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大学や専門学校で奨学金を借りて学んだ方のなかには、卒業後に障がいを抱えて働くことになり、返済に不安を感じている方も少なくありません。障害者雇用での給与水準や体調の波を考えると、毎月の返済が生活を圧迫するケースもあります。
ただし、日本学生支援機構の奨学金には、障がいや経済的困難を理由にした返還の猶予や免除の制度が用意されています。制度を正しく理解して活用することで、無理のない返済計画を立てられます。
ここでは、奨学金の返済猶予や免除の制度、手続きの流れ、転職時の注意点について解説していきます。
日本学生支援機構の奨学金の基本
日本学生支援機構(JASSO)は、日本で最も利用者が多い奨学金の運営機関です。
無利子の第一種奨学金、有利子の第二種奨学金、給付型奨学金の三つの形態があり、貸与型の奨学金は卒業後に返還する義務があります。
貸与型奨学金の返還は、卒業後の翌年10月から始まり、毎月指定の口座から引き落とされる形で進みます。
返還期間は借りた金額や返還月額によって異なりますが、10年から20年程度にわたって返還を続けるケースが一般的です。
返還中に経済的困難や病気、障がいなどで返還が難しくなった場合、申請することで猶予や免除を受けられる制度があります。
制度を知らずに延滞してしまうと、延滞金が加算されたり信用情報に記録されたりするデメリットがあるため、困った場合は早めに相談することが大切です。
返還免除の制度
日本学生支援機構の奨学金には、返還を免除する制度がいくつか用意されています。
障がいに関連する制度として最も重要なのが、本人の死亡や精神もしくは身体の障害により返還が困難となった場合の返還免除です。
この制度では、奨学金の貸与を受けた本人が、精神または身体の障がいによって労働能力を失った場合、または労働能力に高度の制限を受けた場合に、願い出によって返還未済額の全額または一部の返還を免除してもらえます。
免除が認められるためには、一定の要件を満たした診断書の提出や、所定の手続きが必要です。
免除の対象となる障がいの程度は、労働能力への影響度合いで判断されます。
一般的には障害年金1級や2級の受給者が対象となるケースが多く、就労が困難な状態が継続している場合に免除が認められる傾向があります。障害者手帳の等級だけで機械的に判断されるわけではなく、個別の状況に応じた審査が行われます。
免除には全額免除と一部免除があり、障がいの程度や経済状況によって判断されます。
申請が認められれば、今後の返還義務がなくなるか大幅に軽減されるため、重度の障がいを抱える方にとって生活再建の大きな支えとなる制度です。
返還期限猶予の制度
免除までは認められなくても、返還期限の猶予を受ける制度もあります。返還期限猶予は、経済的困難や病気、障がいなどで一時的に返還が難しい場合に、返還を待ってもらう仕組みです。猶予期間中は返還が停止され、延滞金も発生しません。
猶予の種類には、一般猶予と災害・傷病等による猶予があります。一般猶予は、年収に関する要件を満たす場合に通算10年を限度として認められます。傷病等による猶予は、病気や障がいによって返還が困難な状態が続く場合に、一般猶予とは別枠で猶予を受けられる仕組みで、通算期間の制限がない点が特徴です。
障がいのある方が活用しやすいのは、傷病等による猶予です。精神疾患、身体障がい、難病などで働くのが困難な状態が継続している場合、診断書を添えて申請することで猶予が認められる可能性があります。症状が改善するまでの間、返還を気にせずに治療や療養に専念できる環境を整えられます。
猶予が認められる経済的基準は、給与所得者の場合で年収300万円以下が一つの目安となります。障害者雇用で働く方のなかには、この基準を下回る年収の方も多く、一般猶予の対象となる可能性があります。
減額返還の制度
返還を止めずに、毎月の返還額を減らす減額返還制度もあります。
この制度は、返還期間を延長する代わりに毎月の負担を軽くする仕組みで、返還を続けながら生活の安定を図りたい方に適しています。
減額返還では、毎月の返還額を2分の1または3分の1に減額できます。
