お子さんの将来を考え、B型施設を探している保護者の方へ
障害のあるお子さんに合った選択をするために、まず知っておきたい基本ガイド
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「いつまで親が通院に付き添わなければいけないのか」「本人が一人で通院できるようになるのか」「親が高齢になったらどうすればいいのか」「付き添いなしで通院させるのは不安」「どうすれば自立できるのか」。障害のある人の通院付き添いは、親や家族にとって長年の負担であり、また本人の自立を考える上でも重要なテーマです。
通院付き添いがいつまで必要かは、障害の程度、本人の能力、通院先の状況などによって異なります。本記事では、通院付き添いが必要な理由、自立のための段階的なステップ、利用できる支援サービス、付き添いが難しくなったときの対処法、そしてよくある質問について詳しく解説します。
通院付き添いが必要な理由
まず、なぜ通院に付き添いが必要なのか、その理由を整理しましょう。
1. 本人が一人で受診できない
コミュニケーションの困難
症状を医師に正確に伝えられない、医師の説明を理解できないなどの理由で、付き添いが必要です。
具体例
- 「どこが痛いか」を説明できない
- 「いつから症状があるか」を説明できない
- 医師の質問に答えられない
- 処方された薬の説明を理解できない
対象
- 知的障害
- 自閉スペクトラム症(ASD)
- 重度の精神障害
- 失語症
2. 一人で移動できない
交通機関の利用が困難
一人で病院まで行けない、または帰ってこられないことがあります。
具体例
- 電車やバスの乗り方がわからない
- 道に迷う
- パニックになる
- 移動中の安全確保
対象
- 知的障害
- 視覚障害
- 身体障害(車いすなど)
- 認知機能の障害
3. 医療的な判断ができない
重要な決定
検査や治療について、重要な決定を一人でできないことがあります。
具体例
- 手術の同意
- 入院の判断
- 治療方針の選択
対象
- 判断能力が不十分な人
4. 服薬管理ができない
処方された薬の管理
処方された薬を正しく飲めない、管理できないことがあります。
具体例
- 薬の種類を覚えられない
- 飲む時間を忘れる
- 飲む量を間違える
対象
- 知的障害
- 認知症
- 精神障害
5. 緊急時の対応ができない
万が一のとき
病院で体調が悪化した場合など、緊急時の対応ができないことがあります。
6. 本人・親の不安
心理的な理由
本人や親が不安で、一人では通院できないこともあります。
具体例
- 本人が「一人は怖い」
- 親が「何かあったら心配」
通院付き添いはいつまで必要か
答えは「ケースバイケース」
一律の答えはない
通院付き添いがいつまで必要かは、障害の程度、本人の能力、通院先の状況などによって異なり、一律の答えはありません。
パターン別の目安
パターン1:段階的に自立できる
軽度~中度の知的障害、発達障害
練習と支援により、段階的に自立できる可能性があります。
目安
- 小学生~中学生:親が付き添い
- 高校生~青年期:練習開始
- 成人:一人で通院できるようになる
ただし
- 個人差が大きい
- 通院先の協力が必要
- 定期的な確認は継続
パターン2:部分的に自立できる
中度の知的障害、一部の発達障害
完全には自立できないが、一部の病院には一人で行けるようになる可能性があります。
例
- 近所のかかりつけ医:一人で行ける
- 専門病院、初診:付き添いが必要
パターン3:生涯付き添いが必要
重度の知的障害、重度の身体障害
生涯にわたって付き添いが必要な場合もあります。
対応
- 親が高齢になったら、他の支援者に引き継ぐ
- ヘルパーや相談支援専門員の活用
- 成年後見人の活用
自立のための段階的なステップ
通院の自立に向けて、段階的に進める方法を説明します。
ステップ1:病院に慣れる
まずは慣れること
親と一緒に通院を繰り返し、病院に慣れることから始めます。
ポイント
- 同じ病院、同じ医師に通う
- 病院の雰囲気に慣れる
- スタッフの顔を覚える
ステップ2:受診の流れを理解する
手順を覚える
受診の流れを、視覚的に示して理解させます。
受診の流れ
- 受付で診察券を出す
- 待合室で待つ
- 名前を呼ばれたら診察室に入る
- 医師に症状を伝える
- 診察を受ける
- 処方箋をもらう
- 会計
- 薬局で薬をもらう
視覚支援
- 絵カード
- 写真
- チェックリスト
ステップ3:医師とのコミュニケーション練習
症状を伝える練習
家で、医師に症状を伝える練習をします。
練習方法
- ロールプレイ
