「B型事業所を一度辞めたが、また戻りたい」「体調を崩して退所したが、回復したら再利用できるのか」「別の事業所に移ったが、前の事業所の方が良かった」
就労継続支援B型を一度辞めた、または休止した後、再び利用したいと考えている方は少なくありません。体調の悪化、環境の変化、ミスマッチ、様々な理由で一度は離れたものの、状況が変わって「やっぱりB型に戻りたい」と思うことがあります。
しかし、「一度辞めたら二度と利用できないのではないか」「同じ事業所には戻れないのではないか」という不安を抱えている方も多いでしょう。結論から言えば、B型は基本的に再利用可能です。
本記事では、B型に戻れるかどうかの基本ルール、同じ事業所に戻る場合と別の事業所に行く場合の違い、再利用の手続き、円満に戻るためのポイント、そして再利用時に気をつけるべきことについて詳しく解説していきます。
B型は再利用できるのか?基本ルール
まず、最も重要な結論からお伝えします。
基本的には再利用可能
制度上の制限はない
就労継続支援B型は、福祉サービスの一つであり、一度辞めても再び利用することに制度上の制限はありません。
- 何回でも利用できる
- 利用期間の制限もない(A型や就労移行支援のような期限がない)
- 年齢制限もない(対象要件を満たしていれば)
受給者証があれば利用可能
支給決定が有効であれば
市区町村から交付された受給者証が有効期間内であれば、その受給者証で別のB型事業所を利用できます。
- 受給者証の有効期間は通常1〜3年
- 有効期間内であれば、事業所を変更するだけ
- 有効期間が切れている場合は、再申請が必要
事業所側の受け入れ次第
制度上はOKでも、事業所の判断が必要
制度上は再利用可能ですが、実際に受け入れてもらえるかは事業所側の判断によります。
事業所が考慮するポイント
- 定員に空きがあるか
- 前回辞めた理由
- 現在の状態
- 他の利用者との関係
- トラブルの有無
同じ事業所に戻る場合
一度辞めた同じ事業所に戻りたい場合について説明します。
戻れる可能性が高いケース
事業所が歓迎してくれるケース
以下のような場合、同じ事業所に戻れる可能性が高いです。
1. 体調不良で休んでいた
- 病気やメンタル不調で一時的に休止していた
- 回復して戻りたい
- 事業所側も「体調が良くなったら戻ってきてね」と言ってくれていた
2. 円満に退所した
- 「一般就労に挑戦する」など前向きな理由で退所
- うまくいかなかったので戻りたい
- 事業所との関係は良好だった
3. 家庭の事情で一時的に辞めた
- 家族の介護
- 引っ越し
- その他のやむを得ない事情
- 状況が落ち着いたので戻りたい
4. 短期間の離脱
- 数週間〜数ヶ月程度の短期間
- 職員も利用者も覚えている
- 定員に空きがある
5. 事業所側から「いつでも戻って」と言われていた
- 退所時に「また戻りたくなったらいつでもどうぞ」と言われていた
戻るのが難しいケース
事業所が受け入れにくいケース
以下のような場合、同じ事業所に戻るのが難しいことがあります。
1. トラブルを起こして辞めた
- 暴力、暴言
- 他の利用者とのトラブル
- 職員との深刻な対立
- ルール違反
2. 無断欠席を繰り返した後、突然辞めた
- 連絡なしで来なくなった
- 事業所側が何度も連絡したのに応答しなかった
- 「もう来ない」という態度だった
3. 定員が満員
- あなたが辞めた後、別の利用者が入った
- 空きがない
- 待機リストがある
4. 長期間(数年)経過している
- 職員が入れ替わっている
- 事業所の方針が変わっている
- もはや覚えていない
5. 前回の利用が短期間で何度も辞めている
- 数週間で辞める→戻る→辞める、を繰り返している
- 事業所側が「また辞めるのでは」と不安に思う
同じ事業所に戻る手順
ステップ1 相談支援専門員に相談する
まず、担当の相談支援専門員に、
- 「前に通っていたB型事業所に戻りたい」
- 「可能かどうか確認してほしい」
と相談します。
ステップ2 事業所に連絡する
相談支援専門員を通じて、または自分で直接、事業所に連絡します。
伝えること
- 以前利用していた〇〇です
- また利用させていただきたいのですが、可能でしょうか
- 前回辞めた理由の説明(簡潔に)
- 現在の状態
ステップ3 事業所との面談
