国の支援金 受けられる給付金・手当・助成制度完全ガイド

はじめに

障害のある方やそのご家族にとって、「国からどんな支援金がもらえるのか」「自分は対象になるのか」「どうやって申請すればいいのか」といった疑問は尽きないと思います。国や自治体の支援制度を正しく理解し活用することは、安定した生活を送る上で非常に重要です。

国や自治体には、障害者向けの様々な支援金・手当・助成制度があります。主なものとして、障害年金、特別障害者手当、障害児福祉手当、特別児童扶養手当などの現金給付のほか、医療費助成、交通費助成、税制優遇など、多岐にわたる支援があります。

本記事では、国や自治体から受けられる主な支援金・手当の種類、金額、受給条件、申請方法、そしてよくある質問まで、詳しく解説していきます。

主な支援金・手当一覧

国の制度(全国共通)

制度名対象金額(月額)所得制限
障害基礎年金20歳以上の障害者1級 約85,000円<br>2級 約68,000円あり(20歳前障害)
障害厚生年金厚生年金加入中の障害者報酬比例+上記なし
特別障害者手当20歳以上の重度障害者27,980円あり
障害児福祉手当20歳未満の重度障害児15,220円あり
特別児童扶養手当障害児の保護者1級 55,350円<br>2級 36,860円あり

自治体独自の制度(例)

  • 心身障害者福祉手当
  • 重度心身障害者手当
  • 在宅重度障害者手当
  • その他(自治体により異なる)

注意  金額は2024年度の数値です。毎年見直しがあります。

1. 障害年金

概要

制度  病気やケガで障害の状態になった方に支給される年金

種類 

  • 障害基礎年金(国民年金)
  • 障害厚生年金(厚生年金)

受給条件

3つの要件すべてを満たす必要があります 

  1. 初診日要件 
    • 初診日に国民年金または厚生年金に加入している
    • または20歳前、60歳以上65歳未満
  2. 保険料納付要件 
    • 保険料を一定期間納付している
    • 20歳前障害の場合は不要
  3. 障害状態要件 
    • 障害認定日に障害等級(1級・2級・3級)に該当

金額(2024年度)

障害基礎年金 

  • 1級 年額1,020,000円(月額約85,000円)
  • 2級 年額816,000円(月額約68,000円)
  • 子の加算 第1子・第2子 各234,800円/年

障害厚生年金 

  • 上記に加えて報酬比例部分
  • 配偶者加給年金 234,800円/年

合計  障害厚生年金1級・2級の場合、月額10〜15万円程度になることが多いです。

申請先

  • 障害基礎年金 市区町村の年金担当窓口
  • 障害厚生年金 年金事務所

所得制限

20歳前障害基礎年金のみ 

  • 2人世帯で所得370万4,000円超 半額停止
  • 2人世帯で所得472万1,000円超 全額停止

その他  所得制限なし

2. 特別障害者手当

概要

制度  20歳以上で、著しく重度の障害により、日常生活において常時特別の介護を必要とする方に支給される手当

管轄  国(厚生労働省)の制度

受給条件

対象者  以下のすべてを満たす方

  1. 20歳以上である
  2. 著しく重度の障害がある
    • 身体障害者手帳1級・2級の障害が重複
    • または同程度以上の障害
    • 精神障害で常時特別の介護が必要
    • 重度の知的障害と重度の身体障害が重複
  3. 常時特別の介護が必要
    • 日常生活動作が著しく制限される
  4. 施設に入所していない
  5. 病院・診療所に3か月以上入院していない

金額(2024年度)

月額 27,980円

支給月  2月、5月、8月、11月(各月前3か月分)

所得制限

あり

本人の所得 

  • 扶養親族0人 3,604,000円
  • 扶養親族1人 3,984,000円
  • (以降1人増えるごとに38万円加算)

配偶者・扶養義務者の所得 

  • 扶養親族0人 6,287,000円
  • 扶養親族1人 6,536,000円
  • (以降1人増えるごとに21.3万円加算)

申請先

市区町村の障害福祉担当窓口

必要書類

  • 認定請求書
  • 診断書(所定の様式)
  • 身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳など
  • 所得証明書
  • その他

3. 障害児福祉手当

概要

制度  20歳未満で、重度の障害により、日常生活において常時介護を必要とする児童に支給される手当

管轄  国(厚生労働省)の制度

受給条件

対象者  以下のすべてを満たす方

  1. 20歳未満である
  2. 重度の障害がある
    • 身体障害者手帳1級・2級の一部
    • 療育手帳の最重度・重度(A判定など)
    • 精神障害で常時介護が必要
    • または同程度以上の障害
  3. 常時介護が必要
  4. 施設に入所していない
  5. 障害年金を受給していない

金額(2024年度)

月額 15,220円

支給月  2月、5月、8月、11月(各月前3か月分)

