1. 導入:就労支援の概要とA型・B型を知る重要性
就労支援制度とは?
就労支援制度は、障がいや難病を持つ方々が、それぞれの状況や能力に応じて働く機会を得られるよう支援する仕組みです。この制度の目的は、単に働く場を提供するだけでなく、一人ひとりが自分らしく社会参加し、自立した生活を送れるようサポートすることにあります。
主な就労支援サービスには以下のようなものがあります。
就労移行支援は、一般企業への就職を目指す方を対象に、職業訓練や就職活動の支援を行うサービスです。利用期間は原則2年間で、就職後の定着支援も受けられます。
就労継続支援A型・B型は、一般企業での就労が困難な方に対し、働く機会を提供するサービスです。A型は雇用契約を結んで働く「雇用型」、B型は雇用契約を結ばずに作業を行う「非雇用型」という大きな違いがあります。
本記事の目的
就労支援サービスを利用する際、多くの方が「A型とB型、どちらが自分に合っているのか」という疑問を抱きます。この記事では、両者の違いを明確にし、あなたの状況に最適なサービスを選ぶための判断材料を提供します。
読者が得られること
この記事を読むことで、A型とB型の基本的な仕組みと、それぞれのサービスがどのような方に適しているかを理解できます。また、実際にサービスを利用する際の重要な視点や、次のステップとして何をすべきかについても知ることができます。
2. 就労継続支援A型・B型の基本的な定義
就労継続支援とは?
就労継続支援は、障がいや難病により一般企業での就労が困難な方に対し、働く機会を提供する福祉サービスです。このサービスを通じて、利用者は自分の能力を活かしながら社会とつながり、働く喜びや達成感を得ることができます。
就労継続支援A型(雇用型)
就労継続支援A型は、事業所と雇用契約を結び、最低賃金以上の給料を受け取りながら働くサービスです。雇用契約を結ぶため、労働者としての権利が保障され、社会保険にも加入します。
主な対象者は、一般企業などでの就労が困難な方のうち、雇用契約に基づく継続的な就労が可能な方です。具体的には、一定の就労能力があり、比較的安定して勤務できる方が想定されています。作業内容は事業所によって異なり、軽作業、データ入力、清掃、飲食サービスなど多岐にわたります。
就労継続支援B型(非雇用型)
就労継続支援B型は、雇用契約を結ばずに、自分のペースで作業や訓練を行い、工賃(作業の対価)を受け取るサービスです。雇用契約がないため、体調や状況に応じて柔軟に利用できる点が特徴です。
主な対象者は、一般企業やA型での就労が難しい方です。体調の波が大きい方、年齢的な制約がある方、まずは働くことに慣れることから始めたい方などが利用しています。作業内容は、手工芸品の製作、農作業、パン製造、内職作業など、事業所によって様々です。
3. A型とB型の「5つの大きな違い」徹底比較
A型とB型の違いを理解するため、主要な5つの項目で比較してみましょう。
| 比較項目 | 就労継続支援A型 | 就労継続支援B型 |
|---|---|---|
| 契約形態 | 雇用契約を結ぶ | 雇用契約を結ばない |
| 賃金・収入 | 給料(最低賃金以上) | 工賃(平均額は最低賃金より低い) |
| 利用期間 | 原則定めなし | 原則定めなし |
| 年齢制限 | 原則18歳以上65歳未満 | 18歳以上(上限なし) |
| 求められる就労スキル | B型より高い。安定的な就労が期待される | A型より低い。体調優先で利用可能 |
契約形態の違い
A型では事業所と利用者が雇用契約を結ぶため、労働基準法が適用されます。これにより、労働時間、休憩時間、休日などが明確に定められ、労働者としての権利が保障されます。
一方、B型では雇用契約を結ばないため、労働基準法の適用対象外となります。その分、体調や生活リズムに合わせた柔軟な利用が可能です。
賃金・収入の違い
A型で受け取るのは「給料」であり、最低賃金法が適用されるため、都道府県ごとに定められた最低賃金以上が保障されます。
B型で受け取るのは「工賃」と呼ばれる作業の対価であり、賃金とは異なります。工賃は作業量や作業内容によって決まり、最低賃金法の適用はありません。
利用期間の違い
A型、B型ともに、利用期間に原則として定めはありません。自分の状況や目標に応じて、必要な期間利用を継続できます。
年齢制限の違い
A型は原則として18歳以上65歳未満の方が対象です。これは雇用契約を結ぶサービスであることが理由です。
B型は18歳以上であれば、上限年齢の制限がありません。高齢の方でも、体調や能力に応じて利用できます。
求められる就労スキルの違い
A型では、雇用契約に基づく安定的な就労が期待されるため、一定の就労スキルや勤務の安定性が求められます。
B型では、就労スキルよりも、まず働くことに慣れることや、体調を優先しながら無理なく作業を続けることが重視されます。
4. 賃金・工賃の違いを深掘り
A型の給料について
A型で受け取る給料は、最低賃金法に基づき、各都道府県の最低賃金以上が保障されています。これは法律で定められた労働者の権利であり、事業所はこれを遵守する義務があります。
