うつ病で仕事ができない|原因・対処法・休職・辞める判断・復職までの道

1.仕事ができないのは病気のせい

「仕事に集中できない」「ミスが増えた」「職場に行けない」うつ病になると、多くの人がこのような状態に陥ります。そして「自分はダメな人間だ」「仕事ができない無能な人間だ」と自分を責めてしまいます。

しかし、仕事ができないのは、あなたの能力や人格の問題ではなく、うつ病という病気の症状です。うつ病は脳の機能に影響を与え、集中力、判断力、意欲、記憶力などを低下させます。これは、風邪を引いて体が動かないのと同じように、病気による一時的な状態です。

重要なのは、無理をして働き続けることではなく、適切な治療と休養を受けることです。多くの人が、休職や治療を経て回復し、再び働けるようになっています。焦らず、まずは自分の健康を最優先にしましょう。

2. うつ病で仕事ができなくなる理由

うつ病が仕事にどのような影響を与えるのか、理解しましょう。

集中力の低下

うつ病では、注意を一つのことに向け続けることが困難になります。

  • 会議中に話が頭に入らない
  • 資料を読んでも内容が理解できない
  • すぐに気が散る、ぼんやりする
  • 同じことを何度も読み返す

これは「怠けている」のではなく、脳の機能が低下しているためです。

思考力・判断力の低下

考えがまとまらず、決断ができなくなります。

  • 優先順位がつけられない
  • 簡単な判断ができない
  • 何から手をつければいいかわからない
  • 考えが堂々巡りする

これにより、仕事の効率が著しく低下します。

記憶力の低下

新しいことを覚えられない、覚えたことを忘れてしまいます。

  • 指示されたことを忘れる
  • 約束を忘れる
  • やるべきことを忘れる
  • 名前や固有名詞が思い出せない

これにより、ミスが増えます。

意欲の低下

何もする気が起きず、行動を起こすことが困難になります。

  • 朝起きられない、会社に行けない
  • 仕事に取り掛かれない
  • すべてが面倒に感じる
  • やり遂げる気力がない

これは「やる気がない」のではなく、脳の報酬系の機能が低下しているためです。

疲労感

常に疲れていて、少し動いただけで疲れ果てます。

  • 朝から既に疲れている
  • 通勤だけで疲れ果てる
  • 午後には集中力が切れる
  • 休んでも疲れが取れない

身体症状

頭痛、肩こり、腹痛、めまいなど、身体の不調も仕事に影響します。

対人関係の困難

人と接することが苦痛になり、コミュニケーションが難しくなります。

  • 人と話すのが辛い
  • 電話に出られない
  • 会議に出席するのが苦痛
  • 同僚を避けてしまう

自己評価の低下

自信を失い、すべてがネガティブに見えます。

  • 「自分は役に立たない」と思う
  • 小さなミスを過度に気にする
  • 批判を深刻に受け止める
  • 将来に希望が持てない

3. 仕事ができない状態の段階

うつ病の重症度によって、仕事への影響も異なります。

軽度  何とか働けるが辛い

  • 仕事はできるが、以前より効率が落ちている
  • ミスが増えた
  • 疲れやすい
  • 仕事が終わると何もできない

この段階では、業務調整や通院治療で改善できる可能性があります。

中等度  仕事が困難

  • 集中できず、仕事が進まない
  • 頻繁にミスをする
  • 遅刻や欠勤が増える
  • 仕事のことを考えると不安や恐怖を感じる

この段階では、休職を検討すべきです。

重度  仕事ができない、または出勤できない

  • 起き上がれない、家を出られない
  • 何もできない
  • 思考が停止している
  • 自殺を考える

この段階では、すぐに休職し、治療に専念する必要があります。

4. 今すぐできる対処法

仕事ができない状態に陥ったとき、今すぐできることがあります。

医療機関を受診する

まだ受診していない場合は、すぐに精神科または心療内科を受診してください。診断と治療を受けることが、回復への第一歩です。

上司や人事に相談する

現状を隠さず、上司や人事部門に相談しましょう。診断書を提出し、業務調整や休職を検討します。

「迷惑をかけたくない」と思うかもしれませんが、無理をして症状を悪化させる方が、結果的に迷惑をかけることになります。

業務量を減らす

すべての仕事をこなそうとせず、優先度の高いものだけに絞ります。上司に相談し、業務の一部を他の人に振ってもらいます。

休職を検討する

中等度以上の症状がある場合、休職を検討しましょう。医師に診断書を書いてもらい、会社に提出します。

無理に出勤しない

体が動かない、家を出られない場合は、無理に出勤しようとしないでください。まず医療機関に連絡し、指示を仰ぎます。

自分を責めない

「自分がダメだから」「努力が足りないから」と自分を責めないでください。これは病気の症状であり、あなたのせいではありません。

完璧を求めない

すべてを完璧にこなそうとせず、「今できることをやればいい」と考えましょう。

5. 休職するべきかの判断

休職するかどうかは、重要な判断です。

休職を検討すべきサイン

以下のような状態が2週間以上続く場合、休職を検討しましょう。

  • 朝起きられない、出勤できない
  • 仕事に集中できない
  • 頻繁にミスをする
  • 遅刻や欠勤が増えている
  • 仕事のことを考えると強い不安や恐怖を感じる
  • 食欲がない、眠れない
  • 死にたいと思う

