障害者の生活費平均 実態と収支のシミュレーション

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「障害のある人は、一か月にどのくらいお金がかかるのか」「障害年金だけで生活できるのか」「親亡き後、経済的に大丈夫なのか」。障害のある人やその家族にとって、生活費は大きな関心事です。

障害者の生活費は、障害の種類や程度、住まいの形態、利用するサービスなどによって大きく異なります。本記事では、障害者の生活費の平均的な内訳、住まい別の費用、収入源、収支のシミュレーション、節約のポイント、利用できる支援制度について詳しく解説します。

障害者の生活費の基本

生活費の構成要素

障害者の生活費は、以下の要素で構成されます。

基本的な生活費

  • 家賃または住居費
  • 食費
  • 光熱費
  • 通信費
  • 日用品費
  • 衣服費
  • 交通費
  • 交際費、娯楽費

障害関連の費用

  • 医療費
  • 福祉サービス利用料
  • 介護用品
  • 補装具
  • 通院交通費

その他

  • 保険料
  • 税金
  • 貯金

生活費に影響する要因

生活費は、以下の要因によって大きく異なります。

住まいの形態

  • 家族と同居
  • 一人暮らし
  • グループホーム
  • 入所施設

障害の種類と程度

  • 身体障害、知的障害、精神障害、発達障害
  • 軽度、中度、重度

利用するサービス

  • 福祉サービスの利用量
  • 医療の必要性

地域

  • 都市部か地方か
  • 物価の違い

年齢

  • 若年か高齢か

住まい別の生活費

住まいの形態別に、生活費の平均を見ていきましょう。

1. 家族と同居の場合

親元で暮らす

家族と同居している場合、生活費の負担は比較的軽くなります。

月額費用の内訳

個人的な費用

  • 食費:2万円~3万円(家族と共同)
  • 日用品費:5,000円~1万円
  • 衣服費:5,000円~1万円
  • 通信費:5,000円~1万円(携帯電話など)
  • 交際費・娯楽費:1万円~2万円
  • 医療費:5,000円~2万円
  • 福祉サービス利用料:0円~1万円
  • その他:5,000円~1万円

合計:月額5万円~11万円程度

家族が負担する費用

  • 家賃または住宅ローン
  • 光熱費の一部
  • 食費の一部

特徴

  • 家族の支援があるため、経済的負担は軽い
  • 障害基礎年金で賄える場合が多い
  • 親亡き後を考えると、いつまでも続けられない

2. 一人暮らしの場合

自立生活

一人暮らしの場合、すべての生活費を自分で負担します。

月額費用の内訳

住居費

  • 家賃:3万円~8万円(地域により大きく異なる)
  • 都市部:5万円~8万円
  • 地方:3万円~5万円

生活費

  • 食費:3万円~4万円
  • 光熱費:1万円~1.5万円(電気、ガス、水道)
  • 通信費:1万円~1.5万円(携帯電話、インターネット)
  • 日用品費:5,000円~1万円
  • 衣服費:5,000円~1万円
  • 交通費:5,000円~1万円
  • 交際費・娯楽費:1万円~2万円

障害関連費用

  • 医療費:5,000円~2万円
  • 福祉サービス利用料:0円~2万円(居宅介護など)
  • その他:5,000円~1万円

合計:月額12万円~24万円程度

内訳の例(都市部)

  • 家賃:6万円
  • 食費:3.5万円
  • 光熱費:1.2万円
  • 通信費:1.2万円
  • 日用品費:8,000円
  • 衣服費:8,000円
  • 交通費:8,000円
  • 交際費・娯楽費:1.5万円
  • 医療費:1万円
  • 福祉サービス利用料:1万円
  • その他:8,000円
  • 合計:約18万円

特徴

  • 障害基礎年金だけでは厳しい
  • 就労収入または生活保護が必要
  • 孤立のリスク

3. グループホームの場合

共同生活

グループホームは、最も一般的な親亡き後の住まいです。

月額費用の内訳

グループホーム関連費用

  • 家賃:3万円~7万円
  • 食費:3万円~4万円
  • 光熱費:1万円~2万円
  • サービス利用料:0円~1万円(所得に応じて)

