お子さんの将来を考え、B型施設を探している保護者の方へ
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「兄弟に迷惑をかけたくない」「親が亡くなった後、兄弟の負担になりたくない」「でも、一人では生きていけない」「どうすればいいのか」。障害のある人の多くが、兄弟姉妹への申し訳なさと不安を抱えています。
兄弟姉妹に迷惑をかけたくないという気持ちは、とても尊いものです。しかし、迷惑をかけないためには、適切な準備と福祉サービスの活用が必要です。本記事では、兄弟に迷惑をかけないための具体的な方法、利用できる福祉サービス、経済的な自立、そして今からできる準備について詳しく解説します。
「迷惑をかけたくない」という気持ち
よくある思い
障害のある人が抱く、兄弟への思いです。
本音
- 「兄弟に迷惑をかけたくない」
- 「兄弟には自分の人生を生きてほしい」
- 「でも、親が亡くなったら、頼る人がいなくなる」
- 「一人で生きていけるか不安」
- 「兄弟に嫌われたくない」
- 「申し訳ない」
この気持ちは素晴らしい
尊重されるべき
兄弟に迷惑をかけたくないという気持ちは、とても尊いものです。その気持ちを大切にしながら、現実的な解決策を見つけていきましょう。
「迷惑」とは何か
具体的に考える
まず、「迷惑」とは具体的に何かを考えましょう。
迷惑の内容
- 一緒に住む
- お金の援助をしてもらう
- 日常的な世話をしてもらう
- 手続きをしてもらう
- 兄弟の時間を奪う
- 兄弟の結婚や人生に影響する
すべてを避けることは可能か
完全にゼロにすることは難しいですが、最小限にすることは可能です。
兄弟に迷惑をかけないための基本方針
基本的な方針を示します。
1. 兄弟と同居しない
別々に暮らす
親亡き後、兄弟と同居しないことが、最も重要です。
選択肢
- グループホーム
- 入所施設
- 一人暮らし(支援付き)
2. 経済的に自立する
兄弟のお金に頼らない
兄弟のお金に頼らず、自分の収入と福祉制度で生活します。
収入源
- 障害基礎年金
- 就労収入(A型、B型、障害者雇用など)
- 親の遺産
- 障害者扶養共済制度の年金
- 生活保護(必要な場合)
3. 日常的な世話を福祉サービスに任せる
プロに頼る
日常的な世話は、兄弟ではなく福祉サービスに任せます。
福祉サービス
- グループホームの職員
- 居宅介護(ホームヘルプ)
- 相談支援専門員
- 訪問看護
4. 手続きは成年後見人に任せる
法的な代理人
判断能力が不十分な場合、成年後見制度を利用し、手続きは成年後見人に任せます。
後見人の候補
- 専門職(弁護士、司法書士、社会福祉士)
- 法人後見
- 兄弟(負担が大きいため、専門職を推奨)
5. 兄弟には最小限だけお願いする
緊急時の連絡先など
完全にゼロにすることは難しいため、最小限のことだけお願いします。
最小限の内容
- 緊急時の連絡先
- 月1回程度の連絡や面会
- 重要な決定への相談
住まい:兄弟と同居しない
親亡き後の住まいについて、具体的な選択肢を説明します。
1. グループホーム
最も一般的な選択肢
グループホームは、親亡き後の住まいとして最も一般的です。
メリット
- 兄弟と同居する必要がない
- 専門的な支援が受けられる
- 24時間体制の見守り
- 仲間がいる
- 地域で暮らせる
費用
- 月額10万円~20万円程度
- 障害年金と工賃で概ね賄える
準備
- 親が元気なうちから見学、体験利用
- 早めに申し込み(空きが少ないため)
兄弟への負担
- 緊急時の連絡先
- 月1回程度の面会(任意)
2. 入所施設
重度の障害がある場合
常時介護が必要な場合、入所施設が適しています。
メリット
- 兄弟と同居する必要がない
- 24時間体制の支援
- 医療的ケアにも対応
- 安心感
費用
- 月額5万円~18万円程度
- 障害年金の範囲内で収まることが多い
兄弟への負担
- 緊急時の連絡先
- 数か月に1回程度の面会(任意)
3. 一人暮らし(支援付き)
自立度が高い場合
