「就労継続支援B型に通うのが辛い」「毎日通所するだけで疲れ果てる」「作業内容が合わなくて苦痛」就労継続支援B型事業所への通所が負担になっている方は少なくありません。B型は本来、一般就労が困難な方が、無理なく自分のペースで働ける場として設計されています。しかし、実際には通所そのものが負担になり、心身を消耗している人がいます。通所時間、人間関係、作業内容、工賃の低さ、将来への不安など、様々な要因が重なり、「行きたくない」「辞めたい」という思いを抱えながら通い続けている状況は、本末転倒です。本記事では、B型通所が負担になる理由、その背景にある問題、負担を軽減する具体的な対処法、事業所との相談方法、そして自分に合った利用の仕方や選択肢について詳しく解説していきます。
就労継続支援B型とは
まず、B型事業所について基本を確認しましょう。
B型の目的と特徴
対象者
- 就労経験があり、年齢や体力の面で一般企業での就労が困難になった人
- 50歳に達している人、または障害基礎年金1級受給者
- 就労移行支援事業者等によるアセスメントにより、就労面の課題が把握されている人
特徴
- 雇用契約なし 雇用関係ではなく、福祉サービスの利用
- 工賃制 給料ではなく工賃(全国平均月額約16,000円程度)
- 自分のペースで 体調に合わせて利用できる(建前上)
- 様々な作業 軽作業、清掃、農作業、パソコン作業、手工芸など
本来の理念
「無理なく、自分のペースで、社会参加と就労訓練の機会を得る」
しかし、現実はこの理念通りではないことがあります。
B型通所が負担になる理由
B型通所が負担になる理由は、多岐にわたります。
1. 通所そのものの負担
移動と時間の負担
- 通勤時間が長い 片道1時間以上かかる場合も
- 通勤方法の負担 公共交通機関での移動、乗り換えの複雑さ
- 朝起きる負担 決まった時間に起きることが困難
- 天候の影響 雨や雪の日の通所が辛い
- 体力の消耗 通所するだけで疲れ果てる
頻度の負担
- 週5日通所を求められる
- 「休むと評価が下がる」というプレッシャー
- 体調の波に合わせられない
2. 作業内容の問題
単調で退屈
- 繰り返しの単純作業
- やりがいを感じられない
- スキルアップにつながらない
- 時間が経つのが遅く感じる
合わない作業
- 自分の能力や興味に合わない
- 身体的に負担が大きい(立ち仕事、重労働)
- 細かい作業が苦手なのに要求される
- 感覚過敏に配慮されない(音、匂いなど)
ノルマやプレッシャー
- 「福祉的就労」のはずがノルマがある
- 作業スピードを求められる
- ミスを責められる
- 競争させられる
3. 人間関係の負担
他の利用者との関係
- 価値観や症状の違いによる摩擦
- トラブルメーカーがいる
- いじめや仲間外れ
- 孤立感
職員との関係
- 職員の態度が冷たい、高圧的
- 理解や配慮がない
- 相談しても聞いてもらえない
- えこひいきがある
集団行動の負担
- 大勢の中にいることがストレス
- 自分のペースで動けない
- 周りに合わせなければならない
4. 環境の問題
物理的環境
- 狭い、圧迫感がある
- 騒がしい
- 暑い、寒い
- 不衛生
- 休憩スペースがない
感覚刺激
- 音(機械音、人の声、音楽)
- 光(蛍光灯の明るさ)
- 匂い(作業の匂い、香水など)
発達特性や感覚過敏がある場合、環境が苦痛になります。
5. 工賃の低さ
経済的な報われなさ
- 月額平均16,000円程度(全国平均)
- 時給換算で数百円
- 交通費で消える
- 努力が報われない感覚
- 将来への不安
6. 将来への不安と意味の喪失
「このままでいいのか」という焦り
- 一般就労への道が見えない
- 年齢だけが上がっていく
- スキルが身につかない
- 「意味があるのか」という疑問
- 社会から取り残されている感覚
7. 期待とのギャップ
「自分のペース」ではない現実
- 「無理なく」のはずが、実際には厳しい
- 休むと責められる
- 配慮がない
- 理想と現実の乖離
8. スティグマと自己肯定感の低下
「B型に通っている自分」への劣等感
