障害者の親亡き後に必要な資金はいくらか 計算と準備

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初めての方は、基礎知識と不安解消をセットで押さえると安心です。

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障害のある子どもの親亡き後に必要な資金はいくらか、どうやって準備すればいいか、経済的な不安を抱える親に向けて、必要額の計算方法、収入源、準備方法などを解説します。経済的な準備は親亡き後の安心につながる重要な要素です。

親亡き後の経済的不安

親亡き後の経済的不安について説明します。

最も大きな不安の一つです。親が亡くなった後、子どもは経済的に生活していけるのか、誰が経済的に支えるのか、お金が足りなくなったらどうするのかという不安は、多くの親が抱えています。

いくら必要か分からない不安です。具体的にいくら準備すればいいのか、どのくらい貯金があれば安心なのか、計算方法が分からないという不安があります。

障害年金だけで生活できるのかという不安です。障害基礎年金は月約6〜8万円程度です。これだけで生活できるのか、足りない分はどうするのかという不安があります。

きょうだいに経済的な負担をかけるのではという不安です。親が亡くなった後、きょうだいが経済的に支えることになるのではないか、迷惑をかけるのではないかという心配があります。

自分の老後資金も不安です。子どものために貯金をすると、自分たちの老後資金が足りなくなるのではないか、どちらを優先すればいいのかという悩みがあります。

インフレや制度変更への不安です。将来、物価が上がったらどうするのか、年金制度が変わったらどうするのか、予測できないことへの不安があります。

必要な資金を計算する基本的な考え方

必要な資金を計算する基本的な考え方について説明します。

生涯必要な費用から生涯の収入を引くことが基本です。親が亡くなってから本人が亡くなるまでの生涯費用から、その間の収入を引いた金額が、親が準備すべき資金です。

平均余命から計算することです。親が亡くなった時の子どもの年齢から、平均余命までの年数を計算します。例えば、親が亡くなった時に子どもが50歳なら、平均寿命80歳までの30年間分を計算します。

月々の収支を計算することです。月々の支出生活費、住居費、医療費などから、月々の収入障害年金、工賃など、生活保護などを引いて、月々の不足額を計算します。

不足額×月数が必要額です。月々の不足額に、残りの人生の月数をかけた金額が、必要な資金の目安です。

余裕を持たせることです。予期せぬ出費、医療費の増加、介護費用などに備えて、計算した金額に20〜30パーセント程度の余裕を持たせます。

住まいの形態によって大きく異なります。グループホーム、入所施設、在宅、公営住宅など、どこで暮らすかによって、必要な費用は大きく変わります。

月々の支出の内訳

親亡き後の月々の支出について説明します。

住居費です。グループホーム家賃は月5〜7万円程度、食費込みで月10〜15万円程度、入所施設利用料は月10〜15万円程度、賃貸住宅家賃は地域によって異なるが月5〜10万円程度、公営住宅家賃は月1〜3万円程度です。住居費が最も大きな支出項目です。

食費です。グループホームや施設の場合、住居費に含まれることが多いです。在宅や賃貸の場合、月3〜5万円程度です。

光熱費です。グループホームや施設の場合、住居費に含まれることもあります。在宅や賃貸の場合、月1〜2万円程度です。

日用品費です。衣類、消耗品、雑貨などで、月1〜2万円程度です。

交通費です。通所のための交通費、外出のための交通費などで、月5千円〜1万円程度です。

通信費です。携帯電話、インターネットなどで、月5千円〜1万円程度です。

医療費です。通院、薬代、医療機器などで、月5千円〜2万円程度です。障害の種類や程度によって大きく異なります。重度の場合、医療費助成があります。

介護サービス費です。訪問介護、デイサービスなどの自己負担分で、月数千円〜数万円です。利用するサービスによって異なります。

余暇・娯楽費です。趣味、外出、旅行などで、月5千円〜2万円程度です。

その他の費用です。理美容、冠婚葬祭、家具家電の買い替え、衣類の購入などで、月1〜2万円程度です。

合計すると、グループホーム利用の場合は月12〜20万円程度、在宅の場合は月10〜15万円程度、入所施設の場合は月12〜18万円程度が目安です。

月々の収入の内訳

親亡き後の月々の収入について説明します。

障害基礎年金です。1級は月約8万6千円程度、2級は月約6万9千円程度2025年度です。20歳前から障害がある場合に受給できます。これが主要な収入源です。

障害厚生年金です。厚生年金加入中に障害者になった場合に受給できます。金額は加入期間や給与によって異なりますが、障害基礎年金に上乗せされます。一般的には月10〜15万円程度になることが多いです。

