お子さんの将来を考え、B型施設を探している保護者の方へ
障害のあるお子さんに合った選択をするために、まず知っておきたい基本ガイド
初めての方は、基礎知識と不安解消をセットで押さえると安心です。
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障害のある子どもが成人を迎えるにあたって、どこまで自立できるのか、どんな支援が必要なのか、不安や疑問を抱えている方に向けて、障害者の自立の形、利用できる制度やサービス、準備すべきことなどを解説します。自立にはさまざまな形があり、適切な支援を受けることで、多くの可能性が広がります。
障害者の自立とは
障害者の自立について説明します。
自立には様々な形があることです。一人暮らしをすることだけが自立ではありません。支援を受けながら地域で暮らすことも自立の形です。
完全な自立を目指す必要はないことです。誰でも何らかの支援を受けて生きています。障害者も適切な支援を受けながら、自分らしく生きることが大切です。
経済的自立、生活的自立、精神的自立があります。すべてを同時に達成する必要はなく、できる部分から自立を進めます。
本人の意思や選択を尊重することが自立の基本です。自分で決める、自分の人生を選択することが、最も重要な自立です。
自立とは依存先を増やすことという考え方もあります。一人に頼るのではなく、複数の人やサービスに頼ることで、自由に生きられます。
障害の種類や程度によって、自立の形は異なります。身体障害、知的障害、精神障害、発達障害など、それぞれに適した自立の形があります。
年齢とともに自立の形も変わります。若いときはできたことができなくなる、逆に年齢とともにできることが増えることもあります。柔軟に考えます。
障害の種類別の自立の可能性
障害の種類別に自立の可能性について説明します。
知的障害の場合
軽度の知的障害の場合です。就労継続支援A型や一般就労で働く、グループホームや一人暮らしで生活する、金銭管理や日常生活に部分的な支援を受けるなどの形があります。多くの人が地域で自立した生活を送っています。
中度の知的障害の場合です。就労継続支援B型で働く、グループホームで生活する、日常生活全般に支援を受ける、成年後見制度を利用するなどの形があります。適切な支援があれば、地域生活が可能です。
重度の知的障害の場合です。生活介護で日中を過ごす、グループホームや入所施設で生活する、日常生活全般に常時支援を受けるなどの形があります。本人のペースで穏やかに生活できる環境が大切です。
身体障害の場合
肢体不自由の場合です。バリアフリー住宅やグループホームで生活する、介護サービスを利用する、就労継続支援や一般就労で働く、移動支援や生活支援を受けるなどの形があります。環境整備と適切な支援で、高い自立が可能です。
視覚障害の場合です。一人暮らしやグループホームで生活する、歩行訓練や生活訓練を受ける、就労継続支援や一般就労で働く、同行援護サービスを利用するなどの形があります。訓練と支援で、多くのことが可能になります。
聴覚障害の場合です。一人暮らしやグループホームで生活する、手話や筆談でコミュニケーションを取る、就労継続支援や一般就労で働く、必要に応じて手話通訳や要約筆記を利用するなどの形があります。コミュニケーション支援があれば、高い自立が可能です。
精神障害の場合
統合失調症の場合です。症状が安定していれば、一人暮らしやグループホームで生活できる、就労継続支援や一般就労で働ける、服薬管理や定期的な通院が重要、訪問看護や生活支援を受けるなどの形があります。病状管理が鍵です。
うつ病や双極性障害の場合です。症状が安定していれば、一人暮らしが可能、就労継続支援や一般就労で働ける、定期的な通院と服薬管理が重要、ストレス管理や生活リズムの維持が大切などです。
発達障害の場合
自閉スペクトラム症ADの場合です。特性に配慮された環境があれば、一人暮らしやグループホームで生活できる、就労継続支援や一般就労で働ける、視覚的な支援やルーティンの確立が有効、コミュニケーション支援や生活支援を受けるなどの形があります。
