「B型事業所の体験で落とされることはあるのか」「体験に合格・不合格があるのか心配」「どんな人が利用を断られるのか」――就労継続支援B型の体験利用を控えている方、あるいは体験中の方の中には、「合格・不合格」があるのではないかと不安を感じている方がいます。一般的な就職活動のように「面接で落とされる」「試用期間で不採用になる」といったことが、B型でも起こるのでしょうか。結論から言えば、B型は福祉サービスであり、基本的に「不合格」という概念はありません。しかし、実際には利用をお断りされるケースも存在します。本記事では、B型体験における「合格・不合格」の真実、利用を断られるケースとその理由、体験で見られているポイント、利用開始までの流れ、そして体験をスムーズに進めるためのポイントについて詳しく解説していきます。
B型に「合格・不合格」はあるのか?
まず、最も重要な問いに答えます。
基本的には「不合格」という概念はない
福祉サービスであり、就職活動ではない
就労継続支援B型は、障害者総合支援法に基づく福祉サービスです。一般企業の採用活動とは異なり、基本的には「試験に落ちる」「不合格になる」という概念はありません。
対象要件を満たしていれば利用できる
B型の対象要件(就労経験があり一般就労が困難、50歳以上、障害基礎年金1級受給者など)を満たし、市町村から支給決定を受けていれば、原則として利用できます。
しかし「利用をお断りされる」ケースは存在する
「不合格」ではないが「利用できない」場合がある
厳密には「不合格」ではありませんが、以下のような理由で、事業所側から「利用をお断りする」「この事業所では受け入れが難しい」と言われることがあります。
主な理由:
- 事業所の支援体制で対応できない状態
- 定員がすでに満員
- 事業所の方針と利用希望者のニーズが合わない
- 他の利用者への影響が懸念される
- 安全管理上のリスクが高い
これは「不合格」というよりも、「ミスマッチ」や「受け入れ体制の問題」です。
利用を断られるケースとその理由
どのような場合に、事業所から利用を断られる可能性があるのでしょうか。
1. 事業所の定員が満員
物理的に受け入れられない
最も単純な理由は、定員オーバーです。B型事業所には定員があり、すでに満員の場合、空きが出るまで待つか、他の事業所を探す必要があります。
対処法:
- 事前に空き状況を確認する
- 待機リストに登録する
- 他の事業所を並行して探す
2. 重度の身体介護が必要
事業所の体制で対応できない
B型事業所は、基本的に就労支援の場であり、重度の身体介護が必要な場合、職員体制が対応できないことがあります。
例:
- 常時医療的ケアが必要
- 全面的な身体介護が必要
- 移動に常に介助が必要
この場合の選択肢:
- 生活介護事業所(より介護体制が整っている)
- 訪問系サービスとの併用
- 看護師が常駐している事業所を探す
3. 重度の行動障害
他の利用者や職員の安全が確保できない
暴力行為、自傷行為、他害行為などが頻繁にあり、事業所の体制では安全管理ができないと判断された場合です。
例:
- 頻繁に暴力行為がある
- 自傷行為が激しい
- 他の利用者に危害を加える可能性が高い
重要な点: これは「その人がダメ」ということではなく、「この事業所の体制では対応できない」という意味です。行動障害に対応できる専門的な事業所もあります。
4. 重度の依存症が未治療
アルコール・薬物依存症
重度のアルコール依存症や薬物依存症があり、未治療の場合、通所中の飲酒・薬物使用のリスクがあるため、断られることがあります。
対処法:
- まず依存症の治療を優先
- 依存症の専門プログラムを受ける
- 治療と並行して利用できる事業所を探す
5. 事業所の作業内容と大きくミスマッチ
求められる能力と本人の状態が合わない
事業所によって、作業内容のレベルが異なります。
例:
- PC作業専門の事業所に、PCが全く使えない人が希望
- 立ち仕事中心の事業所に、立位保持が困難な人が希望
- 複雑な作業を行う事業所に、知的障害が重度で理解が難しい人が希望
この場合: 自分の能力や状態に合った作業内容の事業所を探す方が、双方にとって良い結果になります。
6. 通所の意思が全くない