医師の意見を聞く

休職するかどうかは、医師と相談して決めます。医師が「就労不能」と判断すれば、診断書を書いてもらえます。

休職のメリット

治療に専念できる 仕事のストレスから離れ、治療と休養に専念できます。

症状の悪化を防ぐ 無理をして働き続けると、症状が悪化し、回復に時間がかかります。

経済的サポートがある 休職中は、傷病手当金(給与の約3分の2、最長1年6ヶ月)を受け取れます。

休職のデメリット

収入が減る 傷病手当金は給与の約3分の2のため、収入は減ります。

キャリアへの影響 休職期間が長引くと、キャリアに影響が出る可能性があります。

復職への不安 「戻れるだろうか」という不安が生じます。

判断のポイント

健康が第一 キャリアや収入よりも、まず健康が優先です。

早めの休職が早い回復につながる 無理をして悪化させるよりも、早めに休職した方が、結果的に復職が早くなります。

6. 仕事を辞めるべきかの判断

休職ではなく、退職を考える場合もあるでしょう。

辞めるべきではないとき

うつ病の急性期 判断力が低下しているため、重要な決断は避けるべきです。まずは休職し、回復してから考えましょう。

一時的な感情 「もう無理」「辞めたい」という気持ちは、うつ病の症状である可能性があります。落ち着いてから判断しましょう。

辞めることを検討してもいいとき

職場環境が原因 パワハラ、過度な業務負担、人間関係のトラブルなど、職場環境がうつ病の原因である場合、同じ環境に戻ると再発のリスクが高いです。

回復後に判断する 症状が落ち着いてから、冷静に判断します。

転職先の目処が立っている 次の仕事が決まっている、または就職活動ができる状態であれば、退職も選択肢です。

退職前に確認すること

傷病手当金の継続 退職しても、条件を満たせば傷病手当金を継続して受給できます。

条件  

  • 退職日まで継続して1年以上健康保険に加入していた
  • 退職日に傷病手当金を受給している、または受給できる状態にあった

失業保険 退職後、回復してから失業保険を受給できます。うつ病での退職は「特定理由離職者」として、給付制限期間が短縮される可能性があります。

経済的な見通し 当面の生活費を確保できるか、確認します。

7. 休職中の過ごし方

休職期間をどう過ごすかが、回復に大きく影響します。

最初の1〜2週間  とにかく休む

何もせず、ただ休むことに専念します。睡眠、食事、最低限の身の回りのことだけで十分です。

生活リズムを整える

毎日同じ時間に起きる、寝る、食事をすることで、心身のリズムが整います。

治療を続ける

定期的に通院し、医師の指示に従います。薬が処方されている場合は、指示通りに服用します。

軽い運動を取り入れる

散歩などの軽い運動は、気分の改善に効果があります。無理のない範囲で始めましょう。

趣味やリラックスできることをする

少しでも楽しいと感じられることがあれば、無理のない範囲で取り組みます。

仕事のことは考えない

休職中は、できるだけ仕事のことを考えないようにします。会社のメールやLINEも見なくてOKです。

焦らない

「早く治さなければ」と焦ると、かえってストレスになります。「少しずつ良くなればいい」と考えましょう。

回復の記録をつける

気分や体調の変化を記録することで、自分の回復を実感できます。

8. 復職への準備

症状が改善してきたら、復職の準備を始めます。

医師と相談する

医師が「就労可能」と判断するまで、焦って復職しないようにしましょう。

リワークプログラムを利用する

復職支援プログラムを提供している施設があります。模擬的な職場環境で、働く練習をしながら、復職の準備をします。

段階的に復職する

リハビリ出勤 正式な復職の前に、試験的に短時間出勤する期間を設けます。

短時間勤務から開始 最初は午前中だけ、または週に数日だけ出勤し、徐々に増やします。

業務量の調整 最初から通常の業務量をこなすのではなく、軽い業務から始めます。

産業医との面談

会社に産業医がいる場合、復職前に面談を行い、復職のタイミングや条件について相談します。

上司や同僚とのコミュニケーション

復職前に、上司や信頼できる同僚と連絡を取り、職場の状況を把握しておくと安心です。

働き方を見直す

