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障がいを抱えながら働いている方のなかには、障害者手帳を取得していても職場には伝えていない方が少なくありません。一般雇用枠で働きながら、プライベートで自分の障がいと向き合っている方も多くいます。そうしたなかで気になるのが、年末調整や確定申告での障害者控除の扱いです。税制上の優遇を受けたいけれど、会社に申告すると障がいが知られてしまうのではないか、これまで隠してきた障がいが突然発覚するのは避けたい、といった悩みを抱える方は多いでしょう。ここでは、障害者控除の基本的な仕組み、会社に知られる可能性、知られたくない場合の対処法、申告の判断について解説していきます。
障害者控除の基本的な仕組み
障害者控除は、所得税と住民税の両方で適用される所得控除の一つです。本人、配偶者、扶養親族のいずれかが所得税法上の障害者に該当する場合、一定額を所得から差し引くことで税負担を軽減できる制度です。
控除額は障がいの程度によって異なります。一般の障害者控除は所得税で27万円、住民税で26万円です。特別障害者控除は所得税で40万円、住民税で30万円となります。同居特別障害者控除は、特別障害者に該当する扶養親族などと同居している場合にさらに加算され、所得税で75万円、住民税で53万円の控除が受けられます。
控除の対象となる「障害者」の範囲は広く、身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳の所持者が中心となります。ほかにも、戦傷病者手帳の所持者、原子爆弾被爆者で厚生労働大臣の認定を受けた方、65歳以上で自治体の認定を受けた方なども対象です。
特別障害者となるのは、身体障害者手帳の1級と2級、療育手帳の最重度と重度、精神障害者保健福祉手帳の1級の所持者などです。ただし、特別障害者の範囲はこれに限らず、常に就床を要し複雑な介護を要する方、精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある方なども含まれます。
障害者控除は毎年の所得から継続的に差し引かれる制度のため、長期的に見ると大きな節税効果があります。年収によっても異なりますが、所得税と住民税を合わせて年間数万円から十数万円程度の節税につながるケースが一般的です。
年末調整と確定申告での手続き
障害者控除を受けるには、年末調整または確定申告のいずれかで申告する必要があります。会社員の方は年末調整で控除を申告するのが一般的で、この場合は会社を通じて手続きを行います。
年末調整で申告する際は、「給与所得者の扶養控除等申告書」に障害者控除に関する情報を記載します。本人が障害者の場合は「障害者」の欄に、扶養親族が障害者の場合は該当する家族の情報とともに記載する形となります。障害者の区分が「一般の障害者」か「特別障害者」か、同居特別障害者に該当するかなども記載します。
障害者手帳の写しやその他の証明書類を会社に提出する必要がある場合もあります。企業によって提出を求める書類は異なり、手帳の写しを求める会社もあれば、申告書への記載のみで受け付ける会社もあります。具体的な手続きは勤務先の人事担当者に確認することが大切です。
確定申告で控除を受ける場合は、会社を通さず自分で税務署に申告する形となります。この方法であれば、会社に障がいの情報を伝えることなく控除を受けられます。確定申告では、確定申告書の「所得から差し引かれる金額」の欄に障害者控除額を記入し、手帳のコピーなどを添付または提示する形で申告します。
確定申告は毎年2月16日から3月15日までが申告期間です。会社員でも確定申告は可能で、年末調整で申告しなかった控除を後から申告できる仕組みもあります。医療費控除やふるさと納税のワンストップ特例を使わないケースなど、もともと確定申告をする予定がある方は、そのタイミングで障害者控除も申告する方法が便利です。
年末調整で申告すると会社に知られる
年末調整で障害者控除を申告すると、会社の人事や経理担当者に障がいの情報が伝わります。「給与所得者の扶養控除等申告書」は会社が回収して税務処理に使用するため、記載された内容は会社の担当者が確認します。