本人ではなく家族が希望しているだけ
本人に全く通所の意思がなく、家族だけが希望している場合、支援が成り立たないため、断られることがあります。
B型の利用には本人の意思が重要
福祉サービスは、本人の意思に基づくべきものです。完全に拒否している状態では、利用は難しくなります。
7. 頻繁な遅刻・無断欠席が予想される
体験中に何度も無断欠席
体験期間中に、連絡なしの欠席が何度もあり、改善の見込みがないと判断された場合です。
ただし: 病状による場合は配慮されるべきです。事前に「体調により欠席が多くなる可能性がある」と伝えておくことが重要です。
8. 事業所の方針と合わない
事業所の支援方針と利用希望者の希望が合致しない
例えば、事業所が「一般就労への移行を積極的に支援する」方針なのに、利用希望者は「ゆっくり自分のペースで作業したい」という場合、ミスマッチが生じます。
この場合: 自分の希望に合った方針の事業所を探すべきです。
「合格・不合格」ではなく「マッチング」
B型の体験は、「試験」ではなく、「お互いに合うかどうかを確かめる期間」です。
事業所側が見ているポイント
事業所は以下を確認しています。
安全に通所できるか:
- 通所経路を一人で移動できるか
- 作業中の安全が確保できるか
- 緊急時の対応ができるか
作業への適応:
- 作業内容が理解できるか
- 一定時間作業に取り組めるか
- 指示を理解し、実行できるか
コミュニケーション:
- 必要な報告・連絡・相談ができるか
- 職員や他の利用者と最低限のコミュニケーションが取れるか
体調管理:
- 体調の自己管理ができるか
- 体調不良時に伝えられるか
集団での活動:
- 集団の中で過ごせるか
- ルールを守れるか
ポイント: これらは「できなければダメ」ということではなく、「どの程度のサポートが必要か」を見極めるためです。
利用者側も事業所を見る期間
体験は、利用者側も事業所を評価する期間です。
確認すべきポイント:
- 雰囲気は自分に合っているか
- 職員の対応は丁寧か
- 作業内容は自分にできそうか
- 他の利用者との相性は大丈夫か
- 通所を続けられそうか
お互いが「合う」と思えば利用開始、「合わない」と思えば別の場所を探す。これが健全なマッチングです。
体験利用から利用開始までの流れ
B型の利用開始までの一般的な流れを理解しましょう。
ステップ1:相談
相談支援専門員、市町村窓口、医療機関などに相談
- 自分の状況を伝える
- B型の利用を希望することを伝える
- 相談支援専門員が決定される
ステップ2:アセスメント
就労面の課題を把握
就労移行支援事業所や相談支援専門員によるアセスメント(評価)が行われます。
- 就労に関する能力
- 困難さ
- 支援の必要性
ステップ3:サービス等利用計画の作成
相談支援専門員が計画を作成
どのようなサービスをどのくらい利用するかの計画を立てます。
ステップ4:市町村への申請
障害福祉サービスの支給申請
市町村の障害福祉担当窓口に申請します。
必要書類:
- 申請書
- 障害者手帳、または医師の診断書・意見書
- サービス等利用計画案
ステップ5:支給決定
市町村から支給決定通知
審査が通れば、「受給者証」が交付されます。これがあれば、B型事業所を利用できます。
ステップ6:事業所の見学・選択
複数の事業所を見学
受給者証が出たら(または申請中でも見学は可能)、事業所を見学します。
- 複数の事業所を見学
- 雰囲気、作業内容、職員の対応を確認
ステップ7:体験利用
実際に通所してみる
気に入った事業所があれば、体験利用をします。
期間:数日〜数週間(事業所により異なる)
この期間に:
- 実際の作業を体験
- 他の利用者と一緒に過ごす
- 通所経路を確認
- お互いに「合うかどうか」を確認
ステップ8:利用契約
事業所と利用契約を結ぶ
体験が終わり、双方が「合う」と判断すれば、正式に利用契約を結びます。
契約時:
- 重要事項説明
- 個別支援計画の作成
- 利用開始日の決定
ステップ9:利用開始
正式に通所開始
契約後、正式に利用が始まります。
初期:
- 少しずつ慣れる
- 支援計画に基づいた支援
- 定期的な面談と評価
