お子さんの将来を考え、B型施設を探している保護者の方へ
障害のあるお子さんに合った選択をするために、まず知っておきたい基本ガイド
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障害のある子どもの面倒をいつまで見るのか、いつまで続くのか、終わりはあるのかと悩む親に向けて、その現実、親の役割の変化、将来への備えなどを解説します。多くの親が抱える深刻な悩みであり、現実的な視点と準備が必要です。
いつまで面倒を見るのかという問い
いつまで面倒を見るのかという問いについて説明します。
多くの親が抱える根本的な疑問です。子どもが何歳になったら自立するのか、親はいつまで関わり続けるのか、終わりはあるのか、自分が死ぬまで続くのかという不安です。
答えは障害の程度によって異なります。軽度の障害で完全に自立できる場合もあれば、重度の障害で生涯にわたって支援が必要な場合もあります。一律の答えはありません。
物理的な面倒と心理的な関わりは別です。直接的な介護は減らせても、心配や関わりは続きます。親である限り、何らかの形で関わり続けるのが現実です。
親が生きている限り続くという現実があります。多くの場合、親が元気なうちは何らかの形で関わり続けます。親が亡くなって初めて、別の支援者にバトンが渡されます。
完全に手を離すことはできないという現実です。どんなに準備をしても、完全に関わりをなくすことは難しいです。ただし、関わり方は変えられます。
いつまでという期限はないという現実です。○歳になったら終わり、○年後には自立、という明確な期限はありません。長期的、継続的な関わりが前提です。
親自身の寿命との兼ね合いです。親が80代、90代になっても面倒を見続けるのか、それとも途中でバトンタッチするのか、という選択があります。
障害の程度別の現実
障害の程度別の現実について説明します。
軽度の知的障害や発達障害の場合です。就労して経済的に自立できる可能性があります。一人暮らしやグループホームでの生活も可能です。ただし、金銭管理、対人関係、トラブル対応などで、定期的なサポートが必要なことが多いです。完全に手を離すのではなく、見守りや相談相手としての関わりが続きます。
中度の知的障害の場合です。就労継続支援A型やB型で働きながら、グループホームで生活することが一般的です。日常生活のある程度は自分でできますが、金銭管理、医療、重要な決定などには支援が必要です。親の関わりは減りますが、定期的な面会、緊急時の対応、重要な決定への関与などは続きます。
重度の知的障害や重複障害の場合です。入所施設や重度対応のグループホーム、または在宅での生活になります。食事、排泄、入浴などの日常生活全般に介護が必要です。在宅の場合、親の負担は非常に大きく、生涯にわたって続きます。施設入所の場合でも、面会、医療の判断、緊急時の対応などで親の関与が必要です。
身体障害の場合です。知的には問題がなくても、身体介護が必要な場合があります。本人の意思はしっかりしているため、意思決定は本人ができますが、物理的な介助が必要です。ヘルパーやサービスを利用しながら自立生活をする場合、親の直接的な介護は減りますが、サポート体制の調整などで関わりが続きます。
精神障害の場合です。症状が安定していれば自立生活が可能ですが、症状の波があり、不安定な時期には親のサポートが必要です。服薬管理、通院の付き添い、生活リズムの管理、緊急時の対応などで、長期的な関わりが続きます。
年齢別の親の関わり方
年齢別の親の関わり方について説明します。
乳幼児期0〜6歳です。療育、医療機関への通院、日常生活全般の世話など、親の関与が最も大きい時期です。将来への不安を抱えながら、日々の子育てに追われます。
学齢期6〜18歳です。特別支援学校や通常学級での教育、放課後デイサービス、日常生活の世話などが中心です。親の関与は依然として大きいですが、学校や支援者との連携が始まります。進路について考え始める時期でもあります。