事業所側が受け入れを検討してくれる場合、面談が設定されます。
面談で聞かれること
- なぜ戻りたいのか
- 前回辞めた理由
- 現在の体調・状態
- 以前と同じ問題が起こらないか
ステップ4 受け入れ決定
事業所が受け入れを決定すれば、再利用開始です。
- 受給者証が有効期間内であれば、そのまま利用開始
- 受給者証が切れている場合は、再申請が必要
ステップ5 再利用開始
改めて利用契約を結び、個別支援計画を作成し、利用開始します。
別の事業所に行く場合
前の事業所には戻らず、別のB型事業所を利用する場合について説明します。
別の事業所への移行は比較的容易
事業所変更は自由
B型事業所を変更することは、制度上自由です。前の事業所の許可は不要です。
手順
ステップ1 相談支援専門員に相談
- 「別のB型事業所を探したい」
- 「前の事業所は〇〇という理由で合わなかった」
ステップ2 新しい事業所を探す
- 相談支援専門員が提案してくれる
- 自分でも探す
- 複数見学する
ステップ3 新しい事業所で体験利用
- 見学・体験利用
- 自分に合うか確認
ステップ4 契約
- 受給者証が有効期間内であれば、そのまま新しい事業所と契約
- 受給者証が切れている場合は、再申請
ステップ5 前の事業所に退所を伝える
- 既に辞めている場合は不要
- まだ在籍している場合は、退所の手続き
前の事業所に理由を詳しく説明する必要はない
「合わなかった」で十分
前の事業所に、なぜ辞めるのか、どこに移るのかを詳しく説明する義務はありません。
- 「自分に合った環境を探したい」
- 「新しい場所で挑戦したい」
この程度で十分です。
受給者証が切れている場合の再申請
一度辞めてから長期間経過し、受給者証の有効期間が切れている場合、再申請が必要です。
再申請の手順
ステップ1 相談支援専門員に連絡
担当の相談支援専門員に連絡します。担当者が変わっている、またはいない場合は、市区町村の障害福祉課に相談します。
ステップ2 サービス等利用計画の作成
相談支援専門員が、サービス等利用計画(案)を作成します。
ステップ3 市区町村に申請
市区町村の障害福祉課に、再度支給申請をします。
必要書類
- 申請書
- 障害者手帳(または医師の診断書・意見書)
- サービス等利用計画案
ステップ4 支給決定
審査が通れば、新しい受給者証が交付されます。
ステップ5 事業所と契約
受給者証を持って、事業所と利用契約を結びます。
再申請は通りやすい
以前に利用していた実績があれば
以前にB型を利用していた実績があれば、再申請は比較的スムーズに通ります。要件を満たしていれば、問題なく支給決定されます。
円満に戻るためのポイント
同じ事業所に戻る場合、円満に戻るためのポイントを紹介します。
1. 正直に理由を伝える
なぜ辞めたのか、なぜ戻りたいのか
- 前回辞めた理由を正直に伝える(ただし、批判的にならない)
- なぜ今戻りたいのかを説明する
- 「前回は体調が悪かったが、今は回復した」
- 「他の場所を試したが、やはりここが自分に合っていると感じた」
2. 謝罪(必要な場合)
迷惑をかけた場合
もし、前回の退所時に迷惑をかけた、トラブルがあった場合は、素直に謝罪します。
- 「前回は〇〇でご迷惑をおかけしました」
- 「申し訳ありませんでした」
- 「今度は〇〇に気をつけます」
3. 変わった点をアピール
前回と違うことを示す
- 「前回は体調管理ができていなかったが、今は〇〇を心がけている」
- 「前回は対人関係が苦手だったが、カウンセリングで改善した」
- 「前回と同じ問題は起こさない自信がある」
4. 感謝を伝える
お世話になったことへの感謝
- 「前回はお世話になりました」
- 「ここで学んだことが役に立ちました」
- 「またお世話になりたいです」
5. 現実的な計画を示す
無理のない計画
- 「最初は週2日から始めたい」
- 「体調を見ながら徐々に増やしたい」
現実的で無理のない計画を示すことで、事業所側も安心します。
6. 職員や利用者への挨拶
復帰初日
戻った初日は、職員や以前の仲間に挨拶をします。
- 「また戻ってきました。よろしくお願いします」
再利用時に気をつけるべきこと
再びB型を利用する際、気をつけるべきポイントです。
1. 前回と同じ失敗を繰り返さない
原因を分析し、対策する
前回辞めた理由を分析し、同じことが起こらないように対策します。
