お子さんの将来を考え、B型施設を探している保護者の方へ
障害のあるお子さんに合った選択をするために、まず知っておきたい基本ガイド
初めての方は、基礎知識と不安解消をセットで押さえると安心です。
まず読むべき基礎知識5記事
施設選びでつまずきやすいポイント5記事
「施設に入れるなんて、親として失格なのではないか」「子どもを見捨てたように感じる」「世間から『冷たい親』と思われるのではないか」「夜も眠れないほど罪悪感に苦しんでいる」。障害のある子どもを施設に入所させた親の多くが、深い罪悪感に苦しんでいます。
しかし、施設入所は決して親の失敗ではありません。むしろ、子どもの将来と親自身の人生を考えた、勇気ある決断です。本記事では、なぜ親は罪悪感を抱くのか、罪悪感の正体、罪悪感を乗り越える方法、周囲の理解を得る方法、そして親自身の人生を取り戻す方法について詳しく解説します。
親が抱く罪悪感の実態
よくある罪悪感の言葉
施設入所を決めた親が口にする言葉です。
自分を責める言葉
- 「私が育て方を間違えたのではないか」
- 「もっと頑張れば、家で看られたのではないか」
- 「子どもを見捨てた」
- 「親としての責任を放棄した」
- 「施設に押し付けた」
子どもへの申し訳なさ
- 「寂しい思いをさせている」
- 「かわいそうなことをした」
- 「家族と離れ離れにしてしまった」
- 「子どもは施設に入りたくなかったのではないか」
世間への恐れ
- 「親戚から『冷たい親』と思われる」
- 「近所の人に何と言われるか」
- 「施設に入れたと知られたくない」
きょうだいへの思い
- 「きょうだいに申し訳ない」
- 「きょうだいを優先してしまった」
罪悪感の強さ
日常生活に支障
罪悪感が強すぎて、日常生活に支障をきたす親もいます。
具体的な症状
- 眠れない
- 食欲がない
- 涙が止まらない
- 何も手につかない
- うつ状態
- 子どもに会いに行けない(会うと辛いから)
- 施設のことを考えるだけで苦しい
罪悪感が続く期間
数か月から数年
罪悪感は、入所直後が最も強く、徐々に和らいでいくことが多いです。
時期による変化
入所直後(1~3か月)
- 最も強い罪悪感
- 毎日泣いている
- 子どものいない家が耐えられない
数か月後(3~6か月)
- まだ強い罪悪感
- 子どもの様子を見て、少し安心
- 自分の生活が少し楽になったことに罪悪感
1年後
- 罪悪感は残るが、和らいでいる
- 施設での生活に慣れた子どもを見て安心
- 自分の生活も取り戻しつつある
数年後
- 罪悪感はあるが、受け入れている
- 「これで良かった」と思えるようになる
注意点
人によっては、何年経っても罪悪感が消えない場合もあります。専門家のサポートが必要な場合もあります。
なぜ親は罪悪感を抱くのか
罪悪感を抱く理由を理解しましょう。
1. 社会的な価値観
親が子を看るべき
日本社会には、「親が子どもの面倒を看るべき」という強い価値観があります。
社会的メッセージ
- 「親の愛情があれば何とかなる」
- 「施設に入れるなんて冷たい」
- 「最後まで家で看るべき」
- 「親なんだから当たり前」
問題点
この価値観は、親を追い詰めます。特に障害のある子どもの場合、親が一生面倒を看ることは現実的ではありません。
2. 親役割へのプレッシャー
理想の親像
「良い親」「立派な親」でありたいという思いが強いほど、罪悪感も強くなります。
理想の親像
- どんなことがあっても子どもを守る
- 子どもを最優先にする
- 自己犠牲を厭わない
- 施設には頼らない
現実とのギャップ
理想と現実のギャップが、罪悪感を生みます。
3. 世間体
他人の目
「他人から何と思われるか」という恐れが罪悪感を強めます。
具体的な恐れ
- 親戚から批判される
- 近所の人に噂される
- 「あの親は冷たい」と言われる
- きょうだいの結婚に影響する