青年期18〜30歳です。進路の決定高等部卒業後の進路、就労または福祉サービスの利用開始、成人式、法的な成年後見の検討などがあります。親の関与は徐々に減らしていく時期ですが、まだ多くの場面で親が前面に出ています。グループホームへの入居を検討し始めることもあります。
壮年期30〜50歳です。就労や福祉サービスの利用が安定してくる時期です。グループホームでの生活が軌道に乗ることもあります。親の直接的な関与は減りますが、定期的な面会、緊急時の対応、医療の判断、金銭管理の確認などは続きます。親も50代、60代、70代となり、体力的な限界を感じ始めます。
中高年期50歳以上です。親が高齢化し、物理的な面倒を見ることが困難になってきます。親が80代、90代になると、逆に親が子どもに介護されるような状況も生じます。8050問題、9060問題が現実化します。親亡き後の準備が急務になります。
親の役割の変化
親の役割を段階的に変化させることについて説明します。
直接的な世話をする親から見守る親への変化です。何でもやってあげる親から、必要な時だけサポートする親へ、手取り足取りの親から、遠くから見守る親へと役割を変えていきます。
第一の支援者から第二、第三の支援者への変化です。すべての問題を親が解決する状態から、相談支援専門員、グループホーム職員、成年後見人などが第一の支援者となり、親は補助的な役割へと変化します。
決定権を持つ親から相談相手の親への変化です。すべてを親が決める状態から、本人や成年後見人が決定し、親は相談される立場へと変化します。
毎日会う親から定期的に会う親への変化です。同居から別居へ、毎日の送迎から週1回の面会へ、常に一緒から必要な時に会うへと変化します。
身の回りの世話をする親から精神的な支えになる親への変化です。食事を作る、洗濯をするなどの物理的な世話から、話を聞く、励ます、安心させるなどの精神的なサポートへと変化します。
コーディネーターとしての役割です。直接的な支援者ではなく、支援者をつなぐコーディネーターの役割へと変化します。医療、福祉、行政などをつなぎ、全体を把握する立場です。
いつまで面倒を見るべきか
いつまで面倒を見るべきかについて説明します。
親が元気なうちは関わり続けることが現実です。体力があり、判断力がある間は、何らかの形で関わり続けることが多いです。それは悪いことではありません。
親の体力と相談しながら決めることです。70代前半までは直接的な支援、70代後半からは遠くから見守る、80代以降は他の支援者に任せるなど、自分の体力と相談します。
完全に手を離す必要はないと理解することです。グループホームに入居しても、施設に入所しても、親として関わり続けることは自然です。関わり方を変えるだけです。
早めにバトンタッチの準備をすることです。親が元気なうちに、相談支援専門員、グループホーム、成年後見人などとの関係を構築します。50代、60代のうちに準備を始めるのが理想的です。
親が認知症や重病になったら手を引く時です。親自身が判断できなくなった、介護が必要になった時は、子どもの面倒を見ている場合ではありません。その時のために、事前に支援体制を構築しておきます。
きょうだいに丸投げしないことです。親が亡くなったら、きょうだいが引き継ぐという前提は避けます。きょうだいの意思を確認し、専門的な支援体制を作ります。
親が亡くなるまで、何らかの形で関わるのが現実です。それを前提に、無理のない関わり方を模索します。
面倒を見続けるリスク
親が面倒を見続けることのリスクについて説明します。
親の健康を損なうリスクです。介護疲れ、過労、ストレス、うつ病、生活習慣病などで、親自身が倒れるリスクがあります。共倒れの危険性があります。
子どもの自立を妨げるリスクです。何でもやってあげることで、本人ができることもできなくなる、依存が強まる、成長の機会を奪うなどのリスクがあります。
親亡き後の準備が遅れるリスクです。親が元気なうちに準備をしないと、親が倒れた時、亡くなった時に大混乱します。準備には時間がかかるため、早めに始めることが重要です。
きょうだいに過度な負担をかけるリスクです。準備なく親が亡くなると、きょうだいがすべてを引き継がざるを得なくなります。きょうだいの人生に大きな影響を与えます。
