障害者手帳の申請条件を徹底解説!種類・等級・メリットまで完全ガイド

1. 障害者手帳とは

障害者手帳は、身体や精神に障害がある人に交付される公的な証明書です。この手帳を持つことで、様々な福祉サービスや支援制度を利用できるようになり、日常生活や社会参加がしやすくなります。

障害者手帳には、「身体障害者手帳」「療育手帳(知的障害者福祉手帳)」「精神障害者保健福祉手帳」の3種類があります。それぞれ対象となる障害や申請条件が異なります。

障害者手帳を持つことは、決して恥ずかしいことではありません。これは、障害のある方が自分らしく生活するための権利であり、社会が用意している支援を受けるための大切なツールです。

この記事では、3種類の障害者手帳の申請条件、等級、申請方法、そして手帳を取得することで得られるメリットについて、詳しく解説していきます。

2. 身体障害者手帳

身体障害者手帳は、身体に障害がある方に交付される手帳です。

対象となる障害

身体障害者手帳の対象となる障害は、以下の7つの分野に分類されます。

視覚障害として、視力障害、視野障害が含まれます。両眼の視力の和が0.01以下、視野が著しく狭いなどの基準があります。

聴覚・平衡機能障害として、聴力レベルが70デシベル以上、平衡機能の著しい障害などが対象です。

音声・言語・そしゃく機能障害として、音声機能や言語機能の喪失、そしゃく機能の著しい障害などが含まれます。

肢体不自由として、上肢、下肢、体幹、脳原性運動機能障害が含まれます。片手の全指の機能障害、両下肢の機能の全廃、体幹の機能障害などが対象です。

内部障害として、心臓機能障害、腎臓機能障害、呼吸器機能障害、膀胱・直腸機能障害、小腸機能障害、ヒト免疫不全ウイルスによる免疫機能障害、肝臓機能障害が含まれます。

等級

身体障害者手帳には、1級から7級までの等級があります。1級が最も重度で、7級が最も軽度です。

ただし、手帳が交付されるのは原則として1級から6級までです。7級は単独では手帳が交付されませんが、7級の障害が2つ以上重複する場合や、7級と6級が重複する場合などに、6級として認定されることがあります。

等級は、障害の種類と程度によって決まります。同じ障害でも、程度によって等級が変わります。

申請条件

障害が永続することが条件です。治療により障害が軽減する可能性がある場合、症状が固定していない場合は、手帳が交付されないことがあります。

ただし、障害の種類によっては、再認定(数年ごとの診断書提出)が必要な場合もあります。

身体障害者福祉法別表に該当する障害があることが必要です。法律で定められた基準に該当する必要があります。

年齢制限は原則ありませんが、乳幼児の場合は、発達の経過を見て判断されることがあります。

申請に必要なもの

身体障害者手帳交付申請書(市区町村の福祉窓口で入手)、身体障害者診断書・意見書(指定医師が作成)、本人の写真(縦4cm×横3cm、上半身、脱帽)、マイナンバーに関する書類、印鑑などが必要です。

診断書は、都道府県知事が指定した医師(指定医)が作成する必要があります。一般の医師では作成できないため、注意が必要です。

3. 療育手帳(知的障害者福祉手帳)

療育手帳は、知的障害がある方に交付される手帳です。自治体によって「愛の手帳」「みどりの手帳」など、名称が異なることがあります。

対象となる障害

知的機能の障害が、発達期(おおむね18歳まで)に現れ、日常生活に支障が生じているため、何らかの特別な援助を必要とする状態にある方が対象です。

知的障害とは、知的機能の発達が遅れ、適応行動(日常生活や社会生活に必要な技能)に困難がある状態を指します。

判定基準

療育手帳の判定は、知能指数(IQ)と適応行動の両方を総合的に評価して行われます。

一般的には、IQが70以下を知的障害の目安としていますが、IQだけでなく、日常生活能力、社会生活能力なども考慮されます。

等級

療育手帳の区分は、自治体によって異なりますが、一般的には以下のような区分があります。

重度(A度、A、1度など)として、IQがおおむね35以下、または36から50で身体障害を伴う場合などが該当します。

中度・軽度(B度、B、2度など)として、IQがおおむね36から50(重度に該当しない場合)、または51から70程度が該当します。

自治体によっては、A(最重度)、A(重度)、B(中度)、B(軽度)のように、さらに細かく区分している場合もあります。

申請条件

知的障害があることが条件です。発達期(おおむね18歳まで)に知的機能の障害が現れていることが必要です。

ただし、18歳以降に判明した場合でも、障害が発達期から存在していたと認められれば、申請できます。

年齢制限はありません。子どもでも大人でも申請できます。

申請に必要なもの

療育手帳交付申請書(市区町村の福祉窓口で入手)、本人の写真(縦4cm×横3cm)、マイナンバーに関する書類、印鑑などが必要です。

身体障害者手帳とは異なり、医師の診断書ではなく、児童相談所または知的障害者更生相談所での判定が必要です。申請後、判定のための面接を受けます。

4. 精神障害者保健福祉手帳

精神障害者保健福祉手帳は、精神疾患がある方に交付される手帳です。

対象となる障害

以下のような精神疾患が対象となります。

統合失調症、うつ病、双極性障害(躁うつ病)、てんかん、薬物やアルコールによる急性中毒またはその依存症、高次脳機能障害、発達障害(自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、学習障害など)、その他の精神疾患(ストレス関連障害、摂食障害、パーソナリティ障害など)が含まれます。

