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「自閉症の子が会話ができない」「言葉が出ない」「一方的に話すだけ」「質問に答えられない」「会話のキャッチボールができない」「将来話せるようになるのか不安」。自閉スペクトラム症(ASD)のある子の多くが、会話に困難を抱えています。
自閉症の子が会話ができない理由は、言葉の遅れ、コミュニケーションの質的な障害、社会性の困難など、様々です。しかし、適切な支援により、言葉の発達を促し、コミュニケーション能力を高めることができます。本記事では、会話ができない理由、発達段階別の特徴、言葉を引き出す方法、代替コミュニケーション手段、療育・支援、そして将来への希望について詳しく解説します。
自閉症で会話ができない理由
自閉症の子が会話ができない理由を、理解しましょう。
1. 言葉の遅れ
発語がない・少ない
言葉そのものが出ない、または語彙が少ないです。
具体例
- 3歳になっても単語が出ない
- 単語は言えるが、二語文が出ない
- オウム返しだけ
理由
- 言語発達の遅れ
- 音声模倣の困難
2. コミュニケーションの質的な障害
言葉はあるが、会話にならない
言葉は話せても、会話のキャッチボールができません。
具体例
- 一方的に話し続ける
- 質問に答えない
- 話が噛み合わない
- 自分の興味のあることしか話さない
理由
- 相手の気持ちを理解できない
- 相互性の理解が難しい
3. 社会性の困難
会話のルールがわからない
会話の暗黙のルールがわかりません。
具体例
- 話を聞いていない
- 相手の顔を見ない
- 話の順番を守れない
- 話題が変わったことに気づかない
4. 感覚過敏・鈍麻
聴覚の問題
聴覚の過敏や鈍麻により、相手の声が聞き取りにくいことがあります。
具体例
- 周囲の音がうるさくて声が聞こえない
- 声が小さくて聞こえない
5. 言葉の理解の困難
理解できない
言葉は話せても、相手の言っていることを理解できません。
具体例
- 指示が理解できない
- 質問の意味がわからない
- 比喩、冗談が理解できない
6. 注意の問題
集中できない
会話に集中できません。
具体例
- すぐに他のことに気が取られる
- 長い話を聞いていられない
7. 不安・緊張
話せない
不安や緊張により、話せなくなることがあります。
場面緘黙
特定の場面(学校など)で話せなくなることもあります。
8. 話す必要性を感じない
必要性の理解
会話の必要性を理解していないことがあります。
理由
- 要求が満たされる(親が先回りする)
- 一人でいることが好き
発達段階別の特徴
自閉症の子の言葉・会話の発達段階別の特徴を説明します。
第1段階:発語なし
特徴
- 言葉が出ない
- 指差しもない
- クレーン現象(親の手を使って要求)
年齢
- 1~3歳以降
目標
- 発語を促す
- 要求を伝える手段を獲得
第2段階:単語レベル
特徴
- 単語は言える(「ママ」「ワンワン」「ちょうだい」)
- オウム返し
- 二語文が出ない
年齢
- 2~4歳以降
目標
- 二語文へ
- 語彙を増やす
第3段階:二語文~短文
特徴
- 二語文が出る(「ママ、おやつ」「ワンワン、いた」)
- 簡単な質問に答えられる
- 会話のキャッチボールは難しい
年齢
- 3~5歳以降
目標
- 文を長くする
- 質問に答える
第4段階:会話はできるが、一方的
特徴
- 自分の話したいことは話せる
- 一方的
- 質問に答えるのが苦手
- 相手の話を聞かない
年齢
- 5歳以降
目標
- 会話のキャッチボール
- 相手の話を聞く
第5段階:会話はできるが、不自然
特徴
- 会話のキャッチボールはできる
- ただし、不自然(丁寧すぎる、大人びている)
- 冗談、比喩が理解できない
- 話題が限定的
年齢
- 学童期以降
目標
- より自然な会話
- 多様な話題
言葉を引き出す方法
言葉が出ない、少ない子への、言葉を引き出す方法を説明します。
1. たくさん話しかける
言葉のシャワー
たくさん話しかけることで、言葉のインプットを増やします。
方法
- 日常生活の中で、実況中継のように話しかける
- 「お風呂に入ろうね」「ご飯食べようね」
注意点
- 一方的にならない
- 子どもの反応を待つ