具体的に伝わる情報は、本人または扶養親族が障害者であること、一般の障害者か特別障害者かの区分、同居特別障害者に該当するかといった内容です。障害者手帳の写しを提出する場合は、手帳の種類や等級、交付年月日なども伝わることになります。
手帳の種類から、おおよその障がいの種類が推測できる場合があります。身体障害者手帳であれば身体障がい、精神障害者保健福祉手帳であれば精神障がいや発達障がい、療育手帳であれば知的障がいがあることが推測されます。等級からは障がいの程度が推測され、特別障害者であれば重度の障がいがあると理解されます。
ただし、具体的な病名や詳細な症状までは手帳の情報だけでは分かりません。精神障害者保健福祉手帳を持っていることは分かっても、それがうつ病なのか統合失調症なのか発達障がいなのかは、手帳の情報だけでは特定されません。どこまで詳しい情報が会社に伝わるかは、提出する書類の内容によります。
情報の取り扱いは、労務管理や税務処理のために限定されるのが基本です。障害者控除の申告内容が、業務評価や処遇の判断材料として使われることは本来あってはなりません。個人情報の適切な管理は企業の義務であり、必要以上に情報が拡散しないよう配慮されるべきです。
しかし実務レベルでは、人事担当者や経理担当者が情報を知る状況は避けられません。小規模な会社では担当者が少なく、情報を知る範囲が狭いとも言えますが、逆に社内での距離が近く情報が広まりやすい面もあります。大企業であれば、人事や経理の担当者が業務上必要な範囲で情報を管理する形となり、日常業務の同僚にまでは伝わりにくい傾向があります。
確定申告なら会社に知られない
会社に障がいの情報を伝えずに障害者控除を受けたい場合、確定申告を活用する方法が基本的な対処法となります。確定申告は自分で税務署に直接申告するため、会社を経由することなく控除を受けられます。
確定申告の流れは、まず税務署で必要書類をもらうか、国税庁のウェブサイトから確定申告書をダウンロードします。確定申告書作成コーナーという国税庁の無料オンラインサービスを使えば、パソコンやスマートフォンから入力して書類を作成できます。e-Taxを利用すれば電子申告も可能で、税務署に出向かなくても手続きを完結できます。
必要な書類は、勤務先から発行される源泉徴収票、障害者手帳のコピーまたは関連する証明書、マイナンバーが確認できる書類などです。源泉徴収票は年末調整後に会社から受け取る書類で、1年間の給与と源泉徴収された税額が記載されています。
申告書を作成したら、税務署に提出します。税務署の窓口での提出、郵送での提出、e-Taxでの電子申告の三つの方法から選べます。提出後、税金が還付される場合は、指定した銀行口座に還付金が振り込まれます。
確定申告を利用すれば、会社の人事担当者や経理担当者に障がいの情報が伝わることはありません。住民税の通知についても後述する工夫で対処できるため、確実にプライバシーを守りながら控除を受けられます。
確定申告が初めての方は、税務署の相談窓口や税理士への相談が役立ちます。確定申告の時期には税務署に臨時の相談コーナーが設けられ、無料で申告書の作成を手伝ってもらえます。複雑なケースや金額の大きい案件は、税理士に依頼することも選択肢です。
住民税の特別徴収にも注意
障害者控除を受けるうえでもう一つ注意したいのが、住民税の扱いです。住民税は前年の所得に基づいて計算され、給与所得者の場合は「特別徴収」という仕組みで毎月の給与から天引きされるのが一般的です。
住民税の金額は、所得税と同様に障害者控除によって軽減されます。確定申告で障害者控除を申告すれば、住民税にも反映されます。問題は、住民税の計算結果が会社に通知される仕組みになっている点です。
毎年5月から6月頃に、市区町村から「給与所得等にかかる市民税・県民税特別徴収税額の決定通知書」という書類が会社に送付されます。この通知書には、従業員の住民税額と、その計算根拠となる所得や控除の内訳が記載されています。障害者控除を受けている場合、その金額も記載される可能性があります。
