B型事業所が「おかしい」と感じたら?問題のある施設の見分け方と対処法

「この事業所、何かおかしい気がする」「利用していて違和感を感じる」「本当にこれで良いのだろうか」

就労継続支援B型事業所を利用していて、そんな疑問や不安を抱いたことはありませんか?残念ながら、すべてのB型事業所が適切に運営されているわけではありません。

この記事では、問題のあるB型事業所の特徴、見分け方、そして対処法について詳しく解説していきます。

就労継続支援B型事業所とは

まず、B型事業所の本来の役割を理解しておきましょう。

B型事業所の目的

就労継続支援B型事業所は、障害や病気のために一般企業での就労が困難な人に対して、働く場所を提供し、就労に必要な知識や能力の向上を図る福祉サービスです。

主な対象者 

  • 一般企業での就労が困難な障害者
  • 就労移行支援を利用したが、一般就労に結びつかなかった人
  • 就労経験があるが、現在は働けない人
  • 50歳以上の人、または障害基礎年金1級受給者

B型事業所の特徴

雇用契約なし

利用者は「従業員」ではなく、「利用者」です。最低賃金の適用はありません。

工賃

作業に対して「工賃」が支払われます。平均月額工賃は全国平均で約16,000円程度(令和3年度)。

柔軟な利用

体調に合わせて、利用時間や日数を調整できます。

目標

  • 就労訓練を通じた能力向上
  • 生産活動を通じた社会参加
  • 一般就労への移行支援(可能な場合)

「おかしい」B型事業所の特徴

問題のあるB型事業所には、以下のような特徴が見られることがあります。

運営面の問題

1. 工賃が極端に低い、または支払われない

具体例 

  • 月の工賃が数百円、または0円
  • 作業をしているのに工賃が一切出ない
  • 工賃の計算方法が不明確
  • 約束した工賃が支払われない

本来あるべき姿  作業に応じた適切な工賃が、明確な計算方法で支払われるべきです。

2. 作業内容がほとんどない

具体例 

  • 一日中、ただ座っているだけ
  • テレビを見ているだけ
  • 形だけの簡単な作業しかない
  • 作業時間が極端に短い(30分だけなど)