支援を受けながら、一人で暮らすことも選択肢です。
利用できる支援
- 居宅介護(ホームヘルプ)
- 訪問看護
- 相談支援
- 見守りサービス
- 配食サービス
- 緊急通報システム
メリット
- 兄弟と同居する必要がない
- 自由な生活
- プライバシーが守られる
デメリット
- 孤立のリスク
- 費用が高い(月額12万円~24万円程度)
兄弟への負担
- 緊急時の連絡先
- 週1回程度の連絡(任意)
成年後見制度の利用
判断能力が不十分な場合、成年後見制度を利用し、財産管理は後見人に任せることで、兄弟の負担を減らせます。
4. 実家に住み続ける(支援付き)
今の家に残る
親が亡くなった後も、実家に住み続けることも選択肢です。
必要な支援
- 居宅介護
- 訪問看護
- 相談支援
- 成年後見制度
注意点
- 不動産の相続手続きが必要
- 固定資産税や修繕費がかかる
- 孤立のリスク
兄弟への負担
- 緊急時の連絡先
- 定期的な連絡や訪問(任意)
経済的自立:兄弟のお金に頼らない
経済的に自立する方法を説明します。
1. 障害基礎年金
最も基本的な収入
障害基礎年金は、障害のある人の最も基本的な収入です。
金額(2024年度)
- 1級:月額約81,000円(年額約97万円)
- 2級:月額約65,000円(年額約78万円)
申請方法
- 市区町村の年金窓口、年金事務所
2. 就労収入
働いて得る収入
一般就労・障害者雇用
- 給与:様々
就労継続支援A型
- 給与:月額約8万円程度
就労継続支援B型
- 工賃:月額約1.6万円(平均)
3. 親の遺産
相続
親が亡くなった際、遺産を相続します。
平等に分ける場合
- 兄弟と均等
障害のある子に多く残す場合
- 遺言書で指定
管理
- 成年後見制度
- 特定贈与信託
- 家族信託
4. 障害者扶養共済制度の年金
親が加入していた場合
親が障害者扶養共済制度に加入していた場合、親亡き後に終身年金が支給されます。
金額
- 月額2万円または4万円(1口または2口)
5. 生活保護
収入が不足する場合
障害年金だけでは生活できない場合、生活保護を利用できます。
メリット
- 兄弟が経済的援助をする必要がない
申請方法
- 市区町村の福祉事務所
収支のシミュレーション
グループホーム + B型の場合
収入
- 障害基礎年金2級:65,000円
- B型工賃:15,000円
- 障害者扶養共済制度:20,000円(親が加入していた場合)
- 合計:100,000円
支出
- グループホーム費用:約150,000円
不足:50,000円
対策
- 親の遺産から補填
- 生活保護の利用
- A型への移行
グループホーム + A型の場合
収入
- 障害基礎年金2級:65,000円
- A型給与:80,000円
- 合計:145,000円
支出
- グループホーム費用:約150,000円
不足:5,000円
対策
- わずかな不足なので、工夫で対応可能
- 親の遺産から少し補填
ポイント
障害年金とA型給与があれば、ほぼ自立できます。兄弟のお金に頼る必要はありません。
日常的な世話:福祉サービスに任せる
日常的な世話を、福祉サービスに任せる方法を説明します。
1. グループホームの職員
住まいでの支援
グループホームに入居すれば、職員が日常的な支援をしてくれます。
支援内容
- 食事の支援
- 入浴の支援
- 服薬管理
- 金銭管理
- 相談
兄弟への負担
- ほとんどない
2. 居宅介護(ホームヘルプ)
一人暮らしの場合
一人暮らしの場合、居宅介護を利用します。
支援内容
- 身体介護(食事、入浴、排泄など)
- 家事援助(掃除、洗濯、買い物、調理など)
費用
- 原則1割負担
- 所得に応じて月額上限あり(多くの人は無料)
3. 相談支援専門員
継続的な相談相手
相談支援専門員が、継続的に相談に乗り、支援します。
支援内容
- 生活全般の相談
- サービスの調整
- 定期的な訪問
- 緊急時の対応
費用
- 無料
兄弟への負担
- ほとんどない
4. 訪問看護
医療的なケア
