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うつ病は誰にでも起こりうる心の病気です。気分の落ち込み、興味や喜びの喪失、疲労感、不眠など様々な症状が現れ、日常生活に支障をきたします。
しかし多くの人が「自分はうつ病ではない」「気のせいだ」「ただの怠けだ」と考え、受診を躊躇します。早期発見・早期治療が回復の鍵となるため、まず自分の状態を知ることが重要です。
うつ病の診断は専門医が様々な基準と検査を用いて総合的に判断します。自己診断だけでは不十分ですが、セルフチェックは受診のきっかけになります。この記事ではうつ病のセルフチェック方法、専門的な診断基準、診断のプロセス、受診のタイミング、診断後の対応について詳しく解説します。
うつ病診断の重要性
早期発見の重要性
早期治療で回復が早い
うつ病は早期に治療を始めるほど回復が早く、再発のリスクも低くなります。
症状の悪化を防ぐ
放置すれば症状が重症化し、治療に時間がかかります。自殺のリスクも高まります。
生活への影響を最小限に
早期治療により、仕事や人間関係への影響を最小限に抑えられます。
自己診断の限界
専門的診断が必要
セルフチェックはあくまで目安です。確定診断には専門医の診察が必要です。
他の疾患との鑑別
似た症状を示す他の病気(甲状腺機能低下症、貧血、慢性疲労症候群など)との区別が必要です。
重症度の判断
どの程度の治療が必要かは専門家が判断します。
診断を受けるメリット
適切な治療を受けられる
正確な診断により適切な治療法が選択されます。
安心感
原因が分かることで安心できます。「気のせいではなかった」と納得できます。
周囲の理解
診断があることで家族や職場の理解を得やすくなります。
福祉制度の利用
診断書があれば傷病手当金、障害年金などの制度を利用できます。
うつ病のセルフチェック
以下は一般的なうつ病のセルフチェック項目です。あくまで参考であり、専門医の診断に代わるものではありません。
基本的なセルフチェック(過去2週間を振り返って)
以下の症状が2週間以上、ほぼ毎日続いているかチェックしてください。
中核症状(特に重要)
□ 憂うつな気分、悲しい気持ちがほとんど一日中続く
□ 何をしても楽しくない、興味が持てない
その他の症状
□ 食欲がない、または食べ過ぎる
□ 眠れない、または眠りすぎる
□ 話し方や動作が遅くなった、またはイライラして落ち着かない
□ 疲れやすい、気力がない
□ 自分に価値がない、または申し訳ないと感じる
□ 集中力や決断力が低下した
□ 死にたいと思う、または自殺について考える
判定の目安
- 中核症状の少なくとも1つ + その他の症状を含めて合計5つ以上: うつ病の可能性が高い
- これらの症状により仕事、学業、家事、対人関係に支障がある: 受診を強く推奨
WHO-5精神的健康状態表(簡易版)
過去2週間について、以下の質問に答えてください。
0: まったくない / 1: ほんのたまに / 2: 半分以下の期間 / 3: 半分以上の期間 / 4: ほとんどいつも / 5: いつも
- 明るく、楽しい気分で過ごした ( )
- 落ち着いた、リラックスした気分で過ごした ( )
- 意欲的で、活動的に過ごした ( )
- ぐっすりと休め、気持ちよく目覚めた ( )
- 日常生活の中に、興味のあることがたくさんあった ( )
合計点: ____ 点
判定の目安
- 13点以上: 問題なし
- 13点未満: うつ状態の可能性、専門家への相談を推奨
- 特に0または1が多い場合は要注意
PHQ-9(Patient Health Questionnaire-9)
より詳細なセルフチェックツールです。過去2週間で以下の問題にどのくらい悩まされましたか。
0: 全くない / 1: 数日 / 2: 半分以上 / 3: ほとんど毎日
- 物事に興味がわかない、または楽しめない ( )
- 気分が落ち込む、憂うつになる、または絶望的な気持ちになる ( )
- 寝つきが悪い、途中で目が覚める、または眠りすぎる ( )
- 疲れた感じがする、または気力がない ( )
- あまり食欲がない、または食べ過ぎる ( )