知的障害は、療育手帳の対象となるため、原則として精神障害者保健福祉手帳の対象とはなりません。ただし、知的障害と精神疾患が併存する場合は、両方の手帳を取得できることがあります。

等級

精神障害者保健福祉手帳には、1級から3級までの等級があります。1級が最も重度で、3級が最も軽度です。

1級は、精神障害であって、日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のものです。常に援助が必要な状態です。

具体的には、入院または在宅で常時援助が必要、日常生活能力の判定が「できない」が多い、食事・入浴・着替えなどに援助が必要、金銭管理ができない、外出に付き添いが必要などの状態です。

2級は、精神障害であって、日常生活が著しい制限を受けるか、または日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のものです。時々援助が必要な状態です。

具体的には、日常生活能力の判定が「援助があればできる」が多い、服薬管理に援助が必要、一人での外出が困難、対人関係が困難、就労が著しく制限されるなどの状態です。

3級は、精神障害であって、日常生活もしくは社会生活が制限を受けるか、または日常生活もしくは社会生活に制限を加えることを必要とする程度のものです。日常生活は概ねできるが、社会生活に制限がある状態です。

具体的には、日常生活は概ね自立しているが、ストレスがかかると症状が悪化する、就労に制限がある、対人関係に困難があるなどの状態です。

申請条件

精神疾患により、長期にわたり日常生活または社会生活への制約があることが条件です。

初診日から6か月以上経過していることが必要です。精神疾患で初めて医療機関を受診した日から6か月以上経っていることが申請の条件です。

これは、精神疾患の症状が安定するまでに一定期間が必要であるためです。6か月未満では申請できません。

年齢制限はありません。

有効期限と更新

精神障害者保健福祉手帳には、2年間の有効期限があります。2年ごとに更新手続きが必要です。

更新時には、改めて医師の診断書を提出し、等級が見直されます。症状が改善していれば等級が下がることもありますし、悪化していれば上がることもあります。

申請に必要なもの

精神障害者保健福祉手帳申請書(市区町村の福祉窓口で入手)、医師の診断書(精神障害者保健福祉手帳用)または精神障害を支給事由とする年金証書等の写し、本人の写真(縦4cm×横3cm)、マイナンバーに関する書類、印鑑などが必要です。

障害年金を受給している場合は、診断書の代わりに年金証書等の写しで申請できることがあります。

5. 申請の流れ

障害者手帳の申請は、基本的に以下の流れで行います。

1. 相談

まず、お住まいの市区町村の障害福祉担当窓口に相談します。どの手帳を申請すべきか、必要な書類は何かなどを確認します。

2. 診断書の取得

身体障害者手帳の場合は、指定医に診断書・意見書を作成してもらいます。指定医は、都道府県のホームページなどで確認できます。診断書の作成には、数千円から1万円程度の費用がかかります。

療育手帳の場合は、児童相談所または知的障害者更生相談所で判定を受けます。市区町村の窓口で申請後、判定機関から連絡があります。

精神障害者保健福祉手帳の場合は、精神科の医師に診断書を作成してもらいます。診断書の作成には、数千円から1万円程度の費用がかかります。

3. 申請書類の準備

申請書に必要事項を記入し、診断書、写真などの必要書類を準備します。

4. 市区町村への申請

必要書類を揃えて、市区町村の障害福祉担当窓口に提出します。

5. 審査

都道府県(または政令指定都市)で審査が行われます。身体障害者手帳と精神障害者保健福祉手帳は、診断書に基づいて審査されます。療育手帳は、判定機関の判定結果に基づいて審査されます。

6. 手帳の交付

審査を通過すると、手帳が交付されます。申請から交付まで、通常1か月から2か月程度かかります。

手帳は、市区町村の窓口で受け取ります。郵送で受け取れる場合もあります。

7. 更新(精神障害者保健福祉手帳のみ)

精神障害者保健福祉手帳は、2年ごとに更新が必要です。有効期限の3か月前から更新手続きができます。

6. 障害者手帳のメリット

障害者手帳を取得すると、様々なサービスや支援を受けられます。

税金の控除・減免

所得税・住民税の障害者控除が受けられます。本人が障害者の場合、所得税で27万円(特別障害者は40万円)、住民税で26万円(特別障害者は30万円)の控除があります。

相続税・贈与税の非課税枠として、特定の信託を利用することで、相続税や贈与税が非課税になる制度があります。

自動車税・自動車取得税の減免が受けられることがあります。自治体や障害の等級により異なります。

公共料金の割引

公共交通機関の割引として、鉄道、バス、航空機、タクシーなどで割引が受けられます。JRは身体障害者手帳と療育手帳で50%割引、私鉄・バスも多くが割引対象です。精神障害者保健福祉手帳も、近年対象が拡大しています。