訪問看護師が自宅を訪問し、医療的なケアをします。
支援内容
- 服薬管理
- 健康状態の観察
- 医療的ケア
手続き:成年後見人に任せる
手続きを、成年後見人に任せる方法を説明します。
1. 成年後見制度
法的な代理人
判断能力が不十分な場合、成年後見制度を利用します。
後見人ができること
- 財産管理(預貯金の管理、不動産の管理など)
- 身上監護(施設入所の契約、医療契約など)
- 本人に代わって契約などの法律行為
後見人の候補
- 専門職(弁護士、司法書士、社会福祉士)
- 法人後見
- 兄弟(負担が大きいため、専門職を推奨)
費用
- 申立費用:数万円
- 後見人への報酬:月額2~6万円程度
- 報酬は本人の財産から支払う
申請方法
- 家庭裁判所
兄弟への負担
- ほとんどない(専門職が後見人の場合)
2. 日常生活自立支援事業
軽度の支援
判断能力が比較的ある場合、日常生活自立支援事業を利用できます。
支援内容
- 福祉サービスの利用援助
- 日常的な金銭管理
- 書類の預かり
費用
- 1回1,000円~2,000円程度
兄弟への負担
- ほとんどない
兄弟に最小限だけお願いすること
完全にゼロにすることは難しいため、最小限のことだけお願いします。
1. 緊急時の連絡先
万が一のとき
グループホームや施設で緊急事態が起きたとき、連絡先になってもらいます。
頻度
- 年に数回程度(ほとんどない)
2. 定期的な連絡
様子を見る
月1回程度、電話で話す、または面会に来てもらいます。
頻度
- 月1回程度
任意
これは任意で、兄弟が忙しい場合は無理にお願いしません。
3. 重要な決定への相談
大きな決定
グループホームの変更、医療的な大きな決定など、重要なことは相談します。
頻度
- 年に数回程度
それ以上は求めない
プロに任せる
それ以上の負担(同居、財産管理、日常的な世話など)は、兄弟に求めず、福祉サービスやプロに任せます。
今からできる準備
兄弟に迷惑をかけないために、今から準備できることを説明します。
1. 生活スキルを高める
できることを増やす
できる範囲で、生活スキルを高めましょう。
スキル
- 身の回りのこと(着替え、トイレ、入浴、食事など)
- 簡単な家事(洗濯、掃除など)
- お金の管理
- コミュニケーション
2. グループホームや施設の見学、体験利用
慣れる
親が元気なうちから、グループホームや施設を見学し、体験利用しましょう。
メリット
- 親元を離れることに慣れる
- 自分に合った場所を見つけられる
3. 短期入所を定期的に利用
親元を離れる練習
短期入所を定期的に利用することで、親元を離れることに慣れます。
4. 働く場所を見つける
仕事や作業所
できる範囲で、働く場所を見つけましょう。
選択肢
- 就労継続支援B型
- 就労継続支援A型
- 障害者雇用
- 一般就労
5. 相談支援専門員と関係を築く
継続的な相談相手
相談支援事業所を利用し、相談支援専門員と関係を築いておきましょう。
6. 兄弟と話し合う
気持ちを伝える
兄弟に、「迷惑をかけたくない」という気持ちを伝え、話し合いましょう。
話し合うこと
- 自分の気持ち
- 親亡き後のこと
- 兄弟に最小限のことだけお願いしたい
7. 親に準備をお願いする
親ができること
親に、以下の準備をお願いしましょう。
親が準備すること
- 障害者扶養共済制度への加入
- 貯金
- 遺言書の作成
- グループホームの見学や申し込み
- 成年後見制度の検討
兄弟への感謝を伝える
最小限のお願いでも、兄弟には負担をかけます。感謝の気持ちを伝えましょう。
言葉で伝える
ありがとう
「いつもありがとう」「迷惑をかけてごめんね」と伝えましょう。
手紙を書く
気持ちを形に
手紙で、感謝の気持ちを伝えることも効果的です。
できることで恩返し
自分なりの恩返し
できる範囲で、兄弟への恩返しをしましょう。
例
- 兄弟の子ども(甥や姪)にプレゼント
- 兄弟の話を聞く
- 兄弟を応援する
よくある質問
Q1: 完全に兄弟に迷惑をかけないことは可能ですか?