就労継続支援B型の工賃です。全国平均は月約1万6千円程度です。事業所によって数千円から5万円以上まで幅があります。

就労継続支援A型の給与です。最低賃金以上が保証されており、平均月給は約8万円程度です。週5日、1日4〜6時間程度の勤務が一般的です。

一般就労障害者雇用の給与です。フルタイムなら月10〜20万円程度、パートタイムなら月5〜10万円程度です。

親の遺産からの定期的な給付です。信託を設定して、毎月一定額を受け取る仕組みを作ることができます。

特別障害者手当です。20歳以上で、在宅で常時特別な介護が必要な重度障害者に支給されます。月約2万8千円程度2025年度です。所得制限があります。

生活保護です。収入が最低生活費に満たない場合、生活保護を受けることができます。障害年金と併給可能です。不足分が補填されます。

合計すると、障害基礎年金2級のみの場合は月約7万円、障害基礎年金2級とB型工賃の場合は月約8〜9万円、障害基礎年金2級と生活保護の場合は地域によって異なるが月12〜15万円程度、障害厚生年金がある場合は月12〜18万円程度が目安です。

具体的な計算例

具体的な計算例を示します。

ケース1:中度知的障害、グループホーム利用、B型作業所通所、障害基礎年金2級の場合です。月々の支出はグループホーム家賃・食費12万円、日用品・医療費・その他3万円、合計15万円です。月々の収入は障害基礎年金2級約7万円、B型工賃2万円、合計9万円です。月々の不足額は15万円-9万円=6万円です。親が70歳で亡くなり、子どもが45歳、平均寿命80歳まで生きると仮定すると、35年間×12ヶ月×6万円=2,520万円です。余裕を持たせて30パーセント増しにすると、約3,300万円が必要です。ただし、生活保護を利用すれば不足分が補填されるため、実際の必要額は減ります。

ケース2:軽度知的障害、一人暮らし賃貸、A型事業所勤務、障害基礎年金2級の場合です。月々の支出は家賃6万円、光熱費2万円、食費4万円、その他3万円、合計15万円です。月々の収入は障害基礎年金2級約7万円、A型給与8万円、合計15万円です。月々の不足額は0円です。ほぼ収支がバランスしているため、大きな資金は不要ですが、予期せぬ出費や老後の介護費用に備えて、500〜1,000万円程度あると安心です。

ケース3:重度知的障害、入所施設利用、障害基礎年金1級の場合です。月々の支出は施設利用料13万円、医療費・その他2万円、合計15万円です。月々の収入は障害基礎年金1級約8万5千円、特別障害者手当約3万円、合計約11万5千円です。月々の不足額は15万円-11万5千円=3万5千円です。親が70歳で亡くなり、子どもが40歳、平均寿命75歳まで生きると仮定すると重度の場合平均寿命は短い傾向、35年間×12ヶ月×3万5千円=1,470万円です。余裕を持たせて30パーセント増しにすると、約1,900万円が必要です。または、生活保護を利用すれば不足分が補填されます。

ケース4:発達障害、実家で親と同居、就労していない、障害基礎年金2級の場合です。親が亡くなった後、一人暮らしまたはグループホームへの移行を想定します。月々の支出はグループホーム15万円または賃貸住宅13万円です。月々の収入は障害基礎年金2級約7万円です。月々の不足額は8万円または6万円です。親が75歳で亡くなり、子どもが50歳、平均寿命80歳まで生きると仮定すると、30年間×12ヶ月×7万円平均=2,520万円です。余裕を持たせて約3,300万円が必要です。

生活保護という選択肢

生活保護という選択肢について説明します。

生活保護は最後のセーフティネットです。収入が最低生活費に満たない場合、誰でも利用できる権利です。障害年金だけでは生活できない場合、生活保護を利用することで、不足分が補填されます。

障害年金と生活保護は併給可能です。障害年金を受給していても、それだけでは最低生活費に満たない場合、差額を生活保護で受け取ることができます。

生活保護を利用すれば、親の準備金額は大幅に減ります。生活保護があれば、月々の不足額はゼロになります。そのため、親が準備すべき資金は、当面の生活費や予期せぬ出費に備えた数百万円程度で済みます。

医療費や介護費用も無料になります。生活保護受給者は、医療扶助や介護扶助により、医療費や介護サービスの自己負担がありません。

住宅扶助があります。家賃の上限額まで、住宅費が支給されます。地域によって上限額は異なります。

生活保護にはデメリットもあります。資産を持てない預貯金は最低生活費の半月分程度まで、自動車は原則持てない、親族に扶養照会が行われることがあるなどです。

親の遺産がある場合の注意点です。親が亡くなった時に遺産を相続すると、生活保護が廃止または減額される可能性があります。特別障害者扶養信託を利用すれば、一定額まで資産として認められます。

生活保護は恥ずかしいことではありません。憲法で保障された権利であり、必要な人が利用することは当然です。親亡き後の生活を支える重要な制度です。

資金の準備方法

親亡き後の資金を準備する方法について説明します。

貯蓄です。最も基本的な方法です。計画的に貯金をします。定期預金、普通預金、積立預金などを活用します。目標額を設定し、毎月一定額を貯めます。

生命保険です。親が亡くなった時に、保険金が子どもに支払われるようにします。死亡保険金の受取人を子どもにします。必要な金額に応じて、保険金額を設定します。終身保険、定期保険などがあります。

特別障害者扶養信託です。親が信託銀行に金銭を信託し、親の死後、障害のある子どもが定期的に金銭を受け取れる仕組みです。信託財産のうち6,000万円まで贈与税が非課税です。信託銀行で手続きができます。

