お子さんの将来を考え、B型施設を探している保護者の方へ
障害のあるお子さんに合った選択をするために、まず知っておきたい基本ガイド
初めての方は、基礎知識と不安解消をセットで押さえると安心です。
まず読むべき基礎知識5記事
施設選びでつまずきやすいポイント5記事
「親が倒れたら、誰が障害のある子の面倒を見るのか」「災害時、本人は助けを呼べるのか」「緊急連絡先をどう準備すればいいのか」「連絡先リストを作っても、本人が使えるのか」「支援者は誰にお願いすればいいのか」。障害のある人の緊急時に備えることは、命を守るために不可欠です。
緊急時の連絡先準備は、単にリストを作るだけでなく、本人が使えるようにすること、支援者との関係を築くこと、定期的に見直すことが重要です。本記事では、緊急時に必要な連絡先、リストの作り方、本人が使える工夫、支援体制の構築、定期的な見直し、そして具体的なツールについて詳しく解説します。
なぜ緊急時の連絡先準備が重要か
1. 親が倒れたとき
最も多い緊急事態
親が突然倒れた場合、障害のある子が一人で取り残されます。
リスク
- 助けを呼べない
- 食事ができない
- 薬が飲めない
- パニックになる
2. 災害時
地震、台風、火災など
災害時、本人が助けを求められない、家族と連絡が取れないことがあります。
3. 本人の体調不良
急病、怪我
本人が急病や怪我をした場合、誰に連絡すればいいかわからないと、対応が遅れます。
4. トラブルに巻き込まれたとき
事故、犯罪
トラブルに巻き込まれたとき、助けを求められる連絡先が必要です。
5. 迷子
行方不明
迷子になった場合、連絡先がわかれば、保護されやすくなります。
緊急連絡先リストに載せるべき人・機関
緊急時に連絡すべき人や機関を、優先順位別に説明します。
【最優先】家族・親族
1. 親(父・母)
第一連絡先
親の携帯電話、職場の電話番号を記載します。
記載例
- 父:○○(続柄)
- 携帯:090-XXXX-XXXX
- 職場:03-XXXX-XXXX
2. きょうだい
次の連絡先
きょうだいの携帯電話、自宅、職場の電話番号を記載します。
記載例
- 兄:○○(続柄)
- 携帯:080-XXXX-XXXX
- 自宅:045-XXXX-XXXX
- 職場:03-XXXX-XXXX
3. 祖父母、叔父・叔母など
親族
近くに住む親族の連絡先を記載します。
【重要】支援者
4. 相談支援専門員
継続的な支援者
相談支援事業所を利用している場合、相談支援専門員の連絡先を記載します。
記載例
- ○○相談支援事業所
- 担当:○○さん
- 電話:045-XXXX-XXXX
- 携帯:090-XXXX-XXXX(緊急時)
5. 成年後見人
法定代理人
成年後見制度を利用している場合、後見人の連絡先を記載します。
6. ヘルパー、訪問看護師
日常的な支援者
居宅介護や訪問看護を利用している場合、担当者の連絡先を記載します。
7. グループホーム・施設の職員
住まいの支援者
グループホームや施設に入居している場合、施設の連絡先を記載します。
8. ケアマネージャー
介護保険利用者
65歳以上で介護保険を利用している場合、ケアマネージャーの連絡先を記載します。
【医療】かかりつけ医
9. 主治医(かかりつけ医)
医療機関
主治医の病院・クリニック名、電話番号を記載します。
記載例
- ○○クリニック
- 院長:○○先生
- 電話:045-XXXX-XXXX
- 診療科:精神科
10. 歯科医
歯科
かかりつけの歯科医の連絡先も記載します。
【行政・公的機関】
11. 市区町村の障害福祉課
行政窓口
市区町村の障害福祉課の電話番号を記載します。
記載例
- ○○市障害福祉課
- 電話:045-XXXX-XXXX
- 夜間・休日:045-YYYY-YYYY
12. 発達障害者支援センター
発達障害の場合
発達障害者支援センターの連絡先を記載します。
13. 地域包括支援センター
高齢者の場合
65歳以上の場合、地域包括支援センターの連絡先を記載します。
【緊急】救急・警察
14. 救急車
119
救急車の番号(119)を大きく記載します。
15. 警察
110、#9110
警察の番号(110、相談専用#9110)を記載します。
16. 消防
119
火事の場合の番号(119)を記載します。
【その他】
17. 近所の人
日頃から顔見知り
近所で顔見知りの人の連絡先を記載します。
記載例
- お隣の○○さん
- 電話:045-XXXX-XXXX
18. 大家さん、管理人
賃貸住宅の場合
大家さんや管理人の連絡先を記載します。
19. 友人
本人の友人
本人の友人の連絡先を記載します。
20. 学校・職場
日中の連絡先
学校や職場の連絡先を記載します。
記載例
- ○○特別支援学校
- 電話:045-XXXX-XXXX
- 担任:○○先生
緊急連絡先リストの作り方