その分、返還期間は倍または3倍に延長されますが、月々の負担が大きく軽減されるため、生活設計が立てやすくなります。
減額返還の適用には、経済的な要件があります。給与所得者の場合で年収325万円以下、それ以外の方で年間所得225万円以下が基本的な基準です。
障害者手帳を所持している場合は、所得の基準が緩和される特例もあるため、一般的な基準に該当しない方でも利用できる可能性があります。
減額返還は1年単位で申請し、継続したい場合は毎年更新する形になります。
状況が改善して通常の返還に戻せるようになれば、いつでも通常の返還に切り替えられる柔軟性があります。
所得連動返還方式
2017年度以降に日本学生支援機構の第一種奨学金の貸与を受けた方は、所得連動返還方式を選択できる場合があります。
この方式は、返還月額がその年の所得に応じて決まる仕組みで、所得が低ければ返還額も少なくなります。
所得連動返還方式では、前年の課税所得に応じて返還月額が計算されます。
所得が下がれば返還月額も自動的に下がるため、障がいの発症や転職による収入減少にも対応しやすい柔軟な返還方式です。
申請によって定額返還方式から所得連動返還方式への切り替えも可能な場合があります。
現在の返還方式と所得連動返還方式のどちらが自分に適しているか、日本学生支援機構の窓口で相談できます。
転職時の奨学金対応
転職時には、奨学金の返還に関していくつかの手続きや検討事項があります。まず転職による収入の変化を確認しましょう。転職によって収入が下がる場合、減額返還や返還期限猶予、所得連動返還方式の利用を検討するタイミングです。
収入が上がる場合でも、新しい生活環境への適応や引っ越し費用などで支出が増える可能性があります。無理な返還を続けて貯蓄が減るよりも、一時的に減額返還を利用して生活を安定させる選択肢も視野に入れておきましょう。
転職で住所や勤務先が変わる場合、日本学生支援機構への届出が必要です。
登録している住所、電話番号、勤務先などの情報を最新のものに更新することで、重要な通知を確実に受け取れる体制を保ちましょう。
口座引き落としの設定も確認しておくべき項目です。
給与振込先の銀行口座を変更する場合、奨学金の引き落とし口座も合わせて変更する必要があります。引き落とし口座の残高不足で返還が滞ると、延滞扱いになるリスクがあるため注意が必要です。
申請の手続きと必要書類
各種制度の申請は、日本学生支援機構のスカラネット・パーソナルから手続きを始められます。オンラインで申請書を提出し、必要な添付書類を別途郵送で送る流れが基本です。
返還期限猶予の申請には、所得関連の書類と、傷病による猶予の場合は診断書が必要です。
所得証明書は市区町村役場で発行してもらえる書類で、申請前年の所得を証明するものです。給与所得者の場合は源泉徴収票の写しでも代用できるケースがあります。
傷病による猶予の診断書は、指定の様式に主治医が記入する形式です。
障がいの状態、就労への影響、今後の見通しなどを医師に記載してもらいます。診断書作成には費用がかかるため、事前に費用を確認しておきましょう。
返還免除の申請には、より詳しい診断書や障害年金の証明書類が求められます。
障害年金の年金証書や、重度の障がいを示す書類などを揃える必要があり、申請から認定までに時間がかかるのが一般的です。
減額返還や所得連動返還方式への変更も、所得関連の書類が必要です。障害者手帳による所得基準の緩和を適用する場合は、手帳の写しも添付します。
猶予や免除が認められない場合の対応
申請しても希望通りの結果が得られないケースもあります。
その場合は、他の選択肢を検討していきましょう。
減額返還が認められなかった場合、返還期限猶予の申請を検討する、一般猶予が通らなかった場合、傷病による猶予の申請を検討するなど、別の制度を試してみることで活路が開ける場合があります。
書類の内容を見直すことも重要です。診断書の記載が不十分だった場合、主治医に再度相談して、より詳しい診断書を作成してもらうことで、申請が認められる可能性が高まります。
所得証明書の見落としや漏れがないかも確認しましょう。
日本学生支援機構の相談窓口に直接問い合わせる方法もあります。