4. 子どもへの愛情
深い愛情
子どもへの深い愛情があるからこそ、離れることが辛く、罪悪感を感じます。
親の思い
- 寂しがっているのではないか
- 家に帰りたいと思っているのではないか
- 私のことを恨んでいるのではないか
- かわいそうなことをした
5. きょうだいへの配慮
きょうだいを優先した
きょうだいの生活や将来を考えて施設入所を決めた場合、罪悪感を感じます。
親の思い
- きょうだいのために、障害のある子を犠牲にした
- きょうだいを優先してしまった
- 平等に愛していないのではないか
6. 自分の限界を認めること
自分の無力感
自分の限界を認めることは、親にとって辛いことです。
親の思い
- 自分には看られなかった
- 力不足だった
- 親として失格だ
7. 「施設」へのネガティブなイメージ
昔の施設のイメージ
「施設」という言葉に、ネガティブなイメージを持っている人が多いです。
ネガティブなイメージ
- 暗い、冷たい
- 虐待がある
- 閉鎖的
- 不幸な場所
現実
現代の障害者支援施設は、明るく開かれた場所です。職員も専門的な訓練を受け、質の高いケアを提供しています。
8. 自分だけ楽になったという感覚
自分の負担軽減
施設入所により、親の負担は大幅に軽減されます。しかし、それが罪悪感を生みます。
親の思い
- 自分だけ楽になった
- 子どもは施設で大変なのに、自分は自由になった
- こんなことを思う自分が嫌だ
罪悪感の正体
罪悪感の正体を理解することで、客観的に見ることができます。
1. 愛情の裏返し
愛しているからこそ
罪悪感は、子どもへの深い愛情の裏返しです。愛していなければ、罪悪感は感じません。
2. 責任感の強さ
責任を果たそうとする姿勢
罪悪感を感じるのは、親としての責任を果たそうとする姿勢の表れです。
3. 喪失感
失った感覚
子どもが家からいなくなることで、喪失感を感じます。これが罪悪感として現れます。
4. 理不尽な自責
自分のせいではないのに
施設入所が必要になったのは、親のせいではありません。しかし、親は自分を責めてしまいます。
5. 社会が作り出した罪悪感
社会的プレッシャー
罪悪感の多くは、社会が作り出したものです。「親が看るべき」という価値観が、親を苦しめています。
罪悪感を感じる必要がない理由
罪悪感を感じる必要がない理由を理解しましょう。
1. 施設入所は親の失敗ではない
適切な選択
施設入所は、子どもにとって、そして親にとって、適切な選択である場合が多いです。
理由
- 専門的なケアが受けられる
- 24時間体制の支援
- 同年代の仲間がいる
- 親の負担が軽減される
- 親亡き後の準備
2. 親も一人の人間
親の人生も大切
親も一人の人間であり、自分の人生を生きる権利があります。
親の権利
- 休息する権利
- 自分の時間を持つ権利
- 健康を守る権利
- 人生を楽しむ権利
3. 親が倒れたら元も子もない
親の健康が最優先
親が介護で倒れてしまったら、子どもの面倒を看ることができません。
4. 子どもにとっても良い面がある
子どもの成長
施設での生活は、子どもにとっても良い面があります。
メリット
- 専門的な支援
- 親から自立する経験
- 同年代の仲間
- 親に気を遣わなくていい
- 親亡き後への準備
5. きょうだいの人生も大切
きょうだいの幸せ
きょうだいにも、自分の人生を生きる権利があります。障害のある子のために、きょうだいが犠牲になる必要はありません。
6. 多くの親が同じ決断をしている
あなただけではない
施設入所を選択する親は、決して珍しくありません。多くの親が同じ決断をしています。
7. 愛情の表現方法は一つではない
離れても愛している
一緒に暮らすことだけが愛情の表現ではありません。離れていても、愛情を示す方法はたくさんあります。
愛情の表現
- 定期的な面会
- 電話
- 手紙