グループホーム外の費用

  • 通信費:5,000円~1万円(携帯電話)
  • 日用品費:5,000円~1万円
  • 衣服費:5,000円~1万円
  • 交際費・娯楽費:1万円~2万円
  • 医療費:5,000円~2万円
  • その他:5,000円~1万円

合計:月額10万円~20万円程度

平均的な例

  • 家賃:5万円
  • 食費:3.5万円
  • 光熱費:1.5万円
  • サービス利用料:5,000円
  • 通信費:8,000円
  • 日用品費:8,000円
  • 衣服費:8,000円
  • 交際費・娯楽費:1.5万円
  • 医療費:1万円
  • その他:8,000円
  • 合計:約15万円

家賃補助

特定障害者特別給付費(家賃補助)により、月額最大1万円の補助があります。

特徴

  • 障害基礎年金と工賃で概ね賄える
  • 支援があるので安心
  • 地域で暮らせる

4. 入所施設の場合

24時間支援

入所施設は、24時間体制で支援が受けられる施設です。

月額費用の内訳

施設利用料

  • 施設サービス費:0円~9万円程度(所得に応じて)
  • 食費:実費(月3万円~4万円程度)
  • 光熱水費:実費(月1万円~2万円程度)

施設外の費用

  • 通信費:5,000円~1万円
  • 日用品費:5,000円~1万円
  • 衣服費:5,000円~1万円
  • 交際費・娯楽費:5,000円~1万円
  • 医療費:0円~1万円(施設で対応される場合が多い)
  • その他:5,000円~1万円

合計:月額5万円~18万円程度

平均的な例(所得が少ない場合)

  • 施設サービス費:2万円
  • 食費:3.5万円
  • 光熱水費:1.5万円
  • 通信費:8,000円
  • 日用品費:8,000円
  • 衣服費:8,000円
  • 交際費・娯楽費:8,000円
  • その他:8,000円
  • 合計:約10万円

特徴

  • 障害基礎年金の範囲内で収まることが多い
  • 支援が手厚い
  • 施設内で生活が完結する

収入源

障害者の主な収入源を説明します。

1. 障害基礎年金

国の年金制度

障害基礎年金は、障害者の最も基本的な収入源です。

金額(2024年度)

  • 1級:月額約81,000円(年額約97万円)
  • 2級:月額約65,000円(年額約78万円)

受給要件

  • 20歳以上
  • 障害の状態が1級または2級に該当

2. 障害厚生年金

厚生年金加入者

厚生年金に加入していた場合。

金額

  • 障害基礎年金 + 障害厚生年金
  • 加入期間や給与による

3. 特別障害者手当

重度の障害

常時特別の介護を必要とする重度の障害がある場合。

金額

  • 月額約27,000円

注意

  • 施設入所している場合は受給できない

4. 就労収入

働いて得る収入

一般就労

  • 給与:様々

障害者雇用

  • 給与:月額10万円~20万円程度(フルタイム)

就労継続支援A型

  • 給与:月額約8万円程度

就労継続支援B型

  • 工賃:月額約1.6万円(平均)

5. 生活保護

最後のセーフティネット

収入が最低生活費に満たない場合。

金額

  • 地域や世帯構成による
  • 一人暮らしの場合:月額12万円~15万円程度

6. その他

家族の支援

  • 親からの仕送り
  • 親の年金

遺産

  • 親の遺産

障害者扶養共済制度

  • 月額2万円または4万円(親が加入していた場合)

収支のシミュレーション

具体的な収支のシミュレーションを見ていきましょう。

ケース1:グループホーム + B型事業所

設定

  • 30歳、知的障害、障害基礎年金2級
  • グループホームで暮らす
  • B型事業所に通う

収入

  • 障害基礎年金2級:65,000円
  • B型工賃:15,000円
  • 合計:80,000円

支出

  • 家賃:50,000円
  • 食費:35,000円
  • 光熱費:15,000円
  • サービス利用料:5,000円
  • 家賃補助:-10,000円(特定障害者特別給付費)
  • 実質家賃:40,000円