実際に使える緊急連絡先リストの作り方を説明します。
1. 形式を決める
紙のリスト
- 見やすい
- 電話の近くに貼る
- 冷蔵庫に貼る
- 財布に入れる
カード
- 名刺サイズ
- ラミネート加工
- 財布、定期入れに入れる
スマートフォン
- 連絡先に登録
- 緊急連絡先機能を使う
- ロック画面に表示
複数用意
紙、カード、スマートフォンなど、複数の形式で用意します。
2. 大きく、見やすく
文字サイズ
文字は大きく(14pt以上)、見やすいフォントを使います。
色分け
重要度や種類によって、色分けします。
例
- 家族:赤
- 支援者:青
- 医療機関:緑
- 緊急:黄色
3. 優先順位をつける
番号を振る
連絡する優先順位に番号を振ります。
例
- ①父
- ②母
- ③兄
- ④相談支援専門員
4. 写真を付ける
わかりやすく
知的障害や発達障害がある場合、写真を付けるとわかりやすくなります。
例
- 父の写真
- 相談支援専門員の写真
5. ふりがなを付ける
読みやすく
漢字が読めない場合、ふりがなを付けます。
6. シンプルに
情報を詰め込みすぎない
情報を詰め込みすぎず、シンプルにします。
最低限の情報
- 名前
- 続柄・役割
- 電話番号
7. 複数の電話番号
連絡が取れるように
携帯電話だけでなく、自宅、職場の電話番号も記載します。
8. 更新日を記載
いつ作ったか
更新日を記載し、定期的に見直します。
本人が使える工夫
障害のある本人が、緊急時に連絡先リストを使えるようにする工夫を説明します。
1. 練習する
定期的に
定期的に、緊急連絡先リストの使い方を練習します。
練習内容
- 「お父さんに電話してみて」
- 「119に電話する練習」(実際にはかけない)
- 「相談支援専門員さんに電話してみて」
2. 電話のかけ方を教える
基本から
電話のかけ方を、基本から教えます。
ステップ
- 受話器を取る(またはスマホを開く)
- 番号を押す
- 呼び出し音を待つ
- 「もしもし」と言う
- 「○○です」と名前を言う
- 用件を伝える
3. ワンタッチダイヤル
簡単に
スマートフォンや固定電話のワンタッチダイヤル機能を使います。
設定例
- ボタン1:父
- ボタン2:母
- ボタン3:兄
- ボタン4:相談支援専門員
4. 音声認識
話すだけ
スマートフォンの音声認識機能を使います。
例
- 「お父さんに電話」と言うだけで電話がかかる
5. 緊急通報ボタン
押すだけ
緊急通報ボタン付きの携帯電話や端末を使います。
機能
- ボタンを押すだけで、登録した連絡先に自動的に電話がかかる
6. 視覚支援
絵カード
電話のかけ方を、絵カードで示します。
例
- 電話を取る絵
- 番号を押す絵
- 話す絵
7. ロールプレイ
実際にやってみる
ロールプレイで、緊急時の対応を練習します。
シナリオ
- 「お母さんが倒れました。どうしますか?」
- 「119に電話してください」
- 「住所を言ってください」
緊急連絡カードの作成
外出時に持ち歩く緊急連絡カードの作り方を説明します。
1. 記載内容
最低限の情報
カードには、最低限の情報を記載します。
記載内容
- 本人の名前
- 生年月日
- 住所
- 血液型
- 障害の種類
- かかりつけ医
- 服用している薬
- アレルギー
- 緊急連絡先(2~3人)
記載例
【緊急連絡カード】
名前:山田太郎
生年月日:2000年4月1日
住所:神奈川県横浜市○○区○○町1-2-3
血液型:A型
障害:自閉スペクトラム症
かかりつけ医:○○クリニック(045-XXXX-XXXX)
服薬:○○(1日3回)
アレルギー:なし
【緊急連絡先】
①父:山田一郎(090-XXXX-XXXX)
②母:山田花子(080-YYYY-YYYY)
③相談支援専門員:○○さん(○○相談支援事業所、045-ZZZZ-ZZZZ)
2. サイズ
名刺サイズ
名刺サイズ(91mm×55mm)にすると、財布や定期入れに入ります。
3. ラミネート加工
耐久性
ラミネート加工をすると、水に濡れても大丈夫です。
4. 保管場所
すぐに取り出せる
財布、定期入れ、バッグなど、すぐに取り出せる場所に保管します。
5. 複数持つ
バックアップ
財布、バッグ、ランドセルなど、複数の場所に持ちます。
家に貼る緊急連絡先リスト
自宅に貼る緊急連絡先リストの作り方を説明します。
1. 貼る場所
目立つ場所
- 電話の近く(固定電話がある場合)
- 冷蔵庫
- 玄関
- 本人の部屋
2. A4サイズ以上
大きく
A4サイズ以上で、文字を大きく(18pt以上)します。
3. ラミネート加工
耐久性
ラミネート加工をすると、汚れても拭き取れます。
4. カラフルに
目立つように
カラフルにして、目立つようにします。
5. イラスト・写真
わかりやすく
イラストや写真を付けて、わかりやすくします。
スマートフォンの活用
スマートフォンを使った緊急連絡の準備を説明します。
