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「誰の役にも立っていない」「自分がいてもいなくても同じ」「社会に貢献できていない」――役に立っていないと感じている方へ向けて、本記事ではその気持ちが生まれる原因、心への影響、考え方を変える方法、自分の価値を再発見する具体的なアプローチ、そして専門家に相談すべきタイミングについて詳しく解説します。「役に立つ・立たない」で人の価値は測れません。
「役に立っていない」という気持ち
まず、この感情について理解しましょう。
どんな気持ちか
具体的な思考
- 「誰の役にも立っていない」
- 「自分がいてもいなくても同じ」
- 「社会に貢献できていない」
- 「家族の負担になっているだけ」
- 「何の価値も生み出していない」
- 「自分は無用な存在だ」
- 「働いていないから、役に立っていない」
- 「人に頼ってばかりで申し訳ない」
- 「存在する意味がわからない」
こんな状況で感じていませんか?
よくある状況
- 仕事をしていない、失業中
- 病気や障害で働けない
- 休職中、療養中
- 引きこもり、ニート
- 専業主婦・主夫
- 退職後、年金生活
- 学生で「まだ社会に出ていない」
- 育児中、介護中
- 思うように動けない時
あなただけではない
多くの人が同じ気持ちを経験している
「役に立っていない」という感情は、非常に多くの人が経験します。特に:
- 仕事や役割を失った時
- 体調を崩した時
- 他人と比較した時
- 疲れている時
- 自己肯定感が低下している時
この感情は、決して珍しいものではありません。
「役に立っていない」と感じる原因
なぜこう感じるのか、原因を理解しましょう。
1. 生産性至上主義の社会
「働く=価値」という価値観
現代社会、特に日本では:
- 「働かざる者食うべからず」
- 「生産性が高い人が価値がある」
- 「社会に貢献できない人は無価値」
という価値観が根強く存在します。
資本主義社会の影響:
- 経済的な生産性で人を評価
- 「役に立つ=お金を生み出す」
- 「消費者」「納税者」としての価値
しかし、人間の価値は生産性では測れません。
2. 役割の喪失
アイデンティティの基盤
多くの人は、自分の役割に自己価値を見出しています。
- 仕事:「○○会社の社員」「○○職」
- 家庭:「父親」「母親」「長男」
- 学校:「学生」「○○部」
これらの役割を失うと、「自分は何者か」「何のために生きているか」がわからなくなります。
役割を失う状況:
- 失業、退職
- 病気、障害
- 子どもの独立(空の巣症候群)
- 退職後
- 引きこもり
3. うつ病・抑うつ状態
病気の症状
うつ病では、「自分は役に立たない」「価値がない」という思考が典型的な症状です。
うつ病の他の症状:
- 憂うつな気分が続く(2週間以上)
- 何にも興味が持てない
- 疲れやすい、気力が出ない
- 眠れない、または寝すぎる
- 食欲がない、または過食
- 集中力の低下
- 自分を責める
- 死にたいと思う
うつ病の時は、脳の機能が変化し、すべてをネガティブに考えてしまいます。
4. 自己肯定感の低下
自分を認められない
自己肯定感が低いと、どんなに役に立っていても「まだ足りない」と感じます。
自己肯定感が低い原因:
- 幼少期の否定的な体験
- いじめ、虐待
- 失敗体験の積み重ね
- 完璧主義
5. 他人との比較
SNSの影響
SNSで他人の「成功」「充実した生活」を見て、自分と比較してしまいます。
- 「あの人は活躍している」
- 「友人は結婚して、子どももいる」
- 「自分だけ何もしていない」
しかし、SNSは人の一面しか映していません。
6. 孤独・孤立
人とのつながりの欠如
人とのつながりがないと、「自分は必要とされていない」と感じやすくなります。
- 相談できる人がいない
- 感謝されることがない
- 誰からも声をかけられない
7. 完璧主義
「十分」がない
完璧主義の人は、どんなに頑張っても「まだ足りない」と感じます。
- 「もっとできるはず」
- 「これくらいでは役に立っていない」
8. 燃え尽き症候群
頑張りすぎた結果
過去に「役に立とう」と頑張りすぎて、燃え尽きてしまった結果、今は何もできず「役に立っていない」と感じることがあります。
9. 世代的な価値観
「戦後世代」「高度成長期世代」
特に高齢の方で、「働いて家族を養うことが価値」という価値観を持っている方は、退職後や病気で働けなくなった時に、強く「役に立っていない」と感じることがあります。
10. 社会からの疎外感
「普通」から外れている感覚
- 働いていない
- 結婚していない
- 子どもがいない
- 学校に行っていない
「普通」とされる道から外れていると感じると、「社会の役に立っていない」と思いがちです。
「役に立つ・立たない」という考え方の問題
この考え方自体に、問題があります。
1. 人間の価値は「役に立つかどうか」では決まらない
存在しているだけで価値がある
- すべての人間は、生まれた時から価値があります
- 「役に立つ・立たない」で人の価値は測れません
- あなたは、何もしなくても、存在しているだけで価値があります
2. 「役に立つ」の定義は曖昧
誰にとって?何に?