ADHDの場合です。薬物療法や環境調整で、一人暮らしが可能、就労継続支援や一般就労で働ける、スケジュール管理や金銭管理に支援が必要なことがある、定期的な相談支援を受けるなどの形があります。
生活の場の選択肢
成人後の生活の場の選択肢について説明します。
一人暮らし単身生活です。アパートやマンションで一人で暮らします。訪問系サービス居宅介護、重度訪問介護、同行援護などを利用します。自由度が高い反面、孤立のリスクもあります。相談支援専門員との定期的な連絡が大切です。
グループホームです。障害者が共同生活をする住居です。世話人や生活支援員のサポートを受けられます。食事提供や見守りがあり、安心感があります。仲間がいて孤立しません。夜間は職員がいない場所もあるので確認が必要です。
入所施設障害者支援施設です。住まいと日中活動の場が一体となった施設です。24時間体制でサポートを受けられます。重度の障害がある場合や、常時介護が必要な場合に選択します。地域との交流が少なくなる可能性があります。
家族との同居です。実家で家族と暮らし続けます。通所系サービスを利用します。安心感がある反面、自立が遅れる、家族の負担が大きい、親亡き後の準備が進まないなどの課題があります。
きょうだいとの同居です。親が亡くなった後、きょうだいと暮らします。きょうだいの意思と状況を十分に確認することが必要です。過度な負担をかけないよう、支援サービスを活用します。
サテライト型グループホームです。一人暮らしに近い形ですが、本体のグループホームから定期的な支援を受けられます。自立度が高い人向けです。
公営住宅です。障害者向けの公営住宅があります。家賃が安い、バリアフリーなどのメリットがあります。訪問系サービスを利用します。
日中活動の場の選択肢
成人後の日中活動の場の選択肢について説明します。
就労継続支援A型です。雇用契約を結び、最低賃金以上の給与が得られます。一般就労が難しい人向けですが、収入が得られるメリットがあります。平均月額給与は約8万円程度です。
就労継続支援B型です。雇用契約を結ばず、生産活動を行います。工賃は少額平均月額1.5万円程度ですが、体調やペースに合わせて働けます。働く場と居場所の両方の機能があります。
就労移行支援です。一般就労を目指して訓練を受けます。2年間の利用期間があります。就職活動の支援も受けられます。一般企業への就職を目指す人向けです。
一般就労です。一般企業で働きます。障害者雇用枠または一般枠で就職します。就労定着支援を利用することで、職場定着をサポートしてもらえます。
生活介護です。常時介護が必要な人向けです。日中の介護、生産活動、創作活動などが提供されます。重度の障害がある人が対象です。
地域活動支援センターです。創作活動、生産活動、社会との交流などの機会が提供されます。比較的自由に利用できます。
デイサービスです。高齢者だけでなく、障害者向けのデイサービスもあります。日中の居場所と活動の場が提供されます。
在宅です。通所せず、自宅で過ごします。訪問系サービスや訪問看護などを利用します。重度の障害や体調不良がある場合に選択します。
経済的な自立
経済的な自立について説明します。
障害年金です。20歳前から障害がある場合は障害基礎年金、厚生年金に加入していた場合は障害厚生年金が受給できます。障害基礎年金1級で月約8万円、2級で月約6万円程度です。経済的自立の基盤になります。
就労による収入です。就労継続支援A型なら月約8万円、B型なら月約1.5万円、一般就労なら最低賃金以上の給与が得られます。障害年金と合わせることで、経済的自立度が高まります。
生活保護です。年金や給与だけでは生活できない場合、生活保護を受けることができます。障害年金と生活保護は併給可能です。最低限の生活は保障されます。
親からの支援です。親が元気なうちは経済的支援を受ける、遺産を相続する、生命保険の受取人になるなどです。ただし、親に頼りすぎず、制度を活用することが大切です。
特別障害者手当です。20歳以上で、著しく重度の障害があり、日常生活に常時特別の介護が必要な場合、月約2.8万円の手当が支給されます。