グループホーム関連費用合計:95,000円

  • 通信費:8,000円
  • 日用品費:8,000円
  • 衣服費:8,000円
  • 交際費・娯楽費:10,000円
  • 医療費:10,000円
  • その他:5,000円

個人費用合計:49,000円

総支出:144,000円

収支:80,000円 – 144,000円 = -64,000円

不足分の対応

  • 生活保護の利用
  • 家族の支援
  • 工賃の高い事業所への変更

ケース2:グループホーム + A型事業所

設定

  • 35歳、精神障害、障害基礎年金2級
  • グループホームで暮らす
  • A型事業所に通う

収入

  • 障害基礎年金2級:65,000円
  • A型給与:80,000円
  • 合計:145,000円

支出

  • 家賃:50,000円
  • 食費:35,000円
  • 光熱費:15,000円
  • サービス利用料:9,300円(所得に応じて)
  • 家賃補助:-10,000円
  • 実質家賃:40,000円

グループホーム関連費用合計:99,300円

  • 通信費:10,000円
  • 日用品費:8,000円
  • 衣服費:8,000円
  • 交際費・娯楽費:15,000円
  • 医療費:5,000円(自立支援医療利用)
  • その他:8,000円

個人費用合計:54,000円

総支出:153,300円

収支:145,000円 – 153,300円 = -8,300円

不足分の対応

  • 貯金の取り崩し
  • 支出の見直し
  • わずかな不足なので、工夫で対応可能

ケース3:一人暮らし + 障害者雇用

設定

  • 40歳、身体障害、障害基礎年金2級
  • 一人暮らし
  • 障害者雇用でフルタイム勤務

収入

  • 障害基礎年金2級:65,000円
  • 給与:150,000円
  • 合計:215,000円

支出

  • 家賃:60,000円
  • 食費:40,000円
  • 光熱費:12,000円
  • 通信費:12,000円
  • 日用品費:10,000円
  • 衣服費:10,000円
  • 交通費:10,000円
  • 交際費・娯楽費:20,000円
  • 医療費:10,000円
  • 福祉サービス利用料:5,000円(居宅介護)
  • その他:10,000円

総支出:189,000円

収支:215,000円 – 189,000円 = +26,000円

余剰の使い道

  • 貯金
  • 趣味や旅行
  • 将来への備え

ケース4:入所施設

設定

  • 50歳、重度知的障害、障害基礎年金1級
  • 入所施設で暮らす
  • 施設内で軽作業

収入

  • 障害基礎年金1級:81,000円
  • 特別障害者手当:27,000円(施設入所のため受給不可)
  • 施設内作業の工賃:5,000円
  • 合計:86,000円

支出

  • 施設サービス費:20,000円
  • 食費:35,000円
  • 光熱水費:15,000円
  • 通信費:8,000円
  • 日用品費:8,000円
  • 衣服費:5,000円
  • 交際費・娯楽費:5,000円
  • その他:5,000円

総支出:101,000円

収支:86,000円 – 101,000円 = -15,000円

不足分の対応

  • 親からの仕送り
  • 親の遺産の取り崩し
  • 障害者扶養共済制度の年金
  • 生活保護

生活費を抑えるポイント

生活費を抑えるためのポイントを紹介します。

1. 家賃を抑える

住居費の節約

  • グループホームを選ぶ(家賃補助がある)
  • 公営住宅に申し込む(家賃が安い)
  • 家賃の安い地域を選ぶ

2. 各種減免制度を利用する

医療費

  • 自立支援医療(精神通院医療):1割負担
  • 心身障害者医療費助成(自治体による)

