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「やらなきゃいけないことがあるのに動けない」「動けない自分にイライラして自己嫌悪に陥る」「頭ではわかっているのに体が動かない」――こうした状態に苦しんでいる方は少なくありません。本記事では、動けない自分にイライラする理由、その背景にある心身の状態、自己否定から抜け出す考え方、具体的な対処法、そして専門家への相談方法について詳しく解説します。
動けない自分を責めることは、さらに状況を悪化させます。まずは「なぜ動けないのか」を理解し、自分に優しく接することから始めましょう。
「動けない」とはどういう状態か
まず、「動けない」状態について理解しましょう。
動けない状態の特徴
身体的な症状
- 体が重い、鉛のように感じる
- 疲労感が抜けない
- ベッドや布団から起き上がれない
- 何をするにもエネルギーが必要と感じる
- 動悸、息苦しさ
- 頭痛、めまい
- 食欲不振または過食
精神的な症状
- 何もやる気が起きない
- 集中力が続かない
- 決断できない
- 考えがまとまらない
- 不安や焦りが強い
- 自己否定的な考えが止まらない
- 将来への希望が持てない
行動的な特徴
- 予定をキャンセルする
- 締め切りに間に合わない
- 簡単な日常生活(入浴、歯磨き、食事など)も困難
- 人との約束を守れない
- スマホやゲームなど、目の前の刺激には反応できる
「怠け」との違い
動けない状態は「怠け」ではありません
- 怠け:やる気はあるが、楽な方を選んでいる状態
- 動けない:やりたい気持ちはあるが、心身が追いついていない状態
多くの場合、「動けない」状態は心身の不調のサインです。
動けない背景にある心身の状態
動けない背景には、様々な要因があります。
1. 精神疾患
うつ病
- 最も一般的な原因の一つ
- 意欲の低下、興味・関心の喪失
- 気分の落ち込み
- 思考力の低下
- 疲労感
適応障害
- 強いストレスに対する反応
- 環境変化への適応困難
- 不安、抑うつ
不安障害
- 過度な不安や恐怖
- パニック発作
- 回避行動
双極性障害(躁うつ病)
- うつ状態と躁状態を繰り返す
- うつ状態では動けなくなる
統合失調症
- 意欲の減退
- 感情の平板化
発達障害(ASD、ADHDなど)
- タスクの優先順位がつけられない
- 過度な疲労
- 感覚過敏による疲弊
2. 身体疾患
慢性疲労症候群
- 原因不明の強い疲労が6ヶ月以上続く
- 休んでも改善しない
甲状腺機能低下症
- 疲労感、無気力
- 体重増加
貧血
- 疲れやすい
- 立ちくらみ
睡眠障害
- 不眠、過眠
- 睡眠の質の低下
- 日中の眠気
その他の慢性疾患
- 糖尿病、心疾患、呼吸器疾患など
3. 過度なストレス
仕事のストレス
- 長時間労働
- パワハラ、いじめ
- 過度なプレッシャー
- 人間関係の問題
生活上のストレス
- 家庭内の問題
- 経済的な困難
- 介護や育児の負担
- 喪失体験(死別、離婚など)
4. 燃え尽き症候群(バーンアウト)
特徴
- 長期間の過度な努力の後に生じる
- 極度の疲労
- 達成感の喪失
- 無力感
5. トラウマ(PTSD)
過去の辛い体験
- 虐待
- いじめ
- 事故や災害
- 暴力被害
症状
- フラッシュバック
- 回避行動
- 過覚醒
- 解離
6. 完璧主義・自己批判
心理的な特徴
- 「完璧にできないならやらない」
- 「失敗が怖い」
- 「人に迷惑をかけたくない」
- 過度な自己批判
なぜ動けない自分にイライラするのか
動けない自分にイライラする理由を理解しましょう。
1. 「べき思考」
「〜すべき」「〜しなければならない」
- 「働くべき」
- 「自立すべき」
- 「頑張るべき」
- 「普通にできるべき」
このような思考が、動けない自分を許せなくさせます。
2. 他者との比較
周りと比べてしまう
- 「みんなは普通にできているのに」
- 「自分だけができていない」
- 「SNSで見る他人は充実している」
3. 過去の自分との比較
「以前はできていたのに」
- 「昔はもっと頑張れた」
- 「前はこんなんじゃなかった」
4. 自己価値の低下
動けない=価値がない
- 「役に立たない自分は存在価値がない」
- 「生産性がない自分はダメだ」
5. 焦りと不安
将来への不安