以前と同じ働き方は避ける うつ病の原因が仕事にある場合、以前と同じ働き方に戻ると再発のリスクが高まります。

無理のない働き方を探す 残業を減らす、業務を調整する、配置転換を相談するなど、無理のない働き方を見つけます。

再発予防

ストレス管理 ストレスのサインに早めに気づき、対処します。

定期的な通院 復職後も通院を続け、医師と連携します。

セルフケア 規則正しい生活、適度な運動、趣味や楽しみを持つことで、ストレス耐性が高まります。

9. 働き方を変える選択肢

同じ職場に戻ることが難しい場合、働き方を変えることも検討します。

配置転換

部署や業務内容を変えることで、ストレスが軽減されることがあります。会社に相談してみましょう。

勤務形態の変更

短時間勤務 フルタイムではなく、時短勤務やパートタイムで働く。

在宅勤務 通勤のストレスを避け、自宅で働く。

フレックスタイム 始業・終業時刻を柔軟に設定できる制度を利用する。

転職

新しい環境で、自分に合った働き方を探します。

  • 業務内容を変える
  • 職場の規模や文化を変える
  • 働く時間や場所を変える

転職活動は、回復してから行いましょう。

フリーランス・自営業

組織に属さず、自分のペースで働く選択肢もあります。ただし、収入の不安定さや、健康保険の問題(国民健康保険には傷病手当金がない)があるため、慎重に検討しましょう。

就労支援を利用する

就労移行支援 障害者総合支援法に基づく福祉サービスです。働くためのスキルを学び、就職活動をサポートしてもらえます。

就労継続支援(A型・B型) すぐに一般就労が難しい場合、福祉的な働く場で、ゆっくりと働く力を取り戻せます。

障害者雇用

精神障害者保健福祉手帳を取得すれば、障害者雇用枠で就職できます。配慮を受けながら働けるため、長く安定して働ける可能性が高まります。

10. よくある質問(FAQ)

Q    仕事ができないのは、私が無能だからですか? 

A    いいえ、うつ病という病気の症状です。脳の機能が低下しているため、集中力や判断力が落ちています。あなたの能力や人格の問題ではありません。

Q    休職すると、クビになりますか? 

A    病気療養のための休職を理由に解雇することは、原則として違法です。ただし、休職期間が就業規則で定められた上限を超えた場合、退職扱いになることがあります。

Q    休職中の給料はどうなりますか? 

A    多くの企業では休職中は無給ですが、健康保険から傷病手当金(給与の約3分の2、最長1年6ヶ月)が支給されます。

Q    いつになったら働けるようになりますか? 

A    個人差がありますが、適切な治療と休養により、多くの人が数ヶ月から半年程度で復職しています。焦らず、じっくり治療に取り組みましょう。

Q    同僚に迷惑をかけてしまいます。 

A    あなたが病気で休むことは、決して悪いことではありません。誰でも病気になる可能性があり、お互い様です。今は自分の健康を最優先にしてください。

Q    うつ病になったことを職場に知られたくありません。 

A    診断書に病名を記載しないよう医師に依頼することもできますが、適切な配慮を受けるには、ある程度の情報共有が必要です。人事部門や産業医との情報共有は、守秘義務があるため安心です。

Q    復職後、また同じことになるのではないかと不安です。 

A    再発のリスクはありますが、ストレス管理、働き方の見直し、早めの対処により、予防できます。定期的な通院を続け、医師と連携しましょう。

Q    転職活動はいつから始められますか? 

A    症状が落ち着き、医師が「就労可能」と判断してからです。うつ病の急性期に転職活動を行うと、かえって症状が悪化します。

まとめ

うつ病で仕事ができないのは、あなたのせいではありません。これは病気の症状であり、適切な治療と休養により改善できます。無理をして働き続けるよりも、まずは健康を取り戻すことが最優先です。多くの人が、休職や治療を経て回復し、再び働けるようになっています。焦らず、自分を責めず、専門家のサポートを受けながら、一歩ずつ前に進んでいきましょう。あなたの価値は、仕事ができるかどうかで決まるものではありません。健康を取り戻し、自分らしく生きる道を見つけていってください。

関連記事

コメント

この記事へのコメントはありません。