2. 子どもの興味に合わせる
共同注意
子どもが興味を持っているものについて、話しかけます。
例
- 電車が好き→電車の名前を教える
- 車が好き→車の色を言う
3. 言葉を添える
代弁
子どもの行動や気持ちを、言葉で代弁します。
例
- 水を欲しがっている→「水、ちょうだい、だね」
- 嬉しそう→「嬉しいね」
4. 選択肢を与える
二択
「りんごとバナナ、どっち?」と二択で選ばせます。
効果
- 選ぶことで、発語が促される
5. 待つ
反応を待つ
話しかけたら、子どもの反応を待ちます。
待ち時間
- 5秒~10秒
効果
- 子どもが自発的に話す機会を作る
6. 言い直しはしない
受け入れる
発音が間違っていても、言い直しはさせません。
例
- 「でんしゃ」を「でんた」と言っても、「そうだね、でんしゃだね」と受け入れる
理由
- 言い直しは、話す意欲を削ぐ
7. 言葉を短く、簡潔に
わかりやすく
長い文ではなく、短く簡潔に話します。
例
- 悪い例:「もうすぐご飯だから、手を洗って、テーブルに座ってね」
- 良い例:「手、洗おう」→洗い終わったら→「座ろう」
8. 視覚支援を使う
絵カード、写真
言葉と一緒に、絵カードや写真を見せます。
例
- 「りんご」と言いながら、りんごの絵カードを見せる
効果
- 言葉と物の対応がわかりやすい
9. 歌・手遊び
楽しく
歌や手遊びで、楽しく言葉に触れます。
例
- 「いっぽんばし」「どんぐりころころ」
10. 絵本の読み聞かせ
言葉のインプット
毎日、絵本を読み聞かせます。
ポイント
- 同じ絵本を繰り返し読む
- 子どもが興味を持つ絵本を選ぶ
- 無理に最後まで読まない
11. 言葉が出なくても焦らない
ゆっくりでいい
言葉の発達には個人差があります。焦らず、ゆっくり待ちましょう。
会話のキャッチボールを促す方法
言葉はあるが、会話のキャッチボールができない子への支援方法を説明します。
1. 質問に答える練習
簡単な質問から
簡単な質問から始めます。
例
- 「名前は?」
- 「何歳?」
- 「好きな食べ物は?」
ステップアップ
- 徐々に難しい質問へ
2. 話を聞く練習
聞く姿勢
相手の話を聞く練習をします。
方法
- 「お母さんの話、聞いてね」と前置き
- 短い話を聞かせる
- 「何の話だった?」と確認
3. 話の順番を守る練習
ターンテイキング
話の順番を守る練習をします。
方法
- ボール遊び(ボールを持っている人が話す)
- カード遊び(カードを持っている人が話す)
4. 話題を共有する練習
共通の話題
共通の話題について話す練習をします。
方法
- 一緒に見たテレビの話
- 一緒に行った場所の話
5. 相手の気持ちを考える練習
表情カード
表情カードを使い、相手の気持ちを考える練習をします。
方法
- 笑顔のカード→「嬉しいね」
- 泣いている顔のカード→「悲しいね」
6. ソーシャルスキルトレーニング(SST)
専門的な訓練
ソーシャルスキルトレーニングで、会話のスキルを学びます。
内容
- 挨拶
- 自己紹介
- 質問の仕方
- 話の聞き方
- 話題の選び方
実施機関
- 療育施設
- 発達障害者支援センター
- 医療機関
- 民間のSSTプログラム
7. ロールプレイ
実践練習
ロールプレイで、実際の場面を練習します。
例
- お店での会話
- 友達との会話
8. フィードバック
良かった点を褒める
会話ができたら、良かった点を具体的に褒めます。
例
- 「質問に答えられたね、すごい!」
- 「お母さんの話を聞いてくれて、ありがとう」
代替コミュニケーション手段
言葉が出ない子への、代替コミュニケーション手段を説明します。
1. 絵カード・写真カード(PECS)
視覚的なコミュニケーション
絵カードや写真カードを使って、要求を伝えます。
PECS(Picture Exchange Communication System)
絵カード交換式コミュニケーションシステムです。
方法
- 欲しい物の絵カードを相手に渡す
- 相手が物をくれる
- 徐々に複雑な要求へ
メリット
- 視覚的でわかりやすい
- 言葉がなくても要求を伝えられる
2. サイン・ジェスチャー
手話
手話やジェスチャーで、要求を伝えます。
例
- 「ちょうだい」のサイン
- 「もっと」のサイン