電話やメールで申請の状況や今後の選択肢について相談でき、個別の事情に応じたアドバイスを受けられる場合があります。
どうしても返還が難しい状況が続く場合、債務整理も選択肢に入ります。
任意整理、個人再生、自己破産といった法的手続きを通じて、奨学金を含めた債務の整理が可能です。
法テラスや弁護士会の無料相談で、自分の状況に適した対応を相談できます。
連帯保証人や保証人への影響
奨学金の返還猶予や免除は、連帯保証人や保証人にも影響する可能性があります。
延滞が発生すると、連帯保証人に請求が及ぶため、早めに猶予の申請をすることで、保証人への負担を避けられます。
連帯保証人や保証人には、現在の返還状況を適切に共有しておくことが大切です。
猶予や免除の申請をしていること、障がいや経済的困難の状況、今後の見通しなどを伝えることで、お互いの理解と協力が得られます。
保証人と連絡が取りにくい状況や、保証人にかける負担を最小限にしたい場合は、債務整理も選択肢です。自己破産の場合は保証人に請求が及ぶ可能性もあるため、事前に相談しておくことが欠かせません。
転職で収入が安定した後の返還再開
猶予や減額返還を利用していた方が、転職によって収入が安定してきた場合、通常の返還への切り替えを検討するタイミングです。
収入が基準を上回るようになれば、猶予の申請は通らなくなり、減額返還から通常返還に戻す流れが自然です。
返還を再開する際は、毎月の家計に無理のない範囲で進めることが大切です。
収入が増えたからといって、一気に返還を早めようとすると生活が圧迫される可能性があります。
最低限必要な返還を着実に続けながら、余裕が出てきたら繰り上げ返還を検討するステップで進めるとよいでしょう。
繰り上げ返還は、一部または全額の前倒し返還を指します。
繰り上げによって返還総額が減るわけではありませんが、返還期間を短縮できる効果があります。
ただし、繰り上げよりも手元の生活防衛資金を確保することを優先すべきケースもあるため、家計全体のバランスを見ながら判断しましょう。
民間の奨学金や教育ローンの場合
日本学生支援機構以外の奨学金や教育ローンを利用している方もいるでしょう。
自治体、民間団体、大学独自の奨学金、銀行の教育ローンなど、それぞれに返還条件や猶予制度が異なります。
民間の奨学金や教育ローンについても、障がいや経済的困難を理由にした返還条件の変更が認められるケースがあります。貸し付け元に直接連絡し、現在の状況を説明したうえで、返還条件の見直しを相談してみましょう。
一律の制度がない場合でも、個別対応で返還条件を調整してもらえる可能性があります。早めに連絡することで、延滞になる前に対策を講じられるため、困った場合は放置せずに相談する姿勢が大切です。
支援機関の活用
奨学金の返還に関する悩みは、支援機関の協力を得ながら解決することができます。
ソーシャルワーカーや相談支援専門員は、経済的困難全般の相談に応じてくれる存在です。
奨学金の返還以外にも、生活福祉資金貸付制度、住居確保給付金、各種の助成制度など、利用できる制度を幅広く紹介してもらえる可能性があります。
社会保険労務士は、障害年金の申請を得意とする専門家です。
障害年金が受給できれば、それ自体が収入源になると同時に、奨学金の返還免除の申請書類としても活用できます。まだ障害年金を受給していない方は、申請の可能性を相談してみる価値があります。
法テラスや弁護士会の無料相談では、債務整理を含めた法的な解決方法を相談できます。奨学金だけでなく複数の借金を抱えている場合や、延滞が長期化している場合は、総合的な対応を検討することになります。
まとめ
障がいのある方の奨学金返還には、返還期限猶予、減額返還、所得連動返還方式、返還免除など、複数の制度が用意されています。
転職による収入変化に合わせて、自分に合った制度を選んで活用することで、無理のない返還計画を立てられます。制度を知らずに延滞するより、早めに日本学生支援機構に相談して適切な手続きを進めることが、信用情報を守りながら経済的な再建を図る道となります。
支援機関の力も借りながら、奨学金の負担を軽減し、安定した生活基盤を築いていきましょう。

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