所得制限

あり

特別障害者手当と同様の基準

申請先

市区町村の障害福祉担当窓口

4. 特別児童扶養手当

概要

制度  20歳未満で、精神または身体に障害のある児童を養育している父母等に支給される手当

管轄  国(厚生労働省)の制度

ポイント  児童本人ではなく、保護者に支給されます

受給条件

対象者  以下のすべてを満たす方

  1. 20歳未満の障害児を養育している
  2. 障害の程度 
    • 1級 重度の障害(身体障害者手帳1級・2級程度、療育手帳A判定程度など)
    • 2級 中度の障害(身体障害者手帳3級程度、療育手帳B判定程度など)
  3. 日本国内に住所がある
  4. 児童が施設に入所していない
  5. 児童が障害年金を受給していない

金額(2024年度)

1級 月額55,350円 2級 月額36,860円

支給月  4月、8月、11月(各月前4か月分)

所得制限

あり

受給者本人の所得 

  • 扶養親族0人 4,596,000円
  • 扶養親族1人 4,976,000円
  • (以降1人増えるごとに38万円加算)

配偶者・扶養義務者の所得 

  • 扶養親族0人 6,287,000円
  • 扶養親族1人 6,536,000円
  • (以降1人増えるごとに21.3万円加算)

申請先

市区町村の障害福祉担当窓口

必要書類

  • 認定請求書
  • 診断書(所定の様式)
  • 身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳など
  • 所得証明書
  • その他

5. 自治体独自の手当

心身障害者福祉手当

概要  多くの自治体が独自に実施している手当

金額  自治体により異なる(月額5,000円〜15,000円程度が多い)

対象  身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳をお持ちの方 (等級や年齢などの条件は自治体により異なる)

所得制限  自治体により異なる

申請先  市区町村の障害福祉担当窓口

重度心身障害者手当

概要  重度の障害のある方に支給される自治体独自の手当

金額  自治体により異なる(月額10,000円〜20,000円程度が多い)

対象  重度の障害者(自治体により基準が異なる)

申請先  市区町村の障害福祉担当窓口

その他の経済的支援

医療費助成

重度心身障害者医療費助成(マル障) 

  • 対象 重度の障害者
  • 内容 医療費の自己負担分を助成
  • 自治体により異なる

自立支援医療 

  • 精神通院医療、更生医療、育成医療
  • 医療費の自己負担を軽減(原則1割負担、上限あり)

交通費助成

障害者福祉タクシー利用券 

  • 対象 重度障害者など
  • 内容 タクシー利用券の交付
  • 自治体により異なる

公共交通機関の割引 

  • 鉄道 5割引(第1種は介護者も)
  • バス 5割引
  • 航空機 割引あり
  • 有料道路 割引あり(事前登録必要)

税制優遇

所得税・住民税の障害者控除 

  • 一般の障害者 所得税27万円、住民税26万円
  • 特別障害者 所得税40万円、住民税30万円
  • 同居特別障害者 所得税75万円、住民税53万円

相続税の障害者控除 

  • 一般の障害者 10万円×(85歳-相続時の年齢)
  • 特別障害者 20万円×(85歳-相続時の年齢)

その他 

  • 自動車税・自動車取得税の減免
  • NHK受信料の減免

住宅関連

公営住宅の優先入居 

  • 障害者世帯は優先的に入居できる場合がある

住宅改修費の助成 

  • バリアフリー改修の費用助成
  • 自治体により異なる

光熱費等の割引

NHK受信料の減免 

  • 全額免除 世帯全員が市町村民税非課税で、障害者がいる世帯
  • 半額免除 世帯主が視覚・聴覚障害者、重度障害者

携帯電話料金の割引 

  • 各社が障害者向け割引プランを提供

上下水道料金の減免 

  • 自治体により減免制度がある場合あり

複数の手当の併給

併給できる組み合わせ

○ 併給可能 

  • 障害年金 + 特別障害者手当
  • 障害年金 + 自治体独自手当
  • 特別児童扶養手当 + 障害児福祉手当
  • 特別児童扶養手当 + 自治体独自手当

× 併給不可 

  • 障害児福祉手当 + 障害年金(20歳になると障害年金に移行)
  • 特別障害者手当 + 施設入所中

受給例

例1 成人の重度障害者(在宅)

  • 障害基礎年金1級 約85,000円/月
  • 特別障害者手当 27,980円/月
  • 自治体独自手当 10,000円/月(例)
  • 合計 約122,980円/月

例2 障害児(在宅)

  • 特別児童扶養手当1級 55,350円/月
  • 障害児福祉手当 15,220円/月
  • 自治体独自手当 5,000円/月(例)
  • 合計 約75,570円/月