- プレゼント
- 職員への感謝
罪悪感を乗り越える方法
罪悪感を乗り越えるための具体的な方法を紹介します。
1. 自分の感情を認める
感じることは自然
罪悪感を感じることは自然です。無理に消そうとせず、まずは認めましょう。
方法
- 「罪悪感を感じている」と認める
- 「それは愛情の裏返しだ」と理解する
- 「感じてもいい」と許す
2. 自分を責めない
自分を許す
「自分は悪い親だ」と責めるのをやめましょう。
言い聞かせる言葉
- 「私は十分に頑張った」
- 「これが最善の選択だった」
- 「私も人間だから、限界がある」
- 「親も幸せになっていい」
3. 子どもの様子を見る
安心する
施設での子どもの様子を見ることで、安心できます。
方法
- 定期的に面会する
- 職員から様子を聞く
- 子どもが笑顔でいるか確認する
- 施設での生活を楽しんでいるか確認する
子どもが楽しそうにしている場合
「ここで良かったんだ」と思えるようになります。
4. 誰かに話す
吐き出す
罪悪感を一人で抱え込まず、誰かに話しましょう。
話す相手
- 家族会、親の会
- カウンセラー
- 相談支援専門員
- 信頼できる友人
- きょうだい
- パートナー
話すことの効果
- 気持ちが楽になる
- 「自分だけじゃない」と思える
- 客観的な意見が聞ける
5. 家族会や親の会に参加する
ピアサポート
同じ立場の親と交流することで、孤独感が和らぎます。
効果
- 「みんな同じ気持ちだ」と安心する
- 経験談を聞く
- 罪悪感が和らぐ
6. カウンセリングを受ける
専門家のサポート
罪悪感が強すぎる場合、カウンセリングを受けることも選択肢です。
効果
- 感情の整理
- 認知の修正
- うつ症状の軽減
7. 自分の時間を楽しむ
罪悪感を感じずに
自分の時間を楽しむことに、罪悪感を感じる必要はありません。
方法
- 趣味
- 友人との交流
- 旅行
- 仕事
- ボランティア
心構え
- 「私も幸せになっていい」
- 「楽しむことは悪いことではない」
8. 子どもとの新しい関係を築く
一緒に暮らさなくても
一緒に暮らさなくても、親子の関係は続きます。
新しい関係
- 定期的な面会
- 外出や外食
- 電話
- 手紙
- イベントへの参加
9. 施設の職員に感謝する
感謝の気持ち
施設の職員に感謝の気持ちを伝えることで、罪悪感が和らぎます。
方法
- 「いつもありがとうございます」と伝える
- 差し入れ
- 手紙
効果
- 「子どもは大切にされている」と安心する
- 罪悪感が和らぐ
10. 時間が解決することもある
焦らない
罪悪感は、時間とともに和らいでいくことが多いです。焦らず、自分のペースで受け入れていきましょう。
11. 認知を変える
考え方を変える
罪悪感を生む考え方を、別の考え方に変えてみましょう。
例
罪悪感を生む考え方
- 「施設に入れるなんて、親として失格だ」
別の考え方
- 「子どもの将来を考えた、勇気ある決断だった」
- 「専門的なケアが受けられる場所を選んだ」
- 「親亡き後への準備をした」
罪悪感を生む考え方
- 「私だけ楽になった」
別の考え方
- 「私が健康でいることが、子どものためにもなる」
- 「倒れてしまったら、子どもの面倒も看られない」
12. 「これで良かった」と言い聞かせる
肯定する
「これで良かった」と自分に言い聞かせることで、徐々に受け入れられます。
周囲の理解を得る方法
周囲から理解を得ることで、罪悪感が和らぎます。
1. 親戚や友人に説明する
正直に話す
施設入所の理由を正直に話しましょう。
説明のポイント
- なぜ施設入所を選んだのか
- 家で看ることの限界
- 親亡き後への準備
- 子どもにとっても良い面がある
2. きょうだいと話し合う
きょうだいの理解
きょうだいと話し合い、理解を得ましょう。
話し合うこと
- 施設入所の理由