- 「このままではいけない」
- 「取り残される」
- 「どうなってしまうのか」
6. 周囲の期待
家族や社会からのプレッシャー
- 「親を失望させている」
- 「迷惑をかけている」
- 「社会の役に立っていない」
自己否定から抜け出す考え方
動けない自分にイライラし、自己否定に陥ったときの考え方を紹介します。
1. 「動けない」には理由がある
自分を責める前に
動けないのは、心身が「休息が必要」「これ以上は無理」とサインを出している状態です。怠けているのではなく、心身が限界に達している可能性が高いです。
体が動かないのは、体からのメッセージです。
2. 「べき思考」を手放す
「〜すべき」→「〜できたら良いな」
- 「働くべき」→「働けたら良いな」
- 「頑張るべき」→「頑張れたら良いな」
完璧を求めず、柔軟に考えましょう。
3. 比較をやめる
他人と比べても意味がない
- 人それぞれ、状況や背景が違う
- 他人の全てを知ることはできない
- 自分は自分、他人は他人
過去の自分と比べても意味がない
- 今の自分と過去の自分は違う
- 状況も環境も変わっている
4. 「存在するだけで価値がある」
生産性=価値ではない
- 働けなくても、動けなくても、あなたには価値がある
- 人間の価値は「何ができるか」ではなく、「存在すること」にある
5. 小さな一歩を認める
できたことに目を向ける
- 「今日は起きられた」
- 「ご飯を食べた」
- 「歯を磨いた」
小さなことでも、できたことは素晴らしいことです。
6. 完璧主義を手放す
60点で良い
- 100点を目指すから動けない
- 60点でも合格
- やらないよりは、少しでもやる方が良い
7. 自分に優しく
セルフ・コンパッション
友人が同じ状況だったら、どんな言葉をかけますか?
- 「頑張ってるね」
- 「辛いよね」
- 「無理しないで」
同じ言葉を、自分にもかけてあげましょう。
具体的な対処法
動けない状態から少しずつ前に進むための具体的な方法を紹介します。
1. まずは休む
本当に休息が必要
動けないのは、休息が必要なサインです。まずはしっかり休みましょう。
- 十分な睡眠
- 栄養のある食事
- リラックスの時間
- 好きなことをする
「休むこと」も大切な行動です。
2. 小さく始める
ハードルを極限まで下げる
例:
- 「仕事を探す」→「求人サイトを1分だけ見る」
- 「運動する」→「1回だけスクワットする」
- 「掃除する」→「1つだけゴミを拾う」
5分ルール:「5分だけやってみる」。5分経ったら止めてOK。意外と続くこともあります。
3. タスクを分解する
大きなタスクを小さく
例:「部屋を掃除する」
- ゴミを1つ拾う
- 机の上を拭く
- 床を掃除機かける
- 洗濯物を片付ける
1つずつクリアしていきましょう。
4. ToDoリストを作る
可視化する
- やるべきことを書き出す
- 優先順位をつける
- できたものにチェックを入れる
達成感が得られます。
5. ルーティンを作る
毎日の習慣
- 起きる時間を決める
- 朝食を食べる
- 散歩する
- 寝る前にストレッチ
小さなルーティンが、生活のリズムを作ります。
6. 環境を整える
動きやすい環境
- 部屋を片付ける
- 誘惑を減らす(スマホを別の部屋に置くなど)
- 作業しやすいスペースを作る
7. 人に頼る
一人で抱え込まない
- 家族や友人に話す
- 専門家に相談する
- サポートグループに参加する
「助けて」と言うことは、弱さではなく強さです。
8. 記録をつける
日記や記録
- 今日できたこと
- 今日の気分
- 良かったこと
振り返ることで、小さな進歩に気づけます。
9. 自分を労う
自分へのご褒美
小さなことでもできたら、自分を褒めて、ご褒美をあげましょう。
- 好きなお菓子を食べる
- 好きな音楽を聴く
- お風呂にゆっくり浸かる
10. 専門家に相談する
医療機関や相談窓口
動けない状態が長く続く場合、専門家に相談しましょう。
専門家への相談
動けない状態が続き、日常生活に支障が出ている場合は、専門家の助けが必要です。
1. 医療機関(心療内科・精神科)
受診のタイミング
- 2週間以上、気分の落ち込みや意欲低下が続く
- 日常生活(仕事、学業、家事など)に支障が出ている
- 食欲不振、不眠、体重の変化
- 死にたいと思う
受診方法
- かかりつけ医に相談して紹介してもらう