3. 文字・筆談
文字を書く
文字が書ける場合、文字で要求を伝えます。
4. コミュニケーションボード
指差し
コミュニケーションボード(絵や写真が並んだボード)を指差して、要求を伝えます。
5. タブレット・アプリ
AAC(拡大・代替コミュニケーション)アプリ
タブレットのアプリを使って、コミュニケーションを取ります。
アプリの例
- DropTalk(日本語)
- VOCA(音声出力)
- トーキングエイド
メリット
- 音声も出る
- カスタマイズできる
6. スイッチ
押すだけ
スイッチを押すと、録音した声が出る機器です。
例
- 「はい」「いいえ」のスイッチ
療育・支援
専門的な療育や支援を受けることが重要です。
1. 言語療法(言語聴覚士)
専門家
言語聴覚士(ST)による言語療法を受けます。
内容
- 発語の促進
- 語彙の増加
- 会話の練習
実施機関
- 病院、クリニック
- 療育施設
- 児童発達支援センター
頻度
- 週1回程度
2. 作業療法(作業療法士)
感覚統合
作業療法士(OT)による作業療法を受けます。
内容
- 感覚統合療法
- 手先の訓練
効果
- 感覚過敏が改善すると、会話にも良い影響
3. 応用行動分析(ABA)
行動療法
応用行動分析(ABA)に基づく療育を受けます。
内容
- 言葉の獲得
- コミュニケーションスキルの向上
効果
- エビデンスがある
4. TEACCH
構造化
TEACCHプログラムに基づく療育を受けます。
内容
- 視覚支援
- 構造化
5. 児童発達支援・放課後等デイサービス
療育施設
児童発達支援(未就学児)、放課後等デイサービス(就学児)で、療育を受けます。
内容
- 言語訓練
- ソーシャルスキルトレーニング
- 集団療育
6. 通級指導教室
学校での支援
通級指導教室で、個別指導を受けます。
内容
- コミュニケーションの指導
- 学習支援
家庭でできること
家庭でできる支援を説明します。
1. 安心できる環境
居場所
家庭は、子どもが安心できる場所にします。
ポイント
- 無理に話させない
- 話せなくても受け入れる
2. スケジュールの見える化
視覚支援
1日のスケジュールを、視覚的に示します。
方法
- 絵カード
- 写真
- ホワイトボード
効果
- 見通しが立つと、安心して話せる
3. 感覚過敏への配慮
環境調整
感覚過敏がある場合、環境を調整します。
例
- 静かな環境
- イヤーマフ
4. 成功体験を積む
褒める
小さな成功体験を積み、自信をつけます。
例
- 一言でも話せたら褒める
5. 兄弟姉妹への説明
理解を促す
兄弟姉妹に、自閉症のことを説明します。
説明内容
- 「お兄ちゃんは、話すのが苦手なんだよ」
- 「ゆっくり待ってあげてね」
学校との連携
学校と連携し、支援を依頼します。
1. 担任に説明
特性を伝える
担任の先生に、子どもの特性を説明します。
伝えること
- 会話が苦手なこと
- どんな支援が効果的か
2. 合理的配慮を依頼
具体的に
合理的配慮を、具体的に依頼します。
配慮の例
- 質問は簡潔に
- 選択肢を与える
- 視覚支援(絵カード、ホワイトボード)
- 別室での指導
3. 通級指導教室の利用
個別指導
通級指導教室で、個別指導を受けます。
4. 特別支援学級の検討
環境
通常学級が難しい場合、特別支援学級を検討します。
将来への希望
会話ができない子の将来について、希望を持ちましょう。
1. 発語がなくても、コミュニケーションはできる
代替手段
発語がなくても、絵カード、タブレットなどで、コミュニケーションは可能です。
2. 遅れて話せるようになることもある
個人差
言葉の発達には個人差があります。遅れて話せるようになる子もいます。
例
- 5歳で初めて単語が出た
- 小学校に入ってから急に話せるようになった
3. 話せなくても幸せに暮らせる
会話が全てではない
会話ができなくても、幸せに暮らしている人はたくさんいます。
4. 支援技術の進歩
AAC
拡大・代替コミュニケーション(AAC)の技術は、日々進歩しています。
5. 個性として受け入れる
その子らしさ
会話が苦手なことも、その子の個性として受け入れましょう。
よくある質問
Q1: 3歳になっても言葉が出ません。将来話せるようになりますか?
