難病申請が通らない理由とは?不認定の原因と対処法を徹底解説

難病の診断を受けても、「指定難病医療費助成制度」の申請が認められないケースがあります。「診断されたのに助成が受けられない」「申請が却下された」と困惑する方も少なくありません。

本記事では難病申請が通らない主な理由、認定基準、申請時の注意点、そして不認定になった場合の対処法について詳しく解説します。

指定難病医療費助成制度とは

基本的な仕組み

指定難病医療費助成制度は、難病患者の医療費の負担を軽減するための公費負担制度です。

対象疾患 厚生労働大臣が指定する「指定難病」(現在341疾患、2024年時点)

助成内容

  • 医療費の自己負担額が軽減される
  • 自己負担上限額が設定される(所得に応じて月額0円〜30,000円)
  • 指定医療機関での難病医療に限る

重要なポイント 指定難病に診断されただけでは、自動的に医療費助成は受けられません。都道府県への申請と認定が必要です。

認定の要件

医療費助成を受けるには、以下の要件を満たす必要があります。

1. 指定難病であること 厚生労働大臣が指定する341の難病のいずれかに該当すること。

2. 重症度基準を満たすこと 各疾患ごとに定められた重症度分類で、一定以上の重症度であること。

3. 例外的認定 重症度基準を満たさない場合でも、以下に該当すれば認定される場合がある 

  • 高額な医療費が継続的にかかる(月額医療費が33,330円を超える月が年間3回以上)

難病申請が通らない主な理由

1. 重症度基準を満たしていない

最も多い不認定理由 診断はされているが、重症度分類において基準値に達していないケース。

具体例

パーキンソン病

  • 重症度基準 Hoehn&Yahr重症度分類でステージ3以上、かつ生活機能障害度がⅡ度またはⅢ度
  • 通らないケース ステージ2以下、または生活機能障害度がⅠ度

潰瘍性大腸炎

  • 重症度基準 重症または中等症
  • 通らないケース 軽症と判定された

全身性エリテマトーデス(SLE)

  • 重症度基準 厚生労働省SLE重症度分類で中等症以上
  • 通らないケース 軽症と判定された

注意点 重症度基準は疾患ごとに異なり、客観的な検査数値、症状の重さ、日常生活への支障度などで判定されます。

2. 医療費基準を満たしていない(軽症高額該当)

軽症高額の条件 重症度基準を満たさなくても、医療費が高額であれば認定される制度。

条件 難病に関する医療費が月額33,330円を超える月が年間3回以上ある場合。

通らないケース

  • 医療費が月額33,330円を超える月が年間2回以下
  • 医療費の計算に誤りがある
  • 難病以外の医療費を含めてしまっている

計算の注意点

  • 難病に関連する医療費のみを計算
  • 保険診療分のみ(自費診療分は含まない)
  • 医療費総額ではなく、自己負担額ではなく、「医療保険における医療費」で計算

3. 診断基準を満たしていない

診断はされているが… 担当医が「おそらく〇〇病だろう」と診断していても、厚生労働省が定める診断基準を完全には満たしていないケース。

診断基準の厳密性 指定難病の診断基準は非常に厳密で、以下のような項目が定められています 

  • 必須の検査所見
  • 臨床症状の組み合わせ
  • 除外すべき他疾患
  • 診断に必要な専門医の判断

通らないケース

  • 必要な検査が未実施
  • 検査結果が基準値に達していない
  • 類似疾患との鑑別が不十分
  • 診断時期が早すぎる(経過観察期間が足りない)

4. 臨床調査個人票の記載不備

臨床調査個人票とは 指定難病の診断を行った医師(指定医)が作成する書類で、申請に必須の書類です。

よくある記載不備

  • 重症度分類の記載漏れ
  • 検査データの添付忘れ
  • 症状の記載が不十分
  • 診断基準の該当項目が不明確
  • 医師の署名・押印漏れ
  • 発症年月日の記載漏れ

注意点 記載不備は、都道府県から医療機関に照会・修正依頼がありますが、期限内に対応できないと不認定になることがあります。

5. 必要書類の不足・不備

申請に必要な書類

  • 特定医療費(指定難病)支給認定申請書
  • 臨床調査個人票(診断書)
  • 住民票(世帯全員分)
  • 市町村民税課税証明書等(世帯全員分)
  • 健康保険証のコピー
  • 同意書(情報提供の同意)
  • その他(人工呼吸器等使用証明書など、該当する場合)

通らないケース

  • 必要書類が足りない
  • 古い書類を提出(有効期限切れ)
  • 世帯全員分ではなく本人分のみ提出
  • コピーが不鮮明で読めない
  • 書類の記載事項に不備がある