ただし、2019年度の地方税法改正により、通知書のレイアウトが変更され、障害者控除の内訳が会社に通知されにくくなりました。現在の書式では、控除の合計額は通知されても、内訳として障害者控除があるかどうかは見えにくくなっている場合が多いです。
より確実に障がいの情報を会社に知られないようにするには、住民税を「普通徴収」に切り替える方法もあります。普通徴収は、住民税を年4回に分けて自分で納付する方式で、給与からの天引きではなく自分で納付書を使って支払います。給与所得者は原則として特別徴収となりますが、確定申告の際に「自分で納付」を選択することで、一部の所得について普通徴収に切り替えられる場合があります。
ただし、給与所得のみの方は原則として特別徴収となるため、普通徴収への切り替えが難しいケースもあります。自治体によって対応が異なるため、詳細は居住地の市区町村の税務担当窓口に確認することをおすすめします。
家族の障害者控除は本人の情報
扶養している家族が障害者の場合に障害者控除を受けるケースでは、伝わる情報は本人の障がいではなく家族の障がいに関する情報となります。自分の障がいを隠したい方が、親や子どもの障がいで障害者控除を申告するのは、プライバシーの観点では問題が少ない選択です。
扶養する配偶者や親、子どもが障害者手帳を所持している場合、所得条件などを満たせば障害者控除の対象となります。同居して介護している重度の障害者がいる場合は、同居特別障害者控除が適用され、より大きな控除額となります。
家族の障害者控除を申告する際も、手帳の写しや関連書類の提出が求められる場合があります。扶養している家族が障害者であることは会社に伝わりますが、自分自身の障がいが伝わるわけではありません。
手帳を持たない障害者控除の対象
障害者控除の対象は、必ずしも手帳所持者に限られません。65歳以上の方で、障害の程度が身体障害者手帳の等級や療育手帳の等級に準ずるとして市区町村長の認定を受けた方も、障害者控除の対象となります。
これは「障害者控除対象者認定書」という書類で認定されるもので、手帳を持っていない高齢者でも要介護認定などを受けている場合に申請できる制度です。家族に介護が必要な高齢者がいる場合、この制度を活用することで障害者控除を受けられる可能性があります。
制度の詳細は市区町村によって異なりますので、高齢の家族を扶養している方は、居住地の自治体の窓口に相談してみましょう。
年末調整で申告するメリット
年末調整で申告することにはデメリットもある一方、メリットもあります。手続きの手間が少ないことが最大のメリットです。会社の指示に従って書類に記入するだけで控除が適用されるため、自分で税務署に行ったり申告書を作成したりする必要がありません。
還付されるタイミングも早くなります。年末調整で控除が反映されると、12月の給与や1月の給与で還付金が受け取れます。確定申告の場合は、2月から3月に申告し、還付金が振り込まれるのはそこから1か月から2か月後となるため、タイミングで差が出ます。
住民税の控除も自動的に反映されます。年末調整で障害者控除を申告すれば、翌年の住民税計算にも適用されるため、追加の手続きなしに住民税の軽減も受けられます。
職場の理解を得ながら働きたいと考える方にとっては、年末調整での申告が障害者雇用への移行のきっかけになる場合もあります。会社に障がいがあることを伝えることで、配慮事項の相談や業務内容の調整など、働きやすさを高める対話が始まる可能性があります。
年末調整で申告するデメリット
年末調整で申告する最大のデメリットは、プライバシーの問題です。会社の担当者に障がいの情報が伝わることで、不要な噂や誤解、差別的な対応を受けるリスクがゼロではありません。障がいへの理解が進んでいる企業は増えているものの、すべての職場が配慮のある環境とは限らないのが現実です。
評価や処遇への影響も懸念されます。障害者控除の申告が直接評価に使われることは本来ありませんが、人事担当者が障がいの存在を知ることで、無意識のうちに判断に影響する可能性は否定できません。昇進や昇給、配置転換などの決定に、微妙な形で影響することも考えられます。
今後のキャリアへの影響も考慮したい点です。転職などで会社を離れる際、前職の人事担当者が障がいの存在を知っていると、退職理由の詮索や再就職先への情報漏洩のリスクもゼロではありません。
