談体制)
- 柔軟性(体調に合わせた働き方)
探し方
- インターネット(WAM NET、事業所HP)
- 相談支援事業所
- 市区町村の障害福祉課
- ハローワーク、障害者就業・生活支援センター
必ずすべきこと
- 複数の事業所を見学・比較
- 可能な限り体験利用
- 疑問点は遠慮せず質問
- 自分の直感も大切に
B型就労支援は、自分のペースで働きながら、社会とのつながりを持ち、生活リズムを整え、スキルを向上させることができる場です。焦らず、じっくりと自分に合った事業所を探しましょう。
困った時は、相談支援専門員や市区町村の窓口に相談してください。専門家のサポートを受けながら、最適な事業所を見つけることができます。

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