障害者控除いくら 所得税・住民税で受けられる控除額完全ガイド

はじめに

障害者手帳をお持ちの方、または障害のあるご家族を扶養されている方にとって、「障害者控除っていくらなの?」「自分はどのくらい税金が安くなるの?」「どうやって申請すればいいの?」といった疑問は尽きないと思います。障害者控除の金額を正しく理解することは、家計の負担を軽減する上で非常に重要です。

障害者控除は、所得税と住民税の両方で受けられる控除で、障害の程度や年齢によって控除額が異なります。一般の障害者、特別障害者、同居特別障害者それぞれで控除額が設定されており、正しく申告することで税負担を大きく減らすことができます。

本記事では、障害者控除の具体的な金額、対象者、控除を受けるための手続き、実際にどのくらい税金が安くなるのかの計算例、そしてよくある質問まで、詳しく解説していきます。

障害者控除の金額一覧表

所得税の障害者控除額

区分控除額
一般の障害者27万円
特別障害者40万円
同居特別障害者75万円

住民税の障害者控除額

区分控除額
一般の障害者26万円
特別障害者30万円
同居特別障害者53万円

重要なポイント  

  • 所得税と住民税の両方で控除が受けられます
  • 控除額は所得税の方が大きいです
  • 同居特別障害者の控除額が最も大きいです

障害者控除の区分と対象者

一般の障害者

対象者   以下のいずれかに該当する方

身体障害者手帳  

  • 3級〜6級

精神障害者保健福祉手帳  

  • 2級〜3級

療育手帳(愛の手帳)  

  • 軽度・中度(B判定など、自治体により表記が異なる)

その他  

  • 65歳以上で障害者に準ずるものとして市区町村長の認定を受けている方
  • 戦傷病者手帳の交付を受けている方(特別項症〜第6項症、第1款症を除く)
  • 原子爆弾被爆者で厚生労働大臣の認定を受けている方

控除額  

  • 所得税  27万円
  • 住民税  26万円

特別障害者

対象者   以下のいずれかに該当する方

身体障害者手帳  

  • 1級〜2級

精神障害者保健福祉手帳  

  • 1級

療育手帳(愛の手帳)  

  • 重度(A判定など、自治体により表記が異なる)

その他  

  • 重度の知的障害者と判定された方
  • 精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある方
  • 戦傷病者手帳の交付を受けている方(特別項症〜第3項症、第1款症)
  • 原子爆弾被爆者で厚生労働大臣の認定を受けている方
  • 常に就床を要し、複雑な介護を要する方
  • 6か月以上にわたり身体の障害により寝たきりの状態で、複雑な介護を受けている方

控除額  

  • 所得税  40万円
  • 住民税  30万円

同居特別障害者

対象者   以下のすべての条件を満たす方

  1. 特別障害者である
  2. 配偶者控除または扶養控除の対象となっている
  3. 本人または配偶者、生計を一にする親族のいずれかと同居している

「同居」の定義  

  • 同じ家で生活していること
  • 長期入院などで一時的に別居している場合は、同居とみなされないことがあります

控除額  

  • 所得税  75万円
  • 住民税  53万円

重要   同居特別障害者の控除は、扶養控除または配偶者控除に上乗せされる形になります。

実際にいくら税金が安くなるのか  計算例

計算例1   独身で一般の障害者(身体障害者手帳4級)

条件  

  • 年収  300万円
  • 給与所得者
  • 独身
  • 身体障害者手帳4級(一般の障害者)

所得税の計算  

  1. 給与所得控除後の金額  約202万円
  2. 基礎控除  48万円
  3. 障害者控除  27万円
  4. 課税所得  202万円 – 48万円 – 27万円 = 127万円

障害者控除なしの場合  202万円 – 48万円 = 154万円

  1. 所得税額
    • 障害者控除あり  127万円 × 5% = 6.35万円
    • 障害者控除なし  154万円 × 5% = 7.7万円
    • 差額  約1.35万円の減税

住民税の計算  

  1. 課税所得  202万円 – 43万円(基礎控除) – 26万円(障害者控除) = 133万円
  2. 住民税額(所得割)  133万円 × 10% = 13.3万円
  3. 均等割  約5,000円
  4. 合計  約13.8万円

障害者控除なしの場合  約16.4万円 差額  約2.6万円の減税

合計   所得税と住民税合わせて、年間約4万円の減税

計算例2   特別障害者(身体障害者手帳1級)を扶養

条件  

  • 年収  500万円
  • 給与所得者
  • 配偶者あり
  • 子(特別障害者、身体障害者手帳1級)を扶養

所得税の計算  

  1. 給与所得控除後の金額  約356万円
  2. 基礎控除  48万円
  3. 配偶者控除  38万円
  4. 扶養控除(19歳以上)  63万円
  5. 障害者控除(特別障害者)  40万円
  6. 課税所得  356万円 – 48万円 – 38万円 – 63万円 – 40万円 = 167万円

