お子さんの将来を考え、B型施設を探している保護者の方へ
障害のあるお子さんに合った選択をするために、まず知っておきたい基本ガイド
初めての方は、基礎知識と不安解消をセットで押さえると安心です。
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「親が亡くなった後、この子はどこで暮らすのか」「一人暮らしは無理だろう」「施設に入れるのか」「きょうだいに負担をかけたくない」「今から何を準備すればいいのか」。障害のある人やその家族にとって、将来の住まいは最も大きな不安の一つです。
しかし、選択肢は必ずあります。適切な準備と情報があれば、不安は和らぎます。本記事では、将来の住まいへの不安の正体、具体的な住まいの選択肢、それぞれのメリットとデメリット、選び方のポイント、今から準備すべきこと、そして不安を軽減する方法について詳しく解説します。
将来の住まいへの不安の正体
まず、なぜ不安を感じるのか、その正体を理解しましょう。
よくある不安
親が口にする不安
- 「親が亡くなった後、どこで暮らすのか」
- 「一人暮らしはできないだろう」
- 「グループホームに入れるのか」
- 「入所施設は空きがない」
- 「きょうだいと同居させるのか」
- 「きょうだいに負担をかけたくない」
- 「お金は足りるのか」
- 「誰が面倒を見るのか」
- 「ホームレスになってしまうのではないか」
本人が口にする不安
- 「親がいなくなったら、どうしよう」
- 「一人で暮らせるか不安」
- 「施設は嫌だ」
- 「ずっと今の家に住みたい」
- 「友達と離れたくない」
不安の根源
情報不足
どんな選択肢があるのか、どうすればいいのか、情報が不足していることが不安を増幅させます。
先行きの不透明さ
親が元気なうちは何とかなっても、親が亡くなった後のことは見えません。
経済的な不安
住まいを確保し、生活を続けるための経済的な基盤への不安があります。
孤立への恐怖
一人ぼっちになってしまうのではないかという恐怖があります。
きょうだいへの配慮
きょうだいに負担をかけたくないという思いが、不安を増幅させます。
将来の住まいの選択肢
障害のある人が将来暮らせる住まいの選択肢を、詳しく説明します。
1. グループホーム(共同生活援助)
最も一般的な選択肢
グループホームは、親亡き後の住まいとして最も一般的な選択肢です。
制度の概要
- 法的根拠:障害者総合支援法
- 実施主体:市区町村
- 運営:社会福祉法人、NPO法人など
特徴
- 数人~十数人で共同生活
- 世話人や生活支援員が支援
- 食事、入浴、排泄などの支援
- 日中は仕事や作業所に通う
- 地域で暮らせる
費用
- 月額10万円~20万円程度
- 家賃:3万円~7万円
- 食費:3万円~4万円
- 光熱費:1万円~2万円
- その他
対象者
- 障害支援区分1以上(原則)
- 共同生活ができる人
- 日中活動の場がある人
メリット
- 専門的な支援が受けられる
- 24時間体制の見守り
- 仲間がいる
- 地域で暮らせる
- 障害年金と工賃で概ね賄える
デメリット
- 空きが少ない
- 待機期間が長い
- 共同生活が苦手な人には向かない
- 自由度が制限される場合がある
親亡き後
親が亡くなっても、そのまま住み続けられます。
2. 入所施設(障害者支援施設)
24時間の支援
入所施設は、24時間体制で支援が受けられる施設です。
制度の概要
- 法的根拠:障害者総合支援法
- 実施主体:市区町村
特徴
- 24時間の支援体制
- 食事、入浴、排泄、医療的ケアなど
- 日中活動も施設内
- 重度の障害にも対応
費用
- 月額5万円~18万円程度(所得に応じて)
- 障害年金の範囲内で収まることが多い
対象者
- 障害支援区分4以上(50歳以上は区分3以上)
- 常時介護を必要とする人
メリット
- 手厚い支援
- 医療的ケアにも対応
- 安心感
- 費用が比較的安い
デメリット
- 空きが非常に少ない
- 待機期間が数年に及ぶ
- 施設での生活
- 地域から離れる
- 自由度が低い
親亡き後
親が亡くなっても、そのまま住み続けられます。
3. 一人暮らし(居宅での生活)
自立生活
支援を受けながら、一人で暮らすことも選択肢です。
利用できる支援
居宅介護(ホームヘルプ)
- 身体介護、家事援助
- 申請:市区町村の障害福祉課
重度訪問介護
- 長時間の介助
- 対象:重度の障害がある人
訪問看護
- 医療的なケア
配食サービス
- 食事の配達
見守りサービス
- 定期的な訪問、安否確認
緊急通報システム