- 「どこが痛いですか」と聞く
- 「いつから痛いですか」と聞く
- 本人が答える練習
メモを持たせる
症状をメモに書いて持たせる方法も有効です。
メモの例
- 「頭が痛い」
- 「昨日から」
- 「熱はない」
ステップ4:移動の練習
一人で病院まで行く練習
最初は親が後ろからついて行き、徐々に距離を離していきます。
練習方法
- 親と一緒に歩く
- 親が少し後ろを歩く
- 親が見える範囲で離れる
- 親が見えない範囲で離れる(携帯電話で連絡を取る)
- 一人で行く
安全対策
- GPS機能付きの携帯電話
- 緊急連絡先を書いたカード
- 交通安全の確認
ステップ5:待合室で一人で待つ練習
親は外で待つ
待合室で一人で待つ練習をします。最初は親が待合室の外で待ち、徐々に距離を離します。
ステップ6:診察室に一人で入る練習
親は待合室で待つ
診察室に一人で入る練習をします。最初は親が一緒に入り、徐々に親は待合室で待つようにします。
医師への協力依頼
事前に医師に、「一人で受診する練習をしています」と伝え、協力を依頼します。
医師にお願いすること
- ゆっくり話す
- わかりやすい言葉を使う
- 視覚的に示す(絵、図)
- 確認を丁寧に行う
ステップ7:完全に一人で通院
自立
完全に一人で通院できるようになります。
ただし
- 定期的に確認は続ける
- 緊急時の連絡体制を整える
- 薬の管理は別途サポート
ステップ8:定期的な確認
完全に手を離すのではない
一人で通院できるようになっても、定期的に確認を続けます。
確認すること
- ちゃんと受診しているか
- 薬を正しく飲んでいるか
- 体調に変化はないか
方法
- 電話で確認
- 月1回程度、一緒に受診
- 薬の残りを確認
利用できる支援サービス
通院付き添いの負担を軽減するため、利用できる支援サービスを紹介します。
1. 居宅介護(ホームヘルプ)の通院等介助
障害福祉サービス
居宅介護の「通院等介助」を利用すると、ヘルパーが通院に付き添ってくれます。
対象
- 一人で通院することが困難な障害者
内容
- 自宅から病院までの移動介助
- 病院内での移動介助
- 受付、会計の手伝い
- 診察室への同行(医療行為は不可)
費用
- 原則1割負担
- 所得に応じて月額上限あり(多くの人は無料)
利用時間
- 通院に必要な時間
申請方法
- 市区町村の障害福祉課
注意点
- 診察室内で医師の診察を受ける間の待ち時間は、原則として算定されない
- ヘルパーは医療行為はできない
2. 移動支援
市区町村の地域生活支援事業
移動支援を利用すると、外出時の移動を支援してもらえます。
対象
- 一人で外出することが困難な障害者
内容
- 外出時の移動支援
- 通院にも利用できる場合がある(市区町村によって異なる)
費用
- 市区町村によって異なる
申請方法
- 市区町村の障害福祉課
3. 同行援護
視覚障害者向け
視覚障害者が外出する際、移動を支援してもらえます。
対象
- 視覚障害者
内容
- 移動時の援護
- 代筆・代読
- 通院にも利用可能
4. 訪問診療・往診
医師が自宅に来る
通院が困難な場合、医師が自宅に訪問して診療します。
対象
- 通院が困難な人
費用
- 健康保険適用
探し方
- かかりつけ医に相談
- 訪問診療を行っている医療機関を探す
5. 相談支援専門員の同行
相談支援事業所
相談支援専門員が、必要に応じて通院に同行してくれることもあります。
費用
- 基本的に無料
依頼方法
- 相談支援事業所に相談
6. 成年後見人の同行
後見人
成年後見人が、必要に応じて通院に同行することもあります。
7. ボランティア
地域のボランティア
社会福祉協議会などが運営するボランティアを利用できる場合もあります。
費用
- 無料または実費負担
問い合わせ
- 市区町村社会福祉協議会
8. タクシー券・福祉タクシー
移動手段の確保
障害者手帳を持っている人は、タクシー券や福祉タクシーを利用できる場合があります。
内容
- タクシー券の支給
- 福祉タクシー(車いす対応など)
申請方法
- 市区町村の障害福祉課
親が高齢になったときの対処法
親が高齢になり、通院付き添いが難しくなったときの対処法を説明します。
1. ヘルパーに引き継ぐ
居宅介護の通院等介助
親が元気なうちから、ヘルパーに付き添いを依頼し、徐々に引き継ぎます。
引き継ぎ方
- 最初は親とヘルパーが一緒に付き添う
- 徐々に親は付き添わず、ヘルパーだけにする
- 完全にヘルパーに引き継ぐ
2. きょうだいに依頼
きょうだいの協力
きょうだいに協力を依頼することも選択肢です。
ただし
- きょうだいの負担も考慮