例
- 前回 体調管理ができず、欠席が増えて辞めた
- 対策 生活リズムを整える、通所日数を減らす、体調記録をつける
2. 無理をしない
焦らず、自分のペース
「前回失敗したから、今度こそ頑張らなければ」と焦ると、また無理をして続かなくなります。
- 自分のペースで
- 無理のない範囲で
- 休むことも大切
3. 早めに相談する
問題が小さいうちに
前回は問題が大きくなってから辞めたのであれば、今回は早めに相談する習慣をつけます。
- 体調が悪いとき
- 作業が辛いとき
- 人間関係で悩んでいるとき
早めに職員に相談します。
4. 周囲との関係を大切にする
孤立しない
- 職員とのコミュニケーション
- 他の利用者との適度な関係
- 孤立すると辛くなる
適度な距離感を保ちながら、関係を築きます。
5. 自己評価を定期的にする
定期的に振り返る
- 今の通所は自分に合っているか
- 無理をしていないか
- 続けられそうか
- 調整が必要か
定期的に自己評価し、必要に応じて相談支援専門員や事業所に相談します。
6. 「辞めてもいい」と思う
プレッシャーを軽減
「前回辞めたから、今度は絶対に続けなければ」と思うと、プレッシャーが大きくなります。
「合わなければ、また辞めてもいい」
このくらいの気持ちの方が、かえって続きやすいです。
よくある質問(FAQ)
Q1. 何度も辞めたり戻ったりを繰り返しても大丈夫ですか?
A. 制度上は可能ですが、事業所との関係に影響します。
制度上は何度でも利用できますが、短期間で何度も辞める→戻るを繰り返すと、事業所側も「また辞めるのでは」と不安に思います。できれば、なぜ続かないのかを分析し、対策を考えることが大切です。
Q2. 他の利用者の目が気になります。
A. 「体調を崩していましたが、回復したので戻りました」で十分です。
詳しく説明する必要はありません。職員から他の利用者に説明してもらうこともできます。
Q3. 前回トラブルを起こしたのですが、戻れますか?
A. トラブルの内容と事業所の判断によります。
重大なトラブル(暴力など)の場合、難しいかもしれません。しかし、謝罪し、改善の姿勢を示せば、受け入れてくれる事業所もあります。別の事業所を探す方が現実的な場合もあります。
Q4. 数年ブランクがありますが、大丈夫ですか?
A. 大丈夫です。ブランクがあっても利用できます。
数年のブランクがあっても、現在の状態で判断されます。ただし、受給者証の再申請が必要な場合があります。
Q5. 前の事業所に連絡するのが怖いです。
A. 相談支援専門員に代わりに連絡してもらえます。
自分で連絡するのが怖い場合、相談支援専門員に間に入ってもらうことができます。
Q6. 一度一般就労したが、うまくいかず、B型に戻りたいです。
A. よくあるケースです。問題ありません。
B型→一般就労→B型という流れは珍しくありません。「挑戦したがうまくいかなかった」ことは恥ではありません。
まとめ
就労継続支援B型は、一度辞めても再び利用することが可能です。制度上の制限はなく、受給者証が有効であれば、同じ事業所にも別の事業所にも戻ることができます。
同じ事業所に戻る場合、体調不良での休止や円満退所であれば戻りやすく、トラブルや無断欠席の後では難しいことがあります。戻る際は、正直に理由を伝え、必要なら謝罪し、変わった点をアピールすることが大切です。
別の事業所に移る場合は、比較的容易で、前の事業所の許可は不要です。相談支援専門員と一緒に、自分に合った事業所を探します。
受給者証が切れている場合は再申請が必要ですが、以前の利用実績があれば比較的スムーズに通ります。
再利用時は、前回と同じ失敗を繰り返さないよう対策し、無理をせず、早めに相談し、「辞めてもいい」くらいの気持ちで臨む方が、かえって続きやすいです。
一度辞めたからといって、二度と戻れないわけではありません。状況は変わります。人は変わります。過去は過去として、今の自分に合った選択をすることが大切です。
焦らず、自分のペースで、自分に合った居場所を見つけていってください。戻ることも、新しい場所を探すことも、どちらも正しい選択です。
あなたには、何度でも挑戦する権利があります。失敗を恐れず、自分らしく歩んでいってください。

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