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障害のあるお子さんに合った選択をするために、まず知っておきたい基本ガイド
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「きょうだいに申し訳ない」「きょうだいの人生を犠牲にしたくない」「でも、親が亡くなった後、きょうだいに頼るしかないのか」「きょうだいの負担を減らす方法はないのか」。障害のある子どもを持つ親の多くが、健常者のきょうだいへの影響を心配しています。
きょうだいは、子どもの頃から我慢を強いられ、親亡き後も障害のある兄弟姉妹の面倒を見ることを期待されます。しかし、きょうだいにも自分の人生があります。本記事では、きょうだいが抱える負担、負担を減らす具体的な方法、福祉サービスの活用、経済的な準備、そして親ができることについて詳しく解説します。
きょうだいが抱える負担
まず、きょうだいがどのような負担を抱えているのか理解しましょう。
子どもの頃の負担
我慢と自己犠牲
障害のある兄弟姉妹がいると、きょうだいは子どもの頃から様々な我慢を強いられます。
具体的な負担
- 親の注目が障害のある兄弟姉妹に集中する
- 自分のことは後回しにされる
- 親に心配をかけないよう「良い子」でいる
- 手伝いを求められる(面倒を見る、家事など)
- 友達を家に呼べない
- 習い事や部活を諦める
- 親と二人きりの時間が少ない
- 親が疲れている、イライラしている
- 経済的な余裕がない
心理的な影響
- 寂しさ
- 孤独感
- 不公平感
- 親への不満(口には出さない)
- 自己肯定感の低下
- 罪悪感(障害のある兄弟姉妹を疎ましく思う自分への)
大人になってからの負担
親亡き後への不安
大人になっても、きょうだいの負担は続きます。
具体的な負担
精神的負担
- 将来への不安(親が亡くなった後、自分が面倒を見るのか)
- 責任感(面倒を見なければならないという)
- 罪悪感(面倒を見たくないと思う自分への)
- 結婚への影響(結婚相手や相手の家族の理解が得られるか)
- 自分の子どもへの影響(将来、自分の子どもに負担がかかるのではないか)
経済的負担
- 親の介護費用の分担
- 障害のある兄弟姉妹の生活費の援助
- 相続で不利になる可能性(親が障害のある兄弟姉妹に多く残す)
時間的負担
- 親の介護
- 障害のある兄弟姉妹の世話
- 手続きのサポート
- 面会や連絡
社会的負担
- 結婚への影響
- 就職や転職の制約(遠くに行けない)
- 友人関係への影響
きょうだいの本音
言えない気持ち
きょうだいは、以下のような気持ちを抱えていることが多いですが、親には言えません。
本音
- 「親が亡くなった後、面倒を見たくない」
- 「自分の人生を優先したい」
- 「障害のある兄弟姉妹がいなければ、もっと楽だったのに」
- 「でも、そう思う自分が嫌だ」
- 「親に申し訳ない」
- 「誰にも相談できない」
きょうだいの負担を減らす基本方針
きょうだいの負担を減らすための基本方針を示します。
1. きょうだいの人生を最優先にする
最も重要な原則
きょうだいにも、自分の人生を生きる権利があります。障害のある兄弟姉妹の面倒を見ることを、きょうだいに強制してはいけません。
親の心構え
- きょうだいに頼ることを前提にしない
- きょうだいが断っても責めない
- きょうだいの幸せを願う
2. 福祉サービスを最大限活用する
プロに任せる
親亡き後は、福祉サービスを最大限活用し、プロに任せることが基本です。
選択肢
- グループホーム
- 入所施設
- 一人暮らし(支援付き)
- 相談支援事業所
- 成年後見制度
3. 経済的な準備をする
お金で解決できることはお金で
親が元気なうちに、経済的な準備をしておきます。
方法
- 障害者扶養共済制度への加入
- 貯金
- 遺産
- 信託
4. きょうだいと話し合う
理解と同意
きょうだいと、親亡き後のことを話し合い、理解と同意を得ておきます。
話し合うこと
- 住まいのこと
- 経済的なこと
- きょうだいに何を期待するか、何を期待しないか
- きょうだいの負担を最小限にする方法
5. 親自身が元気でいる
親が倒れない
