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生物多様性の保全を民間の力で広げていく「自然共生サイト」という制度が、着実に広がりを見せています。
環境大臣・農林水産大臣・国土交通大臣の3省庁が連携して推進するこの制度に、企業やNPOが数多く参画している状況を整理してお伝えします。
自然共生サイトとはどのような制度か
自然共生サイトとは、民間などの取り組みによって生物多様性の保全が図られている区域を、国が認定する制度です。
2030年までに陸と海の30%以上を健全な生態系として保全する「30by30」という国際的な目標の達成に向け、日本が独自に設けた仕組みです。
企業や団体、個人、自治体などが保全活動の計画を作成し、これを主務大臣である環境大臣・農林水産大臣・国土交通大臣が認定することで、その区域が自然共生サイトとして位置づけられます。
認定された区域は、保護地域との重複を除き、国連環境計画のもとで運営される国際データベースにも登録され、国際的な保全実績としても評価される仕組みになっています。
三省連携という制度の特徴
この制度が「三省推進」と呼ばれる理由は、認定を担う主務大臣が環境省だけでなく、農林水産省・国土交通省にもまたがっている点にあります。
以前は環境大臣のみが認定を行っていましたが、地域生物多様性増進法の施行に伴い制度が法制化され、この三省による認定体制へと移行しました。
森林や農地、水辺の環境など、それぞれの省庁が所管する多様なフィールドを横断的に対象とすることで、原生的な自然だけでなく、身近な里地里山なども幅広く保全の対象に含められるようになっています。
省庁の枠を超えた連携によって、多様な主体の参画を後押しする仕組みが整えられている点が、この制度の大きな特徴です。
認定の三つの類型
自然共生サイトの認定には既に生物多様性が豊かな場所を維持する活動である維持タイプが用意されています。
生物多様性が損なわれた場所の多様性を回復する活動である回復タイプもそのひとつです。
生物多様性を欠いた場所に新たに多様性を創出する活動である創出タイプも対象に含まれています。
それぞれの状況に応じた活動計画を立てられる柔軟な設計になっており荒れ地や埋立地といった場所であっても新たな生態系を生み出す取り組みとして申請することができます。
企業やNPOの参画状況
自然共生サイトの申請主体は企業が約半数を占めており地方公共団体やNPOなど様々な主体が参画しています。
NPOや企業個人などが作成する里地里山の保全外来生物の防除希少種の保護といった活動計画は増進活動実施計画と呼ばれる形で申請されます。
また市町村がとりまとめ役となり多様な主体と連携して行う連携増進活動実施計画という枠組みも用意されています。
制度が始まった当初から着実に申請が積み重なっており法制化後も新規認定と旧制度からの移行を合わせて多くの区域が加わり続けています。
認定件数の広がり
制度が始まって以降、認定件数は着実に増加してきました。
法制化前の段階でも、すでに数百件規模の認定が積み重ねられており、法制化後も新規認定が継続的に行われています。
直近の集計では、認定件数が500件を超える規模まで拡大しており、自然共生サイトの所在地は、関東や近畿など都市部の割合が高い傾向にあります。
都市部を中心に、企業の敷地内や社有林など、身近な場所での参画が広がっている点も、この制度の特徴のひとつです。
民間NPOが参画するメリット
自然共生サイトに認定されることで、保全活動の実績が国際データベースに登録され、対外的に生物多様性への貢献を示す材料になります。
企業にとっては、環境への取り組みを具体的な認定という形で示せることが、企業価値の向上や情報発信につながる利点となります。
NPOにとっては、行政の認定を受けることで活動の社会的な信頼性が高まり、地域や他団体との連携を進めやすくなる効果が期待できます。
市民の立場からも、ふるさと納税やクラウドファンディングを通じて、認定を目指すNPOや農家の活動を応援することができ、多様な形での参画が可能になっています。
今後の展望と課題
「30by30」という国際目標の達成には、行政だけの取り組みでは限界があり、より多くの民間主体の参画が引き続き求められています。
運営を担う独立行政法人環境再生保全機構では、自然共生サイトに係る活動支援に関する協力協定の締結を進めるなど、支援体制の強化も図られています。
一方で、認定件数は都市部に偏る傾向があり、地方における参画をどう広げていくかも、今後の課題として挙げられます。
申請様式や手引きの見直しも継続的に行われており、制度をより利用しやすいものにしていく取り組みが、今後も続いていく見通しです。
まとめ
自然共生サイトは、環境・農林水産・国土交通の3省が連携して推進する、生物多様性保全の認定制度です。
企業が申請主体の約半数を占めるほか、地方公共団体やNPOなど、多様な主体が参画し、認定件数は着実に拡大しています。
民間の力を活かしたこの仕組みは、「30by30」という国際目標の達成に向けた重要な取り組みのひとつとなっています。
今後も参画の裾野を広げながら、制度の使いやすさを高めていくことが課題として続いていくでしょう。