医療費助成です。自立支援医療精神通院医療、更生医療、育成医療、重度心身障害者医療費助成などがあります。医療費の負担が軽減されます。
交通費助成です。多くの自治体で、障害者手帳保持者に対する公共交通機関の割引や無料化があります。
住居費の軽減です。グループホームや公営住宅を利用することで、住居費を抑えられます。家賃補助がある自治体もあります。
生活スキルの習得
自立に向けて必要な生活スキルについて説明します。
身の回りのことです。食事、入浴、着替え、トイレ、身だしなみなどの基本的な生活動作ADLを身につけます。できることを増やし、できないことは補助具や支援を活用します。
家事スキルです。掃除、洗濯、簡単な調理、買い物などを練習します。すべてを完璧にできる必要はなく、できる範囲で行い、支援を受けます。
金銭管理です。お金の価値を理解する、計画的に使う、貯金をする、家計簿をつけるなどを練習します。難しい場合は、日常生活自立支援事業や成年後見制度を利用します。
移動スキルです。公共交通機関の利用、道順の覚え方、困ったときの対処法などを練習します。移動支援サービスを活用することもできます。
コミュニケーションスキルです。挨拶、お礼、謝罪、依頼など、基本的なコミュニケーションを身につけます。困ったときに助けを求めることも重要なスキルです。
時間管理です。時計を読む、スケジュールを守る、約束の時間に間に合うなどを練習します。視覚的なスケジュール表やアラームを活用します。
健康管理です。服薬管理、通院の継続、体調不良時の対処、適度な運動、バランスの良い食事などを身につけます。
危機管理です。火の始末、戸締まり、緊急時の連絡方法、悪質商法への対処などを学びます。
社会性です。ルールを守る、周りに配慮する、場に応じた行動を取るなどを身につけます。
利用できる福祉サービス
成人後に利用できる福祉サービスについて説明します。
居宅介護ホームヘルプです。自宅での食事、入浴、排泄などの介護、調理、洗濯、掃除などの家事援助が受けられます。
重度訪問介護です。重度の肢体不自由や知的障害、精神障害があり、常時介護が必要な人向けです。長時間の見守りや外出支援が受けられます。
同行援護です。視覚障害者の外出時に、移動の援護や外出先での必要な援助が受けられます。
行動援護です。知的障害や精神障害により行動上著しい困難がある人の外出時に、危険を回避するための援助が受けられます。
短期入所ショートステイです。介護者の病気や休息などで一時的に介護ができない場合、施設に短期間入所できます。
移動支援です。外出時の移動を支援してもらえます。余暇活動や社会参加のための外出に利用できます。
地域活動支援センターです。創作活動や生産活動の機会、社会との交流の場が提供されます。
日中一時支援です。日中の見守りや社会適応訓練の場が提供されます。家族の就労支援や一時的な休息にも利用できます。
訪問看護です。看護師が自宅を訪問し、健康管理や医療的ケアを提供します。
相談支援です。相談支援専門員が、サービス等利用計画の作成、定期的なモニタリング、困りごとの相談などに対応します。
成年後見制度の活用
判断能力が不十分な場合の成年後見制度について説明します。
成年後見制度とは何かです。判断能力が不十分な人の財産管理や契約行為を支援する制度です。家庭裁判所が後見人等を選任します。
いつから利用するかです。本人が18歳になれば利用できます。成人になったタイミングで申し立てることも、もう少し後で必要になってから申し立てることもできます。
3つの類型です。後見判断能力がほとんどない、保佐判断能力が著しく不十分、補助判断能力が不十分です。本人の状態に応じて選択します。
後見人の役割です。財産管理銀行口座の管理、年金の受け取り、支払いなど、身上監護医療や福祉サービスの契約、施設入所の契約などです。本人の意思を尊重しながら支援します。
親が後見人になることもできます。ただし、親が高齢になったり亡くなったりした後を考え、専門職後見や法人後見への移行を検討します。
任意後見制度です。本人に判断能力があるうちに、将来判断能力が不十分になった場合に備えて、あらかじめ後見人を選んでおく契約です。