親が元気でいることが、きょうだいの負担を減らす第一歩です。
きょうだいの負担を減らす具体的な方法
具体的な負担軽減の方法を、分野別に説明します。
住まいの負担を減らす
グループホームや施設の利用
親亡き後は、グループホームや入所施設を利用することで、きょうだいが同居する必要がなくなります。
1. グループホームへの入居
最も一般的な選択肢
グループホームは、親亡き後の住まいとして最も一般的です。
メリット
- 専門的な支援が受けられる
- きょうだいが同居する必要がない
- 24時間体制の見守り
準備
- 親が元気なうちから見学、体験利用
- 早めに申し込み(空きが少ないため)
費用
- 月額10万円~20万円程度
- 障害年金と工賃で概ね賄える
2. 入所施設への入所
重度の障害がある場合
常時介護が必要な場合、入所施設が適しています。
メリット
- 24時間体制の支援
- 医療的ケアにも対応
- きょうだいの負担がほとんどない
準備
- 早めに申し込み(空きが少ないため)
費用
- 月額5万円~18万円程度
- 障害年金の範囲内で収まることが多い
3. 一人暮らし(支援付き)
自立度が高い場合
支援を受けながら一人暮らしをすることも選択肢です。
利用できる支援
- 居宅介護
- 訪問看護
- 相談支援
- 見守りサービス
きょうだいの役割
- 緊急時の連絡先
- 定期的な連絡(週1回程度の電話など)
負担軽減のポイント
- 成年後見制度を利用し、財産管理は後見人に任せる
- 相談支援専門員に日常的なサポートを任せる
経済的な負担を減らす
親が準備する
親が元気なうちに、経済的な準備をしておきます。
1. 障害者扶養共済制度への加入
終身年金
親が掛金を払い、親亡き後に障害のある子に終身年金が支給されます。
金額
- 月額2万円または4万円(1口または2口)
メリット
- きょうだいが経済的援助をする必要がなくなる
加入要件
- 親が65歳未満
申請方法
- 都道府県・指定都市の障害福祉課
2. 貯金
障害のある子のための貯金
障害のある子のための貯金をしておきます。
目安
- 500万円~1,000万円
管理
- 特定贈与信託
- 家族信託
- 成年後見制度
3. 遺産の分け方
遺言書の作成
遺言書を作成し、障害のある子に多めに残すことを明記します。
遺留分に配慮
きょうだいの遺留分を侵害しないよう配慮します。
付言事項で説明
付言事項で、障害のある子に多く残す理由を説明し、きょうだいの理解を求めます。
4. 特定贈与信託、家族信託
計画的な財産管理
信託を活用することで、親亡き後も計画的に財産を管理できます。
メリット
- きょうだいが財産管理をする必要がない
5. 生活保護の利用
収入が不足する場合
障害年金だけでは生活できない場合、生活保護を利用します。
メリット
- きょうだいが経済的援助をする必要がない
手続きの負担を減らす
成年後見制度の利用
成年後見制度を利用することで、手続きの負担を減らせます。
1. 成年後見制度
後見人が代理
成年後見人が、財産管理や契約などの法律行為を代理します。
メリット
- きょうだいが手続きをする必要がない
後見人の候補
- 専門職(弁護士、司法書士、社会福祉士)
- 法人後見
- きょうだい(負担が大きいため、専門職を推奨)
申請方法
- 家庭裁判所
2. 日常生活自立支援事業
軽度の支援
判断能力が比較的ある場合、日常生活自立支援事業を利用できます。
内容
- 福祉サービスの利用援助
- 日常的な金銭管理
- 書類の預かり
メリット
- きょうだいが金銭管理をする必要がない
費用
- 1回1,000円~2,000円程度
申請方法
- 市区町村社会福祉協議会
精神的な負担を減らす
親がきょうだいの気持ちを理解する
親がきょうだいの気持ちを理解し、サポートすることが大切です。
1. きょうだいと話し合う
オープンなコミュニケーション
きょうだいと、障害のある兄弟姉妹のことや将来のことを話し合います。
話し合うこと
- きょうだいの気持ち
- 親亡き後のこと
- きょうだいに何を期待するか、何を期待しないか
- きょうだいの負担を最小限にする方法
聞く姿勢
- きょうだいの本音を聞く
- 否定しない
- 感謝を伝える
2. きょうだいに期待しすぎない