体験をスムーズに進めるためのポイント
体験を成功させ、スムーズに利用開始するためのポイントです。
1. 事前に自分の状況を伝える
隠さず正直に
体調、障害の状態、困難なこと、配慮してほしいことを、事前に伝えておくことが重要です。
伝えるべきこと:
- 診断名
- 服薬状況
- 体調の波
- 苦手なこと(音、光、人混みなど)
- コミュニケーションの特性
- 過去の職歴や離職理由
隠して入っても、後で困るのは自分です。最初から伝えておく方が、適切な支援を受けられます。
2. 分からないことは質問する
遠慮せず聞く
作業の手順、ルール、分からないことは、遠慮せず質問しましょう。
3. 無理をしない
体調が悪いときは伝える
体験中に体調が悪くなったら、我慢せず職員に伝えます。無理をして体調を崩す方が問題です。
4. 連絡はきちんとする
欠席・遅刻の連絡
やむを得ず欠席や遅刻をする場合は、必ず事前に連絡します。無断欠席は避けましょう。
5. 最低限のマナーは守る
挨拶、返事、お礼
完璧である必要はありませんが、挨拶、返事、お礼など、最低限のマナーは意識しましょう。
6. 合わないと感じたら正直に伝える
我慢して続けない
体験して「合わない」と感じたら、無理に続けず、正直に伝えることも大切です。
7. 複数の事業所を体験する
比較検討する
可能であれば、複数の事業所を体験し、比較検討することをお勧めします。
「不合格」を恐れる必要はない
「体験で落とされたらどうしよう」という不安を持つ必要はありません。
「合わない」は悪いことではない
ミスマッチは双方にとって不幸
事業所と合わないことは、悪いことではありません。合わない場所で無理をする方が、双方にとって不幸です。
別の事業所がある
一つがダメでも他がある
一つの事業所で「受け入れが難しい」と言われても、別の事業所なら受け入れ可能なことが多いです。事業所によって、方針、作業内容、雰囲気が全く異なります。
「不合格」=「あなたがダメ」ではない
相性の問題
利用を断られることがあっても、それは「あなたがダメな人間」という意味ではありません。その事業所との相性、受け入れ体制の問題です。
相談支援専門員が味方
一緒に探してくれる
相談支援専門員は、あなたに合った事業所を一緒に探してくれます。一つがダメでも、別の選択肢を提案してくれます。
B型以外の選択肢もある
B型が合わない、または受け入れが難しいと言われた場合、他の選択肢もあります。
生活訓練
まず生活リズムを整える
B型の前段階として、生活訓練を利用することも選択肢です。
地域活動支援センター
より自由度が高い
B型より緩やかな支援の場です。
就労移行支援
一般就労を目指す
体力や能力がある場合、就労移行支援で一般就労を目指すことも選択肢です。
在宅での活動
通所が難しい場合
在宅ワーク、オンライン学習など、家でできることを探すことも一つの道です。
何もしない期間
まず休む
今は無理に何かをする時期ではないかもしれません。休息を優先することも重要です。
まとめ
就労継続支援B型には、基本的に「合格・不合格」という概念はありません。福祉サービスであり、就職活動とは異なります。
しかし、事業所の定員、対応できる支援の範囲、安全管理、ミスマッチなどの理由で、「利用をお断りする」ケースは存在します。これは「不合格」ではなく、「その事業所では受け入れが難しい」という意味です。
体験利用は、「試験」ではなく、「お互いに合うかどうかを確かめる期間」です。事業所側も利用者を見ますが、利用者側も事業所を評価する権利があります。
体験をスムーズに進めるためには、自分の状況を正直に伝え、分からないことは質問し、無理をせず、最低限のマナーを守ることが大切です。
もし一つの事業所で「受け入れが難しい」と言われても、別の事業所なら受け入れ可能なことが多いです。また、B型以外の選択肢もあります。
「不合格」を恐れる必要はありません。相談支援専門員と一緒に、自分に合った場所を探していきましょう。
あなたには、自分に合ったサービスを選ぶ権利があります。焦らず、自分のペースで、自分に合った居場所を見つけてください。

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