A: 完全にゼロは難しいですが、最小限にできます。
緊急時の連絡先など、最低限のことは必要ですが、グループホームや福祉サービス、成年後見制度を活用することで、兄弟の負担を最小限にできます。
Q2: 障害年金だけで生活できますか?
A: グループホームや入所施設なら、概ね可能です。
障害年金とB型の工賃、親の遺産、障害者扶養共済制度の年金などを組み合わせることで、生活できます。不足する場合は、生活保護を利用できます。
Q3: 兄弟に成年後見人になってもらうべきですか?
A: 専門職を推奨します。
兄弟に成年後見人になってもらうと、負担が大きくなります。専門職(弁護士、司法書士、社会福祉士)や法人後見を推奨します。
Q4: 一人暮らしをしたいですが、可能ですか?
A: 支援があれば可能です。
居宅介護、訪問看護、相談支援、成年後見制度などを利用すれば、一人暮らしも可能です。ただし、費用が高いため、経済的な準備が必要です。
Q5: 兄弟が「面倒を見る」と言っていますが、断った方がいいですか?
A: 兄弟の気持ちを尊重しつつ、負担を減らす方法を話し合いましょう。
兄弟が「面倒を見たい」と言っている場合、その気持ちは尊いものです。しかし、兄弟の負担にならないよう、福祉サービスを併用するなど、負担を減らす方法を話し合いましょう。
Q6: 親が亡くなるのが怖いです。
A: 準備をすることで、不安は和らぎます。
グループホームの見学や体験利用、相談支援専門員との関係構築など、準備をすることで、不安は和らぎます。一人で抱え込まず、相談支援専門員や親、兄弟に相談しましょう。
まとめ
兄弟に迷惑をかけたくないという気持ちは、とても尊いものです。その気持ちを大切にしながら、現実的な解決策を見つけていきましょう。
兄弟に迷惑をかけないための基本方針は、兄弟と同居しない、経済的に自立する、日常的な世話を福祉サービスに任せる、手続きは成年後見人に任せる、兄弟には最小限だけお願いすることです。
住まいは、グループホーム、入所施設、一人暮らし(支援付き)、実家に住み続ける(支援付き)などの選択肢があります。経済的には、障害基礎年金、就労収入、親の遺産、障害者扶養共済制度の年金、生活保護などで自立できます。日常的な世話は、グループホームの職員、居宅介護、相談支援専門員、訪問看護に任せます。手続きは、成年後見制度や日常生活自立支援事業を利用します。
兄弟には、緊急時の連絡先、月1回程度の連絡、重要な決定への相談など、最小限のことだけお願いします。
今からできる準備は、生活スキルを高める、グループホームの見学や体験利用、短期入所の利用、働く場所を見つける、相談支援専門員と関係を築く、兄弟と話し合う、親に準備をお願いすることです。
完全に兄弟に迷惑をかけないことは難しいですが、福祉サービスや成年後見制度を活用することで、最小限にできます。親が元気なうちから準備を進め、兄弟にも自分の人生を生きてもらいましょう。一人で抱え込まず、相談支援専門員や親、兄弟に相談しながら、準備を進めることをおすすめします。
主な相談窓口
相談支援事業所
- 親亡き後の計画作り、継続的なサポート
市区町村の障害福祉課
- 福祉サービスの相談
社会福祉協議会
- 日常生活自立支援事業、成年後見制度
一人で悩まず、必ず相談してください。兄弟に迷惑をかけない方法は、必ずあります。

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