プレッシャーをかけない
「面倒を見てね」と言わない、暗黙の期待を持たないことが大切です。
親の言葉
- 「あなたには、あなたの人生がある」
- 「無理に面倒を見なくていい」
- 「福祉サービスを利用するから安心して」
3. きょうだいを褒める、感謝する
認める
きょうだいが我慢していること、協力してくれていることを認め、感謝を伝えます。
言葉
- 「いつもありがとう」
- 「あなたにも我慢させてごめんね」
- 「あなたのことも大切に思っている」
4. きょうだいの時間を作る
二人きりの時間
障害のある子だけでなく、きょうだいとも二人きりの時間を作ります。
方法
- 障害のある子を短期入所に預けて、きょうだいと外出
- きょうだいの話を聞く時間を作る
5. きょうだいの会への参加を勧める
ピアサポート
同じ立場のきょうだい同士で交流できる「きょうだいの会」があります。
効果
- 「自分だけじゃない」と思える
- 気持ちを吐き出せる
- 情報交換
探し方
- インターネット検索
- 障害者団体に問い合わせ
結婚への影響を減らす
事前の準備と説明
きょうだいの結婚に影響しないよう、事前の準備と説明が大切です。
1. 親亡き後の計画を立てる
結婚相手に説明できるように
親亡き後の計画(グループホーム、経済的準備など)を立て、きょうだいが結婚相手に説明できるようにします。
説明内容
- 「親亡き後は、グループホームに入居する予定です」
- 「経済的には、障害年金と親の遺産で賄えます」
- 「成年後見制度を利用するので、私が財産管理をする必要はありません」
- 「月1回程度、様子を見に行く程度です」
2. きょうだいに同居を求めない
明確にする
親が「同居を求めない」と明確にすることで、きょうだいが結婚相手に説明しやすくなります。
3. 遺言書で明確にする
書面で残す
遺言書の付言事項で、「きょうだいに同居を求めない」「福祉サービスを利用する」と明記します。
親ができること:年齢別
親ができることを、障害のある子ときょうだいの年齢別に説明します。
子どもの頃(0~18歳)
きょうだいへの配慮
障害のある子に手がかかる時期ですが、きょうだいへの配慮を忘れないことが大切です。
できること
- きょうだいだけの時間を作る
- きょうだいの話を聞く
- きょうだいを褒める、感謝する
- きょうだいに過度な手伝いを求めない
- きょうだいの習い事や部活を応援する
- きょうだいの友達を家に呼べるようにする
- 短期入所を活用し、きょうだいと二人きりの時間を作る
青年期(18~30歳)
自立への準備
障害のある子の自立への準備を始める時期です。
できること
- グループホームや施設の見学、体験利用
- 短期入所の定期利用
- 日中活動の場の確保
- 障害者扶養共済制度への加入
- 貯金
- きょうだいと将来のことを話し合う
中年期(30~50歳)
親亡き後への準備
親亡き後への準備を本格化する時期です。
できること
- グループホームや施設への申し込み
- 経済的な準備(貯金、信託)
- 遺言書の作成
- 成年後見制度の検討
- きょうだいと具体的な役割分担を話し合う
- 相談支援専門員との関係構築
高齢期(50歳以上)
最終準備
親亡き後が現実的に迫る時期です。
できること
- グループホームや施設への入居
- 成年後見制度の申立
- 遺言書の最終確認
- エンディングノートの作成
- きょうだいへの感謝を伝える
きょうだいに最低限お願いすべきこと
きょうだいの負担を最小限にした上で、最低限お願いすべきことを示します。
1. 緊急時の連絡先
万が一のとき
グループホームや施設で緊急事態が起きたとき、連絡先になってもらいます。
頻度
- 年に数回程度(ほとんどない)
2. 定期的な連絡
様子を見る
月1回程度、電話で様子を聞く、または面会に行きます。
頻度
- 月1回程度
3. 重要な決定への相談
大きな決定
グループホームの変更、医療的な大きな決定など、重要なことは相談します。
頻度
- 年に数回程度
4. それ以上は求めない
プロに任せる
それ以上の負担(同居、財産管理、日常的な世話など)は、きょうだいに求めず、福祉サービスやプロに任せます。
よくある質問
Q1: きょうだいに何も頼まないことは可能ですか?