障害者雇用への移行という選択
一般雇用で働きながら障害者控除を申告することに不安がある場合、障害者雇用枠への転換を検討する選択肢もあります。障害者雇用枠であれば、会社は従業員の障がいを前提として雇用しており、合理的配慮の提供義務が生じます。障害者控除の申告も自然なこととして受け入れられます。
障害者雇用への転換には、同じ会社のなかで雇用枠を切り替える方法と、転職して障害者雇用枠で採用される方法があります。同じ会社で切り替える場合は、人事担当者と相談して自分の障がいと必要な配慮について話し合い、障害者雇用として継続する合意を得る流れになります。給与や業務内容に変化が生じる可能性もあるため、慎重な判断が必要です。
転職する場合は、障害者雇用の求人に応募して新しい職場での採用を目指します。障害者雇用優良事業主認定制度のもにす認定を受けた企業、特例子会社、障害者雇用に積極的な大手企業などが候補となります。給与水準や雇用の安定性、配慮体制などを総合的に判断して、自分に合った転職先を選びます。
障害者雇用への移行を急ぐ必要はありません。現在の職場で働き続けたい場合は、確定申告を使った申告で障害者控除を受けながら、一般雇用で働き続ける選択も十分に現実的です。
申告するかどうかの判断基準
障害者控除を申告するかどうか、申告する場合に年末調整と確定申告のどちらを選ぶかは、個人の状況に応じて判断する必要があります。経済的メリットだけでなく、プライバシー、職場の雰囲気、将来のキャリアビジョンなどを総合的に考えましょう。
控除額の経済的メリットは、長期的に見ると無視できない金額です。年間数万円から十数万円の節税が、数年、数十年続けば、まとまった金額となります。家計への貢献として、控除の活用は重要な選択です。
一方で、プライバシーの確保も大切な価値です。会社に障がいを知られたくない強い理由がある場合は、確定申告を選ぶことで確実にプライバシーを守れます。
職場の文化や人間関係の状況も判断材料となります。障がいへの理解があり、配慮が期待できる職場であれば、年末調整での申告も選択肢です。逆に、偏見や差別が懸念される職場では、確定申告で慎重に対応するほうが安心です。
将来のキャリアビジョンも考慮しましょう。障害者雇用への転換を考えているなら、早めに会社に伝える選択もあります。現在の職場で一般雇用として働き続けたいなら、プライバシーを守る選択が現実的です。
専門家への相談
障害者控除の申告方法に迷う場合、専門家への相談が役立ちます。税理士は税制の専門家として、控除の計算、申告書の作成、税務署とのやり取りなどをサポートしてくれます。確定申告の時期には税務署の無料相談窓口もあります。
ファイナンシャルプランナーは、税金だけでなく家計全体の視点からアドバイスをくれる存在です。障害者控除を含めた税制優遇、障害年金、各種手当、医療費助成など、総合的な経済状況を考慮した提案を受けられます。
社会保険労務士は、障害年金や社会保険の専門家です。障害者控除そのものの相談対象ではありませんが、障害年金の受給と組み合わせた生活設計などについてアドバイスを受けられます。
障害者就業生活支援センターやソーシャルワーカーも、総合的な相談相手として活用できます。控除の手続き以外にも、職場での配慮事項、将来のキャリア、生活設計など、幅広い相談に対応してもらえます。
まとめ
障害者控除を年末調整で申告すると、会社の人事や経理担当者に障がいの情報が伝わる可能性があります。一方で、確定申告を活用すれば会社に知られることなく控除を受けられます。住民税の通知方法にも注意しつつ、自分の状況に合わせて申告方法を選びましょう。経済的メリット、プライバシーの確保、職場の雰囲気、将来のキャリアビジョンなどを総合的に考えて、最適な選択をすることが大切です。一人で判断に迷う場合は、税理士や支援機関の専門家に相談しながら、安心できる方法で制度を活用していきましょう。障害者控除は、障がいがある方の生活を支える大切な税制優遇です。プライバシーを守りながら、自分の権利として適切に活用していく姿勢が、長期的な生活の安定につながります。

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