例3 障害厚生年金受給者

  • 障害厚生年金1級 約120,000円/月(例)
  • 特別障害者手当 27,980円/月
  • 合計 約147,980円/月

申請の流れ

ステップ1  情報収集

確認すること 

  • どの支援金・手当が受けられるか
  • 受給条件を満たしているか
  • 必要書類は何か

相談先 

  • 市区町村の障害福祉担当窓口
  • 年金事務所(障害年金の場合)
  • 障害者相談支援センター

ステップ2  必要書類の準備

共通して必要なもの 

  • 申請書(窓口で入手)
  • 診断書(所定の様式、医師が記入)
  • 障害者手帳(身体、療育、精神)
  • 所得証明書(所得制限がある場合)
  • 振込先口座の情報
  • 印鑑
  • マイナンバー関連書類

制度ごとに異なる書類  各制度の必要書類を確認してください

ステップ3  申請書類の提出

提出先 

  • 市区町村の障害福祉担当窓口
  • 年金事務所(障害年金)

提出方法 

  • 窓口に持参
  • 郵送(制度により可能)

ステップ4  審査

審査期間 

  • 制度により異なる
  • 1〜3か月程度が多い

審査内容 

  • 受給要件の確認
  • 所得制限の確認
  • 障害の程度の認定

ステップ5  結果通知

認定の場合 

  • 認定通知書が送付される
  • 指定口座に振り込まれる

不認定の場合 

  • 理由が通知される
  • 不服申立ができる場合がある

よくある質問(FAQ)

Q1  複数の手当を同時に受給できますか?

A  制度により異なります。障害年金と特別障害者手当は併給可能ですが、障害児福祉手当と障害年金は併給できません。

Q2  所得制限とは何ですか?

A  一定以上の所得がある場合、手当が減額または支給停止される制度です。制度ごとに基準が異なります。

Q3  働いていても手当はもらえますか?

A  障害の程度が基準を満たし、所得制限を超えていなければ、働いていても受給できます。

Q4  手続きは難しいですか?

A  制度ごとに必要書類が多く、複雑です。不安な場合は、市区町村の窓口で相談しながら進めましょう。

Q5  遡って支給してもらえますか?

A  制度により異なります。障害年金は最大5年間遡及できますが、多くの手当は申請月の翌月分からです。

Q6  入院や施設入所すると手当はどうなりますか?

A  特別障害者手当と障害児福祉手当は、3か月以上の入院または施設入所で支給停止になります。障害年金は影響ありません。

Q7  手当をもらっていることを他人に知られますか?

A  通知書や振込は本人宛なので、基本的に他人には分かりません。ただし、所得証明書には記載される場合があります。

Q8  障害者手帳がないと手当はもらえませんか?

A  多くの手当で手帳が必要ですが、診断書で代用できる場合もあります。各制度の要件を確認してください。

Q9  更新手続きは必要ですか?

A  制度により異なります。障害年金は診断書の提出が必要な場合があります。特別障害者手当なども定期的な診断書提出が必要です。

Q10  申請を忘れていた場合、今からでも間に合いますか?

A  はい。ただし、多くの手当は申請月の翌月分からの支給になるため、早めの申請をおすすめします。

まとめ 障害者が受けられる国の支援金

障害者やそのご家族が受けられる主な支援金・手当は以下の通りです 

主な現金給付

  1. 障害年金
    • 障害基礎年金1級 月額約85,000円
    • 障害基礎年金2級 月額約68,000円
    • 障害厚生年金 上記に加えて報酬比例部分
  2. 特別障害者手当
    • 20歳以上の重度障害者 月額27,980円
  3. 障害児福祉手当
    • 20歳未満の重度障害児 月額15,220円
  4. 特別児童扶養手当
    • 障害児の保護者 月額55,350円(1級)または36,860円(2級)
  5. 自治体独自手当
    • 金額は自治体により異なる

その他の支援

  • 医療費助成
  • 交通費助成
  • 税制優遇
  • 公共料金等の割引

受給額の例

重度障害者(成人、在宅)  障害年金 + 特別障害者手当 + 自治体独自手当 = 月額10〜15万円程度

大切なポイント

  1. 複数の制度を組み合わせられる
    • 併給可能な制度が多い
  2. 所得制限がある制度が多い
    • 事前に確認が必要
  3. 申請しないともらえない
    • 自動的には支給されません
  4. 早めの申請が重要
    • 多くの手当は申請月の翌月分から
  5. 窓口で相談できる
    • 市区町村の障害福祉担当窓口に相談を
  6. 専門家のサポートもある
    • 社会保険労務士などに相談できます
  7. 定期的な更新が必要な場合がある
    • 診断書の提出など
  8. 自治体独自の制度も確認
    • 住んでいる自治体の制度を調べましょう

最後に

国や自治体には、障害者を支援する様々な制度があります。これらの制度を活用することで、経済的な負担を軽減し、より安定した生活を送ることができます。

まずは、お住まいの市区町村の障害福祉担当窓口に相談してみてください。あなたが受けられる支援について、詳しく教えてもらえます。

申請手続きは複雑に感じるかもしれませんが、窓口の職員が丁寧にサポートしてくれます。また、社会保険労務士などの専門家に相談することもできます。

あなたとご家族が必要な支援を受けられることを心から願っています。

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