社会資源を利用する機会を逃すリスクです。親が何でもやってしまうと、利用できる福祉サービス、支援制度、グループホームなどを利用しないまま時間が過ぎます。
親子の共依存関係のリスクです。お互いに依存し合う関係になり、健全な距離が保てなくなります。親も子どもも、自分の人生を生きられなくなります。
8050問題、9060問題のリスクです。80代、90代の親が50代、60代の子どもの面倒を見続ける状態になり、双方が高齢化して支援が困難になります。
親が突然倒れた時の混乱のリスクです。準備なく親が倒れると、子どもが行き場を失う、誰が面倒を見るのか決まっていない、混乱が生じるなどのリスクがあります。
親亡き後の準備をいつ始めるか
親亡き後の準備をいつ始めるかについて説明します。
できるだけ早く始めることが理想です。特別支援学校高等部の頃から情報収集を始める、20代のうちにグループホームを見学する、30代で成年後見制度を検討するなど、早ければ早いほど良いです。
遅くとも親が60代のうちに始めることです。親が60代、子どもが30代〜40代のうちに、本格的な準備を始めます。この時期なら、親にも体力があり、準備に時間をかけられます。
子どもが40代、50代になったら急務です。親が70代、80代になると、準備する余裕がなくなります。子どもが中高年になったら、待ったなしです。
親の健康状態が悪化する前に始めることです。認知症や重病になってからでは遅いです。元気なうちに、判断力があるうちに準備します。
グループホームは待機期間が長いことを理解することです。人気のあるグループホームは、数年待ちということもあります。早めに見学し、申し込みをしておくことが重要です。
成年後見制度の利用には時間がかかることを理解することです。申し立てから審判まで数ヶ月かかります。後見人が決まり、体制が整うまでにさらに時間がかかります。
今すぐ始めることです。遅すぎるということはありません。思い立ったら、今日から準備を始めます。
具体的な準備の内容
親亡き後の具体的な準備について説明します。
住まいの確保です。グループホームの見学、体験利用、入居申し込み、入所施設の検討、公営住宅の申し込みなどです。複数の選択肢を持っておくことが重要です。
経済的な準備です。障害年金の確認、生活保護の可能性、親の遺産、生命保険、特別障害者扶養信託、障害者扶養共済制度、遺言書の作成などです。いくら必要か計算します。
成年後見制度の利用です。任意後見契約の締結、法定後見の申し立て、後見人候補者の検討親族、専門職、法人など、後見監督人の検討などです。
支援者ネットワークの構築です。相談支援専門員との関係強化、グループホームや施設との関係構築、医療機関との連携、行政との連絡体制、地域の民生委員との関係などです。複数の支援者がいることが重要です。
情報のまとめです。本人の障害特性、医療情報服薬内容、かかりつけ医など、必要な配慮、好きなもの嫌いなもの、パニック時の対応、日常生活のルーティン、緊急連絡先などを文書にまとめます。サポートブックやエンディングノートを作成します。
きょうだいとの話し合いです。どこまで関わるか、経済的負担はどうするか、緊急連絡先になってもらえるかなどを話し合います。きょうだいの意思を尊重します。
親族や友人への情報共有です。信頼できる親族や友人に、本人のこと、準備していることを伝えます。いざという時に相談できる人を増やします。
法的な書類の整備です。遺言書、任意後見契約書、尊厳死宣言書、エンディングノートなどを作成します。
定期的な見直しです。本人の状態、制度、社会資源は変化します。年に1回程度、準備内容を見直します。
親が倒れた時、亡くなった時
親が倒れた時、亡くなった時の対応について説明します。
緊急連絡先を複数準備しておくことです。きょうだい、親族、相談支援専門員、グループホーム、成年後見人などの連絡先を、本人が持っている、自宅に貼ってあるなど、すぐに連絡できる状態にしておきます。
相談支援専門員が中心になって対応します。親が倒れた時、亡くなった時は、相談支援専門員が緊急対応の中心になります。日頃から信頼関係を築いておくことが重要です。
