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障害があっても、自分の家を持ちたいという願いを持つ方は少なくありません。
「自分の城が欲しい」「家族と安心して暮らせる家を」「賃貸の不安から解放されたい」「老後の住まいを確保したい」など、住宅購入を考える理由はさまざまです。
しかし、障害者が住宅ローンを組もうとした時、団体信用生命保険、いわゆる団信の審査で謝絶される、つまり加入を断られるケースが多く発生しています。
団信は、住宅ローンを組む際に多くの金融機関が加入を必須としている保険で、ローンの契約者が死亡または高度障害状態になった時に、ローンの残債が保険金で完済される仕組みです。
しかし、団信の加入には健康状態の告知が必要で、過去または現在の病歴、精神疾患の治療歴、身体障害の状態などによっては、加入を断られることがあります。
「マイホームの夢が消えた」「ローンを組めないなら賃貸を続けるしかない」「健康な人にしか家を持つ権利がないのか」と、深い失望を感じる方も少なくありません。
しかし、団信で謝絶されても、住宅購入を諦める必要はありません。
団信不要のローン、ワイド団信、フラット35の活用、配偶者名義での借入、現金購入の検討など、複数の対策があります。
本記事では、団信謝絶の理由、利用できる代替手段、それぞれの特徴、注意点、長期的な視点について整理していきます。
なお、本記事の内容は一般的な情報提供を目的としており、個別の住宅ローン相談は、金融機関、ファイナンシャルプランナー、住宅ローンアドバイザーなどの専門家にご相談ください。
団信謝絶の理由
まず、団信で謝絶される理由を理解しておきましょう。
団信は、生命保険の一種です。
そのため、契約者の健康状態によって、加入の可否が判断されます。
加入時には、健康状態に関する告知が求められます。
主な告知項目として、過去3年以内の手術や入院歴、現在の通院や服薬状況、過去の重大な疾病歴などがあります。
これらに該当する場合、加入が制限される可能性があります。
謝絶されやすい疾病や状態として、精神疾患の治療歴、重度の身体障害、内臓疾患、がんの治療歴、心臓疾患、脳血管疾患、糖尿病の合併症、特定の難病などがあります。
ただし、これらの病歴があっても、必ず謝絶されるわけではなく、症状の程度、治療の経過、現在の状態によって判断されます。
精神疾患は、特に謝絶されやすい傾向があります。
うつ病、双極性障害、統合失調症、不安障害などの治療歴があると、加入を断られることが多いものです。
通院中の方、服薬中の方は、ほぼ確実に告知義務に該当します。
身体障害については、障害の程度、原因、安定性などが審査されます。
軽度の障害であれば加入できる場合もありますが、重度の障害、進行性の疾患、就労が困難な状態などでは、謝絶されることがあります。
知的障害については、知的障害そのものよりも、合併する身体的な疾患や精神的な状態が審査の対象となります。
告知義務違反のリスクも、理解しておく必要があります。
告知を偽って加入した場合、保険金請求時に告知義務違反が発覚すると、保険金が支払われない可能性があります。
ローンの残債を遺族が背負うことになるなど、深刻な事態を招くため、絶対に避けるべきです。
団信の審査基準は、金融機関や保険会社によって異なります。
ある銀行で謝絶されても、別の銀行では加入できる場合があります。
複数の金融機関で審査を受けることで、加入できる可能性が広がります。
ワイド団信の活用
団信で謝絶された場合の選択肢として、ワイド団信があります。
ワイド団信は、引受基準緩和型の団信です。
通常の団信では加入できない方でも、加入できる可能性がある保険です。
うつ病、糖尿病、高血圧、肝機能障害などの病歴がある方でも、加入できる場合があります。
ただし、通常の団信より審査基準が緩和されているとはいえ、すべての方が加入できるわけではありません。
重度の症状、進行性の疾患などでは、ワイド団信でも謝絶される可能性があります。
ワイド団信の保険料は、通常の団信より高くなります。
住宅ローン金利に上乗せされる形で、年0.3パーセント程度の上乗せが一般的です。
35年ローンの場合、総返済額で数百万円の差が出ることもあります。
それでも、住宅ローンを組めることのメリットを考えると、検討する価値のある選択肢です。
ワイド団信を取り扱っている金融機関として、メガバンク、地方銀行、信用金庫、ネット銀行など、多くの金融機関があります。
ただし、すべての金融機関がワイド団信を提供しているわけではないため、事前の確認が必要です。
ワイド団信を申し込む際は、現在の健康状態、病歴、治療の経過などを正確に告知することが大切です。
主治医の診断書や、検査結果を求められることもあります。
「症状が安定している」「治療によって日常生活に支障がない」ことを示すことで、加入できる可能性が高まります。
フラット35の活用
団信加入が難しい方にとって、フラット35は強力な選択肢となります。
フラット35は、住宅金融支援機構が提供する全期間固定金利の住宅ローンです。