障害者扶養共済制度です。親が掛金を払い、親が亡くなった後、障害のある子どもが毎月2万円または4万円の年金を生涯受け取れる制度です。都道府県が運営しています。掛金は月9,300円から23,300円程度で、親の年齢によって異なります。加入は親が65歳未満まで、子どもの障害の種類や程度に条件があります。

遺言書の作成です。遺産の配分を明確にします。障害のある子どもに多く残す、特別障害者扶養信託に入れる、きょうだいへの配分も明確にするなどです。公正証書遺言が確実です。

不動産の活用です。不動産を所有している場合、売却して現金化する、信託に入れる、賃貸に出して収入を得るなどの方法があります。

個人年金保険や投資です。長期的な資産形成の方法として、個人年金保険、投資信託、株式などもあります。ただし、リスクがあるため、専門家に相談することをおすすめします。

働いて収入を得ることです。親自身が働き続ける、子ども自身が就労して収入を得るなども重要です。

きょうだいへの期待は最小限にすることです。きょうだいに経済的な負担を期待するのではなく、親自身で準備することが原則です。

資金を守る方法

準備した資金を守る方法について説明します。

成年後見制度の利用です。判断能力が不十分な場合、成年後見人が財産管理をします。本人が無駄遣いをしない、詐欺に遭わない、適切に管理されるなどのメリットがあります。

特別障害者扶養信託の利用です。信託銀行が財産を管理し、毎月一定額を本人に給付します。本人が直接大金を扱わないため、無駄遣いや詐欺のリスクが減ります。

日常生活自立支援事業の利用です。社会福祉協議会が提供するサービスです。福祉サービスの利用手続き、日常的な金銭管理などを支援してもらえます。成年後見制度より軽度の支援です。

定期的な給付にすることです。一度に大金を渡すのではなく、毎月一定額を給付する仕組みにします。信託、年金、保険などを活用します。

複数の支援者によるチェック体制です。相談支援専門員、グループホーム職員、きょうだい、成年後見人など、複数の人が関わることで、不正を防ぎます。

詐欺や悪質商法への対策です。消費者センター、警察、成年後見人などと連携します。見守りネットワークを構築します。

経済的な不安への向き合い方

経済的な不安への向き合い方について説明します。

具体的に計算することで不安が減ります。漠然と不安を感じるより、具体的にいくら必要か計算することで、現実的な対応ができます。

完璧な準備は不可能と理解することです。予期せぬ出費、制度変更、インフレなど、すべてを予測することは不可能です。できる範囲で準備します。

生活保護があると知ることです。最悪の場合でも、生活保護という最後のセーフティネットがあります。お金がなくても、餓死することはありません。

早めに準備を始めることです。少しずつでも、早くから準備を始めることで、負担が軽くなります。複利効果もあります。

専門家に相談することです。ファイナンシャルプランナー、社会保険労務士、弁護士、相談支援専門員などに相談します。一人で悩まないことです。

きょうだいに過度な期待をしないことです。きょうだいの人生を尊重し、経済的な負担を前提としないことです。

自分の老後資金も確保することです。子どものためだけでなく、親自身の老後も大切です。バランスを取ります。

お金がすべてではないと理解することです。お金は大切ですが、それ以上に、支援者のネットワーク、地域のつながり、本人の生きる力などが重要です。

まとめ

障害者の親亡き後に必要な資金について、明確な答えはありませんが、計算することで目安が分かります。

必要な資金は、生涯の支出から生涯の収入を引いた金額です。月々の不足額に残りの人生の月数をかけた金額が目安です。

月々の支出は、グループホーム利用で月12〜20万円程度、在宅で月10〜15万円程度、入所施設で月12〜18万円程度です。

月々の収入は、障害基礎年金2級約7万円、B型工賃約2万円、A型給与約8万円、障害厚生年金があれば月12〜18万円程度です。

具体的な計算例としては、中度知的障害でグループホーム利用の場合、約3,000〜3,500万円程度が必要ですが、生活保護を利用すれば大幅に減ります。

生活保護は最後のセーフティネットです。障害年金と併給可能で、不足分が補填されます。生活保護があれば、親の準備金額は数百万円程度で済みます。

資金の準備方法としては、貯蓄、生命保険、特別障害者扶養信託、障害者扶養共済制度、遺言書、不動産の活用などがあります。

資金を守る方法としては、成年後見制度、特別障害者扶養信託、日常生活自立支援事業、定期的な給付、複数の支援者によるチェック、詐欺対策などがあります。

経済的な不安への向き合い方としては、具体的に計算する、完璧な準備は不可能と理解する、生活保護があると知る、早めに準備を始める、専門家に相談する、きょうだいに過度な期待をしない、自分の老後資金も確保する、お金がすべてではないと理解することです。

障害者の親亡き後の資金に不安を感じている方は、一人で抱え込まないでください。具体的に計算してみてください。生活保護という選択肢もあることを知ってください。早めに準備を始めてください。専門家に相談してください。完璧を目指さず、できる範囲で準備してください。お金も大切ですが、支援者のネットワークも同じくらい重要です。両方を準備することで、安心が得られます。

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