6. 申請期限の問題

新規申請の場合 基本的には診断確定後、速やかに申請しますが、申請から認定までタイムラグがあります。

更新申請の場合

  • 有効期間満了の3ヶ月前から申請可能
  • 期限内に申請しないと失効
  • 再申請が必要になり、認定まで助成が受けられない

通らないケース 更新を忘れて期限切れになり、新規申請扱いで再度審査が必要になる。

7. 所得基準の誤解

誤解 「所得が高いと申請が通らない」という誤解がありますが、これは誤りです。

正しい理解

  • 所得により自己負担上限額が変わる
  • 所得が高くても、重症度基準等を満たせば認定される
  • ただし、「一般所得Ⅱ」(市町村民税課税額が年額235,000円以上)の場合、自己負担上限額が30,000円となる

「人工呼吸器等装着者」の特例 人工呼吸器等を装着している場合は、所得にかかわらず自己負担上限額が月額1,000円になります。

8. 疾患が指定難病に該当しない

誤解 「難病」と「指定難病」は異なります。

該当しないケース

  • 医師から「難病」と言われても、341の指定難病リストに載っていない
  • 類似の病名だが、厳密には異なる疾患
  • 研究段階の疾患で、まだ指定されていない

対処 指定難病のリストは随時更新されています。最新の情報を確認しましょう。

9. 寛解状態にある

一部の疾患の特徴 潰瘍性大腸炎やクローン病などの炎症性腸疾患は、治療により寛解(症状が落ち着いた状態)することがあります。

通らないケース

  • 寛解期で症状が軽度
  • 重症度基準を満たさない
  • 医療費基準も満たさない

注意点 寛解していても、継続的な治療が必要で医療費がかかる場合は、軽症高額に該当する可能性があります。

10. 審査のタイミング

審査委員会の判定 都道府県の審査委員会(医師等の専門家で構成)が書類審査を行います。

通らないケース

  • 提出された書類からは診断基準・重症度基準を満たすと判断できない
  • 追加情報や検査結果が必要と判断される
  • 記載内容に矛盾がある

申請が通らなかった場合の対処法

1. 不認定の理由を確認

通知書の確認 不認定の通知書には、理由が記載されています。まずこれを確認します。

問い合わせ 理由が不明確な場合は、都道府県の難病対策担当課に問い合わせましょう。

主な不認定理由

  • 重症度基準を満たしていない
  • 診断基準を満たしていない
  • 書類の記載不備
  • 必要書類の不足

2. 再申請の検討

再申請が可能な場合

  • 記載不備や書類不足が原因
  • 追加の検査で基準を満たす可能性がある
  • 症状が進行して基準を満たすようになった

再申請の手順

  1. 不認定の理由を明確にする
  2. 担当医と相談する
  3. 必要な検査や診察を受ける
  4. 臨床調査個人票を再作成してもらう
  5. 必要書類を整えて再申請

注意点

  • 再申請には期限はないが、早めに対応する
  • 認定されるまで医療費は全額自己負担
  • 認定後も遡及適用はされない(申請日以降)

3. 審査請求(不服申立て)

不服がある場合 認定基準を満たしていると考えられるのに不認定になった場合、審査請求ができます。

手続き

  • 不認定通知を受け取ってから3ヶ月以内
  • 都道府県の担当課に審査請求書を提出
  • 理由を明確に記載
  • 追加の証拠資料があれば添付

審査請求の流れ

  1. 審査請求書の提出
  2. 都道府県による再審査
  3. 必要に応じて追加資料の提出
  4. 裁決(認定または棄却)

注意点 審査請求は権利ですが、客観的な証拠が重要です。担当医と十分相談しましょう。

4. 他の制度の活用

難病医療費助成が受けられない場合でも、他の制度が利用できることがあります。

高額療養費制度 医療費が高額になった場合、自己負担限度額を超えた分が払い戻される制度。

障害者手帳の取得 難病により一定の障害がある場合、障害者手帳(身体障害者手帳、精神障害者保健福祉手帳)を取得できることがあります。

メリット

  • 税制優遇
  • 公共交通機関の割引
  • 障害福祉サービスの利用
  • 医療費の助成(自治体による)