- 「役に立つ」とは、誰にとって、何の役に立つのでしょうか?
- 社会?家族?会社?
- 経済的?精神的?
定義が曖昧なまま、自分を否定していませんか?
3. 見えない貢献
気づいていないだけ
あなたは気づいていないかもしれませんが、
- 家族がいるなら、あなたの存在が家族の心の支えになっている
- 笑顔を見せるだけで、誰かの気持ちが明るくなっている
- ただ生きているだけで、誰かが安心している
見えない貢献は、たくさんあります。
4. 「役に立つ」ことを強要される社会
おかしいのは社会
「役に立たなければ価値がない」という社会の価値観がおかしいのであって、あなたがおかしいわけではありません。
5. 休むことも大切
休息も「役に立つ」
- 休んで回復することは、将来の活動のために必要
- 休むことは、怠けることではありません
- 今は休む時期かもしれません
自分の価値を再発見する方法
「役に立つ・立たない」ではない、自分の価値を見つける方法を紹介します。
1. 「存在の価値」を認める
Being(存在)> Doing(行動)
- 何かをするから価値があるのではなく、存在しているだけで価値があります
- 「I am(私は存在する)」が基本
練習: 毎朝、鏡を見て言う: 「私は存在しているだけで価値がある」
2. 小さな貢献に気づく
見えない貢献を可視化
あなたが日常でしている小さなことを書き出してみましょう。
例:
- 朝、家族に挨拶した
- ゴミを出した
- ペットに餌をあげた
- 友人のメッセージに返信した
- 電車で席を譲った
- 店員さんに「ありがとう」と言った
- ただ生きている(それだけで誰かが安心している)
どんなに小さなことでも、それは貢献です。
3. 感謝されなくても良い
承認を求めない
- 役に立っていても、感謝されないことはあります
- 感謝されなくても、あなたの価値は変わりません
- 他人の評価に依存しない
4. 自分のために生きる
誰かのためだけでなく
- 「人の役に立つため」だけに生きる必要はありません
- 自分のために生きることも大切
- 自分が幸せになることが、周りも幸せにします
5. 他人と比較しない
自分は自分
- SNSを見る時間を減らす
- 「人は人、自分は自分」
- 「自分の人生」を生きる
6. 価値観を見直す
「役に立つ=価値」から脱却
- 「役に立たなければ価値がない」という価値観を疑う
- 「人間の価値は、存在そのものにある」と考え直す
7. 今できることをする
小さな一歩
- 「大きな貢献」を目指さなくていい
- 今できる小さなことをする
- 散歩する、本を読む、誰かと話す
8. 休むことを許す
休息も大切な時間
- 「休んでいてもいい」と自分に許可を出す
- 「今は充電期間」と考える
- 焦らない
9. 専門家に相談する
カウンセリング
カウンセリングで、自分の価値観を見つめ直し、自己肯定感を回復できます。
10. ボランティアや趣味
「役に立つ」を感じられる活動
もし「役に立ちたい」という気持ちが強いなら:
- ボランティア活動
- 趣味のサークル
- オンラインコミュニティでの交流
- ペットの世話
無理のない範囲で、社会とつながる活動をしてみましょう。
「役に立っていない」と感じる人への具体的なメッセージ
働いていないあなたへ
働いていなくても価値がある
- 病気や障害で働けない → それはあなたのせいではありません
- 失業中 → 今は休息と準備の時間
- 引きこもり → 今は心を癒す時間
- 専業主婦・主夫 → 家事、育児は立派な仕事です
- 年金生活 → これまで十分に働きました。今は休む時です
働いていない=価値がない、ではありません。
病気や障害があるあなたへ
存在しているだけで価値がある
- あなたは、誰かの心の支えになっています
- あなたがいるから、家族は頑張れます
- あなたは、ただ生きているだけで素晴らしい
育児中・介護中のあなたへ
それは立派な「役割」です
- 育児、介護は、社会を支える重要な仕事です
- 「誰でもできる」わけではありません
- あなたは十分に役に立っています
引きこもっているあなたへ
今は休む時期
- 引きこもることが必要な時もあります
- 今は心を回復させる時間
- 焦らず、自分のペースで
高齢者のあなたへ
これまで十分に頑張りました
- これまでの人生で、十分に社会に貢献しました
- 今は、自分のために生きる時です
- 存在しているだけで、家族の宝物です
専門家に相談すべきタイミング
こんな時は、早めに専門家に相談しましょう。
すぐに相談すべきサイン
- 死にたいと思う:「役に立たないから死んだ方がいい」
- 自傷行為:リストカット、薬の大量服用など