A: 個人差があります。早めに療育を始めましょう。
言葉の発達には個人差があり、遅れて話せるようになる子もいます。早めに言語療法などの療育を始めることが大切です。
Q2: オウム返ししかしません。どうすればいいですか?
A: オウム返しも言葉の発達の過程です。
オウム返しは、言葉の発達の過程です。徐々に、自発的な言葉が出てきます。焦らず、見守りましょう。
Q3: 会話ができなくても、学校に行けますか?
A: 行けます。合理的配慮や特別支援学級を活用しましょう。
会話が苦手でも、合理的配慮や通級指導教室、特別支援学級などの支援を受けることで、学校に通えます。
Q4: 絵カードは、いつまで使うのですか?
A: 必要な限り使います。
絵カードは、本人がコミュニケーションを取るために必要な限り使います。言葉が出てきたら、徐々に減らしていきます。
Q5: 一方的に話すだけで、会話になりません。
A: ソーシャルスキルトレーニングを受けましょう。
ソーシャルスキルトレーニングで、会話のキャッチボールを学びます。療育施設や発達障害者支援センターに相談しましょう。
Q6: どこに相談すればいいですか?
A: 発達障害者支援センター、児童発達支援センター、医療機関です。
発達障害者支援センター、児童発達支援センター、医療機関(小児科、児童精神科)に相談しましょう。
Q7: 親が話しかけすぎるのは良くないですか?
A: 一方的にならなければ、たくさん話しかけましょう。
一方的にならず、子どもの反応を待ちながら、たくさん話しかけることは良いことです。
まとめ
自閉症の子が会話ができない理由は、言葉の遅れ、コミュニケーションの質的な障害、社会性の困難、感覚過敏、言葉の理解の困難、注意の問題、不安・緊張、話す必要性を感じないなどです。
発達段階は、発語なし、単語レベル、二語文~短文、会話はできるが一方的、会話はできるが不自然に分かれます。
言葉を引き出す方法は、たくさん話しかける、子どもの興味に合わせる、言葉を添える、選択肢を与える、待つ、言い直しはしない、言葉を短く簡潔に、視覚支援を使う、歌・手遊び、絵本の読み聞かせ、焦らないことです。
会話のキャッチボールを促す方法は、質問に答える練習、話を聞く練習、話の順番を守る練習、話題を共有する練習、相手の気持ちを考える練習、ソーシャルスキルトレーニング、ロールプレイ、フィードバックです。
代替コミュニケーション手段として、絵カード・写真カード(PECS)、サイン・ジェスチャー、文字・筆談、コミュニケーションボード、タブレット・アプリ、スイッチがあります。
療育・支援として、言語療法、作業療法、応用行動分析(ABA)、TEACCH、児童発達支援・放課後等デイサービス、通級指導教室があります。
家庭でできることは、安心できる環境、スケジュールの見える化、感覚過敏への配慮、成功体験を積む、兄弟姉妹への説明です。
学校との連携として、担任に説明、合理的配慮を依頼、通級指導教室の利用、特別支援学級の検討があります。
将来への希望として、発語がなくてもコミュニケーションはできる、遅れて話せるようになることもある、話せなくても幸せに暮らせる、支援技術の進歩、個性として受け入れることが大切です。
一人で抱え込まず、発達障害者支援センター、医療機関、療育施設などに相談しながら、子どもに合った支援を見つけましょう。焦らず、ゆっくりと、子どもの成長を見守りましょう。
主な相談窓口
発達障害者支援センター
- 各都道府県・指定都市に設置
- 相談、療育の紹介
児童発達支援センター
- 療育、相談
医療機関
- 小児科、児童精神科
- 言語療法
市区町村の障害福祉課
- 福祉サービスの相談
一人で悩まず、必ず相談してください。子どもに合った支援が見つかります。

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