- 定期的な付き添いは、きょうだいの負担が大きい
- ヘルパーとの併用を推奨
3. 相談支援専門員に相談
体制作り
相談支援専門員に相談し、親亡き後の通院体制を作ります。
4. 訪問診療に切り替え
在宅医療
通院が困難になったら、訪問診療に切り替えることも選択肢です。
5. グループホームや施設への入居
住まいの変更
グループホームや施設に入居すれば、職員が通院に付き添ってくれます。
病院側の配慮
病院側に配慮をお願いすることも有効です。
1. 事前に相談
医療機関への相談
事前に病院に、「障害があり、一人で受診する練習をしている」と伝えます。
お願いすること
- ゆっくり話す
- わかりやすい言葉を使う
- 視覚的に示す
- 確認を丁寧に行う
- 緊急時の連絡先を控える
2. かかりつけ医を持つ
継続的な関係
かかりつけ医を持つことで、医師も本人の特性を理解し、対応しやすくなります。
3. 診察予約を利用
待ち時間を減らす
予約制の病院を選ぶことで、待ち時間を減らし、本人の負担を軽減できます。
4. 薬の一包化
服薬管理
薬局に依頼し、薬を一包化してもらうことで、服薬管理がしやすくなります。
5. お薬手帳の活用
情報共有
お薬手帳を活用することで、複数の病院や薬局で情報を共有できます。
よくある質問
Q1: いつから一人で通院させるべきですか?
A: 本人の能力と準備状況によります。
一律の年齢はありません。本人が受診の流れを理解し、移動ができ、医師とコミュニケーションが取れる準備が整ったら、段階的に練習を始めましょう。
Q2: 一人で通院させるのは不安です。
A: 段階的に進め、支援体制を整えましょう。
いきなり完全に一人にするのではなく、段階的に進めます。また、GPS付き携帯電話、緊急連絡先カード、医師への協力依頼など、支援体制を整えることで不安を軽減できます。
Q3: ヘルパーに付き添いを頼むことはできますか?
A: できます。
居宅介護の通院等介助を利用すれば、ヘルパーが付き添ってくれます。市区町村の障害福祉課に申請しましょう。
Q4: 親が高齢になったら、誰が付き添えばいいですか?
A: ヘルパー、相談支援専門員、きょうだいなどです。
親が元気なうちから、ヘルパーに引き継ぐ準備をしましょう。また、訪問診療やグループホームへの入居も選択肢です。
Q5: 一人で通院できるようになっても、薬の管理ができません。
A: 別途サポートが必要です。
服薬管理は、日常生活自立支援事業、居宅介護、訪問看護などのサービスを利用するか、薬の一包化、お薬カレンダーなどの工夫をしましょう。
Q6: 医師が障害への理解がなく、困っています。
A: 他の医療機関を探すことも選択肢です。
障害への理解がある医療機関を探しましょう。相談支援専門員や発達障害者支援センターに相談すると、紹介してもらえることがあります。
Q7: 通院付き添いの費用は、障害福祉サービスでカバーされますか?
A: 居宅介護の通院等介助を利用すれば、多くの人は無料です。
所得に応じて月額上限があり、多くの人は無料で利用できます。市区町村の障害福祉課に確認しましょう。
まとめ
通院付き添いがいつまで必要かは、障害の程度、本人の能力、通院先の状況などによって異なり、一律の答えはありません。段階的に自立できる人もいれば、生涯付き添いが必要な人もいます。
自立のための段階的なステップは、病院に慣れる、受診の流れを理解する、医師とのコミュニケーション練習、移動の練習、待合室で一人で待つ練習、診察室に一人で入る練習、完全に一人で通院、定期的な確認です。
利用できる支援サービスは、居宅介護の通院等介助、移動支援、同行援護、訪問診療・往診、相談支援専門員の同行、成年後見人の同行、ボランティア、タクシー券・福祉タクシーなどです。
親が高齢になったときは、ヘルパーに引き継ぐ、きょうだいに依頼、相談支援専門員に相談、訪問診療に切り替え、グループホームや施設への入居などの対処法があります。
病院側への配慮依頼、かかりつけ医を持つ、診察予約の利用、薬の一包化、お薬手帳の活用も有効です。
完全な自立が難しい場合でも、支援サービスを活用することで、親の負担を軽減できます。一人で抱え込まず、相談支援専門員や市区町村の障害福祉課に相談しながら、本人に合った方法を見つけていきましょう。
主な相談窓口
市区町村の障害福祉課
- 居宅介護、移動支援などの申請
相談支援事業所
- 通院体制の相談
一人で悩まず、必ず相談してください。支援サービスを活用することで、負担を軽減できます。

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