最大の特徴は、団信への加入が任意であることです。
通常の銀行の住宅ローンでは、団信加入が必須ですが、フラット35では団信に加入しなくてもローンを組めます。
団信に加入しない場合、金利の上乗せもありません。
団信で謝絶されても、フラット35なら住宅ローンを組める可能性があるわけです。
ただし、団信に加入しない場合、契約者が死亡または高度障害状態になっても、ローンは残ったままとなります。
遺族や保証人が、引き続きローンを返済する必要があります。
そのため、団信なしのフラット35を選ぶ場合は、別途の生命保険、貯蓄、収入源の確保などで、リスクに備える必要があります。
フラット35のメリットは、団信加入の任意性だけではありません。
全期間固定金利のため、将来の金利上昇リスクを避けられます。
審査も、団信のような健康状態ではなく、収入や勤続年数を中心に行われます。
返済負担率、つまり年収に対する年間返済額の割合が、35パーセント以下であることが基準となります。
物件の条件として、住宅金融支援機構が定める技術基準を満たす必要があります。
省エネ性、耐震性、バリアフリーなどの基準があり、これに合致する物件を選ぶ必要があります。
フラット35の取扱金融機関は、多数あります。
ARUHI、楽天銀行、住信SBIネット銀行、地方銀行、信用金庫など、多くの金融機関で取り扱っています。
金融機関によって金利や手数料が異なるため、複数の金融機関を比較することが大切です。
配偶者名義での借入
配偶者がいる場合、配偶者名義で住宅ローンを組む方法もあります。
健康な配偶者が、ローンの主な契約者となります。
団信は配偶者が加入することになり、契約者が死亡または高度障害状態になった時に、ローンの残債が完済されます。
ただし、この方法には条件があります。
配偶者に、ローンを組めるだけの収入と信用が必要です。
正社員として安定した収入がある、勤続年数が一定以上ある、過去にローンの延滞歴がないなどの条件が求められます。
夫婦のどちらかが障害者で、もう一方が健康であれば、健康な側が主たる契約者となる方法が、現実的な選択肢となります。
ペアローンや収入合算という方法もあります。
夫婦それぞれがローンを組むペアローン、夫婦の収入を合算して審査するアプローチなど、複数の選択肢があります。
それぞれの方法には、メリットとデメリットがあるため、金融機関とよく相談することが大切です。
ただし、配偶者名義での借入には、夫婦間のリスクもあります。
離婚した場合の処理、配偶者が先に亡くなった場合の対応など、想定すべきリスクがあります。
事前に弁護士やファイナンシャルプランナーに相談しておくことで、これらのリスクを管理できます。
連帯保証人や親族からの援助
別の選択肢として、連帯保証人を立てる、または親族からの援助を受ける方法があります。
親や兄弟姉妹が連帯保証人になることで、ローン審査が通る可能性が高まる場合があります。
ただし、連帯保証人にはリスクが伴うため、慎重な判断が必要です。
万が一返済できなくなった場合、連帯保証人が代わりに返済する責任を負います。
家族関係を悪化させる原因となることもあるため、十分な話し合いが必要です。
親族からの贈与や援助を受ける方法もあります。
住宅取得等資金の贈与に関する非課税特例を活用することで、親や祖父母から最大1000万円程度の援助を非課税で受けられます。
頭金が増えることで、借入額を減らすことができ、審査が通りやすくなる可能性もあります。
ただし、家族からの援助は、家族関係に影響することがあるため、感謝の気持ちと、明確な合意のもとで受けることが大切です。
中古物件や安価な物件の検討
借入額そのものを減らすために、購入する物件の見直しも検討できます。
中古物件は、新築よりも価格が大きく抑えられます。
築年数、立地、間取りなどによって、新築の半分以下の価格で購入できる場合もあります。
借入額が少なくなれば、審査が通りやすくなり、月々の返済負担も軽くなります。
地方や郊外の物件も、選択肢として考えられます。
都心部より大幅に安価な物件があり、テレワークが可能な仕事をしている方にとっては、現実的な選択肢となります。
戸建てでもマンションでも、選択肢があります。
それぞれにメリットとデメリットがあり、自分のライフスタイル、健康状態、資産状況に合った選択をすることが大切です。
リノベーション物件も、選択肢の一つです。
築古の物件を購入し、自分の希望に合わせてリノベーションする方法は、自分らしい住まいを作りながら、コストを抑えられる方法です。
賃貸を続ける選択
住宅購入を諦めて、賃貸を続ける選択も、立派な判断です。
賃貸には、購入にはないメリットもあります。
ライフスタイルの変化に応じて住み替えやすい、修繕費の負担がない、固定資産税がかからない、引っ越しが容易など、柔軟性が高いものです。
賃貸での生活を充実させる工夫もあります。
UR賃貸住宅、公営住宅、家賃補助制度などを活用することで、賃貸でも安定した住まいを確保できます。
公営住宅は、所得が一定以下の方を対象とした、低家賃の住宅です。
障害者向けの優先入居枠を設けている自治体もあり、活用できる可能性があります。