日常生活自立支援事業との違いです。より軽度の支援は日常生活自立支援事業、判断能力が不十分な場合は成年後見制度を利用します。
親ができる準備
親ができる準備について説明します。
本人の自立を信じることです。過保護にせず、できることを増やす、失敗を経験させる、挑戦を応援するなどです。親が信じることが、本人の自信につながります。
社会性や生活スキルを育てることです。幼少期から、年齢に応じたスキルを身につけさせます。焦らず、長期的に取り組みます。
社会資源を活用することです。療育、特別支援学校、放課後等デイサービスなど、様々なサービスを利用し、本人の成長を支えます。
地域とのつながりを作ることです。近所の人に挨拶する、地域のイベントに参加する、顔見知りを増やすなどです。地域で見守ってもらえる関係を作ります。
福祉サービスを早めに利用することです。18歳になったら、障害福祉サービスの利用を開始します。グループホームの見学や体験も早めに始めます。
相談支援専門員との関係を築くことです。信頼できる相談支援専門員を見つけ、長期的な関係を作ります。
きょうだいとの関係を大切にすることです。過度な期待をかけず、きょうだいの人生を尊重しながら、良好な関係を維持します。
経済的な準備をすることです。障害年金の手続き、貯蓄、生命保険、遺言書、成年後見制度などを計画的に準備します。
親の会や家族会に参加することです。先輩の親から学ぶ、情報交換をする、支え合うなどです。
本人の意思を尊重することです。親の希望ではなく、本人がどう生きたいかを大切にします。意思決定支援を行います。
自立の成功事例
自立の成功事例について説明します。
グループホームで暮らしながら就労継続支援B型で働く知的障害者です。仲間と楽しく暮らし、日中は好きな作業をして工賃を得ています。月に一度は実家に帰り、家族との時間も大切にしています。
一人暮らしをしながら一般就労している発達障害者です。週に一度ヘルパーに掃除を手伝ってもらい、相談支援専門員と定期的に面談しながら、自分らしい生活を送っています。
重度の身体障害がありながら、重度訪問介護を利用して一人暮らしをしている人です。24時間体制でヘルパーの支援を受けながら、自分で決める生活を実現しています。
精神障害がありながら、服薬管理と定期的な通院を続け、就労継続支援A型で働いている人です。グループホームで安定した生活を送り、工賃と年金で自立した経済基盤を持っています。
これらの事例に共通するのは、適切な支援を受けながら、本人の意思を尊重した生活を送っていることです。完全な自立ではなくても、自分らしく生きています。
まとめ
障害者の成人後の自立は、適切な支援があれば、多くの形で実現可能です。
自立には様々な形があり、完全な自立を目指す必要はありません。支援を受けながら、本人の意思を尊重して生きることが大切です。
障害の種類や程度によって自立の形は異なりますが、知的障害、身体障害、精神障害、発達障害、それぞれに適した自立の形があります。
生活の場の選択肢としては、一人暮らし、グループホーム、入所施設、家族との同居、きょうだいとの同居、サテライト型グループホーム、公営住宅などがあります。
日中活動の場の選択肢としては、就労継続支援A型、B型、就労移行支援、一般就労、生活介護、地域活動支援センター、デイサービス、在宅などがあります。
経済的な自立は、障害年金、就労による収入、生活保護、親からの支援、特別障害者手当、医療費助成、交通費助成、住居費の軽減などで支えられます。
生活スキルの習得、利用できる福祉サービス、成年後見制度の活用、親ができる準備も重要です。
障害者の自立について不安を抱えている方は、完璧を求めないでください。適切な支援を受けながら、本人らしく生きることが自立です。行政の福祉課、相談支援事業所、親の会などに相談しながら、準備を進めてください。本人の可能性を信じ、挑戦を応援してください。多くの障害者が、支援を受けながら地域で自分らしい生活を送っています。あなたの子どもにも、その可能性があります。

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