NHK受信料の減免として、一定の条件を満たすと、NHK受信料が全額または半額免除されます。

携帯電話料金の割引が受けられます。各携帯電話会社で、障害者向けの割引プランがあります。

公共施設の割引

博物館、美術館、動物園、水族館などの入場料の割引または無料となることが多くあります。本人と介護者1名が対象となることが一般的です。

映画館の割引も受けられます。多くの映画館で、障害者手帳を提示すると割引があります。

福祉サービスの利用

障害福祉サービスとして、ホームヘルプ、デイサービス、ショートステイ、就労支援などのサービスを利用できます。

自立支援医療として、精神障害者保健福祉手帳を持つ方は、自立支援医療(精神通院医療)と併用することで、医療費負担をさらに軽減できます。

雇用・就労支援

障害者雇用枠での就職ができます。企業には、障害者雇用率(民間企業2.3%)が義務付けられており、障害者雇用枠での就職が可能になります。

就労支援サービスとして、就労移行支援事業所、就労継続支援事業所などを利用できます。

ハローワークの専門窓口を利用できます。障害者専門の相談員がいる窓口で、就職相談ができます。

その他のメリット

公営住宅の優先入居ができることがあります。

駐車禁止除外指定車標章の交付を受けられることがあります(身体障害者手帳の一部の等級)。

手当や年金として、特別障害者手当、障害児福祉手当、障害年金などを受給できる場合があります。ただし、手帳があるだけで自動的に受給できるわけではなく、それぞれの制度の要件を満たす必要があります。

7. よくある質問

手帳を取得すると会社にバレる?

障害者手帳を取得したことは、本人が伝えない限り、会社には分かりません。プライバシーは守られます。

ただし、障害者雇用枠で就職する場合や、職場に配慮を求める場合は、伝える必要があります。

等級が軽いと意味がない?

3級や軽度の区分でも、様々なサービスや割引を受けられます。等級が軽くても、取得するメリットは十分にあります。

手帳を持つと就職に不利?

一般雇用枠で就職活動をする場合、手帳を持っていることを伝える義務はありません。伝えるかどうかは、本人の判断です。

障害者雇用枠では、手帳が必要ですが、その分、配慮を受けながら働けるメリットがあります。

診断されたらすぐに申請すべき?

すぐに申請する必要はありません。自分が必要だと感じたタイミングで申請すれば良いです。

ただし、精神障害者保健福祉手帳は初診から6か月以上経過しないと申請できないため、その点は注意が必要です。

手帳を持っていることを隠せる?

手帳は、自分から提示しない限り、他人には分かりません。プライバシーは守られます。

使いたいときだけ使う、ということも可能です。

一度取得したら返却できない?

障害が軽減したり、必要なくなったりした場合は、返還できます。精神障害者保健福祉手帳の場合は、更新しないことで自動的に失効します。

8. 申請をためらう理由への対処

「障害者」と認めたくない

障害者手帳を持つことは、「障害者」というレッテルを貼られることではありません。これは、必要な支援を受けるための手段です。

手帳を持っていても、使うかどうかは自由です。持っているだけでも選択肢が広がります。

周囲の目が気になる

手帳を持っていることは、他人には分かりません。使いたいときだけ使えば良いのです。

また、障害者手帳を持つ人は全国に1000万人近くいます。決して特別なことではありません。

手続きが面倒そう

確かに、診断書の取得や申請書類の準備には手間がかかります。しかし、一度取得すれば、長期間にわたって様々なメリットを受けられます。

市区町村の窓口で相談すれば、丁寧に説明してもらえます。

どうせ対象にならないと思う

自分が対象になるかどうかは、まず医師や窓口に相談してみないと分かりません。思っていたより広範囲の障害が対象になっています。

相談するだけなら無料ですので、まずは相談してみることをお勧めします。

9. まとめ:手帳は権利を行使するためのツール

障害者手帳には、身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳の3種類があります。それぞれ対象となる障害や申請条件が異なりますが、いずれも障害のある方の生活を支援するための重要な制度です。

申請条件は、身体障害者手帳は永続する身体障害があること、療育手帳は知的障害があること、精神障害者保健福祉手帳は精神疾患で初診から6か月以上経過し、日常生活に制約があることです。

手帳を取得することで、税金の控除、公共交通機関の割引、福祉サービスの利用、障害者雇用枠での就職など、様々なメリットがあります。

障害者手帳は、障害のある方が自分らしく生活するための権利を行使するためのツールです。取得することは、決して恥ずかしいことではありません。

もし申請を検討している場合は、まずお住まいの市区町村の障害福祉担当窓口に相談してみましょう。丁寧に説明してもらえますし、自分が対象になるかどうかも分かります。

必要な支援を受けることで、より充実した生活を送ることができます。手帳の取得を前向きに検討してみてください。

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