1. 緊急連絡先の登録
連絡先アプリ
緊急連絡先を、連絡先アプリに登録します。
工夫
- 名前の前に「①」「②」などの番号を付ける
- 「緊急」「SOS」などのキーワードを付ける
例
- ①緊急 父
- ②緊急 母
- ③緊急 相談支援専門員
2. ロック画面に表示
ICE(In Case of Emergency)
ロック画面に緊急連絡先を表示する機能を使います。
iPhone
- 「ヘルスケア」アプリで「メディカルID」を設定
- ロック画面から「緊急」→「メディカルID」で確認可能
Android
- 「設定」→「ユーザーとアカウント」→「緊急情報」で設定
- ロック画面から「緊急通報」→「緊急情報」で確認可能
3. ワンタッチダイヤル
ホーム画面に配置
よく使う連絡先を、ホーム画面にワンタッチで電話できるよう配置します。
4. 音声アシスタント
Siri、Googleアシスタント
音声アシスタントを使って、声で電話をかけます。
例
- 「Siri、お父さんに電話」
- 「OK Google、お母さんに電話」
5. 緊急SOS機能
自動通報
iPhoneやAndroidの緊急SOS機能を使うと、特定の操作で自動的に119番や登録した連絡先に通報できます。
iPhone
- サイドボタンを5回押す
- または、サイドボタンと音量ボタンを長押し
Android
- 電源ボタンを5回押す(機種によって異なる)
6. 位置情報の共有
GPS
家族と位置情報を共有する設定をしておきます。
iPhone
- 「探す」アプリで位置情報を共有
Android
- Googleマップで位置情報を共有
支援体制の構築
緊急時に助けてもらえる支援体制を作ります。
1. 相談支援事業所の利用
継続的な相談相手
相談支援事業所を利用し、相談支援専門員と関係を築きます。
メリット
- 緊急時に相談できる
- 支援体制を作ってくれる
2. きょうだい・親族との話し合い
役割分担
きょうだいや親族と、緊急時の役割分担を話し合います。
話し合うこと
- 誰が駆けつけるか
- 誰が子どもを引き取るか(一時的に)
3. 近所との関係構築
日頃からの付き合い
日頃から近所の人と挨拶を交わし、顔見知りになります。
伝えておくこと
- 「障害のある子がいます」
- 「何かあったら助けてください」
4. 短期入所の登録
緊急時の受け入れ先
短期入所施設に登録しておくと、緊急時に受け入れてもらえます。
5. 成年後見制度の利用
法的な代理人
判断能力が不十分な場合、成年後見制度を利用すると、後見人が緊急時に対応してくれます。
6. 民生委員との連携
地域の見守り
民生委員に、障害のある人がいることを伝えておきます。
7. 見守りサービス
安否確認
見守りサービスや緊急通報システムを利用します。
サービス例
- 配食サービス(配達時に安否確認)
- 訪問看護
- 見守りカメラ
- 緊急通報システム
定期的な見直し
緊急連絡先リストは、定期的に見直すことが重要です。
1. 年1回は見直す
更新
年1回は、緊急連絡先リストを見直し、更新します。
見直しのタイミング
- 年始
- 誕生日
- 防災の日(9月1日)
2. 変更があったらすぐに
電話番号の変更
電話番号、住所、職場などが変わったら、すぐに更新します。
3. 練習も定期的に
忘れないように
緊急連絡先リストの使い方を、定期的に練習します。
4. 支援者の変更
担当者の変更
相談支援専門員やヘルパーなど、支援者の担当者が変わったら、更新します。
緊急連絡先リストのテンプレート
実際に使えるテンプレートを紹介します。
テンプレート例
【緊急連絡先リスト】
更新日:2026年3月8日
■救急・警察
①救急車・火事:119
②警察:110、#9110
■家族
③父:山田一郎
携帯:090-XXXX-XXXX
職場:03-YYYY-YYYY
④母:山田花子
携帯:080-AAAA-AAAA
⑤兄:山田次郎
携帯:090-BBBB-BBBB
自宅:045-CCCC-CCCC
■支援者
⑥相談支援専門員:○○さん
事業所:○○相談支援事業所
電話:045-DDDD-DDDD
携帯:090-EEEE-EEEE
■医療
⑦かかりつけ医:○○クリニック
院長:○○先生
電話:045-FFFF-FFFF
診療科:精神科
■行政
⑧横浜市○○区障害福祉課
電話:045-GGGG-GGGG
夜間・休日:045-HHHH-HHHH
■近所
⑨お隣の○○さん
電話:045-IIII-IIII
■その他
⑩○○特別支援学校
電話:045-JJJJ-JJJJ
担任:○○先生
【本人情報】
名前:山田太郎
住所:神奈川県横浜市○○区○○町1-2-3
生年月日:2000年4月1日
血液型:A型
障害:自閉スペクトラム症
服薬:○○(1日3回)
アレルギー:なし
よくある質問
Q1: 緊急連絡先リストは、どこに置けばいいですか?