家賃補助制度は、自治体によっては障害者世帯向けに用意されています。
お住まいの自治体の障害福祉課で、利用できる制度を確認できます。
老後の住まいについても、賃貸での選択肢があります。
サービス付き高齢者向け住宅、シルバーハウジング、ケアハウスなど、年齢を重ねても安心して住める選択肢があります。
「家を持つ」という形にこだわらず、自分にとって本当に必要な住まいを考えることが大切です。
ファイナンシャルプランナーへの相談
住宅購入を検討する際は、ファイナンシャルプランナーへの相談が有効です。
家計全体の中で、住宅ローンをどう位置づけるかをアドバイスしてもらえます。
住宅ローンを組むことで、生活が圧迫されないか、老後の生活設計に影響しないか、医療費や治療費を確保できるかなど、長期的な視点で考えられます。
ファイナンシャルプランナーには、独立系の方と、金融機関に所属する方がいます。
独立系のファイナンシャルプランナーは、特定の金融商品を勧めることがなく、中立的なアドバイスが期待できます。
金融機関に所属するファイナンシャルプランナーは、その金融機関の商品に詳しく、具体的な手続きについて詳しく教えてもらえます。
無料相談を提供する事務所もあれば、有料で個別のコンサルティングを受けられる事務所もあります。
自治体やNPO法人が提供する無料相談も、活用できる場合があります。
住宅ローンアドバイザーへの相談も、有効です。
住宅ローンに特化した知識を持つ専門家で、ローンの組み方、金融機関の選び方、団信の活用などについて、専門的なアドバイスを受けられます。
注意すべきポイント
住宅購入を進める上で、注意すべきポイントを整理しておきます。
無理のない返済計画を立てることが、最も大切です。
月々の返済額は、手取り収入の25パーセント以内に抑えることが、一般的な目安です。
障害年金、医療費、治療費、生活費などを考慮した上で、無理のない返済額を設定します。
頭金を準備することも、重要です。
物件価格の20パーセント程度の頭金があれば、借入額を抑えることができ、審査が通りやすくなります。
頭金が少ない場合は、購入を急がず、貯蓄を増やしてから検討することも選択肢です。
諸費用も忘れずに計算します。
物件価格以外に、登記費用、仲介手数料、不動産取得税、固定資産税、火災保険、家具家電の購入など、さまざまな費用がかかります。
物件価格の10パーセント程度を、諸費用として準備しておく必要があります。
将来の出費も想定しておきます。
修繕費、リフォーム費、家電の買い替え、医療費の増加、収入の減少など、長期的な出費を予測しておくことで、無理のない計画が立てられます。
詐欺やぼったくり業者への警戒も、欠かせません。
「障害者でも簡単にローンが組める」と謳う業者、不当な金利の住宅ローン、必要のない保険を抱き合わせる業者などには、警戒が必要です。
信頼できる金融機関、信頼できる不動産業者を選ぶことが、安全な購入の前提です。
家族との合意も、大切です。
住宅購入は、家族全体に影響する大きな決断です。
配偶者、子ども、親などと、十分に話し合った上で進めることが、後のトラブルを防ぎます。
まとめ
団信で謝絶されても、住宅購入を諦める必要はありません。
団信謝絶の理由として、健康状態の告知、精神疾患の治療歴、身体障害の状態、内臓疾患、過去の重大な疾病歴などがあります。
謝絶された場合の対策として、ワイド団信の活用、フラット35の活用、配偶者名義での借入、連帯保証人や親族からの援助、中古物件や安価な物件の検討、賃貸を続ける選択などがあります。
ワイド団信は、引受基準緩和型の団信で、通常の団信より審査基準が緩和されていますが、保険料が高くなります。
フラット35は、団信加入が任意であり、団信なしでもローンを組める選択肢です。
ただし、団信なしの場合、別途のリスク対策が必要となります。
配偶者名義での借入、ペアローン、収入合算なども、健康な配偶者がいる場合の選択肢です。
中古物件、地方の物件、リノベーション物件など、購入する物件の見直しで、借入額を減らすこともできます。
賃貸を続ける選択も、立派な判断です。
UR賃貸住宅、公営住宅、家賃補助制度、サービス付き高齢者向け住宅など、賃貸での選択肢も多くあります。
ファイナンシャルプランナー、住宅ローンアドバイザーへの相談も、活用できます。
注意すべきポイントとして、無理のない返済計画、頭金の準備、諸費用の計算、将来の出費の想定、詐欺やぼったくり業者への警戒、家族との合意などがあります。
困った時は、ファイナンシャルプランナー、住宅ローンアドバイザー、ハローワーク、自治体の障害福祉課、社会福祉協議会、法テラスなどに相談することができます。
法テラスを利用すれば、収入が一定以下の方は無料法律相談を受けられます。
住宅は、人生の大きな買い物です。
団信で謝絶された経験は辛いものですが、それで人生のすべてが決まるわけではありません。
複数の選択肢を冷静に検討し、自分と家族にとって最良の道を選んでいきましょう。
希望を持って、自分らしい住まいを実現していくことができます。
明るい未来は、必ずあなたの前に開かれています。