本来あるべき姿  利用者の能力に応じた、意味のある作業や訓練が提供されるべきです。

3. 支援計画がない、または形骸化

具体例 

  • 個別支援計画が作られていない
  • 計画書を見せてもらえない
  • 目標が設定されていない
  • 定期的な面談がない

本来あるべき姿  一人ひとりに個別支援計画が作られ、定期的に見直されるべきです。

4. スタッフが常にいない、または少なすぎる

具体例 

  • 利用者だけで放置される時間がある
  • スタッフが1人しかいない
  • 相談したくてもスタッフがいない
  • 緊急時の対応体制がない

本来あるべき姿  適切な人員配置がなされ、利用者の安全と支援が確保されるべきです。

5. 施設や設備が不衛生、または危険

具体例 

  • トイレや作業場が汚い
  • 換気が悪く、異臭がする
  • 危険な機械の安全対策がない
  • 冷暖房がなく、過酷な環境

本来あるべき姿  清潔で安全な環境が整備されているべきです。

スタッフの問題

1. スタッフの態度が横柄、または無視

具体例 

  • 利用者を見下すような態度
  • タメ口や命令口調
  • 相談や質問を無視する
  • 「嫌なら来なくていい」と言われる

本来あるべき姿  利用者を尊重し、丁寧に対応するべきです。

2. ハラスメント

具体例 

  • 暴言を吐かれる
  • 人格を否定される
  • セクシャルハラスメント
  • 体罰や暴力

本来あるべき姿  いかなるハラスメントも許されません。

3. プライバシーの侵害

具体例 

  • 個人情報を他の利用者に漏らす
  • 本人の同意なく、家族に情報を伝える
  • 診断名や病状を公表される
  • カバンの中身を勝手に見られる

本来あるべき姿  個人情報やプライバシーは厳重に保護されるべきです。

4. 無資格者ばかり

具体例 

  • 管理者や支援員が無資格
  • 専門的な知識がないスタッフばかり
  • 研修を受けていない

本来あるべき姿  管理者や支援員は、資格や研修を受けた専門職であるべきです。

利用に関する問題

1. 強制的な利用

具体例 

  • 体調が悪くても休ませてもらえない
  • 「毎日来なさい」と強制される
  • 休むと怒られる、または嫌味を言われる
  • 自分のペースで利用できない

本来あるべき姿  利用者の体調や希望に応じた、柔軟な利用が認められるべきです。

2. 他の事業所への見学・移行を妨害

具体例 

  • 「他の事業所を見学したい」と言うと怒られる
  • 「ここをやめたら、他には行けない」と脅される
  • 移行の手続きを妨害される
  • 悪い噂を流される

本来あるべき姿  利用者には、事業所を選ぶ自由があります。

3. 不当な金銭の要求

具体例 

  • 材料費や教材費として高額な請求がある
  • 任意のはずの旅行に強制参加させられる
  • 物品の購入を強制される
  • 寄付を強制される

本来あるべき姿  不当な金銭の徴収は認められません。

4. 利用契約が不明確

具体例 

  • 契約書がない、または渡されない
  • 重要事項説明がない
  • サービス内容が不明確
  • 退所の手続きが分からない

本来あるべき姿  契約時に、契約書と重要事項説明書が交付され、説明があるべきです。

経営面の問題

1. 経営が不安定

具体例 

  • 工賃の支払いが遅れる
  • スタッフが頻繁に辞める
  • 突然閉鎖される可能性がある
  • 利用者数が極端に少ない

注意  経営が不安定だと、突然サービスが受けられなくなるリスクがあります。

2. 不正請求

具体例 

  • 実際には来ていない日の請求をしている
  • 提供していないサービスの請求をしている
  • 水増し請求

問題  これは違法行為であり、発覚すれば指定取り消しになります。

問題のある事業所の見分け方

利用前、または利用中に、以下の点をチェックしましょう。

見学時のチェックポイント

1. 施設の清潔さ

トイレ、作業場、休憩室などが清潔に保たれているか。

2. 利用者の様子

利用者が生き生きと作業しているか、暗い表情ではないか。

3. スタッフの態度

スタッフが利用者に丁寧に接しているか、見下すような態度ではないか。

4. 作業内容

意味のある作業が提供されているか、ただ座っているだけではないか。

5. 質問への対応

質問に丁寧に答えてくれるか、曖昧にごまかさないか。

6. 契約書・重要事項説明書

きちんと説明があるか、持ち帰って検討させてくれるか。

7. 工賃の説明

工賃の計算方法や平均額を明確に説明してくれるか。

利用開始後のチェックポイント

1. 個別支援計画

利用開始後、速やかに個別支援計画が作成されているか。

2. 定期面談

定期的に面談があり、目標の見直しがされているか。

3. 工賃の支払い

約束通りに工賃が支払われているか。

4. 相談のしやすさ

スタッフに相談しやすい雰囲気があるか。

5. 他の利用者との関係

利用者同士のトラブルに適切に対応されているか。

「おかしい」と感じたときの対処法

問題を感じたら、以下のように対処しましょう。

1. 記録を残す

記録すべきこと 

  • いつ、何があったか(日時、場所)
  • 誰が関わったか(スタッフの名前など)
  • 具体的に何を言われた、何をされたか
  • 自分がどう感じたか

方法 

  • メモやノートに書く
  • スマホのメモ機能を使う
  • 可能なら録音や写真(ただし、プライバシーに配慮)

2. 信頼できる人に相談する

相談先 

  • 家族や友人
  • 相談支援専門員(計画相談を利用している場合)
  • 担当の精神保健福祉士やソーシャルワーカー
  • 主治医

3. 事業所の管理者に相談する

スタッフ個人の問題であれば、まず管理者に相談してみましょう。

ただし、管理者自身が問題の場合は、次のステップに進みます。

4. 運営法人に苦情を申し立てる

事業所を運営している法人(社会福祉法人、NPO法人など)に、苦情を申し立てることができます。

5. 行政機関に相談・通報する

相談先 

市区町村の障害福祉担当課

事業所の指導監督を行う窓口です。

都道府県の障害福祉担当課

事業所の指定を行っている窓口です。

運営適正化委員会

各都道府県の社会福祉協議会に設置されており、福祉サービスに関する苦情を受け付けています。

労働基準監督署

労働に関する法令違反があれば、通報できます。

警察

暴力、窃盗、詐欺など、犯罪行為があれば通報します。

6. 事業所を変更する

問題が改善されない、または深刻な場合は、他のB型事業所への移行を検討しましょう。

手順 

  1. 相談支援専門員に相談する
  2. 他の事業所を見学する
  3. 移行先を決める
  4. 現在の事業所に退所を申し出る
  5. 新しい事業所と契約する