- 心療内科・精神科を直接受診
- 初診は予約が必要な場合が多い
治療
- カウンセリング
- 薬物療法(抗うつ薬、抗不安薬など)
- 認知行動療法
2. カウンセリング・心理相談
臨床心理士・公認心理師
話を聞いてもらい、考え方や行動を見直すサポートを受けられます。
利用方法
- 医療機関のカウンセリング
- 民間のカウンセリングルーム
- 自治体の相談窓口
3. 保健センター・精神保健福祉センター
公的な相談窓口
各市区町村の保健センターや、都道府県の精神保健福祉センターで相談できます。
無料または低額で利用できます。
4. 就労支援機関
働くことに悩んでいる場合
- 若者サポートステーション(サポステ):15歳〜49歳対象
- 障害者就業・生活支援センター
- ハローワークの専門窓口
5. 生活困窮者自立支援制度
経済的に困窮している場合
市区町村の自立相談支援機関で相談できます。
- 生活の立て直し
- 就労支援
- 家計相談
- 住居確保
6. 電話相談
気軽に相談
こころの健康相談統一ダイヤル
- 電話:0570-064-556
- 都道府県・政令指定都市が実施
よりそいホットライン
- 電話:0120-279-338
- 24時間対応
いのちの電話
- 電話:0570-783-556
- フリーダイヤル:0120-783-556(毎月10日のみ、8:00〜翌8:00)
利用できる支援制度
動けない状態が続き、社会生活に支障がある場合に利用できる制度があります。
1. 自立支援医療(精神通院医療)
医療費の軽減
精神疾患で通院している場合、医療費の自己負担が原則1割になります。
2. 精神障害者保健福祉手帳
取得のメリット
- 障害者雇用枠での就職
- 税金の控除
- 公共交通機関の割引
- 各種サービスの利用
3. 就労継続支援B型
働く訓練
一般企業での就労が困難な方が、自分のペースで働く訓練をする場所です。
- 軽作業、パソコン作業など
- 工賃がもらえる
- 無理なく通所できる
4. 就労移行支援
一般就労を目指す
一般企業への就職を目指して訓練します。
- 職業訓練
- 就職活動支援
- 職場定着支援
- 利用期間:原則2年
5. 生活保護
生活に困窮している場合
- 生活費の支給
- 医療費の支給
- 住宅費の支給
6. 傷病手当金
会社員・公務員の場合
病気やケガで働けなくなった場合、健康保険から給付されます。
- 給与の約3分の2
- 最長1年6ヶ月
よくある質問
Q1: 動けないのは甘えですか?
いいえ、甘えではありません。動けない状態は、心身が限界に達しているサインです。医療機関や専門家に相談しましょう。
Q2: どれくらいで回復しますか?
人それぞれです。数週間で回復する人もいれば、数ヶ月〜数年かかる人もいます。焦らず、自分のペースで回復していきましょう。
Q3: 薬を飲むのが怖いです
医師とよく相談しましょう。薬の効果や副作用について説明を受け、納得してから服用することが大切です。薬が合わない場合は、医師に相談して変更できます。
Q4: 家族に理解してもらえません
家族も心配や不安から、厳しい言葉をかけてしまうことがあります。家族向けの相談窓口や家族会もあるので、利用を勧めてみましょう。
Q5: 一人暮らしで誰にも頼れません
公的な相談窓口(保健センター、精神保健福祉センター、生活困窮者自立支援窓口など)を利用しましょう。一人で抱え込まず、専門家の力を借りてください。
まとめ
動けない自分にイライラする気持ちは、とても辛いものです。しかし、動けないのは怠けているのではなく、心身が休息を必要としているサインです。
重要なポイント:
- 動けないには理由がある(心身の不調のサイン)
- 自分を責めない(「べき思考」を手放す、比較をやめる)
- 存在するだけで価値がある(生産性=価値ではない)
- 小さく始める(ハードルを極限まで下げる、5分ルール)
- まずは休む(休息も大切な行動)
- 専門家に相談(医療機関、カウンセリング、相談窓口)
- 利用できる制度を知る(自立支援医療、障害者手帳、就労支援など)
動けない状態から回復するには、時間がかかります。焦らず、自分のペースで、一歩ずつ進んでいきましょう。一人で抱え込まず、専門家の力を借りることが大切です。
あなたは決して一人ではありません。必ず、道は開けます。自分に優しく、焦らず、諦めず、前に進んでいきましょう。