A: 複数の場所に置きましょう。
電話の近く、冷蔵庫、玄関、本人の部屋など、複数の場所に貼りましょう。外出用のカードも作り、財布や定期入れに入れます。
Q2: 本人が電話をかけられません。どうすればいいですか?
A: ワンタッチダイヤルや緊急通報ボタンを使いましょう。
練習しても難しい場合、ワンタッチダイヤルや緊急通報ボタン付きの機器を使います。また、近所の人に助けを求める練習もしましょう。
Q3: 緊急連絡先は、何人くらい載せればいいですか?
A: 5~10人程度が適切です。
多すぎると混乱するため、5~10人程度にまとめましょう。優先順位を明確にします。
Q4: 個人情報が心配です。リストを貼ることで、悪用されませんか?
A: 自宅内に貼る分には問題ありません。
自宅内に貼る分には、家族以外が見ることは少ないです。外出用のカードは、最低限の情報にとどめ、詳細な住所は載せないなどの工夫をしましょう。
Q5: 緊急連絡先リストを作っても、使う機会がないかもしれません。作る意味はありますか?
A: 備えあれば憂いなしです。
使う機会がないのが一番ですが、緊急時に備えることは重要です。作るプロセス自体が、緊急時のシミュレーションになります。
Q6: 支援者(相談支援専門員など)の携帯番号まで載せていいですか?
A: 事前に確認しましょう。
支援者によっては、緊急時の携帯番号を教えてくれる人もいます。事前に確認し、了承を得てから載せましょう。
Q7: 更新を忘れそうです。どうすればいいですか?
A: スマホのリマインダーを設定しましょう。
年1回、決まった日(誕生日、防災の日など)にスマホのリマインダーを設定し、更新を促すようにしましょう。
まとめ
障害のある人の緊急時に備えることは、命を守るために不可欠です。緊急時の連絡先準備は、単にリストを作るだけでなく、本人が使えるようにすること、支援者との関係を築くこと、定期的に見直すことが重要です。
緊急連絡先リストに載せるべき人・機関は、家族・親族(父母、きょうだい、祖父母など)、支援者(相談支援専門員、成年後見人、ヘルパー、施設職員など)、医療(かかりつけ医)、行政・公的機関(市区町村の障害福祉課、発達障害者支援センターなど)、救急・警察(119、110)、近所の人、学校・職場などです。
リストの作り方は、大きく見やすく、優先順位をつける、写真を付ける、ふりがなを付ける、シンプルに、複数の電話番号を記載、更新日を記載することです。
本人が使える工夫は、練習する、電話のかけ方を教える、ワンタッチダイヤル、音声認識、緊急通報ボタン、視覚支援、ロールプレイです。
緊急連絡カードを作成し、財布や定期入れに入れます。家に貼る緊急連絡先リストは、電話の近く、冷蔵庫、玄関などに貼ります。スマートフォンも活用し、緊急連絡先の登録、ロック画面に表示、ワンタッチダイヤル、音声アシスタント、緊急SOS機能、位置情報の共有を設定します。
支援体制を構築し、相談支援事業所の利用、きょうだい・親族との話し合い、近所との関係構築、短期入所の登録、成年後見制度の利用、民生委員との連携、見守りサービスを活用します。
年1回は緊急連絡先リストを見直し、変更があったらすぐに更新します。練習も定期的に行います。
備えあれば憂いなしです。今すぐ、緊急連絡先リストを作成し、本人と一緒に練習しましょう。一人で抱え込まず、相談支援専門員やきょうだい、親族と連携しながら、準備を進めることをおすすめします。
主な相談窓口
相談支援事業所
- 支援体制の構築
市区町村の障害福祉課
- 緊急時の相談
地域包括支援センター(高齢者の場合)
- 見守りサービスの紹介
一人で抱え込まず、必ず準備してください。備えがあれば、緊急時も乗り越えられます。

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