注意  現在の事業所が妨害してきても、利用者には事業所を選ぶ権利があります。必要なら、相談支援専門員や行政に相談しましょう。

7. 弁護士に相談する

深刻な被害(暴力、金銭の搾取など)を受けた場合は、弁護士に相談することも検討しましょう。

法テラス(日本司法支援センター)では、経済的に余裕がない人への法律相談や弁護士費用の立替えを行っています。

良いB型事業所の特徴

逆に、良いB型事業所には以下のような特徴があります。

1. 利用者を尊重する

利用者の意思や希望を尊重し、丁寧に対応します。

2. 個別支援計画が機能している

一人ひとりに合った目標が設定され、定期的に見直されます。

3. 意味のある作業が提供される

利用者の能力や希望に応じた作業や訓練が提供されます。

4. 工賃が適切に支払われる

作業に応じた工賃が、明確な計算方法で支払われます。

5. スタッフが専門的

資格を持ち、研修を受けたスタッフが、専門的な支援を提供します。

6. 清潔で安全な環境

施設や設備が清潔に保たれ、安全対策がされています。

7. 相談しやすい雰囲気

困ったことがあれば、いつでもスタッフに相談できる雰囲気があります。

8. 柔軟な利用

体調や希望に応じて、利用時間や日数を調整できます。

9. 一般就労への支援

希望者には、一般就労への移行支援が提供されます。

10. 透明性がある

運営状況、工賃、財務状況などが公開され、透明性があります。

事業所選びのポイント

B型事業所を選ぶ際は、以下の点に注意しましょう。

1. 複数の事業所を見学する

一つだけでなく、複数の事業所を見学して比較しましょう。

2. 実際に体験利用する

可能であれば、体験利用をして、雰囲気を確かめましょう。

3. 利用者の声を聞く

可能なら、実際に利用している人の話を聞いてみましょう。

4. 相談支援専門員に相談する

計画相談を利用している場合、相談支援専門員に事業所選びを相談できます。

5. 口コミや評判を参考にする

ただし、すべてを鵜呑みにせず、自分の目で確かめることが大切です。

6. 焦って決めない

「今すぐ決めてください」と急かされても、焦らず、じっくり考えましょう。

7. 契約内容を確認する

契約書や重要事項説明書をよく読み、不明点は質問しましょう。

よくある質問(FAQ)

Q  事業所を辞めたいと言ったら、怒られそうで怖い…

A  利用者には、事業所を辞める権利があります。怒られても、辞めることはできます。一人で言いにくければ、相談支援専門員や家族に同席してもらいましょう。

Q  行政に通報したら、事業所にバレる?

A  匿名での通報も可能です。ただし、通報内容から推測される可能性はあります。

Q  通報したら、事業所はどうなる?

A  行政が調査を行い、問題があれば指導、改善命令、最悪の場合は指定取り消しになることがあります。

Q  工賃が低いのは違法?

A  工賃の最低額は法律で定められていませんが、極端に低い場合や、作業しているのに全く支払われない場合は問題です。

Q  良い事業所が見つからない…

A  地域によっては、選択肢が少ないこともあります。相談支援専門員や市区町村の障害福祉担当課に相談してみましょう。

Q  B型事業所以外の選択肢は?

A  就労移行支援、就労継続支援A型、地域活動支援センターなど、他の福祉サービスもあります。また、一般就労や在宅ワークの可能性も探ってみましょう。

まとめ

B型事業所が「おかしい」と感じたら、それは直感かもしれませんが、重要なサインです。

問題のある事業所の特徴 

  • 工賃が極端に低い、または支払われない
  • 作業内容がほとんどない
  • 支援計画がない
  • スタッフの態度が悪い、ハラスメントがある
  • 施設が不衛生、または危険
  • 強制的な利用、他事業所への移行妨害
  • 不当な金銭要求

対処法 

  • 記録を残す
  • 信頼できる人に相談する
  • 管理者、運営法人、行政機関に相談・通報する
  • 事業所を変更する

大切なこと 

  • 利用者には、適切なサービスを受ける権利がある
  • 事業所を選ぶ自由、辞める自由がある
  • 一人で抱え込まず、相談する
  • 泣き寝入りしない

B型事業所は、本来、障害のある人が安心して働き、能力を伸ばせる場所であるべきです。

「おかしい」と感じたら、我慢せず、行動を起こしましょう。あなたには、より良い環境で過ごす権利があります。

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