- 世間体が気になる
- 「こんなことしかできない」という思い
- 友人に言えない
- 自己肯定感の低下
9. 他の利用者の症状の影響
他者の症状に振り回される
- 大声を出す人
- 突然キレる人
- 延々と話しかけてくる人
- 他者の症状を見ることの辛さ
10. 「福祉」という枠組みへの抵抗感
「障害者扱い」されることへの抵抗
- 「福祉のお世話になっている」罪悪感
- 「障害者」というラベルへの抵抗
- 自立できていない感覚
負担を軽減するための対処法
B型通所の負担を軽減するために、できることがあります。
1. 事業所に相談する
まず現状を伝える
負担を感じていることを、支援員や施設長に相談します。
相談内容の例
- 「通所日数を減らせないか」
- 「作業内容を変えてもらえないか」
- 「休憩を増やしてもらえないか」
- 「静かな場所で作業できないか」
- 「人間関係のトラブルについて」
相談のポイント
- 具体的に何が負担か伝える
- 「どうしたら続けられるか」という視点で相談
- 記録を取る(相談内容と回答)
2. 通所日数・時間を調整する
無理のないペースに変更
B型は本来、柔軟に利用できるはずです。
- 週5日→週3日に減らす
- 1日の時間を短くする(午前のみ、午後のみ)
- 体調に合わせて欠席できることを確認
事業所によっては「週5日」を強く求めるところもありますが、それは利用者の状態に合わせるべき配慮を欠いています。
3. 作業内容を変更してもらう
自分に合った作業を探す
複数の作業プログラムがある場合、変更を依頼します。
- 単純作業が合わないなら、少し複雑な作業
- 立ち仕事が辛いなら、座り作業
- 人と関わる作業が負担なら、一人でできる作業
4. 環境調整を依頼する
感覚過敏への配慮
- 静かな場所での作業
- イヤーマフ、ノイズキャンセリングイヤホンの使用許可
- 照明の調整
- 休憩スペースの確保
5. サービス管理責任者との面談
定期的な個別支援計画の見直し
B型では、個別支援計画が作成されます。この見直しの際に、負担を伝え、計画を修正してもらいます。
6. 休息を優先する
無理をしない
- 体調が悪い日は休む
- 休むことに罪悪感を持たない
- 「休息も回復のために必要」と認識する
7. 事業所を変える
合わない場合は別の事業所へ
どうしても合わない場合、別のB型事業所に移ることも選択肢です。
- 相談支援専門員に相談
- 他の事業所を見学
- 自分に合った事業所を探す
事業所によって、雰囲気、作業内容、支援の質が大きく異なります。
8. 利用を一時中断する
休む期間を設ける
心身が疲弊している場合、一時的に利用を中断し、休息することも重要です。
- 相談支援専門員に相談
- 医師の診断書
- 休息後、再開するか別の道を考える
9. 他のサービスを併用・変更する
B型以外の選択肢も検討
- 生活訓練 まず生活リズムを整える
- 就労移行支援 一般就労を目指す(2年間の期限付き)
- 就労継続支援A型 雇用契約あり、最低賃金保障(B型より負担は大きい可能性)
- 地域活動支援センター より自由度が高い居場所
10. 在宅就労や別の道を探る
B型以外の選択肢
- 在宅ワーク 自宅でできる仕事(クラウドソーシングなど)
- 短時間のアルバイト 週1〜2日、短時間から
- 趣味や創作活動 収益化を目指す
- ボランティア 社会参加の別の形
事業所選びのポイント 合わないB型を避けるために
もしこれから事業所を選ぶ、または変更する場合、以下のポイントを確認しましょう。
見学・体験利用を必ず行う
雰囲気を実際に確かめる
- 最低2〜3箇所は見学する
- 可能なら体験利用(数日〜数週間)
- 職員の態度、利用者の様子を観察
確認すべきポイント
柔軟性
- 通所日数や時間は調整できるか
- 体調不良での欠席は責められないか
- 個人のペースが尊重されるか
作業内容
- 複数の作業プログラムがあるか
- 自分に合いそうな作業があるか
- 変更は可能か
環境
- 清潔か
- 明るさ、音、匂いは許容範囲か
- 休憩スペースはあるか
人間関係