グループホームや施設が一時的に対応します。本人が在宅の場合、グループホームの短期入所や施設の緊急ショートステイを利用します。事前に緊急時の受け入れ先を確認しておきます。
成年後見人が法的な手続きを行います。親の死後の財産相続、契約行為、重要な決定などは、成年後見人が行います。
きょうだいや親族が補助的に関わります。事前に役割分担を決めておくことで、混乱を避けられます。
市区町村の障害福祉課に相談します。緊急時には、行政も対応してくれます。地域包括支援センター、基幹相談支援センターなども相談先です。
準備をしていれば乗り越えられます。事前に準備をしておけば、親が倒れても、亡くなっても、支援者たちが何とかしてくれます。準備が命です。
親自身の心の準備
親自身の心の準備について説明します。
永遠に面倒を見ることはできないと認識することです。親も人間であり、いつか倒れる、亡くなる時が来ます。その現実を受け入れます。
子どもは親がいなくても生きていけると信じることです。準備をすれば、支援者がいれば、親がいなくても何とかなります。子どもの生命力を信じます。
完璧な準備は不可能と理解することです。どんなに準備しても、不安は残ります。100点を目指さず、60点、70点でも十分だと考えます。
バトンタッチする勇気を持つことです。支援者に任せる勇気、手を引く勇気、自分がいなくても大丈夫だと信じる勇気が必要です。
親としての責任を果たすことと、親自身の人生を生きることのバランスを取ることです。子どものことだけでなく、自分の老後、夫婦の時間、趣味なども大切にします。
罪悪感を手放すことです。施設に入れることに罪悪感を持つ、グループホームに入れることに罪悪感を持つ親は多いですが、それは本人の自立のためであり、悪いことではありません。
子どもの人生は子どものものと認識することです。親の思い通りにしようとしない、本人の意思を尊重する、本人らしい生き方を応援することです。
支援者を信頼することです。相談支援専門員、グループホームの職員、成年後見人などを信頼し、任せることが大切です。
まとめ
障害者の親はいつまで面倒を見るのかという問いに、明確な答えはありません。
現実としては、親が生きている限り、何らかの形で関わり続けることが多いです。ただし、関わり方は変えられます。直接的な世話から見守りへ、第一の支援者から補助的な支援者へと役割を変化させることができます。
障害の程度によって現実は異なります。軽度なら比較的早く自立できる可能性があり、重度なら生涯にわたって支援が必要です。
年齢別に親の関わり方は変化します。乳幼児期は全面的な世話、学齢期は教育と日常生活の支援、青年期は進路決定と自立の準備、壮年期は見守りと緊急時の対応、中高年期は親亡き後の準備が中心になります。
親の役割を段階的に変化させることが重要です。何でもやってあげる親から、見守る親へ、決定権を持つ親から相談相手の親へと変化させます。
面倒を見続けるリスクもあります。親の健康悪化、子どもの自立を妨げる、準備の遅れ、きょうだいへの負担、8050問題などです。
親亡き後の準備はできるだけ早く始めることが重要です。遅くとも親が60代のうちに本格的に始めます。住まいの確保、経済的な準備、成年後見制度、支援者ネットワーク、情報のまとめ、きょうだいとの話し合いなどが必要です。
親が倒れた時、亡くなった時の対応も考えておきます。緊急連絡先、相談支援専門員、グループホーム、成年後見人などが中心になって対応します。
親自身の心の準備も大切です。永遠に面倒を見ることはできないと認識する、完璧な準備は不可能と理解する、バトンタッチする勇気を持つ、罪悪感を手放す、支援者を信頼することなどです。
障害者の親はいつまで面倒を見るのかと悩んでいる方は、一人で抱え込まないでください。明確な答えはありませんが、関わり方は変えられます。できるだけ早く、親亡き後の準備を始めてください。支援者との関係を構築してください。完璧を目指さず、できる範囲で準備してください。親自身の人生も大切にしてください。必ず道は開けます。

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