交通費

  • 福祉特別乗車券(市営地下鉄・バス無料など)
  • JR、私鉄の運賃割引
  • タクシー券

公共料金

  • NHK受信料の免除
  • 携帯電話料金の割引

3. 食費を工夫する

自炊

  • 外食を減らす
  • まとめ買い
  • 冷凍保存

配食サービス

  • 高齢者向け配食サービス(1食500円~800円)

4. 福祉サービスの利用料を確認

所得に応じた上限

福祉サービスの利用料は、所得に応じて月額上限があります。多くの障害者は無料です。

5. 不要な支出を見直す

固定費の削減

  • 携帯電話のプランを見直す
  • 保険を見直す
  • サブスクリプションサービスを整理

6. 家計簿をつける

支出の把握

家計簿をつけることで、無駄な支出が見えてきます。

利用できる支援制度

生活費に関連する支援制度を紹介します。

1. 生活保護

収入が最低生活費に満たない場合、生活保護を受けられます。

2. 障害基礎年金

20歳以上で障害の状態が1級または2級に該当する場合。

3. 特別障害者手当

常時特別の介護を必要とする重度の障害がある場合(施設入所者は対象外)。

4. 各種減免制度

医療費助成、交通費助成、公共料金の減免など。

5. グループホームの家賃補助

特定障害者特別給付費:月額最大1万円。

6. 障害者扶養共済制度

親が加入していれば、親亡き後に月額2万円または4万円の年金。

7. 食費等の減額制度

入所施設やグループホームの食費等が減額される制度があります。

よくある質問

Q1: 障害基礎年金だけで生活できますか?

A: 住まいの形態によります。

  • グループホームや入所施設の場合、概ね賄えることが多い
  • 一人暮らしの場合、障害基礎年金だけでは厳しく、就労収入や生活保護が必要

Q2: 生活保護を受けると障害年金はどうなりますか?

A: 障害年金は収入として計算されます。

生活保護の金額から障害年金を引いた額が支給されます。ただし、障害年金は本人が使えます。

Q3: 親亡き後、経済的に大丈夫でしょうか?

A: 準備次第です。

障害基礎年金、就労収入、障害者扶養共済制度、遺産などを組み合わせることで、生活できる可能性は高いです。グループホームや入所施設なら、障害年金の範囲内で生活できることが多いです。

Q4: B型の工賃が少なすぎて生活できません。

A: 以下の選択肢があります。

  • A型への移行
  • より工賃の高いB型事業所への変更
  • 障害者雇用での就労
  • 生活保護の利用
  • 家族と同居

Q5: 貯金はどのくらい必要ですか?

A: 緊急時に対応できる程度が望ましいです。

最低でも3か月分、できれば6か月分の生活費を貯金しておくと安心です。

まとめ

障害者の生活費は、住まいの形態によって大きく異なります。家族と同居の場合は月5万円~11万円程度、一人暮らしの場合は月12万円~24万円程度、グループホームの場合は月10万円~20万円程度、入所施設の場合は月5万円~18万円程度です。

収入源は、障害基礎年金、障害厚生年金、特別障害者手当、就労収入、生活保護、家族の支援、遺産、障害者扶養共済制度などがあります。

グループホームでB型事業所に通う場合、障害年金と工賃だけでは不足することが多く、生活保護や家族の支援が必要になります。A型事業所や障害者雇用で働けば、ほぼ自立できます。入所施設の場合、障害年金の範囲内で生活できることが多いです。

生活費を抑えるポイントは、家賃を抑える、各種減免制度を利用する、食費を工夫する、福祉サービスの利用料を確認する、不要な支出を見直す、家計簿をつけることです。

親亡き後も安心して暮らせるよう、親が元気なうちから経済的な準備をしておくことが大切です。市区町村の障害福祉課や相談支援事業所、ファイナンシャルプランナーなどに相談しながら、計画を立てましょう。


主な相談窓口

市区町村の障害福祉課

  • 制度の説明、サービスの案内

相談支援事業所

  • 生活全般の相談

社会福祉協議会

  • 生活困窮者支援

一人で悩まず、必ず相談してください。

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