障害年金 難病により労働に制限がある場合、障害年金の受給ができることがあります。

その他の支援

  • 自治体独自の医療費助成
  • 難病患者就職サポート事業
  • 患者会や支援団体の情報提供

申請を通すためのポイント

1. 指定医に診断書を依頼

指定医とは 都道府県知事が指定した、難病の診断を行う資格を持つ医師。

重要性 臨床調査個人票は、指定医しか作成できません。

確認方法 担当医が指定医かどうか、事前に確認しましょう。指定医でない場合、指定医のいる医療機関への紹介状を書いてもらいます。

2. 適切なタイミングで申請

診断確定後、速やかに 診断が確定したら、できるだけ早く申請しましょう。

症状が安定しているタイミング 症状が変動する疾患の場合、重症度基準を満たす時期に申請します。

更新は早めに 更新は有効期間満了の3ヶ月前から可能です。早めに手続きを始めましょう。

3. 医師とよく相談

重症度基準の確認 自分の症状が重症度基準を満たしているか、医師に確認します。

必要な検査の実施 診断基準や重症度判定に必要な検査を受けます。

記載内容の確認 臨床調査個人票の内容を医師と一緒に確認します(可能であれば)。

4. 書類の丁寧な準備

チェックリストの活用 都道府県が提供しているチェックリストを活用し、書類に漏れがないか確認します。

コピーの質 書類のコピーは鮮明に。文字や数値が読めるか確認します。

期限の確認 課税証明書など、発行年度に注意します。

5. 医療費の記録

軽症高額を目指す場合 難病に関する医療費の領収書を保管し、記録をつけます。

33,330円の計算 月ごとに医療費を集計し、33,330円を超える月が年3回以上あるか確認します。

レセプトの確認 正確な医療費は、医療機関や保険者に確認できます。

6. 都道府県への相談

わからないことは聞く 申請前に、都道府県の難病対策担当課に相談しましょう。

相談内容

  • 自分のケースが認定される可能性
  • 必要な書類
  • 申請の流れ
  • 記入方法

よくある質問

Q1. 難病と診断されたのに、なぜ申請が通らないのですか?

A. 難病の診断と、医療費助成の認定は別の基準です。医療費助成を受けるには、診断に加えて「重症度基準」または「医療費基準(軽症高額)」を満たす必要があります。

Q2. 重症度基準を満たしていないと言われましたが、症状は辛いです。どうすればいいですか?

A. まず、医療費が月額33,330円を超える月が年3回以上あるか確認しましょう(軽症高額)。また、症状が進行すれば基準を満たす可能性もあるため、定期的に医師と相談し、適切なタイミングで再申請を検討してください。

Q3. 申請が通らなかった場合、医療費の負担を軽くする方法はありますか?

A. 高額療養費制度を活用しましょう。また、障害者手帳の取得や、自治体独自の医療費助成制度を調べることもお勧めします。

Q4. 更新を忘れてしまいました。どうすればいいですか?

A. すぐに都道府県の担当課に連絡し、状況を説明してください。期限切れの場合、新規申請として再度手続きが必要になりますが、可能な限り早く対応しましょう。

Q5. 指定医が近くにいません。どうすればいいですか?

A. 都道府県の難病対策担当課に相談し、近くの指定医や専門医療機関を紹介してもらいましょう。遠方でも、診断書作成のために一度受診する価値はあります。

Q6. 審査請求をするべきか迷っています。

A. まず不認定の理由を正確に把握し、担当医と相談してください。客観的に基準を満たしていると判断できる場合は、審査請求を検討する価値があります。ただし、単に「症状が辛い」というだけでは覆りにくいため、証拠資料が重要です。

Q7. 軽症高額の医療費33,330円は、どのように計算しますか?

A. 難病に関連する医療費(保険診療分)の、医療保険における総医療費(10割)で計算します。自己負担額ではありません。例えば、自己負担3,000円(3割負担)の場合、総医療費は10,000円です。計算方法がわからない場合は、医療機関や保険者に確認するか、都道府県に相談してください。

まとめ

難病申請が通らない主な理由は、重症度基準や医療費基準を満たしていないことです。

重要なポイント

  • 難病の診断と医療費助成の認定は別の基準
  • 重症度基準または医療費基準(軽症高額)を満たす必要がある
  • 臨床調査個人票は指定医が作成
  • 書類の不備や不足に注意
  • 不認定でも再申請や審査請求が可能

申請を通すために

  • 指定医に診断書を依頼
  • 重症度基準を満たすか医師と確認
  • 医療費の記録をつける(軽症高額を目指す場合)
  • 書類を丁寧に準備
  • わからないことは都道府県に相談

不認定になったら

  • 理由を確認する
  • 担当医と相談して再申請を検討
  • 審査請求の可能性を検討
  • 他の制度(高額療養費、障害者手帳など)を活用

難病医療費助成制度は、難病患者の経済的負担を軽減する重要な制度です。申請が通らなくても、諦めずに対処法を検討しましょう。

困った時は、都道府県の難病対策担当課、難病相談支援センター、患者会などに相談してください。適切なサポートを受けることで、解決の道が開けることがあります。

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