- 自分はダメな人間だ、人生の敗北者だと気に病む ( )
- 新聞を読む、テレビを見るなどの集中が難しい ( )
- 他人が気づくほど動作や話し方が遅い、またはイライラや落ち着きのなさで普段より多く動き回る ( )
- 死んだほうがましだ、または自分を何らかの方法で傷つけようと思う ( )
合計点: ____ 点
判定の目安
- 0-4点: 最小限または正常
- 5-9点: 軽度のうつ病の可能性
- 10-14点: 中等度のうつ病の可能性
- 15-19点: やや重度のうつ病の可能性
- 20-27点: 重度のうつ病の可能性
5点以上、または第9項目(自殺念慮)にチェックがある場合は専門家への相談を強く推奨します。
セルフチェックの注意点
あくまで目安
確定診断ではありません。専門医の診察が必要です。
総合的に判断
点数だけでなく、症状の持続期間、生活への影響、本人の苦痛度なども重要です。
自殺念慮がある場合
死にたい、自殺について考えるなどの項目にチェックがある場合は、点数に関わらず早急に専門家に相談してください。
他の疾患の可能性
うつ病以外の病気(身体疾患、他の精神疾患)の可能性もあります。
専門的なうつ病の診断基準
医師は国際的な診断基準を用いてうつ病を診断します。
DSM-5によるうつ病(大うつ病性障害)の診断基準
以下の症状のうち5つ以上が同じ2週間の間に存在し、病前の機能からの変化を起こしている。これらの症状のうち少なくとも1つは、(1)抑うつ気分、または(2)興味または喜びの喪失である。
A. 症状
- 抑うつ気分: ほとんど1日中、ほとんど毎日
- 興味または喜びの著しい減退: ほとんど1日中、ほとんど毎日
- 体重減少または体重増加(1ヶ月で5%以上)、または食欲の減退または増加
- 不眠または睡眠過多
- 精神運動性の焦燥または制止(他者が観察可能)
- 疲労感または気力の減退
- 無価値感または過剰な罪責感
- 思考力や集中力の減退、または決断困難
- 死についての反復思考、自殺念慮、自殺企図
B. 機能障害
症状が臨床的に著しい苦痛、または社会的、職業的、または他の重要な領域における機能の障害を引き起こしている。
C. 物質・身体疾患の除外
エピソードが物質の生理学的作用や他の医学的疾患によるものではない。
D. 他の精神疾患の除外
統合失調感情障害、統合失調症、妄想性障害などではうまく説明されない。
E. 躁病・軽躁病エピソードの既往がない
躁病エピソードまたは軽躁病エピソードが存在したことがない(双極性障害との鑑別)。
ICD-11によるうつ病エピソードの診断基準
世界保健機関(WHO)が作成した国際疾病分類第11版(ICD-11)でもうつ病が定義されています。基本的にはDSM-5と類似していますが、若干の違いがあります。
重症度の分類
軽症
症状は5から6個程度。社会的・職業的機能への障害は軽度。
中等症
症状数、強さ、機能障害が軽症と重症の中間。
重症
症状のほとんどすべてが存在し、強度。社会的・職業的機能が著しく障害される。
精神病症状を伴う重症
妄想や幻覚を伴う。現実との接触が失われる。
うつ病の診断プロセス
初診での流れ
1. 問診
医師が詳しく話を聞きます。
- 現在の症状(いつから、どんな症状、どの程度)
- 症状の経過(きっかけ、変動)
- 日常生活への影響(仕事、家事、対人関係)
- 睡眠、食欲、体重の変化
- 過去の病歴(うつ病、双極性障害、不安障害などの既往)
- 家族歴(精神疾患の家族歴)
- 生活歴(幼少期、学校、仕事、人間関係)
- 現在のストレス要因
- 飲酒、喫煙、薬物使用
- 服用中の薬
- 自殺念慮の有無
2. 診察
全身状態の観察。表情、話し方、動作など。
3. 心理検査(必要に応じて)
質問票、評価尺度などを用います。
- ハミルトンうつ病評価尺度(HAM-D)
- ベックうつ病質問票(BDI)
- 自己記入式抑うつ評価尺度(SDS)
- PHQ-9など
4. 身体疾患の除外
血液検査、甲状腺機能検査など。うつ症状を引き起こす身体疾患を除外します。
5. 診断
DSM-5やICD-11の診断基準に基づき、総合的に判断します。
6. 治療方針の決定