- 職員の態度は丁寧か
- 利用者の雰囲気は穏やかか
- トラブルへの対応はあるか
支援の質
- 個別支援計画は丁寧に作られるか
- 相談しやすい雰囲気か
- 配慮や調整に応じてくれそうか
工賃
- 平均工賃はどれくらいか
- 作業量に見合っているか
口コミや評判
- 地域の相談支援専門員に聞く
- 可能なら利用者の生の声を聞く
- インターネットでの評判(ただし、情報は限定的)
相談支援専門員を活用する
B型を利用する際、相談支援専門員(ケアマネジャー)が担当につきます。この専門員を積極的に活用しましょう。
相談支援専門員の役割
- サービス等利用計画の作成
- 事業所との調整
- 定期的なモニタリング
- 生活全般の相談
活用方法
- 負担を感じていることを正直に伝える
- 事業所への伝え方を相談する
- 他の事業所の情報を聞く
- サービスの変更を相談する
相談支援専門員が頼りにならない場合は、変更を依頼することも可能です。
「B型に通えない自分」を責めない
B型通所が負担で、休みがちになったり、辞めたりすることに罪悪感を感じる必要はありません。
B型は義務ではない
福祉サービスの利用は権利
B型は、利用する権利であって、義務ではありません。合わなければ利用しない選択も正当です。
「無理なく」が前提
無理をしてまで通うものではない
B型の理念は「無理なく」です。無理をしてまで通所することは、本末転倒です。
休む勇気
休息も必要
疲弊している場合、休むことが回復への道です。休むことは「逃げ」ではなく、「自己ケア」です。
辞める選択も正当
合わないなら辞めていい
どうしても合わない、負担が大きすぎる場合、辞める選択も正当です。他の道を探すことができます。
価値は通所で決まらない
あなたの価値はB型通所とは無関係
B型に通っているか、どれだけ通えているかで、あなたの価値は決まりません。
B型以外の選択肢と考え方
B型が合わない場合、他の選択肢も考えましょう。
何もしない期間を持つ
まず休む
心身が疲弊している場合、何もせず休む期間も必要です。
- 生活保護や障害年金で生活する
- 家族のサポートを受ける
- 回復を最優先する
別の福祉サービス
前述の通り、生活訓練、就労移行支援、A型、地域活動支援センターなど、他の選択肢があります。
在宅での活動
家でできることを探す
- 在宅ワーク
- 創作活動
- オンライン学習
少しずつのアルバイト
超短時間から
週1日、1日2時間など、極めて短時間のアルバイトから始める方法もあります。
「働く」以外の社会参加
ボランティア、趣味のコミュニティ
収入にはなりませんが、社会とつながる方法は働く以外にもあります。
「今は休む時期」と受け入れる
焦らない
今は無理をせず、回復に専念する時期だと受け入れることも大切です。焦って無理をすると、さらに状況が悪化します。
まとめ
就労継続支援B型の通所が負担になることは、決して珍しいことではありません。通所の負担、作業内容の問題、人間関係、環境、工賃の低さ、将来への不安など、様々な要因が重なり、本来「無理なく」働けるはずの場が、苦痛の場になってしまうことがあります。
負担を感じたら、まず事業所に相談し、通所日数や時間、作業内容、環境などを調整してもらうことが重要です。それでも改善しない場合は、事業所を変える、サービスを変更する、一時休止する、B型以外の道を探すなど、様々な選択肢があります。
最も大切なのは、自分を責めないことです。B型に通えないことは、怠けでも甘えでもありません。合わないものは合わない、無理なものは無理なのです。あなたの価値は、B型に通所できるかどうかでは決まりません。
一人で抱え込まず、相談支援専門員、医師、カウンセラー、信頼できる人に相談しながら、自分に合った道を探していきましょう。焦らず、無理をせず、自分のペースで。
あなたには、自分に合った形で社会とつながる権利があります。そして、休む権利もあります。自分を大切にしながら、一歩ずつ進んでいってください。

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