- 緊急時にボタンで通報
費用
- 月額12万円~24万円程度
- 家賃:3万円~8万円
- 食費:3万円~4万円
- 光熱費:1万円~1.5万円
- 通信費:1万円~1.5万円
- その他
対象者
- 身の回りのことがある程度できる
- コミュニケーションが取れる
- 緊急時に助けを求められる
- お金の管理ができる(または支援を受けられる)
メリット
- 自由な生活
- プライバシーが守られる
- 自分のペースで暮らせる
デメリット
- 孤立のリスク
- 緊急時の対応
- 経済的負担が大きい
- 悪質な業者のリスク
親亡き後
成年後見制度、日常生活自立支援事業、相談支援事業所などのサポートを受けながら、一人暮らしを継続できます。
4. きょうだいや親族との同居
家族で支える
きょうだいや親族と同居することも選択肢です。
メリット
- 家族の支援がある
- 安心感
- 費用が抑えられる
デメリット
- きょうだいの負担が大きい
- きょうだいの人生に影響
- 福祉サービスを利用しないと共倒れ
注意点
- きょうだいの人生も尊重
- きょうだいだけに負担をかけない
- 福祉サービスを積極的に活用
親亡き後
きょうだいや親族と同居する場合、グループホームや入所施設への入所を検討することも必要です。
5. サテライト型グループホーム
1人暮らしに近い
サテライト型グループホームは、本体のグループホームから離れた場所で、1人または少人数で暮らします。
特徴
- 1人または少人数
- 定期的な訪問支援
- 緊急時の対応
対象者
- 一人暮らしを目指している人
- 比較的自立度が高い人
メリット
- プライバシーが守られる
- 一人暮らしの練習
- 支援が受けられる
デメリット
- 孤立のリスク
- 自立度が求められる
6. 公営住宅
安い家賃
公営住宅に入居して、一人暮らしをする選択肢もあります。
メリット
- 家賃が安い
- 障害者向けの優先枠がある
デメリット
- 抽選に当たらないと入れない
- 一人暮らしの不安は同じ
申し込み
- 都道府県、市区町村の住宅課
7. 有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅
高齢の障害者
65歳以上の障害者は、有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅も選択肢です。
注意点
- 費用が高い
- 障害への理解があるか確認
8. 実家に住み続ける(支援付き)
今の家に残る
親が亡くなった後も、実家に住み続けることも選択肢です。
必要な支援
- 居宅介護
- 訪問看護
- 相談支援
- 成年後見制度
メリット
- 住み慣れた場所
- 環境を変えなくて済む
デメリット
- 孤立のリスク
- 家の管理(税金、修繕など)
- 経済的負担
住まいの選び方のポイント
どの住まいを選ぶべきか、判断のポイントを紹介します。
1. 本人の希望
最も大切
本人がどこで暮らしたいか、その希望を最も尊重すべきです。
聞き方
- 「どこで暮らしたい?」
- 「一人暮らし?それともみんなと一緒?」
- 「施設は嫌?」
2. 障害の程度
自立度
障害の程度、自立度によって、適した住まいが異なります。
軽度~中度
- グループホーム
- サテライト型
- 一人暮らし
重度
- 入所施設
- 日中サービス支援型グループホーム
3. 日中活動の場
仕事や作業所
日中活動の場があるかどうかも重要です。
ある場合
- グループホーム
- 一人暮らし
ない場合(かつ重度)
- 日中サービス支援型グループホーム
- 入所施設
4. 経済状況
費用
住まいの費用と本人の収入を比較し、経済的に成り立つか確認します。
収入
- 障害基礎年金
- 就労収入
- 障害者扶養共済制度の年金
- 遺産
- 生活保護
5. 地域
住み慣れた地域
できれば、住み慣れた地域で暮らせることが望ましいです。
メリット
- 環境の変化が少ない
- 知り合いがいる
- 通い慣れた作業所に通える
6. 空きの状況
現実的な選択
理想と現実のバランスを考え、空きがある選択肢を選ぶことも必要です。
7. 体験利用
実際に試す
体験利用をして、実際に暮らしてみることが大切です。
今から準備すべきこと
親が元気なうちに、今から準備しておくべきことを説明します。
1. 情報を集める
選択肢を知る
どんな選択肢があるのか、情報を集めましょう。
情報源
- 市区町村の障害福祉課
- 相談支援事業所
- インターネット
- 家族会
- 障害者団体
2. 相談支援専門員との関係構築
継続的な相談相手