A: 完全にゼロは難しいですが、最小限にできます。
緊急時の連絡先など、最低限のことは必要ですが、福祉サービスや成年後見制度を活用することで、きょうだいの負担を最小限にできます。
Q2: きょうだいが面倒を見たくないと言った場合、どうすればいいですか?
A: きょうだいの意思を尊重しましょう。
きょうだいには、自分の人生を生きる権利があります。福祉サービスを最大限活用し、プロに任せる計画を立てましょう。
Q3: 遺産は平等に分けるべきですか、それとも障害のある子に多く残すべきですか?
A: 障害のある子に多く残すことが一般的ですが、きょうだいと話し合いましょう。
障害のある子の方が、親亡き後も費用がかかります。多く残すことが一般的ですが、きょうだいの理解を得ることが大切です。遺留分に配慮し、付言事項で理由を説明しましょう。
Q4: きょうだいが結婚を諦めています。どうすればいいですか?
A: 親亡き後の計画を明確にし、きょうだいの不安を取り除きましょう。
グループホームへの入居、経済的な準備、成年後見制度の利用など、具体的な計画を示すことで、きょうだいが結婚相手に説明しやすくなります。
Q5: きょうだいが親の介護と障害のある兄弟姉妹の世話で疲弊しています。
A: すぐに福祉サービスを活用しましょう。
親は介護保険サービス、障害のある子は障害福祉サービスを利用し、きょうだいの負担を減らしましょう。
Q6: 経済的な余裕がなく、障害者扶養共済制度にも加入できません。
A: 生活保護の利用を検討しましょう。
親亡き後、障害年金だけでは足りない場合、生活保護を利用できます。きょうだいが経済的援助をする必要はありません。
まとめ
きょうだいが抱える負担は、子どもの頃の我慢と自己犠牲、大人になってからの精神的・経済的・時間的・社会的負担など、多岐にわたります。
きょうだいの負担を減らす基本方針は、きょうだいの人生を最優先にする、福祉サービスを最大限活用する、経済的な準備をする、きょうだいと話し合う、親自身が元気でいることです。
具体的な方法は、住まいの負担を減らす(グループホーム、入所施設、一人暮らし)、経済的な負担を減らす(障害者扶養共済制度、貯金、遺産、信託、生活保護)、手続きの負担を減らす(成年後見制度、日常生活自立支援事業)、精神的な負担を減らす(話し合い、期待しすぎない、感謝する、きょうだいの時間を作る、きょうだいの会)、結婚への影響を減らす(親亡き後の計画を立てる、同居を求めない、遺言書で明確にする)などです。
きょうだいに最低限お願いすべきことは、緊急時の連絡先、定期的な連絡、重要な決定への相談程度にとどめ、それ以上は福祉サービスやプロに任せます。
親が元気なうちに、グループホームの見学や申し込み、経済的な準備、遺言書の作成、成年後見制度の検討、きょうだいとの話し合いを進めることで、きょうだいの負担を最小限にできます。きょうだいにも、自分の人生を生きる権利があります。親は、きょうだいの幸せも願い、負担を減らす努力をしましょう。
主な相談窓口
市区町村の障害福祉課
- 福祉サービスの相談
相談支援事業所
- 親亡き後の計画作り
社会福祉協議会
- 日常生活自立支援事業、成年後見制度
きょうだいの会
- ピアサポート
一人で抱え込まず、必ず相談してください。きょうだいの人生も大切です。

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