実際の月収は、勤務時間や日数によって異なりますが、週5日、1日4〜6時間程度の勤務で、月額7万円から12万円程度が一般的な目安とされています。もちろん、これは地域や事業所、勤務条件によって変動します。
また、A型利用者は雇用保険や社会保険(健康保険・厚生年金保険)の加入対象となるため、将来的な保障も得られます。
B型の工賃について
B型で受け取る工賃は、作業の対価として支払われるものであり、賃金ではありません。そのため、最低賃金法の適用はなく、金額は作業量や作業内容、事業所の収益状況によって決まります。
厚生労働省の調査によると、B型事業所における平均月額工賃は、全国平均で1万5千円から2万円程度です。ただし、これはあくまで平均値であり、事業所や個人の作業量によって大きく異なります。中には月額5万円以上の工賃を得ている事業所もあります。
収入と社会保障
A型では雇用契約を結ぶため、原則として社会保険に加入します。これにより、病気やケガの際の保障、将来の年金受給資格の獲得など、労働者としての権利が得られます。
B型では雇用契約がないため、社会保険の加入対象外です。ただし、障害年金などの社会保障制度は引き続き受給できます。工賃収入がある場合でも、一定の条件内であれば年金受給に影響することはありません。
5. 利用対象者と適性の違い
A型が向いている人
A型は、以下のような方に適しています。
就労意欲が高く、安定した勤務が可能な方:比較的体調が安定しており、決まった時間に勤務できる方にとって、A型は収入面でもメリットが大きいサービスです。
将来的に一般企業への就職を目指したい方:A型で働きながらスキルを磨き、就労実績を積むことで、一般企業への就職につなげることができます。雇用契約を結んで働いた経験は、履歴書でも評価されます。
安定した収入を得たい方:最低賃金以上の給料が保障されるため、生活の安定や自立に向けた経済的基盤を築きたい方に向いています。
社会保険に加入したい方:健康保険や厚生年金に加入できるため、将来的な保障を重視する方にも適しています。
B型が向いている人
B型は、以下のような方に適しています。
体調の波があり、安定的な勤務が難しい方:精神的・身体的な理由で体調が変動しやすい方は、雇用契約がなく柔軟に利用できるB型が適しています。無理なく自分のペースで作業できます。
年齢や体力的な制約がある方:高齢の方や、長時間の勤務が難しい方にとって、B型は年齢制限がなく、短時間から利用できる点で利用しやすいサービスです。
まずは働くことに慣れたい方:長期間働いていなかった方や、これから社会参加を始めたい方にとって、B型は負担が少なく、段階的に就労経験を積める環境です。
居場所や仲間が欲しい方:収入だけでなく、人とのつながりや居場所を求めている方にとって、B型は温かいコミュニティとして機能することが多いです。
A型や一般就労へのステップとして利用したい方:B型で経験を積み、体調が安定してきた段階で、A型や一般企業への就職を目指すこともできます。
6. まとめと自分に合ったサービスの見つけ方
最終チェックリスト
自分にどちらのサービスが合っているか迷ったときは、以下のポイントを確認してみましょう。
雇用契約を結びたいか?
- はい → A型が候補
- いいえ、または柔軟に働きたい → B型が候補
最低賃金以上の収入が必要か?
- はい → A型が候補
- いいえ、収入よりも無理なく続けることを優先したい → B型が候補
安定した勤務時間に対応できるか?
- はい、比較的体調が安定している → A型が候補
- 体調の波があり、柔軟な対応が必要 → B型が候補
年齢はどうか?
- 65歳未満 → A型、B型ともに選択可能
- 65歳以上 → B型が候補
次のステップ:相談から始めよう
自分に合ったサービスを選ぶには、専門家への相談が不可欠です。まずは、お住まいの市町村の障がい福祉窓口、または相談支援事業所を訪ねてみましょう。
相談支援専門員が、あなたの状況や希望を丁寧にヒアリングし、最適なサービスを提案してくれます。また、実際に事業所を見学することで、雰囲気や作業内容を確認し、自分に合うかどうか判断できます。
複数の事業所を見学し、比較検討することもおすすめです。事業所によって作業内容、雰囲気、支援の手厚さは大きく異なります。
最後に:自分らしい生活を目指して
A型とB型、どちらのサービスも、最終的な目標は同じです。それは、あなたが自分らしく生活し、社会とつながりながら、充実した日々を送ることです。
どちらが優れているということはありません。大切なのは、今のあなたの状況や希望に合ったサービスを選ぶことです。焦らず、自分のペースで、一歩ずつ前に進んでいきましょう。
就労支援サービスは、あなたの可能性を広げるための大切なサポートです。この記事が、あなたの選択の一助となれば幸いです。

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