相談支援事業所を利用し、相談支援専門員と関係を築いておきましょう。
メリット
- 継続的な相談相手
- 住まいの情報
- 親亡き後も支援
3. グループホームや施設の見学・体験
実際に見る
グループホームや施設を見学し、体験利用しておきましょう。
タイミング
- 親が元気なうちから
- 本人が30代~40代の頃から
メリット
- 本人が慣れる
- 親が安心できる
- 早めに申し込める
4. 短期入所を定期的に利用
親元を離れる練習
短期入所を定期的に利用することで、親元を離れることに慣れます。
頻度
- 月1回~数か月に1回
メリット
- グループホーム入居への準備
- 親の負担軽減
5. 日中活動の場を確保
仕事や作業所
日中活動の場を確保しておきましょう。
理由
グループホームは住まいの場なので、日中は仕事や作業所に通うことが前提です。
6. 経済的な準備
親亡き後の経済計画
親亡き後も生活できるよう、経済的な準備をしましょう。
方法
- 障害基礎年金の申請
- 障害者扶養共済制度への加入(親が65歳未満)
- 貯金(目安:500万円~1,000万円)
- 遺言書の作成
- 信託の活用(特定贈与信託、家族信託)
7. 成年後見制度の検討
法的な保護
判断能力が不十分な場合、成年後見制度を検討しましょう。
種類
- 法定後見
- 任意後見(本人の判断能力があるうちに)
申請方法
- 家庭裁判所
8. 情報をまとめる
ライフプランノート
子どもの情報をまとめておきましょう。
内容
- 基本情報
- 障害の状態、特性
- 病歴、服薬
- 利用している福祉サービス
- 相談支援事業所の連絡先
- 経済状況
- 親族の連絡先
- 親亡き後の希望
9. きょうだいとの話し合い
将来の役割分担
きょうだいと、親亡き後のことを話し合っておきましょう。
話し合うこと
- 住まいのこと
- 経済的なこと
- 成年後見制度のこと
- きょうだいの負担をどうするか
注意点
- きょうだいの人生も尊重
- きょうだいだけに負担をかけない
- 福祉サービスの活用
10. 早めに申し込む
待機期間を見越して
グループホームや入所施設は空きが少ないため、早めに申し込みましょう。
タイミング
- 親が60代~70代前半
- 本人が30代~40代
11. 地域との繋がり
見守りネットワーク
民生委員や地域の人と顔見知りになっておきましょう。
メリット
親亡き後、地域の人が見守ってくれる可能性があります。
12. 本人の生活スキルを高める
自立への準備
できる範囲で、本人の生活スキルを高めておきましょう。
スキル
- 身の回りのこと
- 簡単な家事
- お金の管理
- コミュニケーション
不安を軽減する方法
将来の住まいへの不安を軽減する方法を紹介します。
1. 具体的な計画を立てる
見える化
漠然とした不安より、具体的な計画を立てることで不安が軽減されます。
計画の例
- 「○○歳になったら、グループホームに申し込む」
- 「5年後までに、○○万円貯金する」
- 「来年、グループホームを3か所見学する」
2. 選択肢は複数ある
一つではない
住まいの選択肢は、一つではありません。複数あることを知るだけで、不安が和らぎます。
3. 完璧を求めない
ベストではなくベター
完璧な住まいはありません。「ベスト」ではなく「ベター」を目指しましょう。
4. 相談できる人を作る
一人で抱え込まない
相談できる人を作ることで、不安が軽減されます。
相談相手
- 相談支援専門員
- 市区町村の障害福祉課
- 家族会
- きょうだい
- パートナー
5. 家族会に参加する
ピアサポート
同じ悩みを持つ親と交流することで、「自分だけじゃない」と思えます。
6. 体験利用で安心する
実際に見る
グループホームや施設を体験利用することで、「ここなら安心だ」と思えます。
7. 柔軟に考える
変更可能
一度決めたら変更できないわけではありません。柔軟に考えましょう。
例
- グループホームに入居したが、合わなかったら変更
- 一人暮らしを試したが、難しかったらグループホームへ
8. 「今」を大切にする
将来の不安より今
将来の不安にとらわれすぎず、「今」を大切にしましょう。
9. 小さな一歩から
焦らない
いきなり全部を解決しようとせず、小さな一歩から始めましょう。
例
- まずは情報を集める
- 相談支援事業所に相談する
- 1か所だけグループホームを見学する
10. プロに任せる
専門家の力を借りる
相談支援専門員、弁護士、司法書士、ファイナンシャルプランナーなど、専門家の力を借りましょう。
よくある質問
Q1: いつから準備を始めればいいですか?