- 日常生活に大きな支障:起きられない、食べられない
- 2週間以上続く抑うつ気分:憂うつな気分が続いている
- 孤立している:誰とも話していない
- 強い罪悪感:「迷惑をかけている」と強く思う
相談先
1. こころの健康相談統一ダイヤル
- 電話:0570-064-556
2. よりそいホットライン
- 電話:0120-279-338
- 24時間・無料
3. いのちの電話
- 電話:0570-783-556
4. 心療内科・精神科
- クリニックを探して受診
- カウンセリング、薬物療法
5. 精神保健福祉センター
- 各都道府県・政令指定都市に設置
- 相談、医療機関の紹介
6. 地域包括支援センター
- 高齢者の場合
7. ハローワーク
- 就職相談
8. 生活困窮者自立相談支援機関
- 生活全般の相談
治療・支援の選択肢
専門家に相談した後の選択肢です。
1. カウンセリング・心理療法
認知行動療法(CBT):
- 「役に立たない=価値がない」という考え方を修正
- 自己肯定感を高める
ACT(アクセプタンス&コミットメント・セラピー):
- 価値に基づいた行動
2. 薬物療法
うつ病の場合
- 抗うつ薬
- 抗不安薬
3. デイケア・居場所
社会とのつながり
- 地域活動支援センター
- 精神科デイケア
- NPOの居場所
4. 就労支援
働きたい場合
- 就労移行支援
- 就労継続支援A型・B型
- 障害者就業・生活支援センター
5. 生活支援
生活全般の支援
- 生活困窮者自立相談支援機関
- 生活保護
6. グループセラピー・自助グループ
同じ悩みを持つ人同士
- 経験の共有
- 孤立感の軽減
周囲の人ができること
「役に立っていない」と感じている人を支える側の方へ。
家族・友人ができること
1. 存在を認める:
- 「あなたがいてくれて嬉しい」
- 「あなたは大切な存在だ」
2. 感謝を伝える:
- 小さなことでも「ありがとう」と言う
- 「助かったよ」と伝える
3. 役割を与える:
- 小さな役割をお願いする
- 「○○をお願いしていい?」
4. 比較しない:
- 他人と比較しない
- 「○○さんは働いているのに」など言わない
5. 専門家への相談を勧める:
- 「一度、相談してみない?」
6. 無理をさせない:
- 「無理しないでいいよ」
- 「休んでいいんだよ」
よくある質問(FAQ)
Q1:本当に役に立っていないのですが…
A:あなたは気づいていないだけです。存在しているだけで、誰かの心の支えになっています。小さな貢献も含めて、あなたは十分に役に立っています。
Q2:働いていないと、社会のお荷物では?
A:いいえ、違います。人間の価値は、経済的な生産性では測れません。あなたには、働く・働かないに関わらず、価値があります。
Q3:家族に迷惑をかけています
A:家族は、あなたがいることが嬉しいはずです。「迷惑」ではなく「支え合い」です。
Q4:何もできない自分は、生きている意味がないのでは?
A:生きている意味は、「役に立つこと」だけではありません。存在しているだけで意味があります。
Q5:いつになったら役に立てますか?
A:あなたは既に役に立っています。気づいていないだけです。
Q6:どうしても「役に立ちたい」という気持ちが強いです
A:その気持ちは素晴らしいです。ただし、無理のない範囲で。小さなボランティアや、オンラインでの交流など、できることから始めてみませんか?
まとめ
「役に立っていない」と感じる原因は、生産性至上主義の社会、役割の喪失、うつ病、自己肯定感の低下、他人との比較などです。
しかし、人間の価値は「役に立つかどうか」では決まりません。
大切なこと:
- 存在しているだけで価値がある
- 小さな貢献に気づく
- 感謝されなくても良い
- 他人と比較しない
- 休むことを許す
すぐに相談すべきサイン:
- 死にたいと思う
- 自傷行為
- 日常生活に大きな支障
- 2週間以上続く抑うつ気分
相談先:
- こころの健康相談統一ダイヤル:0570-064-556
- よりそいホットライン:0120-279-338
- 心療内科・精神科
あなたへのメッセージ:
あなたは、役に立っています。 気づいていないだけです。
あなたは、存在しているだけで価値があります。 何かをしなければ価値がない、わけではありません。
働いていなくても、 病気や障害があっても、 引きこもっていても、 高齢であっても、
あなたには価値があります。
「役に立つ・立たない」で人を測る社会がおかしいのであって、あなたがおかしいわけではありません。
どうか、自分を責めないでください。 どうか、自分を大切にしてください。
あなたが自分の価値に気づけますように。 あなたが自分を好きになれますように。