重症度、症状、本人の希望などを考慮して治療方針を決定します。
診断に要する時間
初診
通常30分から1時間程度。詳しく話を聞くため時間がかかります。
診断の確定
初診で診断がつくこともあれば、数回の診察を経て診断することもあります。経過を見ながら判断します。
鑑別診断
うつ病と似た症状を示す他の疾患との区別が重要です。
双極性障害(躁うつ病)
うつ状態と躁状態(またはそう状態)を繰り返す。過去に躁状態があったか詳しく聞く。
適応障害
明確なストレス要因があり、ストレス源から離れると改善する。うつ病より軽度で期間も短い。
不安障害
不安が主症状。パニック障害、全般性不安障害など。うつ病と併存することも多い。
身体疾患
甲状腺機能低下症、貧血、糖尿病、脳血管障害、パーキンソン病、認知症など。血液検査、画像検査で鑑別。
薬物の副作用
ステロイド、降圧薬、インターフェロンなど一部の薬の副作用でうつ症状が出ることがある。
物質使用障害
アルコール、薬物の乱用や依存によるうつ症状。
統合失調症
陰性症状がうつ病に似ることがある。幻覚、妄想の有無。
パーソナリティ障害
境界性パーソナリティ障害など。長期的なパターンかどうか。
慢性疲労症候群
強い疲労が主症状。うつ病と区別が難しいことも。
受診のタイミング
こんなときは早めに受診
症状が2週間以上続く
一時的な気分の落ち込みではなく、2週間以上続いている。
日常生活に支障
仕事や学業、家事、対人関係に明らかな影響が出ている。
周囲から指摘される
家族や友人から「最近元気がない」「様子がおかしい」と言われる。
食事や睡眠に問題
食欲がない、眠れない、または食べ過ぎる、眠りすぎる。
自殺について考える
死にたい、消えたいと思う。自殺の方法を考える。これは緊急事態です。すぐに受診、または救急窓口に相談してください。
身体症状が続く
頭痛、胃痛、めまいなど身体症状が続き、内科で異常が見つからない。
以前うつ病になったことがある
再発のリスクが高いため、早めの受診が重要。
受診を躊躇する理由と対処
「精神科は怖い」
現代の精神科・心療内科は明るく清潔で、一般の診療所と変わりません。
「弱い人間だと思われる」
うつ病は誰にでも起こりうる病気です。弱さではありません。
「薬漬けにされる」
必要最小限の薬物療法が基本です。無理に薬を飲まされることはありません。
「会社や学校にバレる」
医療情報は守秘義務で守られます。本人の同意なく漏れることはありません。
「お金がかかる」
健康保険が適用されます。自立支援医療制度を利用すれば自己負担が1割になります。
「忙しくて時間がない」
放置すればさらに悪化し、結果的により多くの時間を失います。早めの受診が時間の節約になります。
受診先の選び方
精神科と心療内科の違い
精神科
精神疾患全般を扱う。うつ病、双極性障害、統合失調症、不安障害など。
心療内科
心身症(ストレスが関与する身体疾患)を主に扱う。ただし実際にはうつ病や不安障害も診療することが多い。
どちらを受診すべきか
うつ病の場合、どちらでも構いません。「精神科・心療内科」と両方標榜している医療機関も多いです。
医療機関の選び方
クリニック(診療所)
通いやすい。予約が取りやすい。初診から診てもらえる。軽度から中等度のうつ病に適している。
総合病院の精神科
身体疾患の合併がある場合、重症の場合に適している。他科との連携がスムーズ。
精神科病院
入院が必要な重症例に対応。
選ぶポイント
- 通いやすい場所
- 口コミや評判
- 医師との相性(初診で合わないと感じたら変更も可)
- 予約の取りやすさ
- 診療時間
初診の予約
電話またはネットで予約
多くの医療機関は予約制です。初診は特に時間がかかるため予約が必要です。
何を伝えるか
「気分が落ち込んで眠れない」「うつ病かもしれない」など簡単に症状を伝えます。
初診までの待ち時間
人気のクリニックは数週間待つこともあります。緊急性が高い場合はその旨を伝えてください。
診断後の対応
診断を受け入れる
ショックを感じることも
「まさか自分が」と驚くかもしれません。自然な反応です。
病気であることを認識
うつ病は病気です。治療が必要です。「気のせい」ではありません。
自分を責めない