障害者控除なしの場合  356万円 – 48万円 – 38万円 – 63万円 = 207万円

  1. 所得税額
    • 障害者控除あり  167万円 × 5% = 8.35万円
    • 障害者控除なし  207万円 × 10% – 9.75万円 = 10.95万円
    • 差額  約2.6万円の減税

住民税の計算  

障害者控除による減税  30万円 × 10% = 3万円の減税

合計   所得税と住民税合わせて、年間約5.6万円の減税

計算例3   同居特別障害者

条件  

  • 年収  600万円
  • 給与所得者
  • 配偶者(特別障害者、身体障害者手帳1級)と同居

所得税の計算  

  1. 給与所得控除後の金額  約436万円
  2. 基礎控除  48万円
  3. 配偶者控除  38万円
  4. 障害者控除(同居特別障害者)  75万円
  5. 課税所得  436万円 – 48万円 – 38万円 – 75万円 = 275万円

障害者控除なしの場合  436万円 – 48万円 – 38万円 = 350万円

  1. 所得税額
    • 障害者控除あり  275万円 × 10% – 9.75万円 = 17.75万円
    • 障害者控除なし  350万円 × 20% – 42.75万円 = 27.25万円
    • 差額  約9.5万円の減税

住民税の計算  

障害者控除による減税  53万円 × 10% = 5.3万円の減税

合計   所得税と住民税合わせて、年間約14.8万円の減税

障害者控除を受けるための手続き

会社員(給与所得者)の場合

方法1   年末調整で申告(最も簡単)

手順  

  1. 会社から配布される「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を受け取る
  2. 申告書の「障害者、寡婦、ひとり親又は勤労学生」欄に記入
    • 本人が障害者の場合  「本人」欄にチェック
    • 扶養家族が障害者の場合  該当する家族の欄に記入
  3. 障害者手帳の等級を記入
  4. 特別障害者、同居特別障害者の場合はその旨を記入
  5. 会社に提出

提出時期  

  • 通常11月〜12月
  • 新入社員の場合は入社時

メリット  

  • 手続きが簡単
  • 会社が計算してくれる
  • 12月または翌年1月の給与で還付される

方法2   確定申告で申告

こんな場合に必要  

  • 年末調整で申告し忘れた
  • 年の途中で退職した
  • 2つ以上の会社から給与を受けている
  • 年末調整では受けられない控除がある

手順  

  1. 確定申告書を作成
  2. 「所得から差し引かれる金額」の「障害者控除」欄に金額を記入
  3. 必要書類を添付して税務署に提出

提出時期  

  • 翌年2月16日〜3月15日

自営業・フリーランスの場合

確定申告で申告

手順  

  1. 確定申告書を作成
  2. 「所得から差し引かれる金額」の「障害者控除」欄に金額を記入
  3. 必要書類を添付して税務署に提出

提出時期  

  • 翌年2月16日〜3月15日

年金受給者の場合

確定申告が必要な場合  

  • 年金以外の所得がある
  • 医療費控除など他の控除を受ける

手順   確定申告書に障害者控除を記入して提出

確定申告が不要な場合   公的年金等の収入金額が400万円以下で、かつ他の所得が20万円以下の場合、確定申告は不要ですが、障害者控除を受ける場合は確定申告をした方が有利です。

必要書類

基本的に必要なもの

障害者手帳  

  • 身体障害者手帳
  • 精神障害者保健福祉手帳
  • 療育手帳(愛の手帳)

注意  

  • 年末調整の場合、通常は手帳のコピーの提出は不要(会社が確認)
  • 確定申告の場合も、手帳番号を記入するだけで、添付は不要
  • ただし、税務署から求められた場合は提示が必要

その他の場合

市区町村長の認定  

  • 認定書(障害者控除対象者認定書)

戦傷病者手帳  

  • 戦傷病者手帳

注意点とよくある間違い

注意点1   年の途中で障害者手帳を取得した場合

重要   年の途中で障害者手帳を取得した場合でも、その年の12月31日時点で手帳を持っていれば、その年の1月1日から障害者控除の対象になります。

例   2024年10月に障害者手帳を取得した場合、2024年分の所得税・住民税で障害者控除が受けられます。

注意点2   障害者控除は重複して受けられない

重要   同じ人について、複数の人が障害者控除を受けることはできません。

例   同じ子どもについて、父親と母親の両方が扶養控除と障害者控除を受けることはできません。どちらか一方だけです。

注意点3   同居特別障害者の判定時期

重要   同居特別障害者の判定は、その年の12月31日(年の中途で死亡した場合は死亡時)の現況により行います。

例   年の途中で別居した場合、12月31日時点で別居していれば、同居特別障害者には該当しません。

注意点4   扶養控除との関係

重要   16歳未満の扶養親族は扶養控除の対象外ですが、障害者控除は年齢に関係なく受けられます。

例   10歳の子どもが障害者の場合、扶養控除(63万円)は受けられませんが、障害者控除(27万円または40万円)は受けられます。

住民税の非課税制度

障害者の住民税非課税

対象者   以下のすべてを満たす方

  1. 障害者、未成年者、寡婦またはひとり親
  2. 前年の合計所得金額が135万円以下(給与収入のみの場合、年収204万4,000円未満)