- きょうだいへの配慮
- 将来のこと
3. 理解されない人とは距離を置く
無理に理解を求めない
理解されない人に無理に理解を求める必要はありません。距離を置くことも選択肢です。
4. 施設のイベントに招待する
施設を見てもらう
親戚や友人を施設のイベントに招待し、実際に見てもらうことで、理解が深まります。
親自身の人生を取り戻す
施設入所は、親自身の人生を取り戻すチャンスでもあります。
1. 自分のやりたいことをする
夢を叶える
今まで我慢していたことを、始めてみましょう。
例
- 趣味
- 習い事
- 旅行
- 仕事
- ボランティア
2. 夫婦の時間を作る
パートナーとの関係
夫婦の時間を作り、関係を再構築しましょう。
3. きょうだいとの時間を作る
きょうだいへの愛情
きょうだいとの時間を作り、愛情を注ぎましょう。
4. 友人との交流を取り戻す
社会とのつながり
友人との交流を取り戻し、社会とのつながりを持ちましょう。
5. 健康を取り戻す
自分の健康
今まで後回しにしていた自分の健康を、優先しましょう。
よくある質問
Q1: 罪悪感は消えますか?
A: 完全には消えないかもしれませんが、和らぎます。
時間とともに、「これで良かった」と思えるようになることが多いです。
Q2: 子どもは親を恨んでいるのでしょうか?
A: 多くの場合、恨んでいません。
子どもは、施設での生活に慣れ、楽しんでいることが多いです。定期的に面会し、愛情を示すことが大切です。
Q3: 施設に入れたことを後悔しています。
A: 後悔する必要はありません。
施設入所は、子どもと親の両方にとって、最善の選択である場合が多いです。子どもの様子を見て、安心しましょう。
Q4: 周囲から批判されます。
A: 理解されない人とは距離を置きましょう。
あなたの決断は間違っていません。理解してくれる人とつながりましょう。
Q5: いつまで罪悪感を引きずるのでしょうか?
A: 人によりますが、徐々に和らぎます。
1~2年で受け入れられるようになる人が多いです。カウンセリングや家族会のサポートも有効です。
まとめ
障害者の施設入所に伴う親の罪悪感は、深く、辛いものです。しかし、罪悪感を感じる必要はありません。施設入所は親の失敗ではなく、子どもの将来と親自身の人生を考えた、適切な選択です。
罪悪感を抱く理由は、社会的な価値観、親役割へのプレッシャー、世間体、子どもへの愛情、きょうだいへの配慮、自分の限界を認めること、施設へのネガティブなイメージ、自分だけ楽になったという感覚などです。
罪悪感の正体は、愛情の裏返し、責任感の強さ、喪失感、理不尽な自責、社会が作り出した罪悪感です。
罪悪感を乗り越える方法は、自分の感情を認める、自分を責めない、子どもの様子を見る、誰かに話す、家族会に参加する、カウンセリングを受ける、自分の時間を楽しむ、新しい関係を築く、職員に感謝する、時間に任せる、認知を変える、「これで良かった」と言い聞かせることです。
周囲の理解を得る方法は、説明する、きょうだいと話し合う、理解されない人とは距離を置く、施設を見てもらうことです。
施設入所は、親自身の人生を取り戻すチャンスでもあります。自分のやりたいことをし、夫婦の時間を作り、きょうだいとの時間を作り、友人との交流を取り戻し、健康を取り戻しましょう。
あなたは十分に頑張りました。罪悪感を感じる必要はありません。親も幸せになっていいのです。一人で抱え込まず、家族会やカウンセラーに相談しながら、自分の人生を取り戻していきましょう。
主な相談窓口
家族会、親の会
- ピアサポート、情報交換
カウンセリングルーム
- 専門家のサポート
相談支援事業所
- 生活全般の相談
一人で悩まず、必ず相談してください。あなたは悪くありません。

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