うつ病になったのは自分のせいではありません。誰にでも起こりうることです。
治療方針を理解する
医師の説明を聞く
病状、治療方針、薬の効果と副作用、治療期間の見通しなどを聞きます。
疑問点を質問
分からないことは遠慮なく質問します。納得してから治療を始めます。
治療の選択肢
薬物療法、精神療法(カウンセリング)、休養など。重症度により組み合わせます。
治療に協力する
医師の指示に従う
処方された薬は指示通りに服用します。自己判断で中断しません。
定期的に通院
予約日には必ず受診します。症状の変化を医師に伝えます。
生活習慣を整える
十分な睡眠、バランスの良い食事、適度な運動。ストレスの軽減。
焦らない
うつ病の回復には時間がかかります。数週間から数ヶ月、時には年単位。焦らず治療を続けます。
周囲に伝える
家族に伝える
理解とサポートを得るため、診断を伝えることを検討します。
職場・学校に伝えるか
必要に応じて伝えます。診断書があれば休職・休学の手続きができます。ただし誰に、どこまで伝えるかは慎重に判断します。
守秘義務
医療機関は本人の同意なく情報を漏らしません。安心して相談してください。
利用できる制度
傷病手当金
会社員が病気で休職する場合、健康保険から給料の約3分の2が最長1年6ヶ月支給されます。
自立支援医療制度
精神疾患の通院医療費の自己負担が1割に軽減されます。市区町村の窓口で申請します。
障害年金
症状が重く長期間働けない場合、障害年金が受給できることがあります。
精神障害者保健福祉手帳
一定の症状がある場合、手帳が交付されます。税制優遇、公共交通機関の割引などが受けられます。
セカンドオピニオン
セカンドオピニオンとは
別の医師に意見を求めることです。診断や治療方針に疑問がある場合、他の医師の意見を聞くことができます。
こんなときに検討
診断に納得できない
「本当にうつ病なのか」と疑問に思う。
治療効果が感じられない
数ヶ月治療しても改善しない。
医師との相性
医師とのコミュニケーションがうまくいかない。信頼できない。
治療方針に疑問
提案された治療法に不安がある。
セカンドオピニオンの受け方
主治医に伝える
可能なら主治医にセカンドオピニオンを受けたい旨を伝えます。紹介状や資料を用意してもらえます。
別の医療機関を受診
主治医に言いにくければ、自分で別の医療機関を探して受診することもできます。
情報を持参
これまでの経過、服用している薬、検査結果などの情報を持参します。
判断する
両方の意見を聞いて、自分で判断します。必ずしも変更する必要はありません。
まとめ
うつ病の診断は早期発見・早期治療のために重要です。セルフチェックは受診のきっかけとして有効ですが、確定診断には専門医の診察が必要です。
セルフチェックとして、基本的な症状チェック、WHO-5、PHQ-9などがあります。2週間以上、抑うつ気分や興味の喪失などの症状が続き、日常生活に支障がある場合は受診を検討しましょう。
専門医はDSM-5やICD-11などの国際的診断基準を用いて診断します。問診、診察、心理検査、身体疾患の除外などを総合的に判断します。双極性障害、適応障害、身体疾患など他の疾患との鑑別も重要です。
受診のタイミングは、症状が2週間以上続く、日常生活に支障がある、自殺について考えるなどです。特に自殺念慮がある場合は緊急に受診してください。
受診先は精神科または心療内科です。通いやすい場所、医師との相性を考慮して選びます。初診は予約が必要なことが多いです。
診断後は、診断を受け入れ、治療方針を理解し、医師の指示に従って治療に取り組みます。焦らず、時間をかけて回復を目指します。傷病手当金、自立支援医療制度などの支援制度も利用できます。
診断や治療に疑問がある場合はセカンドオピニオンを検討することもできます。
うつ病は誰にでも起こりうる病気であり、適切な治療により回復可能です。「気のせい」「怠け」と決めつけず、症状が続く場合は勇気を持って受診してください。早期発見・早期治療が回復への第一歩です。一人で抱え込まず、専門家のサポートを受けながら、少しずつ前に進んでいきましょう。

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