A: 今すぐ始めましょう。
早ければ早いほど、選択肢が広がります。親が60代、本人が30代頃から始めるのが理想です。
Q2: グループホームと入所施設、どちらがいいですか?
A: 本人の状態によります。
軽度~中度の障害なら、グループホームが適しています。重度で常時介護が必要なら、入所施設も選択肢です。
Q3: 一人暮らしは可能ですか?
A: 支援があれば可能です。
居宅介護、訪問看護、相談支援、成年後見制度などを利用すれば、一人暮らしも可能です。
Q4: 経済的に大丈夫でしょうか?
A: 準備次第です。
障害基礎年金、就労収入、障害者扶養共済制度の年金、遺産などを組み合わせることで、生活できる可能性は高いです。グループホームや入所施設なら、障害年金の範囲内で生活できることが多いです。
Q5: きょうだいに負担をかけたくありません。
A: 福祉サービスを活用しましょう。
グループホームや入所施設を利用すれば、きょうだいの負担を最小限にできます。きょうだいと話し合い、役割分担を決めておくことも大切です。
Q6: 本人が一人暮らしを望んでいますが、心配です。
A: 段階的に進めましょう。
まずはサテライト型グループホームで一人暮らしの練習をする、短期間試してみるなど、段階的に進めることをおすすめします。
Q7: グループホームの空きがない場合は?
A: 複数申し込み、範囲を広げましょう。
複数のグループホームに申し込む、地域を広げる、入所施設も検討するなど、選択肢を広げましょう。
まとめ
障害者の将来の住まいへの不安は、情報不足、先行きの不透明さ、経済的な不安、孤立への恐怖、きょうだいへの配慮などが原因です。
しかし、選択肢は必ずあります。グループホーム、入所施設、一人暮らし、きょうだいや親族との同居、サテライト型グループホーム、公営住宅、有料老人ホーム、実家に住み続けるなど、様々な選択肢があります。
住まいの選び方のポイントは、本人の希望、障害の程度、日中活動の場、経済状況、地域、空きの状況、体験利用です。
今から準備すべきことは、情報を集める、相談支援専門員との関係構築、見学・体験、短期入所の利用、日中活動の場の確保、経済的な準備、成年後見制度の検討、情報をまとめる、きょうだいとの話し合い、早めに申し込む、地域との繋がり、本人の生活スキルを高めることです。
不安を軽減する方法は、具体的な計画を立てる、選択肢は複数あると知る、完璧を求めない、相談できる人を作る、家族会に参加する、体験利用で安心する、柔軟に考える、今を大切にする、小さな一歩から始める、プロに任せることです。
一人で抱え込まず、相談支援専門員や市区町村の障害福祉課、家族会、専門家に相談しながら、準備を進めていきましょう。選択肢は必ずあります。不安は、行動することで和らぎます。
主な相談窓口
市区町村の障害福祉課
- 制度の説明、住まいの選択肢の紹介
相談支援事業所
- 継続的な相談、住まいの情報提供
家族会、親の会
- ピアサポート、情報交換
一人で悩まず、必ず相談してください。選択肢は必ずあります。

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