内容   住民税(所得割・均等割の両方)が非課税になります。

重要   障害者控除とは別の制度で、所得が一定以下の場合、住民税そのものがかからなくなります。

その他の税制優遇

相続税の障害者控除

対象者   相続人が障害者の場合

控除額  

  • 一般の障害者  10万円 × (85歳 – 相続開始時の年齢)
  • 特別障害者  20万円 × (85歳 – 相続開始時の年齢)

例   30歳の特別障害者が相続人の場合   20万円 × (85歳 – 30歳) = 1,100万円の控除

贈与税の非課税

特定障害者扶養信託契約  

  • 特別障害者  6,000万円まで非課税
  • 特別障害者以外の特定障害者  3,000万円まで非課税

よくある質問(FAQ)

Q1   障害者控除は毎年申告が必要ですか?

A   会社員の場合、毎年「扶養控除等(異動)申告書」を提出する必要がありますが、障害の状況に変更がなければ、前年と同じ内容を記入するだけです。

Q2   障害者手帳の等級が変わった場合は?

A   等級が変わった場合は、新しい等級に基づいて控除額が変わります。会社または税務署に申告してください。

Q3   年の途中で障害者手帳を返納した場合は?

A   12月31日時点で手帳を持っていなければ、その年は障害者控除の対象外になります。

Q4   障害者控除を受け忘れた場合は?

A   過去5年分まで遡って確定申告(還付申告)ができます。税務署で手続きしてください。

Q5   扶養している親が障害者の場合、控除は受けられますか?

A   はい、扶養控除と障害者控除の両方が受けられます。

Q6   共働きの場合、どちらが控除を受ける方が有利ですか?

A   所得(年収)が高い方が控除を受ける方が、税率が高いため減税額が大きくなります。

Q7   障害者控除と医療費控除は両方受けられますか?

A   はい、両方受けられます。

Q8   パート・アルバイトでも障害者控除は受けられますか?

A   はい、受けられます。年末調整または確定申告で申告してください。

Q9   障害年金を受給していると控除額は変わりますか?

A   障害年金の受給有無は控除額に影響しません。ただし、障害年金は非課税所得なので、所得に含まれません。

Q10   同居特別障害者の「同居」はどの程度厳密ですか?

A   原則として同じ家で生活していることが条件です。長期入院、施設入所などの場合は、同居とみなされないことがあります。

まとめ  障害者控除でどのくらい税金が安くなるか

障害者控除の金額は以下の通りです  

所得税  

  • 一般の障害者  27万円
  • 特別障害者  40万円
  • 同居特別障害者  75万円

住民税  

  • 一般の障害者  26万円
  • 特別障害者  30万円
  • 同居特別障害者  53万円

実際の減税額   控除額に税率をかけた金額が、実際に安くなる税金です。

目安  

  • 一般の障害者  年間3〜5万円程度の減税
  • 特別障害者  年間5〜8万円程度の減税
  • 同居特別障害者  年間10〜20万円程度の減税

(所得によって減税額は変わります)

大切なポイント

  1. 必ず申告しましょう
    • 自動的には適用されません
  2. 年末調整で申告が最も簡単
    • 会社員の方は年末調整で
  3. 確定申告でも間に合います
    • 忘れた場合は確定申告で
  4. 過去5年分まで遡れます
    • 過去に申告し忘れていても大丈夫
  5. 扶養家族の分も忘れずに
    • 障害のある家族を扶養している場合も控除が受けられます
  6. 同居特別障害者は控除額が大きい
    • 該当する場合は必ず申告を
  7. 住民税の非課税制度も確認
    • 所得が低い場合は住民税が全額非課税になることも
  8. 不明点は税務署や市区町村に相談
    • 無料で相談できます

最後に

障害者控除は、障害のある方やそのご家族の税負担を軽減するための重要な制度です。年間で数万円から十数万円の減税になることもあります。

必ず申告して、この制度を活用してください。申告を忘れていた方も、過去5年分まで遡って還付を受けられます。

分からないことがあれば、税務署、市区町村の税務課、または障害福祉課に相談してください。丁寧に教えてもらえます。

あなたとご家族の税負担が少しでも軽くなることを願っています。

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